IPA ネットワーク — 頻出論点と過去問

この分野の学び方

1. この分野の全体像

ネットワークは、離れた機器がデータを届け合うために、配線や電波の上に通信の約束事を何層にも重ねた仕組みです。問われる中身は、ITパスポートの用語と働きの対応から、応用情報技術者の午前のサブネットや伝送時間の計算へと細かくなり、高度試験の午前IIでは経路制御プロトコルの仕様や暗号化される範囲にまで及びます。通信を守る暗号化や送信元の確認も、無線LANやメール、VPNでは、それぞれのプロトコルの手順の一部です。

2. 配下の論点の案内

  • 有線LAN・スイッチング: フレームを運ぶ配線と中継装置の論点で、1つのセグメントの区切りが、アドレスや経路の論点の前提になります。応用情報技術者の午前ではブロードキャストフレームの説明やVLANで分けたときのセキュリティ上の効果を選ぶ問題が出ており、ネットワークスペシャリストの午前IIにはフレーム長の計算やケーブル規格の数値も含まれます。

  • 無線LAN・接続認証: 電波でつなぐ区間の論点で、周波数帯とチャネルの配置と、端末をつなぐときの暗号化と認証の決まりを含みます。ITパスポートにはWPA2の機能やゲストSSIDで実現できることを選ぶ問題があり、情報処理安全確保支援士の午前IIではIEEE 802.1Xの構成要素をどの機器に置くかを選ぶ問題があります。

  • IoT・モバイル通信: センサーや移動する端末をつなぐ無線規格と軽量なプロトコル、携帯電話網の仕組みを、この論点でまとめて扱います。通信距離や消費電力の説明に合う規格を選ぶ問題がITパスポートにあり、エンベデッドシステムスペシャリストの午前IIではPublish/Subscribe型のモデルを採るプロトコルの名前も選ばせています。

  • IPアドレス・サブネット設計: 通信相手を指すアドレスの構造と割り当ての論点で、経路制御やフィルタリングの設定を読む土台です。応用情報技術者の午前ではプレフィックス長から使えるホスト数や所属するサブネットを求める計算とNAPTで書き換わる項目の判定があり、ネットワークスペシャリストの午前IIでは複数のネットワークを集約したアドレスの計算が出ています。

  • TCP・UDP・IP層の制御: IP層を補助する制御用のプロトコルとトランスポート層の通信制御の論点で、アプリケーションや攻撃のパケットを読む下地になります。応用情報技術者の午前ではTCPとUDPのヘッダの違いやMTUから分けて送るデータ量の計算があり、情報処理安全確保支援士の午前IIには観測したパケットから推定できる攻撃を選ぶ問題があります。

  • ルーティング: サブネット設計とIP層の仕組みを前提として、複数のネットワーク間でパケットを転送する経路選択と、ゲートウェイの冗長化の方式を扱います。ルーティングテーブルから転送先を選ぶ問題が応用情報技術者の午前にあり、ネットワークスペシャリストの午前IIではRIP・OSPF・BGPの性質の比較や、区間コストから木を組み立てる計算まであります。

  • DNS: アプリケーション通信の起点となる名前解決の仕組みと、偽装や踏み台化を防ぐサーバ運用を扱います。ITパスポートではDNSやドメイン名についての記述の正誤が、高度試験の午前IIではリソースレコードの用途やDNSSECの機能、カミンスキー攻撃への対策が問いになっています。

  • 電子メール: 名前解決とTCPの上で動くメールの配送の仕組みに、不正な中継やなりすましを抑える対策が加わった論点です。ITパスポートには送受信のプロトコルの組合せやBccの宛先の見え方を選ぶ問題があり、情報処理安全確保支援士の午前IIではOP25BやSMTP-AUTH、SPF・DKIMの目的や特徴と、受信時の暗号化に使うプロトコルを選ばせています。

  • Web・その他のアプリケーションプロトコル: Webの閲覧やファイル転送、時刻合わせの手順と、プロキシやCDNが通信を中継するふるまいの論点です。応用情報技術者の午前ではURLでポート番号を書く位置やリバースプロキシの説明を選ばせ、情報処理安全確保支援士の午前IIではHTTPのリクエストで入力データが入る場所やキャッシュを制御するヘッダの意味を見分けさせます。

  • WAN・VPN・ネットワーク仮想化: IP層とトランスポート層の知識を前提に、拠点間の広域接続とカプセル化によるVPN、ネットワークを論理的に組み立てるSDNやNFVがこの論点に集まっています。応用情報技術者の午前ではIPsec・L2TP・TLSの階層の上下関係やSDNの説明が、ネットワークスペシャリストの午前IIではトンネルモードのESPで暗号化の対象になる部分やOpenFlowのメッセージ名が選択の対象です。

  • 伝送性能・通信品質: 回線速度と伝送効率から通信の時間を、ビット誤り率から誤りの入る電文の個数を見積もる計算に、音声通話の品質とトラフィックの制御が加わります。応用情報技術者の午前ではLANの送信時間や必要な回線速度の計算があり、ネットワークスペシャリストの午前IIでは呼量から回線数を求める問題やQoSの制御方式を選ぶ問題も出題されました。

3. 学習の順序の提案

「有線LAN・スイッチング」で分かるセグメントの範囲と、「IPアドレス・サブネット設計」で分かるネットワークの境界は、「TCP・UDP・IP層の制御」のアドレス解決やパケットの分割、「ルーティング」の転送先の判定にも持ち込まれます。「DNS」「電子メール」「Web・その他のアプリケーションプロトコル」は、名前解決のあとにTCPやUDPの上でやり取りが進むという順序で、これらの論点の上に乗っています。「無線LAN・接続認証」と「IoT・モバイル通信」は、アドレスや経路の計算を前提にせずに読める論点です。

受ける区分 先に学ぶ論点 次に広げる論点
ITパスポート IoT・モバイル通信、電子メール、無線LAN・接続認証、DNS、Web・その他のアプリケーションプロトコル IPアドレス・サブネット設計、TCP・UDP・IP層の制御
応用情報技術者 IPアドレス・サブネット設計、TCP・UDP・IP層の制御、WAN・VPN・ネットワーク仮想化 有線LAN・スイッチング、IoT・モバイル通信、伝送性能・通信品質、Web・その他のアプリケーションプロトコル
情報処理安全確保支援士 無線LAN・接続認証、電子メール、TCP・UDP・IP層の制御、Web・その他のアプリケーションプロトコル IPアドレス・サブネット設計、有線LAN・スイッチング、DNS、WAN・VPN・ネットワーク仮想化
ネットワークスペシャリスト 有線LAN・スイッチング、IPアドレス・サブネット設計、TCP・UDP・IP層の制御、ルーティング 無線LAN・接続認証、伝送性能・通信品質、DNS、WAN・VPN・ネットワーク仮想化、Web・その他のアプリケーションプロトコル
エンベデッドシステムスペシャリスト IoT・モバイル通信、TCP・UDP・IP層の制御、Web・その他のアプリケーションプロトコル 無線LAN・接続認証、IPアドレス・サブネット設計、伝送性能・通信品質

応用情報技術者の午後では社内LANやクラウド移行の場面でDHCP・DNS・アドレス変換・経路制御・プロキシの連携を追う問題が出ており、情報処理安全確保支援士の午後ではリモートワークやメール運用の場面でVPN・無線認証・送信ドメイン認証・ファイアウォールの許可ルールを組み合わせた設計が問われます。ネットワークスペシャリストの午後では、OSPFやVRRPによる冗長化設計、VXLANやIPv6の導入、マルチキャスト配信やVoIPの音声品質の確保など、下位層からアプリケーション層までを統合した長文の事例が出題されています。

4. 分野をまたいで間違えやすいところ

スイッチのループを防ぐプロトコルを選ぶ問題では、ルータの経路制御に使うRIPが誤答肢にありました。ループが起きるのは同じセグメントの中のスイッチの間で、RIPはそれより上の層で、ネットワークどうしをつなぐ機器が宛先ネットワークまでの経路を選ぶために情報を交わす仕組みであり、「ルーティング」の論点に入ります。

「IPアドレス・サブネット設計」と「ルーティング」は、どちらもプレフィックス長を読む点で隣り合います。いくつかのネットワークをまとめた後のアドレスを求める計算は、経路表に載せる値を作る側の作業として「IPアドレス・サブネット設計」に入り、届いたパケットの宛先に当てはまる経路が複数あるときにどれを使うかは、ルータが転送のたびに行う判定として「ルーティング」に入ります。

「DNS」と「電子メール」は、どちらにもDNSサーバへ登録するレコードが出てくるため、問題がどちらの論点に入るかを取り違えやすいところです。レコードの目的が、名前から宛先のサーバを引くことやその答えの守り方にあれば「DNS」の論点、届いたメールの送信元ドメインが本物かを受信側で確かめることにあれば「電子メール」の論点で、SPFやDKIMは後者の送信ドメイン認証に入ります。

「セキュリティ技術」分野との境界では、無線LANの暗号化と接続認証、OP25B、キャッシュポイズニング対策、IPsecのトンネルモードを問う問題が、この分野の論点にもセキュリティ技術の論点にも数えられます。この分野ではポートやレコード、モードごとに暗号化される部分のように、プロトコルがどう動くかが問われ、セキュリティ技術の側では、ねらわれる攻撃とそれを止める仕組みの対応が問われます。一方、公開鍵暗号やデジタル証明書の原理と、ファイアウォールの検査方式やIPSの設置形態、DMZの配置を問う問題は、この分野の論点には入らない、セキュリティ技術の側の問題です。

「組込み・IoT」分野との境界では、BLEやLPWA、MQTTといった無線規格や軽量プロトコルの特徴を選ぶ問題には、「IoT・モバイル通信」と組込み・IoTの分野の論点を兼ねる問題も含まれます。この分野ではそれらを通信距離・消費電力・通信のモデルといった通信の性質の側から読み、センサーやアクチュエーターの駆動と省電力の制御は、組込み・IoTの分野の論点です。

「システム構成」分野との境界は、計算で回線の伝送時間を求めるかどうかで引かれています。回線速度と伝送効率から時間や台数を求める問題は「伝送性能・通信品質」に入り、そのうち端末から見た往復の時間や同時に使える台数を求めるものは、システム構成の分野の性能評価からも出ています。一方、通信回線を二重化したときの稼働率のように、回線が出てきても稼働率を求める計算は、システム構成の分野だけの論点です。

ネットワークの論点別の過去問

有線LAN・スイッチング32問 無線LAN・接続認証31問 IoT・モバイル通信27問 IPアドレス・サブネット設計40問 TCP・UDP・IP層の制御45問 ルーティング14問 DNS23問 電子メール33問 Web・その他のアプリケーションプロトコル28問 WAN・VPN・ネットワーク仮想化24問 伝送性能・通信品質27問

ネットワークの理解度チェック

ネットワークの過去問一覧

この分野の午後問題(記述式・読み物)

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