令和5年度 春期 ネットワークスペシャリスト試験 午後II 問2 負荷分散装置によるECサーバ増強とSAML2.0連携

テクノロジシステム構成ネットワーク

この問題は2023(R5)春 ネットワークスペシャリスト 午後IIに出題されたものです。出題時点の法令・制度に基づく内容のため、現行の内容と一致しない場合があります。

本ページの問題文・選択肢は、原本の体裁を Web 表示用に正規化しています(改行・記号・数式・図表参照の調整)。設問の趣旨および正解に影響する変更は加えていません。

学習ガイド

ECサーバをLBでスケールアウトし、SAML 2.0によるSSOへ対応する事例です。通信区間ごとのIPヘッダーを追い、静的NAT、仮想IPアドレス、デフォルトゲートウェイ、証明書移設の関係を確認します。SSOで交換・検証される情報もシーケンスに沿って整理します。本文・表・図の根拠を行き来し、用語だけを暗記するのではなく、短い記述にも判断の理由を残して解答する手順を示します。

この記事で押さえる論点

  • ゾーン情報と静的NATの対応から各ホストのIPアドレスを導ける
  • LBのソースNAT有無で行き・戻りパケットの経路と設定変更箇所がどう変わるかを説明できる
  • セッション維持とヘルスチェックの方式選択をECサーバの動作条件から根拠付ける
  • ケルベロス認証とSAMLを組み合わせたSSOで検証される情報を整理する

問題本文

問2 ECサーバの増強に関する次の記述を読んで,設問に答えよ。

Y社は,従業員300名の事務用品の販売会社であり,会員企業向けにインターネットを利用して通信販売を行っている。ECサイトは,Z社のデータセンター(以下,z-DCという)に構築されており,Y社の運用PCを使用して運用管理を行っている。

ECサイトに関連するシステムの構成を図1に示し,DNSサーバに設定されているゾーン情報を図2に示す。

図1 EC サイトに関連するシステムの構成(抜粋)
図の説明テキスト

ネットワーク構成図。

  • インターネットを介して「会員企業」複数、z-DCの「FWz」、広域イーサ網が相互に接続されている。
  • z-DC内: FWzはL2SWに接続。L2SWにはDMZネットワーク (192.168.1.0/24) が繋がり、「ECサーバ」(ホスト名: ecsv)、「メールサーバ」(ホスト名: mail)、「DNSサーバ」(ホスト名: ns) が接続されている。これら3台のサーバは点線枠で囲まれ「ECサイト」と示されている。
  • Y社内: 広域イーサ網はFWyに接続し、そこからL3SWを介して192.168.0.0/24ネットワークにつながる。ここに「運用PC」が複数台接続されている。
  • 注記として以下の記載がある。
    広域イーサ網:広域イーサネットサービス網
    FW:ファイアウォール
    L2SW:レイヤー2スイッチ
    L3SW:レイヤー3スイッチ
    ecsv, mail, ns は、ホスト名である。
図2 DNS サーバに設定されているゾーン情報(抜粋)
図の説明テキスト
項番 ゾーン情報
1 @ IN SOA ns.example.jp. hostmaster.example.jp. (省略)
2 IN a ns.example.jp.
3 IN b 10 mail.example.jp.
4 ns IN A c
5 ecsv IN A (省略)
6 mail IN A d
7 @ IN SOA ns.y-sha.example.lan. hostmaster.y-sha.example.lan. (省略)
8 IN a ns.y-sha.example.lan.
9 IN b 10 mail.y-sha.example.lan.
10 ns IN A e
11 ecsv IN A (省略)
12 mail IN A f

〔ECサイトに関連するシステムの構成,運用及びセッション管理方法〕

・会員企業の事務用品購入の担当者(以下,購買担当者という)は,Webブラウザで https://ecsv.example.jp/を指定してECサーバにアクセスする。
・運用担当者は,運用PCのWebブラウザで https://ecsv.y-sha.example.lan/を指定して,広域イーサ網経由でECサーバにアクセスする。
・ECサーバに登録されているサーバ証明書は一つであり,マルチドメインに対応していない。
・ECサーバは,アクセス元のIPアドレスなどをログとして管理している。
・DMZのDNSサーバは,ECサイトのインターネット向けドメイン example.jp と,社内向けドメイン y-sha.example.lan の二つのドメインのゾーン情報を管理する。
・L3SWには,DMZへの経路とデフォルトルートが設定されている。
・運用PCは,DMZのDNSサーバで名前解決を行う。
・FWzには,表1に示す静的NATが設定されている。

表1 FWz に設定されている静的NATの内容(抜粋)
図の説明テキスト
変換前IPアドレス 変換後IPアドレス プロトコル/宛先ポート番号
100.α.β.1 192.168.1.1 TCP/53, UDP/53
100.α.β.2 192.168.1.2 TCP/443
100.α.β.3 192.168.1.3 TCP/25
注記: 100.α.β.1〜100.α.β.3 は,グローバルIPアドレスを示す。

ECサーバは,次の方法でセッション管理を行っている。

・Webブラウザから最初にアクセスを受けたときに,ランダムな値のセッションIDを生成する。
・Webブラウザへの応答時に,CookieにセッションIDを書き込んで送信する。
・WebブラウザによるECサーバへのアクセスの開始から終了までの一連の通信を,セッションIDを基に,同一のセッションとして管理する。

〔ECサイトの応答速度の低下〕

最近,購買担当者から,ECサイト利用時の応答が遅くなったというクレームが入るようになった。そこで,Y社の情報システム部(以下,情シスという)のネットワークチームのX主任は,運用PCを使用して次の手順で原因究明を行った。

(1) 購買担当者と同じURLでアクセスし,応答が遅いことを確認した。

(2) ecsv.example.jp及びecsv.y-sha.example.lan宛てに,それぞれpingコマンドを発行して応答時間を測定したところ,両者の測定結果に大きな違いはなかった。

(3) FWzのログからはサイバー攻撃の兆候は検出されなかった。

(4) sshコマンドでecsv.y-sha.example.lanにアクセスしてCPU使用率を調べたところ,設計値を大きく超えていた。

この結果から,X主任は,ECサーバが処理能力不足になったと判断した。

〔ECサーバの増強構成の設計〕

X主任は,ECサーバの増強が必要になったことを上司のW課長に報告し,W課長からECサーバの増強構成の設計指示を受けた。

ECサーバの増強策としてスケールg方式とスケールh方式を比較検討し,ECサイトを停止せずにECサーバの増強を行える,スケールh方式を採用することを考えた。

X主任は,ECサーバを2台にすればECサイトは十分な処理能力をもつことになるが,2台増設して3台にし,負荷分散装置(以下,LBという)によって処理を振り分ける構成を設計した。ECサーバの増強構成を図3に示し,DNSサーバに追加する社内向けドメインのリソースレコードを図4に示す。

図3 ECサーバの増強構成(抜粋)
図の説明テキスト

構成図の詳細:

  • 外部ネットワークの「インターネット」と「広域イーサ網」が、z-DC(データセンタ)のFWzに接続されている。
  • FWzはDMZ(ネットワークアドレス: 192.168.1.0/24)内のL2SWに接続されている。
  • L2SWには以下の機器が接続されている: LB (ホスト名: lbs)、メールサーバ (ホスト名: mail)、DNSサーバ (ホスト名: ns)。
  • ECサイトとして破線枠で囲まれた部分に以下の3台のサーバが配置され、それぞれL2SWに接続されている: 既設 ECサーバ (ホスト名: ecsv1)、増設 ECサーバ1 (ホスト名: ecsv2)、増設 ECサーバ2 (ホスト名: ecsv3)。
  • LBから各ECサーバ(ecsv1, ecsv2, ecsv3)へ太線が引かれており、処理が振り分けられる構成が示されている。
    注記: lbsはLBのホスト名であり、ecsv1〜ecsv3は増強後のECサーバのホスト名である。
図4 DNS サーバに追加する社内向けドメインのリソースレコード
図の説明テキスト
列1 列2 列3 列4 列5
lbs IN A 192.168.1.4 ; LBの物理 IP アドレス
ecsv1 IN A 192.168.1.5 ; 既設 EC サーバの IP アドレス
ecsv2 IN A 192.168.1.6 ; 増設 EC サーバ 1 の IP アドレス
ecsv3 IN A 192.168.1.7 ; 増設 EC サーバ 2 の IP アドレス
図5 既設 EC サーバに振り分けられたときのパケットの転送経路
図の説明テキスト

PC(200.a.b.c)から既設ECサーバ(ecsv1)へのパケット転送経路を示している。

  • 行きの経路(実線矢印): [PC] → (i) → (インターネット) → (i) → [FWz] → (ii) → LB → (iii) → 既設 EC サーバ
  • 戻りの経路(破線矢印): [PC] ← (vi) ← (インターネット) ← (vi) ← [FWz] ← (v) ← [LB] ← (iv) ← [既設 EC サーバ]
    注記として「200.a.b.cは、グローバル IP アドレスを示す。」と記載されている。

導入するLBには,負荷分散用のIPアドレスである仮想IPアドレスで受信したパケットをECサーバに振り分けるとき,送信元IPアドレスを変換する方式(以下,ソースNATという)と変換しない方式の二つがある。図5中の(i)~(vi)でのIPヘッダーのIPアドレスの内容を表2に示す。

表2 図5中の(i)〜(vi)での IP ヘッダーの IP アドレスの内容
図の説明テキスト
図5中の番号 送信元 (NATなし) 宛先 (NATなし) 送信元 (NATあり) 宛先 (NATあり)
(i) 200.a.b.c i 200.a.b.c i
(ii) 200.a.b.c j 200.a.b.c j
(iii) 200.a.b.c 192.168.1.5 k 192.168.1.5
(iv) 192.168.1.5 200.a.b.c 192.168.1.5 k
(v) j 200.a.b.c j 200.a.b.c
(vi) i 200.a.b.c i 200.a.b.c

〔ECサーバの増強構成とLBの設定〕

X主任が設計した内容をW課長に説明したときの,2人の会話を次に示す。

X主任:LBを利用してECサーバを増強する構成を考えました。購買担当者がECサーバにアクセスするときのURLの変更は不要です。

W課長:DNSサーバに対しては,図4のレコードを追加するだけで良いのでしょうか。

X主任:そうです。ECサーバの増強後も,図2で示したゾーン情報の変更は不要ですが,図2中の項番5と項番11のリソースレコードは,図3の構成では図1とは違う機器の特別なIPアドレスを示すことになります。また,図4のリソースレコードの追加に対応して,既設ECサーバに設定されている二つの情報を変更します

W課長:分かりました。LBではソースNATを行うのでしょうか。

X主任:現在のECサーバの運用を変更しないために,ソースNATは行わない予定です。この場合,パケットの転送を図5の経路にするために,既設ECサーバでは,デフォルトゲートウェイのIPアドレスを変更します

W課長:次に,ECサーバのメンテナンス方法を説明してください。

X主任:はい。まず,メンテナンスを行うECサーバを負荷分散の対象から外し,その後に,運用PCから当該ECサーバにアクセスして,メンテナンス作業を行います。

W課長:X主任が考えている設定では,運用PCからECサーバとは通信できないと思いますが,どうでしょうか。

X主任:うっかりしていました。導入予定のLBはルータとしては動作しませんから,ご指摘の問題が発生してしまいます。対策方法として,ECサーバに設定するデフォルトゲートウェイを図1の構成時のままとし,LBではソースNATを行うとともに,ECサーバ宛てに送信するHTTPヘッダーにX-Forwarded-Forフィールドを追加するようにします

W課長:それで良いでしょう。ところで,図3の構成では,増設ECサーバにもサーバ証明書をインストールすることになるのでしょうか。

X主任:いいえ。増設ECサーバにはインストールせずに既設ECサーバ内のサーバ証明書の流用で対応できます

W課長:分かりました。負荷分散やセッション維持などの方法は設計済みでしょうか。

X主任:構成が決まりましたので,これからLBの制御方式について検討します。

〔LBの制御方式の検討〕

X主任は,導入予定のLBがもつ負荷分散機能,セッション維持機能,ヘルスチェック機能の三つについて調査し,次の方式を利用することにした。

・負荷分散機能

アクセス元であるクライアントからのリクエストを,負荷分散対象のサーバに振り分ける機能である。Y社のECサーバは,リクエストの内容によってサーバに掛かる負荷が大きく異なるので,ECサーバにエージェントを導入し,エージェントが取得した情報を基に,ECサーバに掛かる負荷の偏りを小さくすることが可能な動的振分け方式を利用する。

・セッション維持機能

同一のアクセス元からのリクエストを,同一セッションの間は同じサーバに転送する機能である。アクセス元の識別は,IPアドレス,IPアドレスとポート番号との組合せ,及びCookieに記録された情報によって行う,三つの方式がある。IPアドレスでアクセス元を識別する場合,インターネットアクセス時に送信元IPアドレスが同じアドレスになる会員企業では,複数の購買担当者がアクセスするECサーバが同一になってしまう問題が発生する。IPアドレスとポート番号との組合せでアクセス元を識別する場合は,TCPコネクションが切断されると再接続時にセッション維持ができなくなる問題が発生する。そこで,Cookie中のセッションIDと振分け先のサーバから構成されるセッション管理テーブルをLBが作成し,このテーブルを使用してセッションを維持する方式を利用する。

・ヘルスチェック機能

振分け先のサーバの稼働状態を定期的に監視し,障害が発生したサーバを負荷分散の対象から外す機能である。ヘルスチェックは,レイヤー3,4及び7の各レイヤーで稼働状態を監視する方式があり,ここではレイヤー7方式を利用する。

X主任が,LBの制御方式の検討結果をW課長に説明した後,W課長から新たな検討事項の指示を受けた。そのときの,2人の会話を次に示す。

W課長:運用チームから,ECサイトのアカウント情報の管理負荷が大きくなってきたので,管理負荷の軽減策の検討要望が挙がっています。会員企業からは,自社で管理しているアカウント情報を使ってECサーバにログインできるようにして欲しいとの要望があります。これらの要望に応えるために,ECサーバのSAML2.0(Security Assertion Markup Language 2.0)への対応について検討してください。

X主任:分かりました。検討してみます。

〔SAML2.0の調査とECサーバへの対応の検討〕

X主任がSAML2.0について調査して理解した内容を次に示す。

・SAMLは,認証・認可の要求/応答のプロトコルとその情報を表現するための標準規格であり,一度の認証で複数のサービスが利用できるシングルサインオン(以下,SSOという)を実現することができる。

・SAMLでは,利用者にサービスを提供するSP(Service Provider)と,利用者の認証・認可の情報をSPに提供するIdP(Identity Provider)との間で,情報の交換を行う。

・IdPは,SAMLアサーションと呼ばれるXMLドキュメントを作成し,利用者を介してSPに送信する。SAMLアサーションには,次の三つの種類がある。

(a) 利用者がIdPにログインした時刻,場所,使用した認証の種類などの情報が記述される。

(b) 利用者の名前,生年月日など利用者を識別する情報が記述される。

(c) 利用者がもつサービスを利用する権限などの情報が記述される。

・SPは,IdPから提供されたSAMLアサーションを基に,利用者にサービスを提供する。

・IdP,SP及び利用者間の情報の交換方法は,SAMLプロトコルとしてまとめられており,メッセージの送受信にはHTTPなどが使われる。

・z-DCで稼働するY社のECサーバがSAMLのSPに対応すれば,購買担当者は,自社内のディレクトリサーバ(以下,DSという)などで管理するアカウント情報を使って,ECサーバに安全にSSOでアクセスできる。

X主任は,ケルベロス認証を利用して社内のサーバにSSOでアクセスしている会員企業e社を例として取り上げ,e社内のPCがSAMLを利用してY社のECサーバにもSSOでアクセスする場合のシステム構成及び通信手順について考えた。
会員企業e社のシステム構成を図6に示す。

図6 会員企業 e 社のシステム構成(抜粋)
図の説明テキスト

ネットワーク構成図。インターネットを介して、z-DCと会員企業e社が接続されている。

  • z-DC内には「Y社のECサイト」が配置されている。
  • 会員企業e社内には「FW」があり、インターネットと接続している。FWの下に「L2SW」が配置されている。
  • L2SWには、「社内サーバ」(複数)、「PC」、「DS」、および網掛けされた「認証連携サーバ」が接続されている。
    注記: 網掛けの認証連携サーバは,SAML を利用するために新たに導入する。

図6で示した会員企業e社のシステムの概要を次に示す。
・e社ではケルベロス認証を利用し,社内サーバにSSOでアクセスしている。
・e社内のDSは,従業員のアカウント情報を管理している。
・PC及び社内サーバは,それぞれ自身の共通鍵を保有している。
・DSは,PC及び社内サーバそれぞれの共通鍵の管理を行うとともに,チケットの発行を行う鍵配布センター(以下,KDCという)機能をもっている。
・KDCが発行するチケットには,PCの利用者の身分証明書に相当するチケット(以下,TGTという)とPCの利用者がアクセスするサーバで認証を受けるためのチケット(以下,STという)の2種類がある。
・認証連携サーバはIdPとして働き,ケルベロス認証とSAMLとの間で認証連携を行う。

X主任は,e社内のPCからY社のECサーバにSAMLを利用してSSOでアクセスするときの通信手順と処理の概要を,次のようにまとめた。
e社内のPCからECサーバにSSOでアクセスするときの通信手順を図7に示す。

図7 e社内のPCからECサーバにSSOでアクセスするときの通信手順(抜粋)
図の説明テキスト

【エンティティ】
PC(会員企業e社 購買担当者)、DS(KDC)(会員企業e社)、認証連携サーバ (IdP)(会員企業e社)、Y社のECサーバ (SP)(z-DC)

【通信手順】
(i) PC から Y社のECサーバ へ: HTTP要求(ログイン要求)
(ii) Y社のECサーバ から PC へ: HTTP応答 IdPにリダイレクト(IdPに認証を要求するSAML Request)
(iii) PC から 認証連携サーバ へ: HTTP要求 ログイン画面要求(SAML Request)
(iv) 認証連携サーバ から PC へ: HTTP応答(401, WWW-Authenticate)
(v) PC から DS(KDC) へ: IdPのST要求(TGTを提示)
(vi) DS(KDC) から PC へ: IdPのST提供
(vii) PC から 認証連携サーバ へ: HTTP要求(ケルベロス認証向けのAPIを利用してSTを提示)
(viii) 認証連携サーバ から PC へ: HTTP応答 SPにリダイレクト(SAML Response)
(ix) PC から Y社のECサーバ へ: HTTP要求(SAML Response)

  • PC と Y社のECサーバ の間: HTTP通信(サービス提供)

【注記】
注記1 本図では、購買担当者はPCにログインしてTGTを取得しているが、IdP向けのSTを所有していない状態での通信手順を示している。
注記2 LBの記述は、図中から省略している。

図7中の,(i)〜(ix)の処理の概要を次に示す。

(i) 購買担当者がPCを使用してECサーバにログイン要求を行う。

(ii) SPであるECサーバは,SAML認証要求(SAML Request)を作成しIdPである認証連携サーバにリダイレクトを要求する応答を行う。

ここで,ECサーバには,IdPが作成するデジタル署名の検証に必要な情報などが設定され,IdPとの間で信頼関係が構築されている。

(iii) PCはSAML RequestをIdPに転送する。

(iv) IdPはPCに認証を求める。

(v) PCは,KDCにTGTを提示してIdPへのアクセスに必要なSTの発行を要求する。

(vi) KDCは,TGTを基に,購買担当者の身元情報やセッション鍵が含まれたSTを発行し,IdPの鍵でSTを暗号化する。さらに,KDCは,暗号化したSTにセッション鍵などを付加し,全体をPCの鍵で暗号化した情報をPCに払い出す。

(vii) PCは,受信した情報の中からSTを取り出し,ケルベロス認証向けのAPIを利用して,STをIdPに提示する。

(viii) IdPは,STの内容を基に購買担当者を認証し,デジタル署名付きのSAMLアサーションを含むSAML応答(SAML Response)を作成して,SPにリダイレクトを要求する応答を行う。

(ix) PCは,SAML ResponseをSPに転送する。SPは,SAML Responseに含まれるデジタル署名を検証し,検証結果に問題がない場合,SAMLアサーションを基に,購買担当者が正当な利用者であることの確認,及び購買担当者に対して提供するサービス範囲を定めた利用権限の付与の,二つの処理を行う。

X主任は,ECサーバのSAML2.0対応の検討結果を基に,SAML2.0に対応する場合のECサーバプログラムの改修作業の概要をW課長に説明した。

W課長は,X主任の設計したECサーバの増強案,及びSAML2.0対応のためのECサーバの改修などについて,経営会議で提案して承認を得ることができた。

設問と解答・解説

設問1

図2中の a , b に入れる適切なリソースレコード名を, cf に入れる適切なIPアドレスを,それぞれ答えよ。

(1)

図2中の a に入れる適切なリソースレコード名を答えよ。

模範解答

NS

採点基準(配点 4点)

正確性(内容)(4点)

  • 4: システムの処理能力増強に向けた構成設計の要件を踏まえ、NSレコードであることが正確に抜き出されている(解答できている)。
  • 2: 解答に一部不備はあるものの、DNSの委譲に関する意図は概ね捉えられている。
  • 0: 内容が不適切、または無回答。

解説

本設問は、DNSにおけるリソースレコードの役割を問う問題です。稼働させるシステムの構成設計において重要な知識です。権威DNSサーバを指定してゾーンの委譲を行うためには、NS レコードを使用します。

高得点のポイント

  • DNSの仕組みと NS レコードの機能を正確に理解していること- 適切な名称を簡潔に回答できていること

(2)

図2中の b に入れる適切なリソースレコード名を答えよ。

模範解答

MX

採点基準(配点 4点)

正確性(内容)(4点)

  • 4: 構成設計の要件を踏まえ、MXレコードであることが正確に抜き出されている(解答できている)。
  • 2: 解答に一部不備はあるものの、メール配送先指定の意図は概ね捉えられている。
  • 0: 内容が不適切、または無回答。

解説

本設問は、メールサーバを指定するDNSリソースレコードの知識を問う問題です。メールの配送先ドメインを定義するためには、MX レコードを設定します。

高得点のポイント

  • MX レコードの役割を理解していること- 正確にレコード名を回答できていること

(3)

図2中の c に入れる適切なIPアドレスを答えよ。

模範解答

100.α.β.1

採点基準(配点 4点)

正確性(内容)(4点)

  • 4: 構成設計の目的に沿い、IPアドレスが正確に抜き出されている(解答できている)。
  • 2: 解答に一部誤りがあるが、セグメントの意図は概ね捉えられている。
  • 0: 内容が不適切、または無回答。

解説

本設問は、ネットワーク構成における適切なIPアドレスの設計を問う問題です。構成図から、c に該当するインターフェースには 100.α.β.1100.\alpha.\beta.1 が設定されることが読み取れます。

高得点のポイント

  • ネットワーク構成図からセグメントのIPアドレス体系を正確に読み取れること- 適切なIPアドレスを回答できていること

(4)

図2中の d に入れる適切なIPアドレスを答えよ。

模範解答

100.α.β.3

採点基準(配点 4点)

正確性(内容)(4点)

  • 4: 構成設計の目的に沿い、IPアドレスが正確に抜き出されている(解答できている)。
  • 2: 解答に一部誤りがあるが、セグメントの意図は概ね捉えられている。
  • 0: 内容が不適切、または無回答。

解説

本設問は、ネットワーク機器に割り当てるIPアドレスの設計に関する問題です。d に該当する箇所には、同一セグメントのルールに従い 100.α.β.3100.\alpha.\beta.3 が入ります。

高得点のポイント

  • IPアドレスの割り当て規則を正しく把握できていること

(5)

図2中の e に入れる適切なIPアドレスを答えよ。

模範解答

192.168.1.1

採点基準(配点 4点)

正確性(内容)(4点)

  • 4: 構成設計の目的に沿い、IPアドレスが正確に抜き出されている(解答できている)。
  • 2: 解答に一部誤りがあるが、内部セグメントの意図は概ね捉えられている。
  • 0: 内容が不適切、または無回答。

解説

本設問は、内部ネットワークにおけるIPアドレスの割り当てを問う問題です。e に該当する内部セグメントのインターフェースには、192.168.1.1 が設定されます。

高得点のポイント

  • 構成図からローカルネットワークのIPアドレスを適切に判断できること

(6)

図2中の f に入れる適切なIPアドレスを答えよ。

模範解答

192.168.1.3

採点基準(配点 4点)

正確性(内容)(4点)

  • 4: 構成設計の目的に沿い、IPアドレスが正確に抜き出されている(解答できている)。
  • 2: 解答に一部誤りがあるが、内部セグメントの意図は概ね捉えられている。
  • 0: 内容が不適切、または無回答。

解説

本設問は、サーバのIPアドレス設定に関する理解を問う問題です。f に該当するインターフェースのIPアドレスは、192.168.1.3 となります。

高得点のポイント

  • サーバの配置とセグメント情報から正確なIPアドレスを導出できること

設問2

(1)

URLを https://ecsv.y-sha.example.lan/ に設定してECサーバにアクセスすると,TLSのハンドシェイク中にエラーメッセージがWebブラウザに表示される。その理由を,サーバ証明書のコモン名に着目して,25字以内で答えよ。

模範解答

コモン名とURLのドメインとが異なるから

採点基準(配点 4点)

知識・理解度(内容)(2点)

  • 2: LB導入などの構成変更時に生じ得る課題として、コモン名とURLドメインの不一致を的確に指摘できている。
  • 1: 不一致の事象に触れているが、表現に不足や曖昧さがある。
  • 0: 内容が不適切、または無回答。

論理性(構造)(2点)

  • 2: 文字数制限内で理由として自然に完結している。
  • 0: 文脈が不明瞭で理由として成立していない。

解説

本設問は、TLS通信における証明書エラーの原因を問う問題です。Webブラウザは、アクセス先URLのドメイン名とサーバ証明書の コモン名(Common Name)が一致するかを検証します。これらが異なる場合、警告やエラーが表示されます。

高得点のポイント

  • サーバ証明書の検証プロセスを理解していること- URLのドメインとコモン名の不一致を簡潔に表現できていること

(2)

本文中の下線①でアクセスしたとき,運用PCが送信したパケットがECサーバに届くまでに経由する機器を,図1中の機器名で全て答えよ。

模範解答

L3SW,FWz,L2SW

採点基準(配点 4点)

知識・理解度(内容)(2点)

  • 2: システムの構成に基づき、経由する3つの機器を全て正確に挙げている。
  • 1: 一部の機器のみを挙げている、または不要な機器を含んでいる。
  • 0: 全て誤り、または無回答。

論理性(構造)(2点)

  • 2: 列挙の形式が適切である。
  • 0: 列挙の形式が不適切である。

解説

運用PCからECサーバへのパケット到達経路を問う問題です。図1の構成より、パケットは L3SWFWzL2SW の順に経由してECサーバに到達します。

高得点のポイント

  • ネットワーク構成図から正しい経路と経由機器を漏れなく抽出できること

設問3

(1)

本文中の g に入れる適切な字句を答えよ。

模範解答

アップ

採点基準(配点 4点)

正確性(内容)(4点)

  • 4: 処理能力増強の文脈に沿って、スケールアップの語が正確に抜き出されている(解答できている)。
  • 2: 一部誤字等があるが、意図は概ね伝わる。
  • 0: 内容が不適切、または無回答。

解説

本設問は、システム拡張の手法に関する問題です。サーバ単体の性能を向上させる手法は スケールアップ と呼ばれます。

高得点のポイント

  • サーバ増強の方式(スケールアップ)の概念と用語を正しく理解していること

(2)

本文中の h に入れる適切な字句を答えよ。

模範解答

アウト

採点基準(配点 4点)

正確性(内容)(4点)

  • 4: 処理能力増強の文脈に沿って、スケールアウトの語が正確に抜き出されている(解答できている)。
  • 2: 一部誤字等があるが、意図は概ね伝わる。
  • 0: 内容が不適切、または無回答。

解説

本設問は、システム拡張の手法に関する問題です。サーバの台数を増やして処理を分散させる手法は スケールアウト と呼ばれます。

高得点のポイント

  • サーバ増強の方式(スケールアウト)の概念と用語を正しく理解していること

(3)

本文中の下線②について,2台ではなく3台構成にする目的を,35字以内で答えよ。ここで,将来のアクセス増加については考慮しないものとする。

模範解答

1台故障時にも,ECサイトの応答速度の低下を発生させないため

採点基準(配点 4点)

知識・理解度(内容)(2点)

  • 2: 適切な処理能力をもつ構成を維持する目的に沿い、1台故障時でも応答速度を低下させない旨を正確に記述している。
  • 1: 故障時の対応に触れているが、応答速度維持への言及が不足している。
  • 0: 内容が不適切、または無回答。

論理性(構造)(2点)

  • 2: 目的を示す文として、自然かつ論理的な構成になっている。
  • 0: 意味が通らない、または不自然な構成である。

解説

ECサーバを2台ではなく3台構成にする目的を問う問題です。N+1構成のような冗長化を行うことで、1台が故障した際にも残りの機器でシステム全体の処理能力を維持し、応答速度の低下を防ぐ ことができます。

高得点のポイント

  • 可用性要件と性能維持の関係性を理解していること- 故障時にも必要なパフォーマンス(応答速度)を保てる点を明記していること

(4)

表2中の i に入れる適切なIPアドレスを答えよ。

模範解答

100.α.β.2

採点基準(配点 4点)

正確性(内容)(4点)

  • 4: 構成設計の目的に沿い、正確にIPアドレスが抜き出されている(解答できている)。
  • 2: 一部不備があるが、IPアドレスのセグメント等の意図は捉えられている。
  • 0: 内容が不適切、または無回答。

解説

本設問は、追加される機器(LB)に設定するIPアドレスを問う問題です。表2および構成から、i には 100.α.β.2100.\alpha.\beta.2 が設定されます。

高得点のポイント

  • 追加機器のネットワークセグメントとIP割り当て規則を正確に読み取れること

(5)

表2中の j に入れる適切なIPアドレスを答えよ。

模範解答

192.168.1.2

採点基準(配点 4点)

正確性(内容)(4点)

  • 4: 構成設計の目的に沿い、正確にIPアドレスが抜き出されている(解答できている)。
  • 2: 一部不備があるが、IPアドレスのセグメント等の意図は捉えられている。
  • 0: 内容が不適切、または無回答。

解説

jは、FWzの静的NATで通信先となるLBの仮想IPアドレスです。外部からFWzへ到着した通信の宛先は 192.168.1.2 に変換され、その後LBへ転送されるので、表2にはこのアドレスが入ります。

(6)

表2中の k に入れる適切なIPアドレスを答えよ。

模範解答

192.168.1.4

採点基準(配点 4点)

正確性(内容)(4点)

  • 4: 構成設計の目的に沿い、正確にIPアドレスが抜き出されている(解答できている)。
  • 2: 一部不備があるが、IPアドレスのセグメント等の意図は捉えられている。
  • 0: 内容が不適切、または無回答。

解説

本設問は、増設されるECサーバに割り当てるIPアドレスを問う問題です。表2のルールに従い、k には 192.168.1.4 が設定されます。

高得点のポイント

  • 既存のIPアドレスとの重複を避け、規則通りにIPアドレスを導出できること

設問3では,(3)jの正答率が低かった。図5の構成では,PCはLBに設定された仮想IPアドレス宛てにパケットを送信するが,ファイアウォールに設定されたNATは変更されないことから,表1を基に正答を導き出してほしい。

設問4

(1)

本文中の下線③について,どの機器を示すことになるかを,図3中の機器名で答えよ。また,下線③の特別なIPアドレスは何と呼ばれるかを,本文中の字句で答えよ。

模範解答

どの機器: LB、IPアドレスの呼称: 仮想IPアドレス

採点基準(配点 4点)

知識・理解度(内容)(2点)

  • 2: システムの処理能力増強において中核となる機器名(LB)と呼称(仮想IPアドレス)の両方を正しく挙げている。
  • 1: どちらか一方のみ正しく挙げている。
  • 0: 全て誤り、または無回答。

論理性(構造)(2点)

  • 2: 2つの要素を明確に区別して解答している。
  • 0: 区別されていない、または不明確である。

解説

負荷分散構成において、クライアントからのアクセスを受け付ける機器とIPアドレスの呼称を問う問題です。アクセス先は LB となり、LBが外部に公開するこの特別なIPアドレスは 仮想IPアドレス(VIP)と呼ばれます。

高得点のポイント

  • 負荷分散装置(LB)の基本的な役割を理解していること- 代表IPアドレスが仮想IPアドレスと呼ばれることを知っていること

(2)

本文中の下線④について,ホスト名のほかに変更する情報を答えよ。

模範解答

(自身の)IPアドレス

採点基準(配点 4点)

知識・理解度(内容)(2点)

  • 2: LB導入に伴うDNS変更要件として、(自身の)IPアドレスである旨を正しく指摘している。
  • 1: IPアドレスに触れているが、記述が曖昧である。
  • 0: 内容が不適切、または無回答。

論理性(構造)(2点)

  • 2: 変更する情報として明確に表現されている。
  • 0: 表現が不明瞭である。

解説

既存の構成からLBを導入した構成へ移行する際の設定変更に関する問題です。ホスト名に対するレコードは維持しつつ、宛先をLBの仮想IPアドレスに変更するため、IPアドレス の情報を更新する必要があります。

高得点のポイント

  • DNSレコード変更において、変更すべき対象(IPアドレス)を的確に把握していること

(3)

本文中の下線⑤について,どの機器からどの機器の IPアドレスに変更するのかを,図3中の機器名で答えよ。

模範解答

FWzからLBに変更

採点基準(配点 4点)

知識・理解度(内容)(2点)

  • 2: 通信経路の変更に伴い、FWzからLBに変更する旨を明記している。
  • 1: 機器名の一部が欠けている、または順序が逆である。
  • 0: 全て誤り、または無回答。

論理性(構造)(2点)

  • 2: 変更元と変更先が明確に読み取れる記述である。
  • 0: 構造的に不明確である。

解説

ルーティング設定の変更に関する問題です。LBを導入することで、ECサーバに対するデフォルトゲートウェイや戻りパケットの経路が変わり、宛先MACアドレスを解決する対象が FWzからLBに変更 されます。

高得点のポイント

  • LB導入に伴うネットワーク経路の変化を正しく理解していること

(4)

本文中の下線⑥について,X-Forwarded-Forフィールドを追加する目的を,35字以内で答えよ。

模範解答

ECサーバに,アクセス元PCのIPアドレスを通知するため

採点基準(配点 4点)

知識・理解度(内容)(2点)

  • 2: LB導入の課題に対する解決策として、アクセス元PCのIPアドレスをECサーバに通知する目的を的確に記述している。
  • 1: IPアドレスの通知に触れているが、送信元や宛先が曖昧である。
  • 0: 内容が不適切、または無回答。

論理性(構造)(2点)

  • 2: 目的を表す明確な文として成立している。
  • 0: 文が成立していない、または不明確である。

解説

HTTPヘッダに X-Forwarded-For を追加する目的を問う問題です。リバースプロキシやLBを経由すると、サーバ側から見た送信元IPアドレスがLBのIPになってしまいます。本来のアクセス元PCのIPアドレスをECサーバに伝えるためにこのフィールドを使用します。

高得点のポイント

  • X-Forwarded-For ヘッダの役割と必要性を正確に理解していること- アクセス元PCのIPアドレスを通知するという目的を明確に記述できていること

(5)

本文中の下線⑦について,対応するための作業内容を,50字以内で答えよ。

模範解答

既設ECサーバにインストールされているサーバ証明書と秘密鍵のペアを,LBに移す。

採点基準(配点 4点)

知識・理解度(内容)(2点)

  • 2: 負荷分散構成への移行手順として、既設ECサーバのサーバ証明書と秘密鍵のペアをLBに移すことを正確に記述している。
  • 1: サーバ証明書または秘密鍵のいずれかのみに言及している。
  • 0: 内容が不適切、または無回答。

論理性(構造)(2点)

  • 2: 作業内容として具体的な手順が明確に伝わる記述である。
  • 0: 手順として読み取れない。

解説

LBでTLSを終端(SSLオフロード)するための作業内容を問う問題です。これまでECサーバで行っていたTLS通信の暗号化・復号をLBで行うためには、ECサーバにインストールされている サーバ証明書と秘密鍵のペア をLBに移す(インポートする)必要があります。

高得点のポイント

  • SSLオフロード構成における証明書・秘密鍵の配置を理解していること- 移管対象が証明書と秘密鍵の「ペア」であることを明記していること

設問4では,(5)の正答率が低かった。サーバ証明書は,サーバの公開鍵の正当性をCAが保証するものであり,秘密鍵とサーバ証明書とが一緒に管理されることで,TLSでは,サーバの認証及びデータの暗号化に用いられる共通鍵の安全な配送が可能になることを理解してほしい。

設問5

〔LBの制御方式の検討〕について答えよ。

(1)

本文中の下線⑧について,セッション維持ができなくなる理由を,50字以内で答えよ。

模範解答

TCPコネクションが再設定されるたびに,ポート番号が変わる可能性があるから

採点基準(配点 3点)

知識・理解度(内容)(2点)

  • 2: LBの制御方式検討において、TCPコネクション再設定時のポート番号変更の可能性を適切に指摘している。
  • 1: ポート番号の変化に触れているが、条件(TCP再設定など)の記述が不足している。
  • 0: 内容が不適切、または無回答。

論理性(構造)(1点)

  • 1: 理由として論理的に妥当な構成になっている。
  • 0: 論理的に飛躍がある、または意味が通らない。

解説

レイヤー4(トランスポート層)情報によるセッション維持の課題を問う問題です。送信元IPアドレスと送信元ポート番号を基に振り分けを行う場合、TCPコネクションが再設定されるたびに ポート番号が変わる可能性 があるため、同一クライアントでも異なるサーバへ振り分けられてしまうことがあります。

高得点のポイント

  • NATや動的ポート割り当ての挙動を理解していること- TCP再接続時のポート番号変更に言及していること

(2)

本文中の下線⑨について,LBがセッション管理テーブルに新たなレコードを登録するのは,どのような場合か。60字以内で答えよ。

模範解答

サーバからの応答に含まれるCookie中のセッションIDが,セッション管理テーブルに存在しない場合

採点基準(配点 3点)

知識・理解度(内容)(2点)

  • 2: セッション管理方式の理解に基づき、サーバ応答内のCookie中のセッションIDが管理テーブルにない場合と明記している。
  • 1: セッションIDの不存在に触れているが、条件(サーバ応答の確認など)が不完全である。
  • 0: 内容が不適切、または無回答。

論理性(構造)(1点)

  • 1: 登録条件として明確で分かりやすい文構成である。
  • 0: 条件の記述が不明瞭である。

解説

LBがセッション管理テーブルを更新する条件を問う問題です。LBはサーバからの応答(Set-Cookie等)を監視し、その中に含まれるセッションIDが 現在のセッション管理テーブルに存在しない 場合に、新たなセッションとしてレコードを登録します。

高得点のポイント

  • HTTP Cookieを用いたセッション管理の仕組みを理解していること- サーバ応答時の新規セッションID検出条件を正しく記述していること

(3)

本文中の下線⑩について,レイヤー3及びレイヤー4方式では適切な監視が行われない。その理由を 25字以内で答えよ。

模範解答

サービスが稼働しているかどうか検査しないから

採点基準(配点 3点)

知識・理解度(内容)(2点)

  • 2: 監視方式の差異を理解し、サービスが稼働しているか検査しない点を的確に指摘している。
  • 1: 検査不足に触れているが、対象(サービス稼働など)が曖昧である。
  • 0: 内容が不適切、または無回答。

論理性(構造)(1点)

  • 1: 理由として完結した文になっている。
  • 0: 文意が不明瞭である。

解説

ヘルスチェック方式の違いによる課題を問う問題です。レイヤー3(Ping等)やレイヤー4(TCPポート監視等)の監視では、上位レイヤーであるWebサービス(アプリケーションプロセス)が正常に 稼働しているかどうかまで検査しない ため、異常を検知できない場合があります。

高得点のポイント

  • レイヤーごとのヘルスチェックの限界を理解していること- サービス自体の稼働状態を確認できない点を簡潔に表現できていること

設問5では,(2)の正答率が低かった。本文中の記述から,サーバがセッションIDを生成する条件,cookieにセッションIDを書き込む条件,及び導入予定のLBがセッション管理テーブルを作成する条件が分かるので,これら三つの条件を基に,セッション管理テーブルに新たなレコードが登録される場合を導き出してほしい。

設問6

(1)

本文中の下線⑪について,ログイン要求を受信した ECサーバがリダイレクト応答を行うために必要とする情報を,購買担当者の認証・認可の情報を提供する IdPが会員企業によって異なることに着目して,30字以内で答えよ。

模範解答

アクセス元の購買担当者が所属している会員企業の情報

採点基準(配点 3点)

知識・理解度(内容)(2点)

  • 2: 認証連携方式の検討要件に沿い、アクセス元の購買担当者が所属する会員企業の情報を挙げている。
  • 1: 会員企業の情報に触れているが、対象者が明確でない等、記述が不完全である。
  • 0: 内容が不適切、または無回答。

論理性(構造)(1点)

  • 1: 必要な情報として適切に記述されている。
  • 0: 記述が不明瞭である。

解説

SAML連携において、IdPを特定するために必要な情報を問う問題です。会員企業ごとにIdPが異なる構成では、アクセスしてきた購買担当者が 所属している会員企業の情報 を基に、適切なIdPへリダイレクトする必要があります。

高得点のポイント

  • マルチテナント・複数IdP環境における認証フロー(IdPディスカバリ)を理解していること- 企業情報の必要性を文字数内で適切にまとめていること

(2)

本文中の下線⑫について,図7の手順の処理を行うために,ECサーバに登録すべき情報を,15字以内で答えよ。

模範解答

IdPの公開鍵証明書

採点基準(配点 3点)

知識・理解度(内容)(2点)

  • 2: SAML連携において検証に不可欠なIdPの公開鍵証明書を正確に挙げている。
  • 1: 公開鍵または証明書のみ挙げている等、一部要素が欠けている。
  • 0: 内容が不適切、または無回答。

論理性(構造)(1点)

  • 1: 簡潔かつ明確な名詞句となっている。
  • 0: 不明確な表現である。

解説

SAMLアサーションの検証に必要な情報を問う問題です。SP(ECサーバ)がIdPからの署名を検証し、正当性を確認するためには、あらかじめ IdPの公開鍵証明書 を登録しておく必要があります。

高得点のポイント

  • デジタル署名の検証に必要な要素(公開鍵証明書)を正しく理解していること

(3)

本文中の下線⑬について,取り出した STを PCは改ざんすることができない。その理由を 20字以内で答えよ。

模範解答

IdPの鍵を所有していないから

採点基準(配点 3点)

知識・理解度(内容)(2点)

  • 2: PCがIdPの鍵を所有していないため、STを改ざんできないことを的確に指摘している。
  • 1: 鍵の非所有に触れているが、誰の鍵か曖昧である。
  • 0: 内容が不適切、または無回答。

論理性(構造)(1点)

  • 1: 理由として論理的に成立している。
  • 0: 成立していない、または飛躍がある。

解説

STはIdPがサービス提供側と共有する鍵で保護されます。PCはその IdPの鍵を所有していない ため、内容を変更しても正しい認証情報を作り直せず、改ざんできません。

(4)

本文中の下線⑭について,受信した SAMLアサーションに対して検証できる内容を二つ挙げ,それぞれ 25字以内で答えよ。(1つ目)

模範解答

信頼関係のあるIdPが生成したものであること

採点基準(配点 3点)

知識・理解度(内容)(2点)

  • 2: SAML連携の安全性確保の観点から、信頼関係のあるIdPが生成したものであることを適切に挙げている。
  • 1: IdPの生成に触れているが、信頼関係の言及がない。
  • 0: 内容が不適切、または無回答。

論理性(構造)(1点)

  • 1: 検証内容として適切に表現されている。
  • 0: 表現が不適切である。

解説

受信したSAMLアサーションに対して行うべき検証内容の一つ目を問う問題です。アサーションの発行元が、事前に 信頼関係のあるIdPが生成したもの であるか(発行者の正当性)を確認します。

高得点のポイント

  • SAMLアサーションの信頼性検証(Issuerの確認)を理解していること

(5)

本文中の下線⑭について,受信した SAMLアサーションに対して検証できる内容を二つ挙げ,それぞれ 25字以内で答えよ。(2つ目)

模範解答

SAMLアサーションが改ざんされていないこと

採点基準(配点 3点)

知識・理解度(内容)(2点)

  • 2: SAML連携の安全性確保の観点から、SAMLアサーションが改ざんされていないことを適切に挙げている。
  • 1: 改ざんに触れているが、対象が明確でない。
  • 0: 内容が不適切、または無回答。

論理性(構造)(1点)

  • 1: 検証内容として適切に表現されている。
  • 0: 表現が不適切である。

解説

受信したSAMLアサーションに対して行うべき検証内容の二つ目を問う問題です。付与されたデジタル署名を検証することで、通信経路などで SAMLアサーションが改ざんされていないこと(完全性)を確認します。

高得点のポイント

  • 署名検証による完全性確認の目的を正しく記述していること