令和3年度 春期 システムアーキテクト試験 午後Ⅱ 問題 問3 IoT普及に伴う組込みシステムの機能分担と安全性の確保(論述)

学習ガイド

IoT化が進む組込みシステムのネットワーク接続と、それに伴う機能分担をテーマにした午後II問題です。連携による高度な機能の実現と、安全性の両立が問われます。初めに開発対象と接続先機器の概要、ネットワーク化の目的を定めます。次に、システムの特徴から導き出した機能の割り当て方と、想定される障害への回避策を詳述します。結びに、目的の達成度や検討した安全対策の効果を評価し、残された課題を整理して論述の締めくくりとします。

この記事で押さえる論点

  • 組込みシステムをネットワーク化して外部機器と連携させる目的と全体構成を説明できる
  • システム全体の特徴を捉え、サーバと端末機器の最適な機能分担を決定した理由を述べられる
  • ネットワーク接続に伴う障害やセキュリティリスクを想定し、その回避策を説明できる
  • ネットワーク化の目的達成状況と安全対策の有用性を評価し、今後の課題を述べられる

問題本文

IoTの普及に伴う組込みシステムのネットワーク化について

IoTの普及に伴い,従来スタンドアロンで利用していた組込みシステムをネットワークに接続し,ほかの組込みシステム,サーバなどと協調して動作させることによって,高度な機能を実現することが増えている。このネットワーク化された組込みシステムを端末機器とし,更に大きなシステムを構築することもある。例えば,コネクテッド・カーにおいて,車載の端末機器で車両情報をリアルタイムに検出,送信し,サーバ側で受信データをAI処理して故障の予兆診断を行うシステムがある。また,交差点などで死角となる位置にいる車両を信号機に設置した端末機器で検出し,車内の端末機器でその情報を受信して運転者に注意喚起するシステムもある。

ネットワーク化においては,負荷が高い処理をサーバ側で実行する,収集したデータを端末機器に一旦格納して間欠的にサーバに送り通信負荷を軽減する,また,ほかの端末機器を遠隔操作して機能を実現するなど,機能をサーバ・各端末機器にどのように割り当てるかが重要になる。さらに,ネットワークセキュリティを考慮するとともに,接続先の端末機器又はネットワークに不具合が発生した場合に被害が拡大しない安全性の工夫が必要になる。

組込みシステムのシステムアーキテクトは,組込みシステムのネットワーク化について,開発する組込みシステム及びほかの組込みシステム,サーバ,ネットワーク,これらを含むシステム全体の特徴だけでなく,セキュリティと安全性を考慮した上で,最適な機能分担になるようシステムを構築する必要がある。

あなたの経験と考えに基づいて,設問ア〜ウに従って論述せよ。

設問と解答・解説

設問ア

配点 34点

あなたが開発に携わった組込みシステムの概要と,接続先の端末機器及びネットワークの概要を,ネットワーク化の目的を含め,800字以内で述べよ。

模範解答

模範解答は公表されていません。下の採点基準と解説から、解答に求められる要素を読み取ってください。

採点基準

知識・理解度(内容)20点
  • 20点: すべての要素(開発した組込みシステム、接続先の端末機器、ネットワークの概要、ネットワーク化の目的)が、システム全体を考慮した上で具体的に過不足なく記述されている。
  • 10点: 各要素について記述されているが、抽象的・一般的な説明に終始しているか、あるいは実装の細部に偏っており、システム全体の概要把握としては不十分な部分がある。
  • 0点: 要素の欠落が多い、または題意に沿った記述がなされていない。
論理性(構造)14点
  • 14点: 対象システムの概要とネットワーク化の目的が論理的に関連付けられ、一貫性のある説明として構成されている。
  • 7点: 論理構成にやや飛躍や乱れがあるが、全体として何を開発し、どのような目的を持っているかはおおむね理解できる。
  • 0点: 記述が断片的で論理的なつながりがなく、システム全体の姿や目的が読み取れない。

解説

本問は、対象とする組込みシステムをネットワークに接続し、他のシステムと協調動作させるにあたり、システムの概要や目的を適切に把握し関係者に説明する能力を問うものです。

高得点のポイント

  • 開発した組込みシステムの概要 を明確にする。
  • 接続先の 端末機器 および ネットワークの概要 を具体的に記述する。
  • 単なるスタンドアロンのシステムではなく、ネットワーク化の目的 (どのような高度な機能を実現しようとしているのか等)を明記する。
  • 抽象的・一般的な説明や実装の細部(ソースコードレベルなど)に偏らず、システムアーキテクトの視点から システム全体を適切に把握 した記述をする。

設問イ

配点 33点

設問アで述べた組込みシステムにおいて,システム全体の特徴に基づく機能の分担をどのように検討したか。その決定理由,想定した障害及びその回避策を含め,800字以上1,600字以内で具体的に述べよ。

模範解答

模範解答は公表されていません。下の採点基準と解説から、解答に求められる要素を読み取ってください。

採点基準

知識・理解度(内容)18点
  • 18点: 機能分担の検討内容、決定理由、想定障害、回避策の全てが、システムの特徴を踏まえて具体的に記述されている。
  • 9点: いずれかの要素が不足している、または記述が抽象的・一般的な内容にとどまっており具体性に欠ける。
  • 0点: 要求された要素がほとんど記述されていない、または題意に沿っていない。
説得力(考察)15点
  • 15点: システムの特徴に基づく課題や制約が的確に捉えられ、それに対する解決策としての機能分担や障害回避策に高い説得力がある。
  • 8点: 課題や制約に対する解決策が提示されているが、システムの特徴との結びつきが弱く、説得力にやや欠ける。
  • 0点: 機能分担や障害回避策の決定理由が不明確で、説得力がない。

解説

本問は、システム全体を考慮した上でのシステムアーキテクチャの設計について、具体的な検討プロセスと決定理由、非機能要件(障害対応等)への配慮を問うものです。

高得点のポイント

  • 設問アで提示したシステムを前提とし、システム全体の特徴に基づく機能の分担の検討過程 を述べる。
  • サーバと各端末機器への負荷や役割(処理負荷の分散、通信負荷の軽減など)を考慮した 機能分担の決定理由 を論理的に説明する。
  • 想定した障害 (接続先の端末機器やネットワークの不具合など)を具体的に挙げる。
  • 障害に対して、被害が拡大しないための安全性の工夫やネットワークセキュリティを考慮した 回避策 を具体的に論述する。
  • 一般論に終始せず、システム全体の特徴から導かれる課題・制約に対する解決策を、自身の経験に基づいて具体的に記述する。

設問ウ

配点 33点

設問イで述べた組込みシステムにおいて,ネットワーク化の目的の達成状況及び考慮した事項の有用性の評価と,未達成の事項を含めた今後の課題を,600字以上1,200字以内で具体的に述べよ。

模範解答

模範解答は公表されていません。下の採点基準と解説から、解答に求められる要素を読み取ってください。

採点基準

説得力(考察)18点
  • 18点: 目的の達成状況および考慮事項の有用性について、実際の成果や事象に基づき客観的かつ説得力のある評価が行われている。
  • 9点: 評価は行われているものの、主観的な感想にとどまるか、評価の根拠となる事実の記述が不十分である。
  • 0点: 達成状況や有用性の評価が記述されていない、または設問の文脈から外れている。
論理性(構造)15点
  • 15点: 評価結果(成功した点、未達成の点)と今後の課題が論理的に結びついており、妥当な改善の方向性が示されている。
  • 8点: 今後の課題は提示されているが、評価内容との関連性が薄い、または課題設定が表層的である。
  • 0点: 今後の課題が記述されていない、または評価結果と全く関係のない課題が挙げられている。

解説

本問は、構築したシステムに対する事後評価と、そこから抽出される今後の課題を論理的に整理する能力を問うものです。

高得点のポイント

  • 設問アで設定した ネットワーク化の目的 に対する 達成状況 を客観的に評価する。
  • 設問イで記述した機能分担や障害回避策などの 考慮した事項の有用性 について、実際の運用等を通じてどうであったかを具体的に評価する。
  • 完璧であったという評価だけでなく、未達成の事項 についても言及する。
  • 評価結果と未達成事項から論理的に導き出される 今後の課題 を明確に述べる。

Spineチーム