IPA ルーティング — 頻出論点と過去問

頻出論点

1. この分野は何か

ルータがIPパケットを宛先ネットワークまで届けるための経路制御(ルーティング)と、デフォルトゲートウェイの冗長化を扱います。ルーティングテーブルの最長一致ルールや区間コストからの最短経路計算、RIP・OSPF・BGP-4といったルーティングプロトコルの違いを見分けられるようになります。

2. 実際の出題のされ方

経路選択の基本ルールとゲートウェイ冗長化の役割は、応用情報技術者の午前で問われています。具体的には、デフォルトルート(0.0.0.0/0)を含む複数の経路候補が記載されたルーティングテーブルに対して、特定の宛先IPアドレスのパケットを受信した際にサブネットマスクが最も長い経路を選ぶ問題(最長一致の原則)や、ルータを冗長化するプロトコルとしてVRRPを選ぶ問題が出題されています。

情報処理安全確保支援士の午前IIでは、障害対策としてのVRRPの動作やプロトコル間の特徴比較が問われます。クライアントの設定を変更せずにデフォルトゲートウェイの障害を回避するVRRPの役割や、RIP-2とOSPFを比較してOSPFのみに当てはまる特徴(リンク状態のデータベースを使用すること、ネットワークスペシャリストの午前IIでも同一問題が出題)を識別する問題が出ています。

ネットワークスペシャリストの午前IIでは、各ルーティングプロトコルの仕様の細部や経路計算まで踏み込んで問われます。自律システム(AS)間の経路制御を行うBGP-4の特徴(経路変化時の差分送信)とASの定義(2オクテットまたは4オクテットのAS番号による識別)、エリアの概念を取り入れたリンクステート方式であるOSPFの仕組み、経路情報の交換にUDPを用いるRIP、経路情報にサブネットマスクを含まないRIP-1が出題されています。また、OSPFとRIPのIPv6対応バージョン(OSPFv3)や、ノード間の区間コストを示したグラフからルートノード基準の最小コスト木を構築して隣接ノードを求める計算問題も出ています。

3. 学習のポイント

  1. ルーティングテーブルの最長一致とデフォルトゲートウェイの冗長化

    • 最長一致の原則(Longest Prefix Match): 受信したパケットの宛先IPアドレスがルーティングテーブル内の複数の宛先ネットワークに該当する場合、サブネットマスク(プレフィックス長)が最も長いエントリのネクストホップを選択します。たとえば宛先が 10.20.30.40 のとき、0.0.0.0/0、10.0.0.0/8、10.20.0.0/16、10.20.30.0/24 のすべてに一致しますが、最もプレフィックス長が長い /24 の経路が選ばれます。デフォルトルート 0.0.0.0/0 は、ほかに一致する経路がないときだけ使われます。
    • VRRP(Virtual Router Redundancy Protocol): 複数のルータを論理的に1台の仮想ルータとして束ね、デフォルトゲートウェイを冗長化するプロトコルです。マスタールータに障害が発生してもバックアップルータが仮想IPアドレスを引き継ぐため、クライアント側のデフォルトゲートウェイ設定を変更することなく通信を継続できます。
  2. ルーティングプロトコルの分類と比較(RIP・OSPF・BGP-4)
    単一の管理ポリシーで運用されるネットワーク群を AS(Autonomous System:自律システム) と呼びます。AS内部で使われるプロトコルが IGP、AS間で使われるプロトコルが EGP です。

    プロトコル 区分 アルゴリズム 主な特徴・仕様
    RIP-1 IGP ディスタンスベクタ型 経由ルータ台数(ホップ数)で経路を決定します。UDP(ポート520)を使用し30秒ごとに定期更新します。経路情報にサブネットマスクを含みません(クラスフル)。
    RIP-2 IGP ディスタンスベクタ型 RIP-1を拡張し、経路情報にサブネットマスクを含みます(可変長サブネットマスク対応)。マルチキャスト(224.0.0.9)で30秒ごとに更新します。
    OSPF IGP リンクステート型 ネットワークをエリアに分割して階層化します。リンク状態のデータベース(LSDB)を構築し、回線帯域幅などに基づくコストから最短経路を計算します。マルチキャストで差分更新し、IP直上で動作します。IPv6対応は OSPFv3(バージョン3) です。
    BGP-4 EGP パスベクタ型 AS間を接続するプロトコルです。ASは2オクテットまたは4オクテットのAS番号で識別されます。TCP(ポート179)を使用し、経路が変化したときだけその差分を送信します。
  3. コストに基づく最短経路木の構築

    • ノードとリンクの区間コストが与えられたグラフで、あるノード(例:ノードA)をルートとするツリーを構築する問題では、ルートノードからの累計コストが最小になる経路を各ノードについて求めます。直接つながるリンクがあっても、別の中継ノードを迂回した方が累計コストが小さければ迂回経路側が採用され、直接のリンクはツリー上で隣接しなくなる点に注目して計算します。

4. 間違えやすいところ

  • RIP-2とOSPFの共通点・相違点の混同:
    可変長サブネットマスク(VLSM)に対応していることや、ルーティング情報の更新にマルチキャストを使用していることは、OSPFだけでなく RIP-2にも当てはまります(サブネットマスクを通知できずブロードキャストを使うのはRIP-1です)。OSPF固有の特徴としては、リンク状態のデータベース(LSDB)の使用やエリア分割を選びましょう。
  • BGPにおけるASとOSPF側の概念の混同:
    BGPのAS(自律システム)の説明として、Router-LSAが伝播する範囲(OSPFのエリア)、Helloプロトコルで隣接関係を確立するネットワーク、リンクステート型の共通プロトコルで経路情報を交換するルータの集合といった、OSPF側の概念を並べた誤答肢が並んでいます。BGP-4の説明を選ぶ問題でも、エリアとバックボーンで構成するというOSPFの説明が誤答肢に入っていました。ASは同一の管理ポリシーで管理され、AS番号(2または4オクテット)で識別されるネットワーク群です。
  • IPv6対応バージョンの引っかけ:
    OSPFはバージョン2(OSPFv2)がIPv4用、バージョン3(OSPFv3)がIPv6用です。一方、RIPのバージョン2(RIPv2)はIPv4のクラスレス対応版であり、IPv6対応版は RIPng と呼ばれます。RIPがバージョン2でIPv6に対応しているとする選択肢は誤りです。
  • VRRPとRSTP・RARPの名称混同:
    アルファベット4文字の略語として、レイヤー2のスパニングツリー高速化である RSTP や、物理アドレスからIPアドレスを求める RARP、ストリーミング制御の RTSP が選択肢に並んでいました。ルータ(デフォルトゲートウェイ)の冗長化は VRRP です。

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