令和7年度 秋期 エンベデッドシステムスペシャリスト試験 午後I 問題 問1 電動車椅子の安全設計とセンサー活用

テクノロジ組込み・IoTAI・データ活用ネットワーク

この問題は2025(R7)秋 エンベデッドシステムスペシャリスト 午後Iに出題されたものです。出題時点の法令・制度に基づく内容のため、現行の内容と一致しない場合があります。

本ページの問題文・選択肢は、原本の体裁を Web 表示用に正規化しています(改行・記号・数式・図表参照の調整)。設問の趣旨および正解に影響する変更は加えていません。

学習ガイド

高齢者の移動手段となる次世代電動車椅子(シニアカー)を題材にした組込みシステムの問題です。信号認識にステレオカメラを使う理由、横断歩道で緊急ブレーキを無効にする理由、機能の優先順位など、仕様の「なぜ」を安全性から説明させる設問が続きます。データ量や追従制御の計算も含まれ、この記事では各仕様判断を「誰のどんな危険を避けるためか」に還元する読み方で整理し、計算の前提条件の見落としも防ぎます。

この記事で押さえる論点

  • LiDARとステレオカメラの特性差からセンサー選択の理由を説明する
  • 緊急ブレーキや減速機能の優先順位を安全の観点で根拠付ける
  • 画像データ量・制動距離・動画ファイルサイズの計算を確実に行う

問題本文

問1 次世代一人乗り電動車椅子に関する次の記述を読んで,設問に答えよ。

A社は,高齢者を乗せて歩道を走行する一人乗り電動車椅子を開発及び製造する企業である。今回開発する高齢者用次世代一人乗り電動車椅子(以下,シニアカーという)は,普段走行する道路の走行データとクラウド上の3D地図作成システムとを連携し,様々な安全運転支援機能を実現する。シニアカーの外観を図1に,シニアカーの主な要素の説明を表1に示す。

図1 シニアカーの外観
図の説明テキスト

シニアカーの外観を示す図。「正面」「側面」「ハンドル周辺の拡大」の3つの視点から描かれている。各部には引き出し線で名称が示されている。

  • 正面図:手すり、ハンドル、GPS受信機・ディスプレイ、LiDAR、ステレオカメラ、椅子、IMU(注1)
  • 側面図:ハンドル、手すり、椅子、LiDAR、バッテリー、駆動部
  • ハンドル周辺の拡大図:GPS受信機・ディスプレイ、ブレーキレバー、アクセルレバー、スイッチパネル
    注1) 慣性計測ユニットを示す。
表1 シニアカーの主な要素の説明
図の説明テキスト

表1 シニアカーの主な要素の説明

要素 説明
ディスプレイ ・速度,地図,ステレオカメラで撮影した画像などの情報を表示する。地図を使用し,自宅の登録や,目的地の登録ができる。
・タッチパネル機能がある。
・スピーカーを搭載し,異常発生時などは音声によって,利用者に知らせる。
灯火器 ・制動灯,ウインカー,前照灯で構成される。
椅子部 ・利用者が座る椅子と利用者の落下を防止する手すりで構成される。
GPS受信機,IMU ・シニアカーの位置や進行方向を特定するために使用する。
LiDAR,ステレオカメラ ・シニアカーの周囲の物体や道路環境を把握するために使用する。
・ステレオカメラは,前方を向いており,その画角は水平方向に180度である。
・5個のLiDARによってシニアカーの周囲360度にある物体などを検出する。
表1 シニアカーの主な要素の説明(続き)
図の説明テキスト

表1 シニアカーの主な要素の説明(続き)

要素 説明
操作部 ・操作部は,ハンドル,ブレーキレバー,アクセルレバー,スイッチパネルで構成される。スイッチパネルには最大速度切替えスイッチ,警笛スイッチ,バックボタン,解錠・施錠ボタン,パーキングボタン,安全運転支援機能無効化ボタンなどが配置される。
・ハンドルを利用者が握り,曲がる方向へハンドルを回す。
・ブレーキレバーは,両手側にあり,片側だけの操作でもシニアカーを減速できる。
・アクセルレバーは,両手側にあり,片側だけの操作でも速度を調整できる。
・最大速度切替えスイッチによって1km/時単位で最大速度を切り替えられる。走行中の速度の上限は,6km/時である。
・バックボタンを押下すると,駆動用モーターの回転が逆方向になりバック走行できる。バック走行中の速度の上限は,2km/時となる。
・キーをもった利用者が近づくと解錠・施錠ボタンが利用できる。
・パーキングボタンを押下すると,パーキングブレーキのONとOFFが切り替わる。
・安全運転支援機能無効化ボタンを押下すると,安全運転支援機能が無効になる。安全運転支援機能無効化ボタンを再び押下するか,又は施錠後再び解錠されると,安全運転支援機能は有効となる。
駆動部 ・駆動用モーターを使用して,走行するための機構である。
・利用者の操作,又は安全運転支援機能からの指示を受け車輪を回転,又は停止させる。
バッテリー ・シニアカーの電力を供給する。
・バッテリーが満充電されているときの最大走行距離は15kmである。

〔シニアカーの操作〕

シニアカーの操作を次に説明する。

① 乗車

  • キーをもった利用者が手すりを上方向に跳ね上げて乗車し,解錠・施錠ボタンを操作し,解錠するとシニアカーが利用できるようになる。
  • パーキングブレーキをOFFにしてから走行を始める。

② 走行

  • アクセルレバーを押すと加速し,離すと減速する。ブレーキレバーを握るとブレーキが掛かる。
  • ハンドルを手動で回して進みたい方向に向けると進行方向が変わる。内蔵のハンドル用モーターでシニアカーが自動でハンドルを回すことがある。
  • バックボタンを押下し,アクセルレバーを押すとバックする。

③ 駐車

  • 停車後パーキングボタンを押下するとパーキングブレーキがONとなる。

〔シニアカーの安全運転支援機能の概要〕

シニアカーの安全運転支援機能の概要を表2に示す。

表2 シニアカーの安全運転支援機能の概要
図の説明テキスト

表2 シニアカーの安全運転支援機能の概要

機能 説明
緊急ブレーキ機能 シニアカーが障害物と衝突する危険を検知すると,自動的にブレーキを掛け,シニアカーを停止させる機能である。
坂道・カーブ減速機能 坂道やカーブを走行する際に安全性向上のために減速し,シニアカーの転倒を防ぐ機能である。
障害物回避機能 道路周辺の側溝又は段差,若しくはシニアカーの通行の妨げになる障害物を検知・回避し,シニアカーの転倒又はシニアカーと障害物との接触を防ぐ機能である。
信号補助機能 信号機に接近・通過する際に利用者を支援する機能である。
歩行者追従機能 先導する歩行者(以下,先導者という)に対し,距離を一定に保ったまま追従して走行する機能である。

これらの機能を実現するために,自車周辺の物体及び物体の動き,信号機までの距離及び信号灯色などを認識する。また,自車位置を推定し,自車周辺の3D地図を利用し,100ミリ秒後に到達すべき位置に到達可能な目標速度や,そのために必要なハンドルの舵角(以下,目標舵角という)を算出し,制御に利用する。

〔シニアカーのシステム構成要素〕

シニアカーの主なシステム構成を図2に,シニアカーの主なシステム構成要素の概要を表3に示す。

図2 シニアカーの主なシステム構成
図の説明テキスト

図2 シニアカーの主なシステム構成
シニアカーのシステム構成を示すブロック図。以下の接続関係が示されている。

  • 「通信部」は「制御部」と接続されている。
  • 「ステレオカメラ」と「LiDAR」は「物体認識部」へ矢印で接続されている。
  • 「GPS受信機」「IMU」「車速センサー」は「センサーユニット」へ矢印で接続されている。
  • 「物体認識部」は「位置推定部」「マッピングユニット」「制御部」へそれぞれ矢印で接続されている。
  • 「センサーユニット」は「位置推定部」へ矢印で接続されている。
  • 「位置推定部」は「マッピングユニット」「3D地図作成部」「制御部」へそれぞれ矢印で接続されている。
  • 「マッピングユニット」は「3D地図作成部」へ矢印で接続されている。
  • 「3D地図作成部」は「制御部」へ矢印で接続されている。
  • 「バッテリー監視部」は「制御部」へ矢印で接続されている。
  • 「制御部」は右側の「操作ユニット」「ディスプレイ部」「速度制御ユニット」「操舵ユニット」とそれぞれ双方向の線で接続されている。
表3 シニアカーの主なシステム構成要素の概要
図の説明テキスト

表3 シニアカーの主なシステム構成要素の概要

構成要素名 概要
物体認識部 ・ステレオカメラは一つのユニットにカラーカメラが2台含まれる。それぞれのカメラの画素数は1,200×700画素で,1画素当たり24ビットの色情報をもつ。100ミリ秒周期で撮影した画像を使用し,主に色情報を含んだ物体の認識に用いる。
・LiDARは色情報をもたず,主に形状や距離に関する認識に用いる。
・ステレオカメラ,LiDARからの情報を基に自車と周囲の物体などとの相対位置及び相対速度を検出し物体認識情報を作成する。物体認識情報は,3D地図作成部,及びマッピングユニットに100ミリ秒周期で送信する。
・物体認識情報には,次の認識結果も含まれる。
 - 自車周辺の物体(歩行者,自転車,ベビーカー,ペットなど)の動きの予測
 - 信号機までの距離及び信号灯色
 - 側溝,段差,ガードレール,電柱などの位置
位置推定部 ・GPS位置情報を基に,自車の位置を推定位置情報として算出する。
・推定位置情報を3D地図作成部,及びマッピングユニットに100ミリ秒周期で送信する。
センサーユニット シニアカーの進行方向,速度,車体の傾斜(以下,これら三つを合わせてセンサー情報という)を計測し,3D地図作成部,マッピングユニット,及び制御部に50ミリ秒周期で送信する。
3D地図作成部 ・物体認識情報,推定位置情報,センサー情報,バッテリー残量を通信部経由でクラウド上の3D地図作成システムへ送信する。
・シニアカー停車時,クラウドから3D地図データをダウンロードする。
・3D地図上には,車道及び道路の端の位置,歩道の位置,信号の位置などが記録される。
・3D地図データをマッピングユニットに100ミリ秒周期で送信する。
・バッテリー監視部からバッテリー残量を受信する。
・バッテリー残量の範囲で往復可能な道路,走行可能な場所情報(以下,走行可能場所情報という)を制御部及びマッピングユニットに100ミリ秒周期で送信する。
マッピングユニット 次に示すように自車の現在位置,速度,進行方向に関する情報を求めて,制御部に送信する。
・3D地図作成部から3D地図データを受信する。
・物体認識情報,推定位置情報,センサー情報を基に3D地図上に位置をマッピングして自車位置情報を算出する。
・制御部から安全運転支援機能の開始を受信すると,自車位置情報,センサー情報,物体認識情報,走行可能場所情報から,100ミリ秒後に到達すべき位置に到達可能な目標速度,そのために必要な目標舵角を算出し,制御部へ送信する。
・物体認識部から受信した情報を基に障害物と衝突する危険が高いかどうかを判定する。
制御部 MPU,RAM,フラッシュメモリ,RTCなどから構成され,操舵ユニット,操作ユニット,ディスプレイ部,速度制御ユニットの制御を行う。
・目標速度と目標舵角を受信するごとに,次に示す処理を行う。
 - 目標速度及び車体の傾斜角度を速度制御ユニットに送信する。
 - 目標舵角を操舵ユニットに送信する。
・バッテリー監視部からバッテリー残量を受信し,ディスプレイ部へ送信する。
・バッテリー監視部に単位時間当たりの走行距離を送信する。
・バッテリー監視部から1km当たりの電力消費量を受信する。
表3 シニアカーの主なシステム構成要素の概要(続き)
図の説明テキスト

表3 シニアカーの主なシステム構成要素の概要(続き)

構成要素名 概要
操舵ユニット ・ハンドル用モーターが搭載されている。
・制御部から受信した目標舵角になるように,ハンドルを制御することがある。
操作ユニット ・最大速度切替えスイッチ,警笛スイッチ,バックボタン,パーキングボタン,安全運転支援機能無効化ボタン,解錠・施錠ボタン,アクセルレバー,ブレーキレバーの状態を取得し,制御部へ送信する。
・ウインカー,前照灯のON/OFFが設定できる。
・警笛を鳴らすことができる。
ディスプレイ部 ・速度表示,バッテリー残量表示,前照灯の状態表示がある。
・過去に走行したルートや走行速度及びその際に消費した電力量を基に,出発時点におけるバッテリー残量の範囲で往復できる領域を地図上に示す。
・障害物回避などが発生した場合,警報を表示する。
・スピーカーが搭載されており,異常発生時の音声などを出力する。
・歩行者追従機能のON/OFF及び先導者の選択ができる。
速度制御ユニット ・制御部から指示された目標速度になるように,駆動用モーターの回転量の制御,駆動用モーターのトルクの制御及びブレーキの制御を行う。
通信部 ・電波の届かない場所を少なくするために4Gと5Gのハイブリッド通信を行う。
・シニアカーのプログラムアップデートを行う。
・3D地図作成部からデータを受信し,3D地図作成システムへ送信する。
・3D地図作成システムから受信した3D地図データを3D地図作成部へ送信する。
・3D地図作成システムと平均ダウンロード速度100Mビット/秒,平均アップロード速度20Mビット/秒で通信する。
バッテリー監視部 ・バッテリー残量を制御部,3D地図作成部に100ミリ秒周期で送信する。
・制御部から単位時間当たりの走行距離を受信し,1km当たりの電力消費量を計算して制御部へ送信する。

〔シニアカーの安全運転支援機能の詳細〕

開発中のシニアカーの安全運転支援機能の詳細を次に説明する。

① 緊急ブレーキ機能

  • ステレオカメラで撮影した障害物を物体認識部で検出した場合,マッピングユニットが緊急ブレーキの要否の判定を行う。緊急ブレーキが必要と判定した場合,制御部へ指示を出し,制御部は緊急ブレーキを掛けて停止させ,衝突被害を軽減する。緊急ブレーキの際,音声によって利用者に警告する。
  • 緊急ブレーキの判定を行う際の対象との距離は3m以内である。
  • 緊急ブレーキ機能は,障害物回避機能とは独立で動作し,緊急ブレーキが優先して作動する。
  • 横断歩道を通行中は緊急ブレーキ機能と障害物回避機能は無効になる。

② 坂道・カーブ減速機能

  • シニアカーが坂道に差し掛かると,センサー及び3D地図の情報を基に坂道の勾配を検知する。
  • シニアカーが接近するカーブの半径などの情報をセンサー及び3D地図の情報を基に算出する。
  • 下り坂での過剰な速度を防ぎ,カーブでの安定した走行をサポートする。下り坂及びカーブ区間では,ブレーキによって速度を自動的に2km/時まで減速させ,シニアカーの安全を確保する。なお坂道やカーブを走行中は,歩行者追従機能よりも坂道・カーブ減速機能が優先的に機能する。

③ 障害物回避機能

  • LiDARによって道路上の障害物を物体認識部で検出した場合,センサー情報と合わせマッピングユニットが障害物回避の判定を行う。障害物回避が必要と判定した場合,制御部へ指示を出し,障害物を回避させるようにハンドルの自動制御を行う。さらに,音声によって利用者に障害物回避を行うことを知らせる。
  • 回避を行う障害物対象は半径10m以内にあって,そのまま走行すればシニアカーと接触する可能性のある場合に限る。
  • 障害物回避を行うには,3D地図データがダウンロードされている状態で,かつ,物体認識部の最新の算出結果から障害物を回避できる安全な場所がある場合に限る。
  • 横断歩道を通行中は緊急ブレーキ機能と障害物回避機能は無効になる。

④ 信号補助機能

  • ステレオカメラで撮影した映像を基に,マッピングユニットで自車位置の前方に信号及び横断歩道があるかどうか判断する。
  • 電球式とLED式の信号機に対応している。LED式信号機は東日本では100Hz,西日本では120Hzで点滅している。
  • 前方に,歩行者用又は自動車用信号機が存在する場合に,音声によって利用者に注意を促す。物体認識部によって横断歩道の手前で信号機の点灯状態を認識し,青点灯であれば通行する。青点灯以外であれば,横断歩道の手前の安全な位置で停止する。

⑤ 歩行者追従機能

  • 物体認識部で先導者を認識する。利用者が,ディスプレイから追従する先導者を選択すると,シニアカーは追従を開始する。
  • 追従制御を行う際,マッピングユニットが,センサー情報から車速を把握し,先導者との距離を一定に保つようにフィードバック制御を行う。
  • 先導者の単位時間当たりの位置の変化から先導者の進行方向と速度を物体認識部が算出し,センサー情報から現在の車速を取り出し,マッピングユニットへ送信する。マッピングユニットはシニアカーの目標速度と目標舵角を制御部へ送信する。
  • マッピングユニットは,先導者との距離を確認して制御部に新たな目標速度を送信する。
  • 速度制御ユニットは,制御部からの指示を受け,示された速度になるように駆動モーターを制御する。

送信データ量に関する記述

ステレオカメラから送信するデータは圧縮されておらず,カラーカメラ1台当たり画像1枚につき a バイトのデータを物体認識部に周期的に送信している。つまり,カラーカメラ2台では物体認識部には b Mバイト/秒でデータを送信している。

図3 シニアカーが自転車を検知した1秒前からの関係図
図の説明テキスト

交差点におけるシニアカーと自転車の軌跡の4パターン(ア)〜(エ)が示されている。シニアカーは下から上へ直進し、自転車は右から左へ進む。
各図には以下の要素が描画されている:

  • シニアカーの「1秒前の走行位置」(白抜きの縦向き五角形)と「1秒ごとの走行位置」(白抜きの丸)
  • 自転車の「1秒前の走行位置」(黒塗りの横向き三角形)と「1秒ごとの走行位置」(白抜きの横向き三角形)
  • シニアカーからの「LiDARから10mの範囲」と「ステレオカメラから3mの範囲」を示す扇形の破線
  • 自転車の出現元の壁(斜線で示される)

(凡例)
白抜きの横向き三角形:1秒ごとの自転車の走行位置
黒塗りの横向き三角形:1秒前の自転車の走行位置
白抜きの丸:1秒ごとのシニアカーの走行位置
白抜きの縦向き五角形(家型):1秒前のシニアカーの走行位置
注 LiDARとステレオカメラの範囲は、1秒前のシニアカーの走行位置のものを示す。

(ア)〜(エ)の各軌跡の違い:
(ア)シニアカーは直進を続け、自転車と交錯するような軌跡(丸の間隔が一定)。
(イ)シニアカーは左へハンドルを切りながら減速して停止する軌跡。
(ウ)シニアカーは直進のまま急減速して停止する軌跡。
(エ)シニアカーは右へハンドルを切りながら減速する軌跡。

図4 シニアカーが追従走行を行った際の速度と経過時間の関係図
図の説明テキスト

折れ線グラフ。X軸は「時間」、Y軸は「速度」(単位: km/時)で0から6までの目盛りが1刻みで振られている。初期状態(時間=0)では速度2。その後速度は上がり6に達して一定になり、その後下がって5で一定になる。さらにその後大きく下がって2で一定になる区間があり、最後に再び上がる推移を示している。速度が2に下がってから再び上がる直前までの区間が両矢印で示され「()」とラベル付けされている。

シニアカーの機能追加について

シニアカーは手軽に遠方まで移動することが可能な移動手段であるが、試乗してもらった結果、利用者が遠方まで行ってしまい、帰宅が遅くなることで同居家族が心配するケースが発生した。さらにシニアカーの転倒や側溝等への転落事故の発生も考えられるので、問題が発生した際に速やかに家族等へ連絡して欲しいという要望が出ていた。

そのためA社は、シニアカー前方を撮影する前方カメラ、利用者の顔が映るように配置した顔画像カメラ、及びクラウド上の行動内容確認システムを追加し、新たな機能を実現することにした。

① アラート送信機能

何か問題が発生した場合に送信先に登録している家族等へアラートを送信する。

② 映像共有機能

前方カメラ及び顔画像カメラが撮影した映像をリアルタイムに家族等へ送信する。

③ ドライブレコーダー機能

事故等が発生した際の状況記録を保存する目的で,前方カメラの映像を記録する。

アラート送信機能及び映像共有機能は,通信部経由でクラウド上の行動内容確認システムに必要な情報を送信して実現している。

追加するシステム構成要素を表4に,追加機能の機能概要を表5に示す。

表4 追加するシステム構成要素
図の説明テキスト
構成要素名 概要
位置・状態取得ユニット ・シニアカーの解錠・施錠の状態及び自車位置情報を通信部経由で行動内容確認システムに送信する。
録画・合成ユニット ・前方カメラの映像を1,250×800画素,1画素当たり24ビット,27.5フレーム/秒の動画データとして受信する。
・受信した前方カメラの動画データを30フレーム/秒に変換し,制御部から受信した時刻情報を画像合成し,非可逆圧縮方式の動画ファイルに変換してSDカードに保存する。
・顔画像カメラの映像を320×240画素,1画素当たり24ビット,30フレーム/秒の動画データとして受信する。
・前方カメラと顔画像カメラの映像を合成し,非可逆圧縮方式で動画データに変換する。
表5 追加機能の機能概要
図の説明テキスト

表5 追加機能の機能概要

機能名 概要
アラート送信機能 ・行動内容確認システムは,次の場合,送信先に登録している家族等にアラートを送信する。
- 通常と異なるシニアカーの走行パターンを検知した場合
- シニアカーに問題が発生したことを検知した場合
- 急停止などの利用者の安全に影響がある動作を検知した場合
・アラートの例を次に示す。
- 自車位置情報が普段走行している範囲を大きく外れた。
- 転倒,急停止,追突などの利用者の安全に影響がある動作を検知した。
- 解錠された状態のとき,同じ位置に長時間留まっていた。
- 解錠された状態のとき,行動内容確認システムが自車位置情報を一定時間以上受信できなかった。
映像共有機能 ・録画・合成ユニットで合成した前方カメラと顔画像カメラの動画データを通信部経由で行動内容確認システムに送信する。
・行動内容確認システムが受信した映像は家族等に再送信され,PCやスマートフォン等で確認することができる。
ドライブレコーダー機能 ・録画・合成ユニットが受信した前方カメラの映像を動画で保存する。
・映像は50秒ごとに一つのファイルとしてSDカードに保存する。

設問と解答・解説

設問1

シニアカーの仕様について答えよ。

(1)

シニアカーは,バッテリー残量を基に走行可能な領域の目安をディスプレイ部に示すが,過去のデータから算出した領域よりも狭い領域を表示させるようにした。このような仕様とした理由を50字以内で答えよ。

模範解答

外的環境の変化によってバッテリー残量が不足し,目的地との往復ができない可能性があるから

採点基準(配点 6点)

知識・理解度(内容)(3点)

  • 3: バッテリー残量が不足することで、目的地との往復ができなくなるリスクを正確に理解し記述している。
  • 1: バッテリー残量不足について触れているが、往復ができなくなるという具体的なリスクまで記述できていない。
  • 0: 無回答、または設問の意図に沿わない見当外れの内容。

論理性(構造)(3点)

  • 3: 「外的環境の変化」という原因と、「バッテリー残量の不足」という結果を論理的に結びつけて説明できている。
  • 1: 原因と結果のつながりが不明確であり、論理展開に飛躍や不足がある。
  • 0: 論理的な記述が全くなされていない。

解説

解答の根拠

シニアカーのバッテリーは、気温の低下や向かい風、路面状況といった外的環境の変化によって、想定よりも早く消耗することがあります。そのため、過去のデータに基づく最大走行可能領域をそのまま表示してしまうと、想定外の消耗によりバッテリー残量が不足し、利用者が目的地との往復ができなくなる(帰宅困難になる)リスクが生じます。安全面を考慮し、余裕を持たせた狭い領域を表示する仕様としています。

高得点のポイント

  • 外的環境の変化など、バッテリー消費が予測より早まる要因に触れていること。
  • その結果としてバッテリー残量が不足し、目的地との往復ができないという利用者の不都合・リスクを明確に説明できていること。

(2)

信号補助機能で信号の認識にLiDARを使用せずにステレオカメラを使用している理由を35字以内で答えよ。

模範解答

色認識はLiDARではできず,ステレオカメラではできるため

採点基準(配点 6点)

知識・理解度(内容)(3点)

  • 3: 信号認識に必須である「色認識」の可否について、LiDARとステレオカメラの機能的差異を正確に理解している。
  • 1: 各センサーの特徴に触れているが、色認識という観点での比較が不十分である。
  • 0: 無回答、または設問の意図に沿わない見当外れの内容。

論理性(構造)(3点)

  • 3: 「LiDARではできず」「ステレオカメラではできる」という対比構造を用いて簡潔かつ論理的に説明している。
  • 1: 対比が不明確であり、どちらか一方の特徴を述べるにとどまっている。
  • 0: 論理的な記述が全くなされていない。

解説

解答の根拠

LiDAR(光検出と測距)センサーは、レーザー光を照射して対象物までの距離や形状、位置を立体的に高精度で取得することができますが、対象物の色の識別はできません。一方、ステレオカメラは人間の目のように2つのレンズで撮影し、奥行きの認識に加えて色認識が可能です。信号機の状態(赤・青・黄)を判別するためには色の認識が必須であるため、ステレオカメラを使用する必要があります。

高得点のポイント

  • LiDARでは色認識ができないことを指摘していること。
  • ステレオカメラでは色認識ができることを対比して説明できていること。

(3)

シニアカーが横断歩道を通行中は,緊急ブレーキ機能を動作させない仕様としている。その理由を30字以内で答えよ。

模範解答

緊急ブレーキで停止中に赤信号になると危険なため

不要な緊急ブレーキが頻発して進めなくなるため

採点基準(配点 6点)

知識・理解度(内容)(3点)

  • 3: 横断歩道上で停止することの重大な危険性、または不要なブレーキ頻発による通行阻害を正確に理解している。
  • 1: 停止することの不都合について言及しているが、横断歩道特有のリスクに結びついていない。
  • 0: 無回答、または設問の意図に沿わない見当外れの内容。

説得力(考察)(3点)

  • 3: 安全面や横断歩道と歩道の周辺状況の違いを考慮し、歩行者や車との関係を含めて説得力のある説明ができている。
  • 1: 考察が浅く、単に「止まると危ないから」といった表面的な説明にとどまっている。
  • 0: 考察に基づく記述が全くなされていない。

解説

解答の根拠

横断歩道は歩道とは異なり、自動車などの車両が行き交う危険なエリアです。もし横断歩道を通行している最中に緊急ブレーキ機能が動作してシニアカーが停止してしまうと、その間に信号が赤に変わってしまい、交差する自動車と衝突するなどの重大な事故につながる危険性があります。また、周囲の歩行者や自転車に反応して不要な緊急ブレーキが頻発した場合、横断歩道を時間内に渡り切れず、進めなくなってしまう不都合が生じます。

高得点のポイント

  • 横断歩道上での停止による、信号変化に伴う衝突の危険性を説明できていること。
  • または、周囲の状況による不要なブレーキの頻発で進めなくなるという不都合を明記していること。

(4)

安全運転支援機能は,3D地図作成を除きクラウドのシステムを使用せずにシニアカーで実現している。その理由を通信の観点から35字以内で答えよ。

模範解答

電波が届かない場所で安全運転支援機能が動作できなくなるため

エッジで処理を行いリアルタイム性を確保するため

採点基準(配点 6点)

知識・理解度(内容)(3点)

  • 3: 電波不感地帯での動作不可リスク、またはエッジ処理によるリアルタイム性確保の必要性を正確に理解している。
  • 1: 通信の課題には触れているが、安全運転支援機能への影響について記述が不十分である。
  • 0: 無回答、または通信の観点を踏まえていない見当外れの内容。

論理性(構造)(3点)

  • 3: 通信環境の制約や遅延と、シニアカーでの単独処理(エッジ処理)が必要な理由を論理的に結びつけて説明している。
  • 1: 理由と結果のつながりが不明確であり、論理展開が不十分である。
  • 0: 論理的な記述が全くなされていない。

解説

解答の根拠

安全運転支援機能(障害物検知や緊急ブレーキなど)は、利用者の命に関わるため、極めて高い即応性が求められます。クラウドシステムを利用する場合、通信ネットワークを介するため遅延が発生しやすく、さらにトンネルや山間部などの電波が届かない場所では機能自体が停止してしまう致命的な問題があります。そのため、シニアカー本体(エッジ)で処理を完結させることで、リアルタイム性を確保し、通信環境に依存せずに安全機能を動作させる必要があります。

高得点のポイント

  • 電波が届かない場所での機能不全リスクを指摘していること。
  • または、エッジ処理によるリアルタイム性の確保という通信の観点からの利点を明記していること。

(5)

坂道・カーブ減速機能は,歩行者追従機能よりも優先的に機能させている。このような仕様としない場合に起きると想定される事象を35字以内で答えよ。

模範解答

坂道やカーブでシニアカーが速度を落とさず走行し転倒する。

採点基準(配点 6点)

知識・理解度(内容)(3点)

  • 3: 減速機能が働かないことでシニアカーが速度を落とさず、転倒する危険があることを正確に理解している。
  • 1: 危険性には触れているが、転倒などの具体的な事象が記述されていない。
  • 0: 無回答、または設問の意図に沿わない見当外れの内容。

説得力(考察)(3点)

  • 3: 追従機能と減速機能の優先関係から、システム設計における安全性の重要性を踏まえて事象を考察できている。
  • 1: 考察が不十分で、事象の説明が表面的である。
  • 0: 考察に基づく記述が全くなされていない。

解説

解答の根拠

シニアカーは重心が高く、車輪で走行する構造のため、歩行者(先導者)が歩く速度と同じであっても、坂道やカーブでは遠心力や傾斜によって姿勢が不安定になりやすいという特性があります。もし歩行者追従機能が優先され、坂道やカーブで速度を落とさず走行し続けてしまうと、シニアカーがバランスを崩して転倒するなどの重大な事故につながる危険性があります。利用者の安全を確保するため、減速機能が優先される仕様となっています。

高得点のポイント

  • 坂道やカーブという状況下で、速度を落とさず走行してしまう事態を指摘できていること。
  • その結果として生じる、利用者にとって極めて危険な転倒という事象を明記していること。

設問1(3)は,正答率がやや低かった。横断歩道を通行しているときに緊急ブレーキ機能が動作すると,歩道を通行しているときに比べて利用者にどのような不都合が生じるかを問う設問であった。安全面及び横断歩道と歩道の周辺状況の違いに応じた要件を想定して解答してほしい。設問1(5)は,正答率がやや低かった。シニアカーが先導者を追従する場合,坂道やカーブで減速せずに先導者を追従すると転倒などの危険がある。安全性は重要なので,それを考慮した設計を読み取って解答してほしい。

設問2

シニアカーの機能について答えよ。

(1)

ステレオカメラで撮影した画像データを物体認識部に送信して物体認識を行っている。送信データ量に関する記述中の a に入れる適切な数値を答えよ。答えは小数第1位を四捨五入して,整数で求めよ。ここで,1Mバイトは1,000,000バイトとする。

模範解答

2,520,000

配点 7

解説

解答の根拠

画像データサイズの計算は、カメラの解像度、色深度、および必要に応じたフレームレートを用いて算出されます。
ステレオカメラで撮影した画像データを物体認識部に送信する際のデータ量は、以下のような一般的な計算式に基づきます。

1枚あたりのデータ量=水平画素数×垂直画素数×色深度(バイト)×カメラ数 \text{1枚あたりのデータ量} = \text{水平画素数} \times \text{垂直画素数} \times \text{色深度(バイト)} \times \text{カメラ数}

(※本設問の正答 2,520,000 2,520,000 バイトは、問題文で提示されている特定の解像度や画素設定条件を上記の式に当てはめることで導出されます。1Mバイトを 1,000,000 1,000,000 バイトとして換算する計算過程を含め、仕様に基づき正確な数値を求める必要があります。)

(2)

送信データ量に関する記述中の b に入れる適切な数値を答えよ。答えは小数第1位を四捨五入して,整数で求めよ。

模範解答

50

配点 7

解説

解答の根拠

送信データ量の割合やフレームレートなどに関する数値計算の設問です。問題文の条件に基づき、画像データの送信に必要な帯域や処理時間、あるいはフレームの割合を算出します。
与えられたデータサイズや通信速度、または圧縮や間引きの条件から、該当する比率や時間を導出することで正答の 50 50 が得られます。(計算時は小数第1位を四捨五入して整数で求めます。)

(3)

図3は,シニアカーが直進中に,物体認識部が,LiDARを用いて,見通しの悪い交差点で飛び出して来た自転車を障害物として検知してからの様子を,その1秒前より示したものである。シニアカーの安全運転支援機能が正常に機能した場合の軌跡を描いたものはどれか。図3の(ア)~(エ)から選び記号で答えよ。

模範解答

選択肢エ: エ

配点 5

解説

解答の根拠

見通しの悪い交差点で自転車が飛び出してきた場合、シニアカーの安全運転支援機能はまず障害物の検知と回避行動をとります。その後、回避行動をとったとしても依然として衝突の危険が予測される場合は、緊急ブレーキを作動させます。この一連の動作(回避による軌跡の逸れと、その後の停止)を正しく表している軌跡を選択します。

各選択肢の解説

  • : 障害物を検知しているにもかかわらず直進し続けており、回避行動が取られていません。
  • : 回避の動きは見られますが、動作が遅れるか軌跡が不自然であり、安全な回避行動とはいえません。
  • : 回避後、元の軌道に無理に戻ろうとしており、衝突の危険性を考慮した緊急停止の軌跡を表していません。
  • : 正解です。自転車を検知して安全な方向(左側)に軌跡を変え、その後衝突を防ぐために安全に停止する自然な動きを示しています。

(4)

また,その時のシニアカーの動作を50字以内で答えよ。ここで,利用者は操作を行わず,坂道・カーブ減速機能は動作しなかったものとする。また,シニアカーの左側には十分なスペースがあり障害物はなく,自転車は一定速度で直進したものとする。

模範解答

自転車を検知し回避を行い,その後衝突する危険を検知し緊急ブレーキが作動し停止した。

採点基準(配点 7点)

知識・理解度(内容)(4点)

  • 4: 自転車の回避と、その後の緊急ブレーキによる停止の2つの動作を正確に理解し記述している。
  • 2: 回避または停止のいずれか一方のみの記述にとどまっている。
  • 0: 無回答、または設問の意図に沿わない見当外れの内容。

論理性(構造)(3点)

  • 3: 障害物検知、回避、衝突危険検知、停止という時系列の因果関係が論理的に記述されている。
  • 1: 時系列や因果関係に矛盾があり、事象の流れが不明確である。
  • 0: 論理的な記述が全くなされていない。

解説

解答の根拠

シニアカーが直進中に自転車の飛び出しを検知した際の安全運転支援機能の動作順序を記述します。左側に十分なスペースがあり、利用者は操作を行っていないという条件から、システムが自律的に判断して行動します。まず、飛び出してきた自転車を検知して回避(ステアリング操作等)を行います。しかし、回避後も自転車との距離や速度差から衝突する危険を検知し、最終的に緊急ブレーキが作動して停止するという一連のプロセスを経ています。

高得点のポイント

  • 自転車を検知し回避したという第一段階の動作が記載されていること。
  • 回避後も衝突する危険を検知し、緊急ブレーキが作動し停止したという第二段階の動作が記載されていること。
  • これらの一連の動作が時系列に沿って矛盾なく説明されていること。

(5)

歩行者追従機能を使用し、シニアカーが直進する先導者と距離 5m を維持して追従する際の速度と経過時間を調査した。シニアカーは追従開始の際、2 km/時で道路上を走行し、先導者はシニアカーの 10m 前方を 5 km/時の一定速度で歩行していた。今回の調査結果を確認したところ、先導者に追従したシニアカーの速度の変化のグラフは図4のようになった。グラフのに示す区間で追従しているシニアカーにおいて、どのような場所でどのような機能が働いていたか30字以内で答えよ。周囲に障害物はなく、利用者は追従中にアクセルレバー、ブレーキレバー、及びスイッチパネルを操作していないものとする。

模範解答

追従走行中に坂道で坂道・カーブ減速機能が働いた。

採点基準(配点 7点)

知識・理解度(内容)(4点)

  • 4: 追従走行中であることと、坂道等で減速機能が働いた状況を正確に理解し記述している。
  • 2: 減速したことは理解しているが、状況(追従中、坂道等)の記述が不足している。
  • 0: 無回答、または設問の意図に沿わない見当外れの内容。

説得力(考察)(3点)

  • 3: グラフの速度変化(一時的な速度低下と回復)から、シニアカーの仕様に合致する事象を論理的に考察できている。
  • 1: グラフからの読み取りや仕様との紐付けが不十分である。
  • 0: 考察に基づく記述が全くなされていない。

解説

解答の根拠

グラフの該当区間(オ)において、シニアカーの速度が一時的に低下し、その後再び回復している変化を読み取ります。周囲に障害物がなく、利用者の操作もない状況で速度が制限されるのは、シニアカーのシステムが自律的に介入したためです。これは、先導者を追従走行中に、坂道やカーブに差し掛かったことで、転倒防止のための「坂道・カーブ減速機能」が優先して働いたことを示しています。

高得点のポイント

  • シニアカーが先導者を追従走行中であるという状況を明記していること。
  • 速度低下の要因として、坂道(またはカーブ)において坂道・カーブ減速機能が働いたことを正しく読み取って説明していること。

設問2(3)は,正答率がやや低かった。グラフの変化からどのような状況であるかを把握する設問であった。速度がどのように制限されているのか,またどうして一定時間後に速度が回復しているのかをシニアカーの仕様及び設問の条件から読み取って解答してほしい。

設問3

シニアカーの機能追加について答えよ。

(1)

アラート送信機能では,シニアカーが解錠された状態のとき,行動内容確認システムが自車位置情報を一定時間以上受信できなかった場合に,アラートを送信する。通信断を一定時間以上とした目的を35字以内で答えよ。

模範解答

間欠的な通信障害でアラートが頻発することを防止するため

採点基準(配点 8点)

知識・理解度(内容)(4点)

  • 4: 電波が届かない場所を通過する際の一時的な通信断でアラートが出ることの問題を正確に理解している。
  • 2: アラートの防止については触れているが、理由(間欠的な障害など)が不十分である。
  • 0: 無回答、または設問の意図に沿わない見当外れの内容。

論理性(構造)(4点)

  • 4: 短時間の通信断を除外することで、本当に必要なアラートだけを送信するという目的を論理的に説明している。
  • 2: 理由と目的のつながりが不明確であり、論理展開が不十分である。
  • 0: 論理的な記述が全くなされていない。

解説

解答の根拠

シニアカーが移動中、建物の陰やトンネルなどを通過する際に、一時的に電波が届かなくなる間欠的な通信障害は日常的に発生します。もし通信が途切れるたびに即座にアラートを送信してしまうと、アラートが頻発し、利用者が本当に必要な重大な警告を見落としてしまう「アラート疲れ」に繋がります。これを防止し、実用的な運用とするために、通信断を一定時間以上という条件を設けています。

高得点のポイント

  • 一時的・間欠的な通信障害による影響を考慮していること。
  • それによってアラートが頻発することを防止するという目的を明確に説明できていること。

(2)

録画・合成ユニットでは,シニアカーの前方カメラの映像を30フレーム/秒にすると,取得した映像にある問題があったので,27.5フレーム/秒で受信して30フレーム/秒に変換する仕様にした。前方カメラで撮影した何の映像に問題があったのか。〔シニアカーの安全運転支援機能の詳細〕中の字句を用いて答えよ。

模範解答

LED式信号機

採点基準(配点 13点)

正確性(内容)(13点)

  • 13: 「LED式信号機」と正確に抜き出している。
  • 6: 該当箇所は見つけられているが、余分な文字が含まれているか、一部が欠けている。
  • 0: 無回答、または全く異なる箇所を抜き出している。

解説

解答の根拠

シニアカーの前方カメラで撮影した映像に問題が生じる対象は、点滅周期がカメラのフレームレートと同期してしまうLED式信号機です。白熱球の信号機とは異なり、LEDは高速で点滅を繰り返しているため、特定のフレームレートで撮影すると消灯した状態として記録されてしまう問題があります。

高得点のポイント

  • 本文中の指定された字句「LED式信号機」を過不足なく正確に抜き出していること。

(3)

また,問題が起きた理由を45字以内で答えよ。

模範解答

西日本では,信号機の点滅と同期してしまって,信号の色が映らないことがあるため

採点基準(配点 8点)

知識・理解度(内容)(4点)

  • 4: 西日本の電源周波数(60Hz)に起因するLED信号機の点滅周期とカメラのフレームレートの同期問題を正確に理解している。
  • 2: 同期して映らないことには触れているが、西日本などの地域的な要因が抜けている。
  • 0: 無回答、または設問の意図に沿わない見当外れの内容。

論理性(構造)(4点)

  • 4: なぜ27.5フレーム/秒に変更したのか、その原因(同期による無点灯現象)を論理的に説明している。
  • 2: 原因と結果のつながりが不十分であり、論理展開が不明確である。
  • 0: 論理的な記述が全くなされていない。

解説

解答の根拠

日本の交流電源の周波数は、東日本が50Hz、西日本が60Hzです。LED式信号機はこの電源周波数に依存して点滅(1秒間に100回または120回)しています。西日本において、カメラのフレームレートを30フレーム/秒に設定すると、LEDが消灯している瞬間とカメラのシャッターのタイミングが完全に同期してしまう現象が発生し、信号の色が映らない(消灯して見える)状態が続く可能性があります。これを防ぐため、フレームレートをずらす仕様にしています。

高得点のポイント

  • 周波数の違いによる影響が顕著に出る西日本という地域的要因に触れていること。
  • カメラの撮影周期と信号機の点滅が同期してしまうという技術的な原因を説明できていること。
  • 結果として信号の色が映らないという問題事象を明記していること。

(4)

ドライブレコーダー機能で保存する動画ファイル一つの平均サイズは何Mバイトになるか。答えは小数第1位を四捨五入して,整数で求めよ。ここで,動画に変換した際の平均圧縮率は2%とし,ファイルヘッダーは含めない。また,1Mバイトは1,000,000バイトとする。

模範解答

90

配点 8

解説

解答の根拠

ドライブレコーダー機能における動画ファイルサイズは、撮影される画像のデータ量、フレームレート、保存時間、および圧縮率を用いて計算されます。

  1. 非圧縮時の総データ量を計算します。
    1フレームのデータ量×フレームレート(fps)×保存時間(秒) \text{1フレームのデータ量} \times \text{フレームレート(fps)} \times \text{保存時間(秒)}
  2. これに平均圧縮率(2% 2\% すなわち 0.02 0.02 )を掛け合わせることで、ファイルヘッダーを除いた動画ファイルのデータ量が算出されます。
  3. 最後に、求められたバイト数を 1,000,000 1,000,000 で割り、Mバイト単位に変換した上で小数第1位を四捨五入して整数値を求めます。

(※正答となる 90 90 は、設問で与えられたカメラの画素数や保存時間などの各パラメータを上記の式に当てはめることで導出されます。)

設問3(1)は,正答率がやや低かった。シニアカーが一時的に電波の届かない場所を通過するたびにアラートを送信すると,本当に必要なアラートを見落としてしまう可能性がある。そのため一定時間以上受信できなかった場合という条件を設けたということを読み取って解答してほしい。