「借地借家法」の過去問(権利関係・82問)
1. この分野は何か
「建物を所有する目的で土地を借りる権利(借地権)」と、「建物を借りる権利(借家権)」について定めた特別法です。民法の原則のままでは貸主(地主・家主)の立場が強くなりすぎるため、借主を強力に保護するために民法のルールを上書きする法律となっています。
2. 学習のポイント
借地借家法の問題は、「この特約は有効か、無効か」という形でよく問われます。「借主に不利な特約は無効(強行規定)」という大原則をベースに考えます。
- 借地権の存続期間:借地権の存続期間は、契約で定めても定めなくても、最低でも「30年」となります。30年より短い期間(例えば20年)で契約しても、強制的に30年に切り上げられます(借主に不利だから無効)。
- 借地権の対抗要件:民法では「登記」が必要ですが、借地借家法では「借地上の建物の登記(借地人名義)」があれば、土地の賃借権の登記がなくても第三者に対抗できます。
- 借家権の存続期間:建物の賃貸借の場合、期間の上限はありません。しかし「1年未満」の期間を定めた場合は、借主に不利になるため「期間の定めのない契約」として扱われます。
- 借家権の対抗要件:「建物の引渡し(鍵をもらって住むこと)」があれば、登記がなくても第三者に対抗できます。
3. 実際の出題のされ方
宅建試験では、借地(土地)・借家(建物)ともに頻出で、得点源にしやすい分野です。
借地においては、「地代等増減請求権(地代が不相当になった場合に増減を請求する権利)」について、「増額しない特約(借主に有利なので有効)」と「減額しない特約(借主に不利なので無効)」の違いが定番です。
借家においては、「造作買取請求権(借主が取り付けたエアコンなどを退去時に買い取らせる権利)」について、「買い取らない旨の特約」が有効である(これだけは借主に不利でも特約が有効)という例外ルールが頻出のひっかけポイントです。
4. 間違えやすいところ
正当事由(更新の拒絶)
貸主の方から「契約を更新しない(出ていってくれ)」と主張するためには、単なる期間満了だけでは足りず「正当事由」が必要です。ただし、正当事由にたどり着くまでの手続が借地と借家で違う点に注意してください。
- 借家:期間満了の1年前から6か月前までの間に更新拒絶の通知をしなければ、契約は法定更新されてしまいます(借地借家法26条1項)。この通知に正当事由が必要です(同28条)。
- 借地:あらかじめ通知しておく必要はありません。借地権者が更新を請求したとき、または期間満了後も土地の使用を続けているときに、貸主が遅滞なく異議を述べることで更新を阻止します(同5条1項・2項)。この異議に正当事由が必要です(同6条)。
正当事由は、双方が土地・建物を必要とする事情、これまでの経過、利用状況などを総合して判断され、立退料(財産上の給付)の申出はその判断を補強する考慮要素の1つにすぎません。立退料さえ払えば必ず明け渡させられるわけでも、立退料がなければ絶対に認められないわけでもない点に注意してください。貸主からの解約は全体として非常に困難に設定されています。
定期借地権と定期建物賃貸借
契約の更新がなく、期間満了で確実に契約が終了する特別な契約形態です。
- 定期借地権(一般):存続期間は「50年以上」、契約は「書面(公正証書でなくてもよい)」で行う。
- 定期建物賃貸借:存続期間の制限はなし(1年未満でも可)、契約は「書面(公正証書等)」で行い、さらに契約書とは別に「更新がなく期間満了で終了する旨を記載した書面」を交付して事前説明をしなければならない。
- 2025年度(R7) 問11 AがBとの間で、A所有の甲土地につき建物の所有を目的として一時使用目的ではない賃貸借契約(以下この問において「本件契約」…
- 2025年度(R7) 問12 Aを賃貸人、Bを賃借人とする甲建物の賃貸借契約(定期建物賃貸借契約及び一時使用目的の建物の賃貸借契約を除く。以下この問に…
- 2024年度(R6) 問11 建物の所有を目的とする土地の賃貸借契約(一時使用目的の借地契約を除く。)に関する次の記述のうち、借地借家法の規定によれば…
- 2024年度(R6) 問12 賃貸人Aと賃借人Bとが、居住目的で期間を3年として、借地借家法第38条の定期建物賃貸借契約(以下この問において「契約①」…
- 2023年度(R5) 問11 AがBとの間で、A所有の甲土地につき建物所有目的で期間を50年とする賃貸借契約(以下この問において「本件契約」という。)…
- 2023年度(R5) 問12 令和5年7月1日に締結された建物の賃貸借契約(定期建物賃貸借契約及び一時使用目的の建物の賃貸借契約を除く。)に関する次の…
- 2022年度(R4) 問11 建物の所有を目的とする土地の賃貸借契約(定期借地権及び一時使用目的の借地権となる契約を除く。)に関する次の記述のうち、借…
- 2022年度(R4) 問12 Aは、B所有の甲建物(床面積 100 m²)につき、居住を目的として、期間2年、賃料月額 10万円と定めた賃貸借契約(以…
- 2021(R3)12月 問11 次の記述のうち、借地借家法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。…
- 2021(R3)12月 問12 賃貸人Aと賃借人Bとの間で令和3年7月1日に締結した一時使用目的ではない建物賃貸借契約(以下この問において「本件契約」と…
- 2021(R3)10月 問11 Aは、所有している甲土地につき、Bとの間で建物所有を目的とする賃貸借契約(以下この問において「借地契約」という。)を締結…
- 2021(R3)10月 問12 Aを賃貸人、Bを賃借人とする甲建物の賃貸借契約(以下この問において「本件契約」という。)が令和3年7月1日に締結された場…
- 2020(R2)12月 問11 次の記述のうち、借地借家法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。…
- 2020(R2)12月 問12 賃貸人Aと賃借人Bとの間で令和2年7月1日に締結した居住用建物の賃貸借契約に関する次の記述のうち、民法及び借地借家法の規…
- 2020(R2)10月 問11 A所有の甲土地につき、令和2年7月1日にBとの間で居住の用に供する建物の所有を目的として存続期間30年の約定で賃貸借契約…
- 2020(R2)10月 問12 AとBとの間でA所有の甲建物をBに対して、居住の用を目的として、期間2年、賃料月額10万円で賃貸する旨の賃貸借契約(以下…
- 2019年度(R1) 問11 甲土地につき、期間を50年と定めて賃貸借契約を締結しようとする場合(以下「ケース①」という。)と、期間を15年と定めて賃…
- 2019年度(R1) 問12 AがBに対し、A所有の甲建物を3年間賃貸する旨の契約をした場合における次の記述のうち、民法及び借地借家法の規定によれば、…
- 2018年度(H30) 問11 AとBとの間で、A所有の甲土地につき建物所有目的で賃貸借契約(以下この問において「本件契約」という。)を締結する場合に関…
- 2018年度(H30) 問12 AとBとの間で、Aが所有する甲建物をBが5年間賃貸する旨の契約を締結した場合における次の記述のうち、民法及び借地借家法の…
- 2017年度(H29) 問11 A所有の甲土地につき、平成29年10月1日にBとの間で賃貸借契約(以下「本件契約」という。)が締結された場合に関する次の…
- 2017年度(H29) 問12 Aが所有する甲建物をBに対して3年間賃貸する旨の契約をした場合における次の記述のうち、借地借家法の規定によれば、正しいも…
- 2016年度(H28) 問11 Aが居住用の甲建物を所有する目的で、期間30年と定めてBから乙土地を賃借した場合に関する次の記述のうち、借地借家法の規定…
- 2016年度(H28) 問 12 AはBと、B所有の甲建物につき、居住を目的として、期間3年、賃料月額20万円と定めて賃貸借契約(以下この契約において「本…
- 2015年度(H27) 問11 AがBとの間で、A所有の甲建物について、期間3年、賃料月額10万円と定めた賃貸借契約を締結した場合に関する次の記述のうち…
- 2015年度(H27) 問12 賃貸人と賃借人との間で、建物につき、期間5年として借地借家法第38条に定める定期借家契約(以下「定期借家契約」という。)…
- 2014年度(H26) 問11 甲土地の所有者が甲土地につき、建物の所有を目的として賃貸する場合(以下「ケース①」という。)と、建物の所有を目的とせずに…
- 2014年度(H26) 問12 借地借家法第38条の定期建物賃貸借(以下この問において「定期建物賃貸借」という。)に関する次の記述のうち、借地借家法の規…
- 2013年度(H25) 問11 Aは、A所有の甲建物につき、Bとの間で期間を10年とする借地借家法第38条第1項の定期建物賃貸借契約を締結し、Bは甲建物…
- 2013年度(H25) 問12 賃貸借契約に関する次の記述のうち、民法及び借地借家法の規定並びに判例によれば、正しいものはどれか。…
- 2012年度(H24) 問11 賃貸借契約に関する次の記述のうち、民法及び借地借家法の規定並びに判例によれば、誤っているものはどれか。…
- 2012年度(H24) 問12 A所有の居住用建物(床面積50 ㎡)につき、Bが賃料月額10 万円、期間を2年として、賃貸借契約(借地借家法第38条に規…
- 2011年度(H23) 問11 借地借家法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。…
- 2011年度(H23) 問12 Aが所有する甲建物をBに対して賃貸する場合の賃貸借契約の条項に関する次の記述のうち、民法及び借地借家法の規定によれば、誤…
- 2010年度(H22) 問11 借地借家法第23条の借地権(以下この問において「事業用定期借地権」という。)に関する次の記述のうち、借地借家法の規定によ…
- 2010年度(H22) 問12 Aは、B所有の甲建物につき、居住を目的として、期間2年、賃料月額10万円と定めた賃貸借契約(以下この問において「本件契約…
- 2009年度(H21) 問11 現行の借地借家法の施行後に設定された借地権に関する次の記述のうち、借地借家法の規定によれば、正しいものはどれか。…
- 2009年度(H21) 問12 A所有の甲建物につき、Bが一時使用目的ではなく賃料月額10万円で賃貸借契約を締結する場合と、Cが適当な家屋に移るまでの一…
- 2008年度(H20) 問 13 Aが所有している甲土地を平置きの駐車場用地として利用しようとするBに貸す場合と、一時使用目的ではなく建物所有目的を有する…
- 2008年度(H20) 問 14 借地借家法第38条の定期建物賃貸借(以下この問において「定期建物賃貸借」という。)に関する次の記述のうち、民法及び借地借…
- 2007年度(H19) 問13 Aが所有者として登記されている甲土地上に、Bが所有者として登記されている乙建物があり、CがAから甲土地を購入した場合に関…
- 2007年度(H19) 問14 借地借家法第38条の定期建物賃貸借(以下この問において「定期建物賃貸借」という。)と同法第40条の一時使用目的の建物の賃…
- 2006年度(H18) 問13 自らが所有している甲土地を有効利用したいAと、同土地上で事業を行いたいBとの間の契約に関する次の記述のうち、民法及び借地…
- 2006年度(H18) 問 14 AはBとの間で、平成16年4月に、BがCから借りている土地上のB所有の建物について賃貸借契約(期間2年)を締結し引渡しを…
- 2005年度(H17) 問6 BはAに対して自己所有の甲建物に平成15年4月1日に抵当権を設定し、Aは同日付でその旨の登記をした。Aと甲建物の賃借人と…
- 2005年度(H17) 問13 借地人Aが、平成15年9月1日に甲地所有者Bと締結した建物所有を目的とする甲地賃貸借契約に基づいてAが甲地上に所有してい…
- 2005年度(H17) 問15 動産の賃貸借契約と建物の賃貸借契約(借地借家法第38条に規定する定期建物賃貸借、同法第39条に規定する取壊し予定の建物の…
- 2004年度(H16) 問14 貸主A及び借主B間の建物賃貸借契約に関する次の記述のうち, 賃料増減請求権に関する借地借家法第32条の規定及び判例によれ…
- 2003年度(H15) 問13 Aが、Bに、A所有の甲地を建物の所有を目的として賃貸し、Bがその土地上に乙建物を新築し、所有している場合に関する次の記述…
- 2003年度(H15) 問14 平成15年10月に新規に締結しようとしている、契約期間が2年で、更新がないこととする旨を定める建物賃貸借契約(以下この問…
- 2002年度(H14) 問13 Aが, 平成4年8月, Bに土地を賃貸し, Bがその土地上に建物を所有している場合の契約終了に伴う建物賞取請求権に関する…
- 2002年度(H14) 問14 建物賃貸借契約(以下この問において「契約」という。) の終了に関する次の記述のうち, 借地借家法の規定によれば, 正しい…
- 2001年度(H13) 問12 Aは, 昭和46年(西暦1971年) 8月, Bから, その所有地を, 建物の所有を目的として存続期間30年の約定で賃借…
- 2001年度(H13) 問13 賃貸人A(個人)と賃借人B(個人)との間の居住用建物の賃貸借契約に関する次の記述のうち、借地借家法の規定及び判例によれば…
- 2000年度(H12) 問11 Aを賃借人, Bを賃貸人としてB所有の土地に建物譲渡特約付借地権を設定する契約(その設定後30年を経過した日に借地上の建…
- 2000年度(H12) 問12 Aが, B所有の建物を賃借している場合に関する次の記述のうち, 借地借家法の規定によれば, 正しいものはどれか。…
- 1999年度(H11) 問13 Aは, 建物所有の目的でBから1筆の土地を賃借し(借地権の登記はしていない。), その土地の上にA単独所有の建物を建築し…
- 1999年度(H11) 問14 賃貸人Aと賃借人Bとの間の居住用建物の賃貸借契約に関する次の記述のうち, 借地借家法の規定及び判例によれば, 正しいもの…
- 1998年度(H10) 問11 Aは、平成4年8月、その所有地について、Bに対し、建物の所有を目的とし存続期間30年の約定で賃借権(その他の特約はないも…
- 1998年度(H10) 問12 Aが、Bに対し期間2年と定めて賃貸した建物を、BはCに対し期間を定めずに転貸し、Aはこれを承諾した。この場合、借地借家法…
- 1997年度(H9) 問11 Aが, Bの所有地を賃借して木造の家屋を所有し, これに居住している場合に関する次の記述のうち, 借地借家法の規定によれ…
- 1997年度(H9) 問12 家屋の賃貸人Aと賃借人Bの間の家賃に関する次の記述のうち, 借地借家法及び民法の規定によれば, 誤っているものはどれか。…
- 1996年度(H8) 問12 AがBに対してA所有の建物を期間を定めないで賃貸した場合に関する次の記述のうち, 借地借家法の規定及び判例によれば, 誤…
- 1996年度(H8) 問13 Aは, 建物の所有を目的としてBから土地を賃借し, 建物を建築して所有しているが, その土地の借地権については登記をして…
- 1995年度(H7) 問12 次の記述のうち, 借地借家法の規定によれば, 正しいものはどれか。…
- 1995年度(H7) 問13 Aを賃貸人, Bを賃借人とするA所有の居住用建物の賃貸借に関する次の記述のうち, 民法及び借地借家法の規定によれば, 正…
- 1994年度(H6) 問11 AがBの土地を賃借して建てた建物の所有権が, Cに移転した。Bは, Cが使用しても何ら支障がないにかかわらず, 賃借権の…
- 1994年度(H6) 問12 AがBから賃借している建物をCに転貸した場合に関する次の記述のうち, 民法及び借地借家法の規定並びに判例によれば, 誤っ…
- 1993年度(H5) 問10 AがBから土地を賃借して, 建物を建て, その登記をした後, その建物にCの抵当権を設定して, 登記をしたが, Aが弁済…
- 1993年度(H5) 問11 平成5年10月AがBのために新たに借地権を設定した場合に関する次の記述のうち,借地借家法の規定及び判例によれば,正しいも…
- 1993年度(H5) 問12 平成5年10月Aがその所有する住宅をBに新たに賃貸した場合に関する次の記述のうち,借地借家法の規定によれば,誤っているも…
- 1992年度(H4) 問10 Aは、木造の建物の所有を目的として、Bが所有する土地を期間20年の約定で賃借している。この場合、民法及び借地法の規定によ…
- 1992年度(H4) 問11 建物の賃貸借に関する次の記述のうち、民法及び借家法の規定並びに判例によれば、正しいものはどれか。…
- 1991年度(H3) 問12 AがBの所有地を賃借して木造家屋を所有している場合に関する次の記述のうち, 民法及び借地法の規定並びに判例によれば, 正…
- 1991年度(H3) 問13 AがBからBの所有する建物を賃借している場合に関する次の記述のうち, 民法及び借家法の規定によれば, 誤っているものはど…
- 1990年度(H2) 問9 Aは, その所有する建物を明らかな一時使用(期間2年)のためBに賃貸したが, Bは期間満了後も居住を続け, Aもその事実…
- 1990年度(H2) 問12 不動産の賃貸借に関する次の記述のうち、民法、借地法及び借家法の規定によれば、誤っているものはどれか。…
- 1990年度(H2) 問13 Aは, BからB所有の建物を賃借して, 居住しているが, Bがその建物をCに売却し, 登記も移転した。この場合, 民法及…
- 1989年度(H1) 問12 Aは, Bの所有する土地を賃借し, その上に木造の建物を所有している。この場合, 借地法の規定及び判例によれば, 次の記…
- 1989年度(H1) 問13 Aは, その所有する建物をBに賃貸した。この場合, 借家法の規定によれば, 次の記述のうち誤っているものはどれか。…
- 1988年度(S63) 問12 居住の用に供する建物の賃貸借に関する次の記述のうち, 借家法の規定によれば, 正しいものはどれか。…
- 1988年度(S63) 問13 借地権に関する次の記述のうち, 正しいものはどれか。…