平成2年度 試験 問13

権利関係借地借家法建物賃貸借の更新・終了

この問題は1990年度(H2)に出題されたものです。出題時点の法令・制度に基づく内容のため、現行の内容と一致しない場合があります。

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Aは, BからB所有の建物を賃借して, 居住しているが, Bがその建物をCに売却し, 登記も移転した。この場合, 民法及び借家法の規定並びに判例によれば, 次の記述のうち正しいものはどれか。

解答・解説を読む

正解: 選択肢4

本問題のテーマは、賃貸人たる地位の移転借地借家法における居住用建物の賃借権の承継です。正解は選択肢4です。積載な知識の整理が求められます。妥当な選択肢を導き出すために、各選択肢の根拠を正確に把握することが重要です。全体として、借地借家法の規定と民法の原則を混同しないように注意しましょう。正解は選択肢4です。選択肢4が正しい理由として、借地借家法36条1項の規定により、居住用建物の賃借人が相続人なしに死亡した場合、事実上の夫婦関係等にあった同居者は、賃貸人に対して1月内に反対の意思を表示しない限り、賃借人の権利義務を承継することが定められているからです。事実上の同居者の居住権を保護するための特則として重要です。以下に各選択肢の詳しい解説を示します。

各選択肢の解説

  • 選択肢1(誤り)
    借家権の対抗要件には、借地借家法で定められた「建物の引渡し」(同法31条1項)のほかに、民法上の原則である「賃借権の登記」(民法605条)が存在します。したがって、建物の引渡しを受けていなくても、賃借権の登記を備えていれば新所有者Cに対抗することができるため、「常にCに対抗することができない」とする本選択肢は誤りです。

  • 選択肢2(誤り)
    賃貸不動産が譲渡され、賃貸人たる地位が新所有者に移転した場合、旧賃貸人に差し入れられていた敷金返還債務は当然に新賃貸人に承継されます(民法605条の2第4項、判例)。新賃貸人Cが旧賃貸人Bから実際に敷金を受領したかどうかにかかわらず、賃借人Aに対する敷金返還債務はCに引き継がれるため、本選択肢は誤りです。

  • 選択肢3(誤り)
    建物の借賃の増額請求を受けた賃借人は、その増額を正当ではないと考えた場合、増額を正当とする裁判が確定するまでは、自ら相当と認める額の建物の借賃を支払えば足りるとされています(借地借家法32条2項)。まずは相当と認める額を「支払う」ことが求められており、賃貸人が受領を拒絶した場合などに初めて供託の手続きをとることになります。「直ちに供託すればよい」とする本選択肢は誤りです。

  • 選択肢4(正しい)
    居住用建物の賃借人が相続人なしに死亡した場合、その当時においてその賃借人と事実上夫婦又は養親子と同様の関係にあった同居者は、建物の賃借人の権利義務を承継します(借地借家法36条1項本文)。ただし、承継者が賃借人の死亡を知った後1ヶ月以内に建物の賃貸人に反対の意思を表示したときは承継しません(同条同項ただし書)。したがって、期間内に特段の意思表示をしない限り権利義務を承継することになり、本選択肢の記述は正しいです。