管理業務主任者 共有 — 頻出論点と過去問
頻出論点
1. この分野は何か
1つの住戸や建物を複数人で所有しているときに、各共有者が単独でできることと、持分の過半数や全員の同意が要ることの線引きを扱う分野です。自分自身の共有持分を動かす場面と共有物全体に手を加える場面の混同や、共有関係を解消する分割手続の制限でつまずきやすいところがあります。各共有者の権利は共有物の全部に及びつつも、他の共有者の持分によって互いに制約を受ける仕組みになっています。
2. 実際の出題のされ方
マンションの一住戸を数人で共有している事例で、民法や区分所有法の規定と判例に照らして正しい記述や誤っている記述を選ぶ問題があります。持分割合が与えられた3人の共有者を登場させて住戸への抵当権設定や第三者への明渡請求の可否を判定させる形式や、共有住戸の分割と別住戸の無断占有を組み合わせて適切な記述を選ばせる形式があります。
民法の共有の規定を単独で問う問題も出ています。所在が不明な共有者のいる建物や管理が不適当な建物を対象とする裁判所の管理命令、および遺産分割の対象となっている共有物や共有持分の裁判による分割制限などを並べて、最も不適切なものを判断させる問われ方があります。
3. 学習のポイント
共有物に関わる行為は、対象が自分の持分だけなのか共有物全体なのか、また行為の性質が変更・管理・保存のどれに当たるかによって、必要な同意の範囲が定まります。ここでの定めは民法の共有の定めで、一住戸を数人で持つときなどに当たります。廊下のような共用部分の共有には、区分所有法の定めが当たります。
- 変更と処分:自分の持分だけを担保に入れたり売ったりするのは単独でできますが、住戸そのものに抵当権を付けるような処分や、形や働きを大きく変える変更には、他の共有者全員の同意が要ります。持分が大きくても同じです。形や働きを大きく変えない変更は、令和3年の改正(2023年4月施行)で、全員の同意を要する変更から外れました。
- 管理:管理の事柄は、持分の価格の過半数で決めます。形や働きを大きく変えない変更もここに入ります。共有物を使っている共有者がいるときも同じ決め方によることが、同じ改正で明記されました。
- 保存:共有物の現状を保つ行為は、各共有者が単独でできます。住戸の不法占拠者に明渡しを求めることもこれに当たります。
裁判所の管理命令には、持ち主や共有者が分からない建物についての所有者不明建物管理命令と、持ち主の管理が不適当で他人の権利を害している建物についての管理不全建物管理命令があります。共有持分だけを対象にできるのは前者で、後者は建物そのものが対象です。どちらも民法の制度で、マンションの専有部分と共用部分には適用されず、マンションについては区分所有法に別の管理命令の定めがあります。
遺産分割をすべき共有物は、原則として裁判による共有物分割に回せません。相続開始から10年が経つと裁判で分割できる例外があるのは、持分だけが相続財産に入っている場合のその持分で、共有物全部が相続財産の場合には当たりません。
4. 間違えやすいところ
共有の住戸の分割で話し合いがまとまらないとき、裁判による分割は競売しかないとする誤答肢がありました。令和3年の改正(2023年4月施行)で、裁判所が命じられる分割の方法は、現物を分ける方法と、共有者の一人に債務を負わせて他の共有者の持分を取得させる方法と定められました。競売は、これらの方法で分割できないときや、分割すると価格が大きく下がるおそれがあるときに命じられます。
共有者全員の合意で共有住戸を第三者に売却したときに、特別な取り決めがなくても各共有者が単独で買主に代金の全額を請求できるとする誤答肢がありました。共有物を売却して生じる代金債権は性質上分けることのできる金銭債権であり、各共有者が全額を請求できる債権にはなりません。数人の債権者がいる可分債権では、別段の意思表示がない限り各債権者が等しい割合で権利を持つ分割債権となるため、各自の割合に応じた金額のみを請求できます。
共有の理解度チェック
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