管理業務主任者 意思表示・錯誤 — 頻出論点と過去問

頻出論点

1. この分野は何か

住戸の売買で、売主や買主が勘違いをしていたり、相手にだまされて契約を結んだりしたときに、その契約の効力がどうなるかを考える分野です。当事者どうしの話と、その住戸を転売で手に入れた人との話を混ぜると、つまずきます。ここのルールは、本人を守る要請と、取引に入った人の安全を守る要請の釣り合いの上にあります。

2. 実際の出題のされ方

マンションの一住戸の売買契約を題材に、売主と買主の間で生じた意思表示の類型ごとの効力や、その住戸がさらに第三者へ譲渡された場合の対抗関係を比較させる四肢択一問題が出ています。また、マンションの管理組合の管理者が職務に関して取引先会社と契約を結ぶ事例を置き、代理人が行った意思表示に瑕疵があった場合の扱いを代理の規定と組み合わせて判断させる問題も出題されました。

いずれの問いでも、当事者や第三者が事情を知っていたか(悪意・善意)、知らなかったことについて過失があるか(有過失・無過失)という条件が選択肢ごとに細かく変えられており、民法の規定に照らして(判例まで含む問題もあります)正誤を判定させる形式をとっています。

3. 学習のポイント

意思表示を取り消せるかどうかには、本人の落ち度と相手方の認識の2つが関わります。本人の重大な過失で取り消せなくなる定めは錯誤にだけあり、詐欺の定めにはありません。

錯誤による意思表示の取消し
勘違いによる意思表示は、改正前は無効とされていましたが、平成29年の改正(2020年4月施行)で、現在は取り消せるものになっています。取り消せるのは、その勘違いが契約の目的や取引の常識に照らして重要なときです。
勘違いが本人の重大な過失によるときは取り消せません。ただし、相手方が勘違いを知っていたか重大な過失で知らなかったとき、相手方も同じ勘違いをしていたときは、取り消せます。取り消せる人は、勘違いをした本人とその代理人・承継人に限られています。本人に取り消す気がないのに、相手方の側から取り消すことはできません。

詐欺による意思表示の取消し
契約の相手方ではない第三者が詐欺をしたときは、相手方の事情が加わります。改正前は、相手方が詐欺の事実を知っていた場合だけでしたが、平成29年の改正(2020年4月施行)で、現在は、知っていた場合のほか、知ることができた場合にも取り消せます。

4. 間違えやすいところ

相手方と通じた虚偽の売買で買主になった人が、事情を知らない第三者に住戸を転売した場面で、その第三者に過失があれば無効を主張できるとする誤答肢がありました。虚偽表示の無効を主張できなくなる第三者は、事情を知らなければ足り、過失の有無は問われません。事情を知らないことに加えて過失がないことまで求められるのは、錯誤や詐欺による取消しの第三者で、平成29年の改正(2020年4月施行)で定められた要件です。

同じ問題には、強迫を理由に取り消した場面で、取消しの前に事情を知らず過失もない第三者が買っていれば、その第三者には取消しを主張できないとする誤答肢もありました。第三者を守る定めは詐欺の取消しについて置かれたもので、強迫の取消しには当てはまりません。

意思表示・錯誤の理解度チェック

意思表示・錯誤の過去問一覧

  1. 2021年度(R3) 問1 Aが、Bとの間で、自己の所有するマンションの一住戸甲をBに売却する旨の契約を締結した場合に関する次の記述のうち、民法の規…
  2. 2017年度(H29) 問3 売主Aと買主Bが、マンションの一住戸甲(以下、本問において「甲」という。)の売買契約(以下、本問において「本件契約」とい…
  3. 2016年度(H28) 問2 旧法 マンションの管理組合A(以下、本問において「A」という。)の管理者B(以下、本問において「B」という。)が、その職務に関…

民法・その他の法令のほかの分野

制限行為能力3問 代理6問 時効12問 共有4問 抵当権・担保物権5問 保証・連帯債務4問 債権総論4問 契約の成立・解除6問 売買5問 賃貸借(民法)7問 借地借家法7問 不法行為7問 相続9問 不動産登記法4問 請負・委任等11問 宅地建物取引業法11問 品確法・アフターサービス7問 個人情報保護法5問 賃貸住宅管理業法5問 その他の関連法令16問