管理業務主任者 時効 — 頻出論点と過去問

頻出論点

1. この分野は何か

滞納管理費を放っておくとなぜ請求できなくなるのか、請求する側はどうすれば防げるのかを考える分野です。督促の手紙を出しただけなのか、裁判を起こしたのか、滞納者が認めたのかで、時効への効き目に差があります。時効の利益は、完成した後に当事者が使うかどうかを選ぶもので、期間が経っただけで債権が消えるわけではありません。

2. 実際の出題のされ方

管理費の滞納を題材に、督促や訴えの提起、滞納者の売却や破産といった事情で時効の完成猶予や更新(改正前の出題では時効の中断)が生じるかを問う問題がよく出ます。正しい記述の数を答えさせる個数問題もあります。

民法の時効制度そのものを正面から問う問題としては、時効の効力や取得時効、権利ごとの期間の制限に関する記述を並べて正誤を判断させる形式があります。また、住戸を所有者に無断で占有している人がいる事例で適切な記述を選ぶ問題や、管理費債権の消滅時効に関する最高裁判所の判決文の空欄に当てはまる語句の組合せを選ぶ問題も出ています。

3. 学習のポイント

期間が経っただけでは時効の効果は確定せず、当事者が援用して初めて、裁判所はそれを前提に判断できます。援用された効力は起算日までさかのぼるので、消えた権利は初めから無かったものとして扱われます。

改正前の時効の中断と停止は、平成29年の改正(2020年4月施行)で、完成猶予と更新に改められました。完成猶予は、定められた時が来るまで時効が完成しない効果で、更新は、それまでの期間を無にして新たに時効が進み始める効果です。

  • 裁判上の請求など:訴えの提起、支払督促、民事調停といった手続の間は時効が完成せず、権利が確定しないまま終わったときは、終わった時から6箇月が経つまで完成しません。確定判決などで権利が確定すると、手続が終わった時から時効が新たに進みます。
  • 催告:裁判の外での支払の請求で、請求の時から6箇月が経つまで時効が完成しないだけの効果です。更新の効果はありません。
  • 承認:債務者が権利の存在を認めると、認めた時から時効が新たに進みます。滞納者が管理組合に滞納を認めた場合がこれに当たります。

債権の消滅時効は、同じ改正で、職業ごとの短い時効と定期給付債権の短い時効がなくなり、原則として、権利を行使できると知った時から5年、行使できる時から10年になりました。

権利を取得する側の時効では、占有の中身が問題になります。法律は、占有している人について、所有者のつもりで、事情を知らず、穏やかに、隠さず占有しているものと推定します。過失が無いことまでは推定されません。

4. 間違えやすいところ

滞納者が住戸を人に売ると、その時から前の持ち主の管理費の時効が新たに進むとする誤答肢がありました。買主も特定承継人として支払を負いますが、売却は権利の承認にも裁判上の請求にも当たらず、前の持ち主についての時効はそのまま進みます。

管理規約に時効を援用できないと書いてあれば援用できないとする誤答肢がありました。時効の利益を前もって放棄することはできず、完成前に規約で援用を封じる定めは無効です。

内容証明郵便での請求を6箇月の間に繰り返せば、そのたびに完成が先に延びるとする誤答肢がありました。催告で完成が猶予されている間にもう一度催告をしても、猶予は延びません。延ばすには、その間に訴えの提起などの手続が要ります。

破産手続が始まった時点で滞納者の時効が中断するとする誤った記述がありました(中断は改正前の言葉で、現在の完成猶予と更新に当たります)。開始の決定があっただけでは時効に影響はなく、影響するのは管理組合が破産手続に参加して債権を届け出た時です。

書面の督促は内容証明郵便でなければ催告に当たらないとする誤答肢がありました。催告に法律が定めた方式は無く、相手に届いたことを証明できれば足ります。内容証明郵便は、その証明のために使われているものです。

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