「抵当権・担保物権」の過去問(権利関係・51問)
1. この分野は何か
お金を借りる際、万が一返せなくなった時のための担保として、自分の土地や建物を差し出すことを「抵当権の設定」といいます。本分野では、抵当権の効力が及ぶ範囲、抵当権を実行(競売)した時のルール、抵当不動産が火事になった場合の保険金への権利(物上代位)、および反復継続した取引に使う「根抵当権」について学びます。
2. 学習のポイント
- 抵当権の性質:抵当権は、目的物を債務者(お金を借りた人)にそのまま使わせながら、いざという時には優先して弁済を受ける権利です(占有を移さない)。
- 物上代位:抵当権を設定した建物が火事で焼失した場合、抵当権者は、所有者が受け取るはずの火災保険金などを差し押さえて回収することができます。ただし、所有者にお金が「払い渡される前」に差し押さえる必要があります。
- 法定地上権:土地と建物が同じ人の所有である状態で、その一方または双方に抵当権が設定され、その後の競売によって土地と建物の所有者がバラバラになった場合、建物を存続させるために自動的に土地を利用する権利(法定地上権)が発生します。
- 根抵当権との違い:普通の抵当権は「この特定の1000万円の借金」を担保しますが、根抵当権は「極度額(上限額)2000万円の範囲内で、何度も借りたり返したりする借金全体」を担保します。
3. 実際の出題のされ方
宅建試験の権利関係において、抵当権はほぼ毎年2問出題される超重要分野です。抵当権と賃借権の優劣(抵当権設定後に借りた人は競売で追い出されるか?等)や、法定地上権の成否を問う事例問題が定番です。
また、「抵当権が消滅する事由(債務の消滅、時効など)」や、第三取得者(抵当権付きの不動産を買った人)を保護するための「代価弁済」「抵当権消滅請求」のルールもしばしば問われます。
4. 間違えやすいところ
抵当権と賃借権の優劣
抵当権が設定されている建物を借りた人(賃借人)は、抵当権が実行されて競売されると、原則として建物を明け渡さなければなりません(抵当権者の勝ち)。ただし、いきなり追い出されるのは酷なので「買受人の買受けの時から6ヶ月間」は明け渡しが猶予されます。
物上代位の差押えのタイミング
物上代位による差押えは、必ず「払渡しまたは引渡しの前」に行う必要があります。すでに債務者の銀行口座に保険金が振り込まれてしまった後では、他の財産と混ざってしまうため物上代位はできなくなります。
根抵当権の元本確定前と確定後
根抵当権は「元本確定(どの借金を担保するかが固定されること)」の前後で性質が大きく変わります。元本確定前は、債権の範囲や債務者を変更することができますが、元本確定後は普通の抵当権と同じように特定の借金のみを担保するものになります。
- 2025年度(R7) 問4 AがBから弁済の期限の定めなく金1,000万円を借り入れる金銭消費貸借契約(以下この問において「本件契約」という。)にお…
- 2025年度(R7) 問7 Aは自己の所有する甲建物を事務所としてBに賃貸し(以下この問において「本件契約」という。)、その後、本件契約の期間中に甲…
- 2024年度(R6) 問6 Aの所有する甲土地にBを地上権者とする地上権(以下この問において「本件地上権」という。)が設定され、その旨の登記がされた…
- 2023年度(R5) 問10 債務者Aが所有する甲土地には、債権者Bが一番抵当権(債権額1,000万円)、債権者Cが二番抵当権(債権額1,200万円)…
- 2022年度(R4) 問4 A所有の甲土地にBのCに対する債務を担保するためにCの抵当権(以下この問において「本件抵当権」という。)が設定され、その…
- 2021(R3)12月 問10 Aは、Bからの借入金の担保として、A所有の甲建物に第一順位の抵当権(以下この問において「本件抵当権」という。)を設定し、…
- 2019年度(R1) 問10 債務者Aが所有する甲土地には、債権者Bが一番抵当権(債権額 2,000万円)、債権者Cが二番抵当権(債権額 2,400万…
- 2018年度(H30) 問6 Aが所有する甲土地上にBが乙建物を建築して所有権を登記していたところ、AがBから乙建物を買い取り、その後、Aが甲土地にC…
- 2017年度(H29) 問 10 ①不動産質権と②抵当権に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、誤っているものはどれか。…
- 2016年度(H28) 問 4 Aは、A所有の甲土地にBから借り入れた3,000万円の担保として抵当権を設定した。この場合における次の記述のうち、民法の…
- 2015年度(H27) 問6 抵当権に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。…
- 2015年度(H27) 問7 債務者Aが所有する甲土地には、債権者Bが一番抵当権(債権額2,000万円)、債権者Cが二番抵当権(債権額2,400万円)…
- 2014年度(H26) 問4 AがBとの間で、CのBに対する債務を担保するためにA所有の甲土地に抵当権を設定する場合と根抵当権を設定する場合における次…
- 2013年度(H25) 問4 留置権に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。…
- 2013年度(H25) 問5 抵当権に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。…
- 2012年度(H24) 問7 物上代位に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。なお、物上代位を行う担保権者は、物上…
- 2011年度(H23) 問4 根抵当権に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。…
- 2011年度(H23) 問6 Aは自己所有の甲建物をBに賃貸し賃料債権を有している。この場合における次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しい…
- 2010年度(H22) 問5 AはBから2,000万円を借り入れて土地とその上の建物を購入し、Bを抵当権者として当該土地及び建物に2,000万円を被担…
- 2009年度(H21) 問5 担保物権に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。…
- 2009年度(H21) 問6 民法第379条は、「抵当不動産の第三取得者は、第383条の定めるところにより、抵当権消滅請求をすることができる。」と定め…
- 2009年度(H21) 問7 法定地上権に関する次の1から4までの記述のうち、民法の規定、判例及び判決文によれば、誤っているものはどれか。 (判決文)…
- 2008年度(H20) 問4 Aは、Bから借り入れた2,000万円の担保として抵当権が設定されている甲建物を所有しており、抵当権設定の後である平成20…
- 2007年度(H19) 問7 担保物権に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。…
- 2007年度(H19) 問8 Aは、自己所有の甲不動産につき、B信用金庫に対し、極度額を3,000万円、被担保債権の範囲を「信用金庫取引による債権」と…
- 2006年度(H18) 問5 Aは、Bから借り入れた2,400万円の担保として第一順位の抵当権が設定されている甲土地を所有している。Aは、さらにCから…
- 2005年度(H17) 問5 物上代位に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。 なお、物上代位を行う担保権者は、物…
- 2005年度(H17) 問6 BはAに対して自己所有の甲建物に平成15年4月1日に抵当権を設定し、Aは同日付でその旨の登記をした。Aと甲建物の賃借人と…
- 2003年度(H15) 問5 Aは, B所有の建物に抵当権を設定し, その旨の登記をした。Bは, その抵当権設定登記後に, この建物をCに賃貸した。C…
- 2003年度(H15) 問6 普通抵当権と元本確定前の根抵当権に関する次の記述のうち, 民法の規定及び判例によれば, 正しいものはどれか。…
- 2002年度(H14) 問5 Aは, Bから建物を賃借し, Bに3,000万円の敷金を預託した。その後, Aは, Bの承諾を得て, この敷金返還請求権…
- 2002年度(H14) 問6 Aは, Bに対する貸付金債権の担保のために, 当該貸付金債権額にほぼ見合う評価額を有するB所有の更地である甲土地に抵当権…
- 2001年度(H13) 問7 Aは, Bから3,000万円の借金をし, その借入金債務を担保するために, A所有の甲地と, 乙地と, 乙地上の丙建物の…
- 2000年度(H12) 問3 Aが, Bに賃貸している建物の賃料債権の先取特権に関する次の記述のうち, 民法の規定及び判例によれば, 誤っているものは…
- 2000年度(H12) 問5 根抵当権に関する次の記述のうち, 民法の規定によれば, 正しいものはどれか。…
- 1999年度(H11) 問4 Aは, Bからの借入金で建物を建築し, その借入金の担保として当該建物に第一順位の抵当権を設定し, その登記を行った。こ…
- 1998年度(H10) 問3 建物の賃借人Aは, 賃貸人Bに対して有している建物賃貸借契約上の敷金返還請求権につき, Cに対するAの金銭債務の担保とし…
- 1998年度(H10) 問5 Aは, Bから借金をし, Bの債権を担保するためにA所有の土地及びその上の建物に抵当権を設定した。この場合, 民法の規定…
- 1997年度(H9) 問3 建物の賃貸借契約における賃借人Aに関する次の記述のうち, 民法の規定及び判例によれば, 誤っているものはどれか。…
- 1996年度(H8) 問7 貸付金債権を担保するための根抵当権に関する次の記述のうち, 民法の規定によれば, 誤っているものはどれか。…
- 1995年度(H7) 問6 AがBに対する債務の担保のためにA所有建物に抵当権を設定し,登記をした場合に関する次の記述のうち,民法の規定及び判例によ…
- 1994年度(H6) 問5 AのBに対する債務について、CがAの連帯保証人となるとともに、Aの所有地にBの抵当権を設定し、その登記をしたが、その後A…
- 1993年度(H5) 問9 Aがその所有する建物を担保としてBから金銭を借り入れ, Bの抵当権設定の登記をした後, Cにその建物を期間3年で賃貸する…
- 1992年度(H4) 問6 Aは, BのCに対する債務を担保するため, Aの所有地にCの抵当権を設定し, その旨の登記も完了した後, 建物を新築して…
- 1991年度(H3) 問7 不動産を目的とする担保物権に関する次の記述のうち, 民法の規定によれば, 誤っているものはどれか。…
- 1990年度(H2) 問6 Aは, BからBの所有地を2,000万円で買い受けたが, 当該土地には, CのDに対する1,000万円の債権を担保するた…
- 1990年度(H2) 問10 Aは、BのCに対する金銭債権(利息付き)を担保するため、Aの所有地にBの抵当権を設定し、その登記をしたが、その後その土地…
- 1989年度(H1) 問5 根抵当権に関する次の記述のうち, 民法の規定によれば, 誤っているものはどれか。…
- 1989年度(H1) 問7 抵当権に関する次の記述のうち, 民法の規定及び判例によれば, 誤っているものはどれか。…
- 1988年度(S63) 問5 地上権に関する次の記述のうち, 民法の規定によれば, 誤っているものはどれか。…
- 1988年度(S63) 問11 Aは, Bに2,000万円を貸し付け, その担保のため, B所有の2,500万円の土地に売買予約による所有権移転登記請求…