平成5年度 宅地建物取引主任者資格試験 問9
権利関係抵当権・担保物権
この問題は1993年度(H5)に出題されたものです。出題時点の法令・制度に基づく内容のため、現行の内容と一致しない場合があります。
本ページの問題文・選択肢は、原本の体裁を Web 表示用に正規化しています(改行・記号・表組みの調整)。設問の趣旨および正解に影響する変更は加えていません。
Aがその所有する建物を担保としてBから金銭を借り入れ, Bの抵当権設定の登記をした後, Cにその建物を期間3年で賃貸する契約をCと締結した。この場合, 民法及び借地借家法の規定並びに判例によれば, 次の記述のうち正しいものはどれか。
解答・解説を読む
正解: 選択肢3
本問は、抵当権設定後の賃貸借に関する問題です。指定された正解(選択肢3)は、平成15年民法改正前の「短期賃貸借保護制度」に基づく内容となっています。解説も改正前の規定(旧民法395条)を前提として行います。
(※注意:現行の民法では短期賃貸借保護制度は廃止されており、抵当権設定登記後のすべての賃貸借は原則として抵当権者に対抗できず、競売時の買受人には建物の明渡しが猶予される(6ヶ月間)にとどまります。)
正解の根拠
旧民法では、抵当権設定登記の後に設定された賃貸借であっても、3年以内の建物の賃貸借(短期賃貸借)であれば、抵当権者に対抗することができました。しかし、この短期賃貸借によって抵当権者が損害を受ける(競売の手続きが妨害されるなど)場合には、抵当権者は裁判所に対して賃貸借契約の解除を求める訴えを提起することができました(旧民法395条ただし書)。
本問において、期間3年の建物賃貸借は短期賃貸借に該当するため、抵当権者Bは損害を受けるときに解除請求が可能となります。したがって、選択肢3が正解となります。
各選択肢の解説
- 1. 誤り
抵当権が設定されても、設定者(A)は目的物を継続して使用・収益(賃貸など)する権利を持ちます。そのため、目的物をCに賃貸するにあたり、あらかじめ抵当権者(B)の同意を得る必要はありません。 - 2. 誤り
借地借家法により、建物の賃貸借は「登記」がなくても「建物の引渡し」を受けていれば対抗要件を備えることができます。選択肢は「登記をしていないときは、建物の引渡しを受けていても対抗できない」としているため誤りです。 - 3. 正しい
前述の通り、旧法下では、短期賃貸借によって抵当権者が損害を受ける場合、裁判所に解除を請求することができました。(現行法ではこの制度自体が廃止されています。) - 4. 誤り
旧法における短期賃貸借であっても、抵当権の実行により差押えの効力が生じた後に期間が満了し、それが更新(法定更新を含む)された場合、その更新をもって抵当権者や買受人に対抗することはできません。