平成24年度 宅地建物取引主任者資格試験 問7
権利関係抵当権・担保物権
物上代位に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。なお、物上代位を行う担保権者は、物上代位の対象とする目的物について、その払渡し又は引渡しの前に差し押さえるものとする。
解答・解説
正解: 1. Aの抵当権設定登記があるB所有の建物の賃料債権について、Bの一般債権者が差押えをした場合には、Aは当該賃料債権に物上代位することができない。
正解の根拠
正解は 選択肢1 です。
物上代位権を行使するためには、原則として払渡しまたは引渡しの前に 差押え をする必要があります(民法304条1項)。抵当権に基づく物上代位権の行使としての差押えと、一般債権者による差押えが競合した場合の優劣は、抵当権設定登記 と一般債権者の差押命令の第三債務者への 送達 の先後によって決まります(最判平10.3.26)。
本肢では「Aの抵当権設定登記がある」建物の賃料債権に対して、その後に一般債権者が差押えをしているため、Aは一般債権者に優先して物上代位することができます。
各選択肢の解説
- 選択肢1:誤り(正解)
上記の通り、抵当権設定登記がなされている建物の賃料債権に対しては、一般債権者が差押えをした後であっても、抵当権者はその賃料債権に物上代位することができます。したがって、「物上代位することができない」とする本肢は誤りです。 - 選択肢2:正しい
抵当権者は、抵当不動産に対する競売手続(抵当権の実行)が開始された後であっても、買受人が代金を納付して所有権を取得し抵当権が消滅するまでの間に生じる賃料債権に対して、物上代位することができます(最判平13.3.13)。 - 選択肢3:正しい
火災保険契約に基づく 損害保険金請求権 は、抵当目的物の滅失等によって債務者が受けるべき金銭にあたり、建物の価値代替物といえるため、抵当権者はこれに物上代位することができます。 - 選択肢4:正しい
抵当権者は、原則として抵当権設定者が取得する賃料債権に対しては物上代位できますが、抵当不動産の賃借人が転貸した場合の 転貸賃料債権 (転借人に対する債権)に対しては、抵当権設定者の賃料債権と同視できるような特段の事情がない限り、物上代位することはできません(最判平12.4.14)。