「契約の成立・解除」の過去問(権利関係・25問)
1. この分野は何か
契約が成立した後、一方が約束を破った(債務不履行)場合などに、契約を白紙に戻すことを「解除」といいます。本分野では、解除するための要件(催告が必要か不要か)や解除後の原状回復義務、および、債務不履行がなくても相手方が履行に着手するまでは理由なしで契約をキャンセルできる「手付解除」のルールを学びます。
2. 学習のポイント
- 催告解除と無催告解除:相手が約束を破ったからといって、いきなり契約を解除できるわけではありません。原則として「相当の期間を定めて催告(早くやってくれと請求)」し、それでもやらない場合に初めて解除できます(催告解除)。ただし、履行不能(家が燃えて引き渡せない等)のように、催告しても無駄な場合は、催告なしで直ちに解除できます(無催告解除)。
- 手付解除のルール:売買契約を結ぶ際に「手付金」を交付した場合、買主は「手付金を放棄」し、売主は「手付金の倍額を現実に提供」することで、理由を問わず契約を解除できます。ただし、相手方が「契約の履行に着手」した後は、この手付解除はできなくなります。
- 解除と第三者:AがBに家を売り、Bが代金を払わないのでAが契約を解除したとします。しかし、解除する前にBがCに家を転売していた場合、AはCから家を取り戻せるでしょうか?この場合、Cが「登記を備えていれば」Cの勝ち、「登記がなければ」Aの勝ちとなります(解除前の第三者は登記の有無で勝敗が決まります)。
3. 実際の出題のされ方
宅建試験では、「手付」に関する問題が毎年のように単独で出題されるほか、「債務不履行による解除」が他のテーマ(物権変動や売買)と絡めて出題されます。
特に手付解除については、「売主が契約の履行に着手した場合、買主は手付解除できるか?」という問題が頻出です。手付解除をブロックできるのは「相手方」が履行に着手した時です。自分がどれだけ準備を進めていても、相手方がまだ準備をしていなければ、自分から手付解除することは可能です。
4. 間違えやすいところ
債務不履行が「軽微」な場合の解除
2020年の民法改正により、債務不履行が「その契約及び取引上の社会通念に照らして軽微であるとき」は、契約を解除することができない旨が明文化されました。
手付解除と損害賠償請求
手付解除(買主の手付放棄や売主の倍額償還)を行った場合、それに伴って「別途損害賠償を請求すること」はできません。手付金そのものがキャンセルの対価としての役割を果たしているからです。一方、債務不履行を理由とする解除の場合は、解除とともに損害賠償を請求することが可能です。
- 2024年度(R6) 問4 Aを売主、Bを買主として甲土地の売買契約(以下この問において「本件契約」という。)が締結された直後にAが死亡し、CがAを…
- 2024年度(R6) 問8 次の記述のうち、民法の条文として規定されていないものはどれか。…
- 2021(R3)12月 問8 AはBに対して、Aが所有する甲土地を1,000万円で売却したい旨の申込みを郵便で令和3年7月1日に発信した(以下この問に…
- 2021(R3)12月 問9 AがBに対してA所有の甲建物を令和3年7月1日に①売却した場合と②賃貸した場合についての次の記述のうち、民法の規定及び判…
- 2021(R3)10月 問1 次の1から4までの記述のうち、民法の規定、判例及び下記判決文によれば、正しいものはどれか。 (判決文) 賃貸人は、特別の…
- 2020(R2)10月 問3 次の1から4までの契約に関する記述のうち、民法の規定及び下記判決文によれば、誤っているものはどれか。なお、これらの契約は…
- 2015年度(H27) 問8 同時履行の抗弁権に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはいくつあるか。 ア マンションの賃貸借契…
- 2010年度(H22) 問 9 契約の解除に関する次の1から4までの記述のうち、民法の規定及び下記判決文によれば、誤っているものはどれか。 (判決文) …
- 2009年度(H21) 問8 売主Aは、買主Bとの間で甲土地の売買契約を締結し、代金の3分の2の支払と引換えに所有権移転登記手続と引渡しを行った。その…
- 2007年度(H19) 問10 平成19年9月1日にA所有の甲建物につきAB間で売買契約が成立し、当該売買契約において同年9月30日をもってBの代金支払…
- 2006年度(H18) 問8 AはBとの間で、土地の売買契約を締結し、Aの所有権移転登記手続とBの代金の支払を同時に履行することとした。決済約定日に、…
- 2005年度(H17) 問8 Aは、自己所有の甲地をBに売却し、代金を受領して引渡しを終えたが、AからBに対する所有権移転登記はまだ行われていない。こ…
- 2005年度(H17) 問9 売買契約の解除に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。…
- 2004年度(H16) 問9 AはBに甲建物を売却し, AからBに対する所有権移転登記がなされた。 AB間の売買契約の解除と第三者との関係に関する次の…
- 2003年度(H15) 問9 同時履行の関係に関する次の記述のうち, 民法の規定及び判例によれば, 誤っているものはどれか。…
- 2002年度(H14) 問8 Aは, A所有の土地を, Bに対し, 1億円で売却する契約を締結し, 手付金として1,000万円を受領した。Aは, 決済…
- 1999年度(H11) 問8 同時履行の抗弁権に関する次の記述のうち, 民法の規定及び判例によれば, 誤っているものはどれか。…
- 1998年度(H10) 問8 Aが, Bに建物を3,000万円で売却した場合の契約の解除に関する次の記述のうち, 民法の規定及び判例によれば, 誤って…
- 1996年度(H8) 問9 〔問 9〕 Aが、B所有の建物を代金8,000万円で買い受け、即日3,000万円を支払った場合で、残金は3ヵ月後所有権移…
- 1996年度(H8) 問11 AがBに対し, A所有の建物を売り渡し, 所有権移転登記を行ったが, まだ建物の引渡しをしていない場合で, 代金の支払い…
- 1994年度(H6) 問6 Aは, Bから土地建物を購入する契約(代金5,000万円, 手付300万円, 違約金1,000万円)を, Bと締結し, …
- 1993年度(H5) 問 7 Aがその所有する土地建物をBに売却する契約をBと締結したが、その後Bが資金計画に支障を来し、Aが履行の提供をしてもBが残…
- 1992年度(H4) 問8 居住用不動産の売買契約の解除又は取消しに関する次の記述のうち, 民法の規定及び判例によれば, 正しいものはどれか。…
- 1990年度(H2) 問8 契約の解除に関する次の記述のうち, 民法の規定によれば, 誤っているものはどれか。…
- 1989年度(H1) 問9 A所有の家屋につき, Aを売主, Bを買主とする売買契約が成立した。この場合, 民法の規定によれば, 次の記述のうち正し…