平成元年度宅地建物取引主任者資格試験 問9

A所有の家屋につき, Aを売主, Bを買主とする売買契約が成立した。この場合, 民法の規定によれば, 次の記述のうち正しいものはどれか。

解答・解説

正解: 4. 家屋の所有権移転登記が完了し, 引渡し期日が過ぎたのに, Aがその引渡しをしないでいたところ, その家屋が類焼によって滅失した場合, Bは, 契約を解除することができる。

正解は 選択肢4 です。

売買契約の目的物の引渡しや危険負担、債務不履行(履行不能・履行遅滞)に関する民法の規定を問う問題です。

各選択肢の解説

  • 選択肢1:誤り
    出題当時の民法(旧534条1項の債権者主義)では、引渡し前に売主の責めに帰すことができない事由(天災など)で目的物が滅失した場合でも、その危険は買主Bが負担し、売主Aは代金を請求することができました。したがって「請求することができない」とする本肢は誤りです。

  • 選択肢2:誤り
    出題当時の民法(旧534条1項の債権者主義)では、引渡し前に売主の責めに帰すことができない事由(放火など)で家屋が半焼した場合でも、その危険は買主Bが負担し、代金の減額を請求することはできませんでした。したがって本肢は誤りです。

  • 選択肢3:誤り
    売主Aの失火(過失)によって家屋が焼失した場合、Aの責めに帰すべき事由による 履行不能 (債務不履行)となります。この場合、買主Bが契約を 解除 することによって初めて契約は効力を失います。滅失した瞬間に自動的に(当然に)契約が失効するわけではありません。

  • 選択肢4:正しい
    引渡し期日を過ぎて売主Aが 履行遅滞 に陥っている間に、不可抗力(類焼など)によって目的物が滅失した場合、その滅失は債務者である売主Aの責めに帰すべき事由と評価されます。したがって、Aの債務不履行(履行不能)となり、買主Bは無催告で契約を 解除 することができます。

現行法での扱い(2026年4月1日時点)

出題当時は、引渡し前の天災等による滅失・損傷の危険は買主が負担するため、売主は代金全額を請求できました。しかし、2020年4月1日施行の民法改正(債権法改正)により、危険の移転は引渡し時となりました。これにより買主は代金の履行拒絶や代金減額などが可能になりますが、問題文だけでは要件が定まらず、正解が一つに定まりません。

Spineチーム