管理業務主任者 区分所有法 — 頻出論点と過去問
この分野の学び方
1. この分野の全体像
区分所有法は、分譲マンションなどの建物や敷地の権利関係と、区分所有者の団体の運営・再生の手続を定めた法律です。1棟の中で一人で持てる部分と全員で持つ部分の線が出発点にあり、全員で持つ部分を動かすために集会と規約の仕組みがあります。法人になること、違反者に訴えを起こすこと、建物を建て替えることは、いずれも集会の決議を通して進む手続です。
2. 配下の論点の案内
専有部分・共用部分・敷地:建物と土地のどの部分が誰の権利に属するかという、すべての論点の出発点に位置づけられます。設備や部屋が専有部分と共用部分のどちらに当たるか、また敷地利用権や持分の処分にどのような制限があるかを、法律の条文と最高裁判所の判例に照らして判定させる問いが出ています。
管理者・集会・決議:共用部分や敷地を管理する団体の意思決定と管理者の仕組みを扱い、他の論点で登場する各種決議の共通ルールとなります。集会の招集通知の手続や決議の定数の計算、規約で要件を変更できる範囲について、具体的な事例や標準管理規約との比較表を用いて正誤を問う問題が出されています。
規約の設定・変更と効力:法律の原則を各マンションの実情に合わせて修正する自治規範のルールを扱います。法律の規定のうち規約で別段の定めができないものを選ばせる問題と、駐車場使用料の増額などの規約変更が一部の区分所有者に「特別の影響」を及ぼすかを判例に照らして考えさせる問題があります。
管理組合法人:区分所有者の団体が登記によって法人格を得た場合の組織と責任の仕組みで、法人でない管理組合との対比が軸になります。理事や監事の任期・代表権、法人成立前の行為の効力、法人の債務に対する区分所有者の責任について、適切な記述や誤っている記述を選ばせる問いが出ています。
義務違反者への措置・罰則:共同の利益に反する行為への差止めや使用禁止、競売、引渡し請求と、管理者や議長などに対する過料の制裁を扱います。違反者が区分所有者か占有者かによって異なる請求手続や事前の弁明の機会の要否、過料の対象となる義務違反の該当性を判断させる問題が出題されています。
復旧・建替え:災害等で建物の一部が滅失した場合の復旧と、老朽化等に伴う1棟の建替えの手続を扱います。建物の価格の半分を超える滅失や復旧の手続について誤った記述を選ぶ問題と、建替えの決議の後で売渡し請求の相手になる人を選ぶ問題があります。
団地:複数の建物が土地や附属施設を共有する場合の団体と、団地特有の建替え手続を扱う応用論点です。どの建物の間で団地関係が成立するかを配置図から読み取らせる問題や、団地内の建替え承認決議と一括建替え決議の成立要件を比較させる問題が出されています。
3. 学習の順序の提案
専有部分・共用部分・敷地は、ほかの論点が数える議決権の出どころです。共用部分の持分の割合が、規約に別段の定めがなければ、そのまま集会の議決権の割合になります。
管理者・集会・決議と規約の設定・変更と効力は、続けて学ぶ組です。規約は原則として集会の決議で作られ、集会の手続の一部は規約で変えられるので、一方の知識がもう一方の前提になります。令和7年の改正(2026年4月施行)で決議の数え方が変わったので、改正前に出た問題の決議の要件は、今の条文と同じではありません。
管理組合法人と義務違反者への措置・罰則は、その次に来ます。法人になる決議も、使用禁止や競売の訴えを決める決議も、集会の決議の一つです。復旧・建替えも同じ決議の仕組みの上にあり、団地は1棟の建物の規定の多くを準用して組み立てられているため、最後に置かれます。
4. 分野をまたいで間違えやすいところ
同じ「理事」でも、管理組合法人の理事と、隣の分野の標準管理規約の理事では、立っている場所が違います。前者は区分所有法が置く法人の機関で、法人を代表します。後者は法人でない管理組合の役員で、その中から選ばれた理事長が区分所有法の管理者に当たります。
専有部分・共用部分・敷地の共用部分の変更と、規約の設定・変更と効力の規約の変更は、どちらにも「特別の影響」と承諾の話が出てきますが、影響を受けるものが違います。共用部分の変更で見るのは専有部分の使用への影響で、承諾するのはその専有部分の所有者です。規約の変更で見るのは一部の区分所有者の権利への影響で、承諾するのはその区分所有者です。
持分のもとになる床面積の測り方は、専有部分・共用部分・敷地で学ぶ区分所有法と、隣の分野の標準管理規約で違います。区分所有法は壁の内側の線で測るのを原則とし、規約で別の定めを置くこともできます。標準管理規約はそのコメントで、壁の中心線で測る方法を基準にしています。
建替えの手続は、復旧・建替えと隣の分野の建替え円滑化法・被災マンション法にまたがります。区分所有法が受け持つのは、建て替えるかどうかの決議と、参加しない人への売渡し請求までです。その後に組合を作って事業を進める手続は、もう一方の分野の法律の決まりです。
区分所有法の理解度チェック
区分所有法の過去問一覧
- 2025年度(R7) 問25 区分所有法に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。…
- 2025年度(R7) 問26 次に掲げるもののうち、区分所有法及び判例によれば、法定共用部分はいくつあるか。 ア 区分所有建物の一住戸を区分所有者全員…
- 2025年度(R7) 問27 集会に関する次の記述のうち、区分所有法によれば、最も適切なものはどれか。…
- 2025年度(R7) 問28 区分所有法第71条の罰則規定に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。…
- 2025年度(R7) 問38 マンションに関する次の記述のうち、区分所有法及び最高裁判所の判決によれば、最も不適切なものはどれか。…
- 2024年度(R6) 問2 マンションに関する次の記述のうち、民法、区分所有法及び判例によれば、最も適切なものはどれか。…
- 2024年度(R6) 問25 区分所有者が、その所有する住戸を賃貸している場合に関する次の記述のうち、民法及び区分所有法によれば、不適切なものの組合せ…
- 2024年度(R6) 問26 旧法 1棟の区分所有建物が、災害により、その価格の2分の1を超える部分が滅失した場合に関する次の記述のうち、区分所有法によれば…
- 2024年度(R6) 問27 マンションの共用部分に関する次の記述のうち、区分所有法によれば、不適切なものはいくつあるか。ただし、規約に別段の定めはな…
- 2024年度(R6) 問28 A棟、B棟及びC棟の3棟からなる団地に関する次の記述のうち、区分所有法によれば、最も適切なものはどれか。…
- 2024年度(R6) 問38 マンションに関する次の記述のうち、最高裁判所の判決によれば、適切なものはいくつあるか。 ア 管理人室と管理事務室が一体と…
- 2023年度(R5) 問26 集会の招集通知に関する次の記述のうち、区分所有法によれば、不適切なものはいくつあるか。 ア 夫婦共有住戸で夫が議決権行使…
- 2023年度(R5) 問29 甲マンションの住戸101号室をA、B、Cの3人が共有し、住戸102号室を所有者に無断でDが占有している場合に関する次の記…
- 2023年度(R5) 問31 旧法 総住戸数60の甲マンションで、管理組合を管理組合法人にするための集会に関する次の記述のうち、民法及び区分所有法によれば、…
- 2023年度(R5) 問32 管理組合が管理組合の運営において、電磁的記録及び電磁的方法を採用する場合に関する次の記述のうち、区分所有法によれば、最も…
- 2023年度(R5) 問33 団地内建物の建替え決議に関する次の記述のうち、区分所有法によれば、不適切なものはいくつあるか。 ア 団地内建物の建替え決…
- 2023年度(R5) 問34 管理組合法人に関する次の記述のうち、区分所有法によれば、不適切なものはいくつあるか。 ア 規約で、数人の理事のみが共同し…
- 2023年度(R5) 問37 管理規約違反行為、使用細則違反行為又は義務違反行為に関する次の記述のうち、区分所有法及び標準管理規約(単棟型)によれば、…
- 2023年度(R5) 問38 マンションの分譲業者が、区分所有者に対して、建物の専有部分の区分所有権、共用部分の共有持分及び敷地の共有持分を分譲したが…
- 2022年度(R4) 問29 旧法 マンションの管理規約の定めに関する次の記述のうち、区分所有法によれば、不適切なものはいくつあるか。 ア 管理組合法人の理…
- 2022年度(R4) 問34 マンションの規約の保管に関する次の記述のうち、区分所有法によれば、最も不適切なものはどれか。…
- 2022年度(R4) 問35 借地上のマンションに関する次の記述のうち、民法及び区分所有法によれば、最も適切なものはどれか。…
- 2022年度(R4) 問36 集会及び集会招集通知に関する次の記述のうち、区分所有法によれば、最も適切なものはどれか。…
- 2022年度(R4) 問38 団地関係に関する次の図についての各記述のうち、区分所有法によれば、最も不適切なものはどれか。…
- 2022年度(R4) 問39 次の記述のうち、判例によれば、適切なものはいくつあるか。 ア 区分所有者の団体のみが共用部分から生ずる利益を収取する旨を…
- 2021年度(R3) 問32 共用部分及びその持分等に関する次の記述のうち、区分所有法の規定によれば、最も不適切なものはどれか。…
- 2021年度(R3) 問33 旧法 共用部分の変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除く。)又は規約の変更を集会で決議する場合に関する次の記述の…
- 2021年度(R3) 問34 区分所有法の規定によれば、建替え決議が可決した後、建替えに参加するか否かの催告期間が終了するまでの間に、次の行動をとった…
- 2021年度(R3) 問35 管理組合法人に関する次の記述のうち、区分所有法の規定によれば、最も不適切なものはどれか。…
- 2021年度(R3) 問37 次に掲げるもののうち、区分所有法第4条第2項の規定により規約共用部分とすることができるものは、どれか。…
- 2021年度(R3) 問39 次の記述のうち、判例によれば、適切なものはいくつあるか。 ア 特定の専有部分の排水を階下の専有部分の天井裏の枝管を通じて…
- 2020年度(R2) 問29 旧法 集会に関する次の記述のうち、区分所有法の規定によれば、正しいものはいくつかあるか。 ア 集会は、会日より少なくとも1週間…
- 2020年度(R2) 問30 甲マンションの管理組合の総会の招集通知に関する次の記述のうち、区分所有法及び標準管理規約の定めによれば、最も適切なものは…
- 2020年度(R2) 問32 総会に出席することができる者に関する次の記述のうち、区分所有法及び標準管理規約の定めによれば、最も不適切なものはどれか。…
- 2020年度(R2) 問33 区分所有法に規定する管理組合法人及び標準管理規約に定める管理組合に関する次の1~4の記述の組合せのうち、誤りが含まれてい…
- 2020年度(R2) 問34 共用部分に関する次の記述のうち、区分所有法の規定によれば、誤っているものはどれか。…
- 2020年度(R2) 問35 敷地に関する次の記述のうち、区分所有法の規定によれば、正しいものはどれか。…
- 2020年度(R2) 問36 管理所有に関する次の記述のうち、区分所有法の規定によれば、正しいものはどれか。…
- 2020年度(R2) 問37 区分所有者の責任に関する次の記述のうち、区分所有法の規定によれば、正しいものはどれか。なお、規約に別段の負担割合の定めは…
- 2020年度(R2) 問38 公正証書による原始規約(以下、本問において「本件規約」という。)の設定に関する次の記述のうち、区分所有法の規定によれば、…
- 2019年度(R1) 問35 区分所有法第71条の罰則規定に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。…
- 2019年度(R1) 問37 次の事項のうち、区分所有法の規定によれば、規約で別段の定めをすることができないものはどれか。…
- 2019年度(R1) 問38 管理組合法人に関する次の記述のうち、区分所有法の規定によれば、誤っているものはどれか。…
- 2019年度(R1) 問39 次のア~エの文を正しく並べると、理事長の解任に関する最高裁判所の判決文の一部となるが、正しい順番に並べたものは1~4のう…
- 2019年度(R1) 問41 マンションの損害保険に関する次の記述のうち、区分所有法、地震保険に関する法律及び標準管理規約(単棟型)によれば、最も不適…
- 2018年度(H30) 問29 地震等の災害時に備えて管理組合が共用部分の工事を行う場合の次の記述のうち、区分所有法の規定及び標準管理規約によれば、集会…
- 2018年度(H30) 問33 次の表は、各項目について、A欄には区分所有法の原則的な内容、B欄には標準管理規約の原則的な内容をそれぞれ記載したものであ…
- 2018年度(H30) 問34 区分所有法第8条に規定される特定承継人の責任に関する次の記述のうち、民法及び区分所有法の規定によれば、誤っているものの組…
- 2018年度(H30) 問35 マンションにおける平穏な居住環境の維持を目的として、暴力団員(暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律第2条第6号に…
- 2018年度(H30) 問36 1棟の区分所有建物の復旧に関する次の記述のうち、区分所有法の規定によれば、誤っているものはどれか。…
- 2017年度(H29) 問1 A、B及びCは、マンション(マンション管理適正化法第2条第1号に規定するものをいう。以下同じ。)の一住戸を共有しており、…
- 2017年度(H29) 問29 区分所有者の承諾を得て専有部分を占有する者(以下、本問において「占有者」という。)の集会(総会)への出席に関する次の記述…
- 2017年度(H29) 問30 管理組合法人に関する次の記述のうち、区分所有法の規定によれば、誤っているものはどれか。…
- 2017年度(H29) 問34 区分所有法の規定によれば、規約による建物の敷地に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。…
- 2017年度(H29) 問36 専有部分と敷地利用権との分離処分等に関する次の記述のうち、民法及び区分所有法の規定によれば、誤っているものはどれか。…
- 2017年度(H29) 問37 旧法 集会の招集及び決議に関する次の記述のうち、区分所有法の規定によれば、誤っているものはどれか。ただし、規約に別段の定めはな…
- 2017年度(H29) 問38 管理組合法人に関する次の記述のうち、区分所有法の規定によれば、誤っているものはどれか。…
- 2017年度(H29) 問39 旧法 次の文章は、団地内の区分所有建物の建替えに関する事件についての最高裁判所の判決の一部である。その文中の( ア )〜( エ…
- 2016年度(H28) 問4 甲マンションの一住戸乙(以下、本問において「乙」という。)を数人が共有する場合に関する次の記述のうち、民法及び建物の区分…
- 2016年度(H28) 問33 旧法 次のうち、区分所有法によれば、規約に定めることのできないものはどれか。…
- 2016年度(H28) 問34 マンションの専有部分及び専用使用権に関する次の記述のうち、区分所有法、標準管理規約及び判例によれば、最も不適切なものはど…
- 2016年度(H28) 問36 区分所有者の団体に関する次の記述のうち、区分所有法の規定によれば、誤っているものはどれか。…
- 2016年度(H28) 問37 管理者でない区分所有者Aが、単独で行使できる裁判上の請求に関する次の記述のうち、民法及び区分所有法によれば、請求が認めら…
- 2016年度(H28) 問38 旧法 次の記述のうち、区分所有法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。…
- 2016年度(H28) 問39 以下のア〜ウの記述は、最高裁判所の判決又は決定の一部に若干の修正をしたものであるが、( a )〜( c )に入る用語の組…