「定期借地権・定期建物賃貸借」の過去問(権利関係・19問)
1. この分野は何か
通常の借地・借家契約(普通借地、普通借家)は、一度貸すと「正当事由」がない限り永遠に更新され、大家さんが土地や建物を取り戻すのが非常に困難でした。これでは貸し渋りが起きてしまうため、「契約期間が来たら、絶対に更新されずに必ず返してもらえる」という特別な契約形態が作られました。それが「定期借地権」と「定期建物賃貸借(定期借家)」です。
宅建試験では、普通借地・借家との違いや、要件(期間や書面)を正確に比較できるかが問われます。
2. 学習のポイント
1. 3つの定期借地権
- 一般定期借地権:存続期間は50年以上。利用目的は問わない。契約は書面(公正証書でなくてもよい)で行う。「更新しない」「建物の築造による存続期間の延長がない」「建物買取請求権をしない」という3つの特約を定める。
- 事業用定期借地権等:もっぱら事業の用(居住用は不可)に供する建物の所有を目的とする。存続期間は「10年以上30年未満」または「30年以上50年未満」。契約は必ず公正証書で行わなければならない。
- 建物譲渡特約付借地権:借地権を設定して30年以上経過した日に、地主が借地上の建物を買い取る(譲渡する)ことで借地権が消滅する契約。契約方法に制限はない(口頭でも可)。
2. 定期建物賃貸借(定期借家)
アパートなどを「期間満了で必ず退去してもらう」契約です。
存続期間に制限はありません(1年未満も可)。必ず書面(公正証書でなくてもよい)で契約しなければなりません。
最大の特徴は、契約締結の前に、大家さんが借主に対し「更新がなく、期間満了により終了する」旨を記載した書面を交付して説明しなければならない点です(これを怠ると、単なる普通借家契約になってしまいます)。
3. 実際の出題のされ方
宅建試験では、普通借地借家と定期借地借家を混同させる引っかけ問題が毎年出題されます。
「書面」に関する引っかけが超頻出です。
「一般定期借地権は公正証書で契約しなければ効力を生じない」(正解:誤り。公正証書でなくても、普通の書面でOK。公正証書が必須なのは「事業用」定期借地権だけです)。
「定期建物賃貸借契約は、必ず公正証書によってしなければならない」(正解:誤り。普通の書面でOKです)。
また、定期借家における「期間満了時の通知」もよく問われます。契約期間が「1年以上」の定期借家の場合、大家さんは期間満了の1年前から6ヶ月前までの間に、「契約が終わりますよ」と借主に通知(終了通知)しなければ、期間満了で追い出すことができません(通知を忘れていた場合、通知した日から6ヶ月経てば追い出せます)。
4. 間違えやすいところ
事業用定期借地権の「居住用」制限
事業用定期借地権は、社長の社宅や、従業員の社員寮を建てる目的では設定できません(これらは「居住用」とみなされるため)。純粋な店舗や工場などでなければなりません。
定期借家の中途解約
定期借家は、原則として期間中の解約はできません。しかし、特例として「床面積が200㎡未満の居住用建物」について、「転勤、療養、親族の介護など、やむを得ない事情」により借主が生活の本拠として使用できなくなった場合は、借主から中途解約を申し入れることができます(解約申し入れから1ヶ月後に終了)。
取壊し予定の建物の賃貸借
法令や契約により、近い将来取り壊すことが確実な建物を賃貸する場合、「建物を取り壊す時に賃貸借契約も終了する」という特約を結ぶことができます。この特約は、定期借家とは別の制度であり、取り壊すべき事由を記載した書面で契約する必要があります。
- 2025年度(R7) 問11 AがBとの間で、A所有の甲土地につき建物の所有を目的として一時使用目的ではない賃貸借契約(以下この問において「本件契約」…
- 2024年度(R6) 問12 賃貸人Aと賃借人Bとが、居住目的で期間を3年として、借地借家法第38条の定期建物賃貸借契約(以下この問において「契約①」…
- 2022年度(R4) 問12 Aは、B所有の甲建物(床面積 100 m²)につき、居住を目的として、期間2年、賃料月額 10万円と定めた賃貸借契約(以…
- 2021(R3)10月 問11 Aは、所有している甲土地につき、Bとの間で建物所有を目的とする賃貸借契約(以下この問において「借地契約」という。)を締結…
- 2020(R2)10月 問12 AとBとの間でA所有の甲建物をBに対して、居住の用を目的として、期間2年、賃料月額10万円で賃貸する旨の賃貸借契約(以下…
- 2019年度(R1) 問11 甲土地につき、期間を50年と定めて賃貸借契約を締結しようとする場合(以下「ケース①」という。)と、期間を15年と定めて賃…
- 2018年度(H30) 問12 AとBとの間で、Aが所有する甲建物をBが5年間賃貸する旨の契約を締結した場合における次の記述のうち、民法及び借地借家法の…
- 2015年度(H27) 問12 賃貸人と賃借人との間で、建物につき、期間5年として借地借家法第38条に定める定期借家契約(以下「定期借家契約」という。)…
- 2014年度(H26) 問12 借地借家法第38条の定期建物賃貸借(以下この問において「定期建物賃貸借」という。)に関する次の記述のうち、借地借家法の規…
- 2013年度(H25) 問11 Aは、A所有の甲建物につき、Bとの間で期間を10年とする借地借家法第38条第1項の定期建物賃貸借契約を締結し、Bは甲建物…
- 2012年度(H24) 問12 A所有の居住用建物(床面積50 ㎡)につき、Bが賃料月額10 万円、期間を2年として、賃貸借契約(借地借家法第38条に規…
- 2011年度(H23) 問12 Aが所有する甲建物をBに対して賃貸する場合の賃貸借契約の条項に関する次の記述のうち、民法及び借地借家法の規定によれば、誤…
- 2010年度(H22) 問11 借地借家法第23条の借地権(以下この問において「事業用定期借地権」という。)に関する次の記述のうち、借地借家法の規定によ…
- 2008年度(H20) 問 14 借地借家法第38条の定期建物賃貸借(以下この問において「定期建物賃貸借」という。)に関する次の記述のうち、民法及び借地借…
- 2007年度(H19) 問14 借地借家法第38条の定期建物賃貸借(以下この問において「定期建物賃貸借」という。)と同法第40条の一時使用目的の建物の賃…
- 2003年度(H15) 問14 平成15年10月に新規に締結しようとしている、契約期間が2年で、更新がないこととする旨を定める建物賃貸借契約(以下この問…
- 2000年度(H12) 問11 Aを賃借人, Bを賃貸人としてB所有の土地に建物譲渡特約付借地権を設定する契約(その設定後30年を経過した日に借地上の建…
- 1995年度(H7) 問12 次の記述のうち, 借地借家法の規定によれば, 正しいものはどれか。…
- 1990年度(H2) 問9 Aは, その所有する建物を明らかな一時使用(期間2年)のためBに賃貸したが, Bは期間満了後も居住を続け, Aもその事実…