IPA 顧客関係・プロモーション — 頻出論点と過去問

頻出論点

1. この分野は何か

見込み客がどこで商品を知り、どの段階で営業担当者と会い、買ったあとどれだけ長く付き合いが続くかに沿って、企業は情報システムと広告の打ち方を使い分けています。一人の客が長い付き合いの間にもたらす利益や、広告に使ったお金に対する売上の大きさは、それぞれ一つの数値に直して比べられます。

2. 実際の出題のされ方

顧客情報を管理して営業や販売促進を支援する仕組みについては、業務の目的に合うシステムを選ばせる問いや用語の定義を問う出題があります。営業活動で入手した顧客の属性情報や交渉履歴を社内で蓄積・共有するシステムを選ぶ問題と、マーケティングオートメーション(MA)に関する適切な記述を選ぶ問題は、ITパスポートの側から業務の目的と仕組みの対応を問うものです。応用情報技術者の午前には、SFAの説明を選ぶ問題と、ワントゥワンマーケティングを実現する統合的なソリューションを選ぶ問題があります。

顧客との関わり方や個別のプロモーション手法に関しては、各手法の特徴や説明を他の概念と識別させる問いが中心です。応用情報技術者の午前では、B. H. シュミットが提唱したCEMにおけるカスタマーエクスペリエンスの説明を選ぶ問題や、コ・クリエーション戦略の特徴を選ぶ問題、顧客から得る同意の範囲を段階的に広げながらプロモーションを行う手法を選ぶ問題が出題されています。ITストラテジストの午前IIでは、コンテンツマーケティング、インバウンドマーケティング、コーズリレーテッドマーケティング、サービスプロフィットチェーンのそれぞれについて、説明や特徴を選ばせています。バイラルマーケティングの説明を選ぶ問題は、応用情報技術者の午前とITストラテジストの午前IIで、同じ用語を別の選択肢の組で問うています。

インターネット広告や顧客価値の評価については、広告配信の仕組みや効果検証、算出時の前提条件が問われます。リスティング広告に関する適切な記述を選ぶ問題がITパスポートで出たほか、ITストラテジストの午前IIではアドエクスチェンジの説明を選ぶ問題、自社Webサイトへの流入経路分析を行う目的を選ぶ問題、一人の顧客に関する顧客生涯価値を算出する際の考慮点を選ぶ問題まで問われます。

施策の成果や顧客から得られる価値を数値で求める計算問題も出題されています。応用情報技術者の午前の計算は、広告費と商品の販売単価・販売個数からROASを求めるものです。システム監査技術者の午前IIでは、年間顧客維持率・年平均売上高・売上高コスト比率から今後3年間のLTVを求めさせています。

3. 学習のポイント

顧客との関係を支える仕組みの名前は、商談に入る前の見込み客、商談の最中の営業活動、取引が始まった後の客との付き合いの、どこを受け持つかに対応しています。顧客生涯価値は、一人の客が取引を続ける間に企業にもたらす利益を足し合わせた額で、何を足し何を引くかは問題の条件に従います。

販売促進の手法どうしは、情報が企業から客へ流れるのか、客から客へ広がるのか、客の側が探しに来るのかという向きと、客の同意や社会貢献への共感のように何を手がかりに関係を深めるのかの二つの点で性格が違います。

インターネット広告の仕組みごとの違いは、広告を出す枠を誰がいつ決めるのかと、何に対して料金が発生するのかの二点に出ます。

4. 間違えやすいところ

CEM(顧客経験価値管理)におけるカスタマーエクスペリエンスの説明として、購入数量や支払金額などの数値で記録された購買履歴とする誤答肢がありました。購入数量や支払金額のような数値の記録は、CRMの仕組みで集計・分析される取引の実績データに当たります。

コ・クリエーション戦略の特徴として、顧客自身が考案したアイデアを具体的な製品仕様に落とし込み、企業側に製造を依頼する形態を挙げた誤答肢がありました。顧客が決めた仕様どおりに企業が作る形は、受託製造やカスタマイゼーションに近い取引です。

自社Webサイトへの流入経路分析を行う目的として、訪問者がページ内のどの箇所を注視しているかを把握するためとする誤答肢がありました。画面のどこに視線やクリックが集まるかを見るのは、ヒートマップ分析の役目です。

広告費と商品の売上実績からROAS(広告費用対効果)を求める問題で、広告費を売上高で割った百分率を置いた誤答肢がありました。広告費を売上高で割った割合は、売上高広告費比率と呼ばれる別の指標です。

年間顧客維持率や年平均売上高から今後3年間のLTVを求める問題で、取引の初年度にあたる1年目から年間顧客維持率を掛けて計算した誤答肢がありました。1年目から維持率を乗じた値は、対象期間が始まった時点でいきなり一定割合の顧客が離脱したとみなす計算になってしまい、初年度に在籍している顧客から得られる利益を過小に算出することになります。

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