IPA 経営理念・組織・ガバナンス — 頻出論点と過去問

頻出論点

1. この分野は何か

会社という組織は、目的を掲げる人、それを事業の計画に落とす人、実際に働く人、その判断を外から見張る人が分かれて成り立っています。この分野の用語の多くは、その役割分担のどこに当たる取り決めかを表しています。

2. 実際の出題のされ方

企業の方針の階層や組織編成のあり方は、用語の定義から具体的な部門構成の事例まで問われます。組織の型については、名前から中身を選ぶ問題と、部門の構成の事例から型を選ぶ問題の両方があります。ITパスポートの問題には、ミッション・ビジョン・バリューのうちビジョンとして示す内容、事業部制組織の事例、意思決定の迅速化と独立採算の推進を目的に事業領域ごとに独立した組織を置く形態を選ぶものがあります。応用情報技術者の午前には、ピラミッドを形成する経営理念・経営戦略・事業戦略の関係性について適切な記述、事業部制組織の特徴、国や地方公共団体が環境に配慮した製品やサービスを選ぶ取組の名前を選ぶ問題があります。

企業統治や社会・環境への責任に関しては、施策の適否や類似する概念との識別が問われます。コーポレートガバナンスについては、ITパスポートで、説明を選ぶ問題、強化した事例を選ぶ問題、有効な施策だけを全て挙げた組合せを選ぶ問題が出ています。あわせて、ISO 26000で定められている企業が果たすべき社会的責任を表す用語を選ぶ問題や、プロジェクトマネージャの午前IIでSDGsの説明を選ぶ問題が出ました。

組織理論や知識創造の枠組みは、理論の定義やプロセスの段階を指定して問われます。システム監査技術者の午前IIでコンティンジェンシー理論の説明を選ぶ問題が出題されたほか、ITストラテジストの午前IIでは、SECIモデルの4つのプロセスについて、知識の変換を述べた文に当たるプロセスを選ぶ問題と、プロセスを一つ示してその説明を選ぶ問題が出ています。

3. 学習のポイント

組織の型の名前には、利益の責任をどの単位に置くかが映っています。

SECIモデルは、個人の頭の中にある言葉にしにくい知識と、文書や図に表せる知識が、互いに形を変えながら個人から組織へ広がっていく過程を、4つの段階の循環で表します。段階の名前は、どちらの知識からどちらの知識へ変わるかの組を表しています。

企業が社会に対して負う責任を表す言葉と、国際的な目標や環境配慮の取組を表す言葉とでは、それを定めた主体と、向けられた相手が別々です。

4. 間違えやすいところ

戦略の達成度を測る業績管理指標を、企業の理念体系のうちビジョンに当たるものとした誤答肢がありました。目標の達成状況を数値で追跡する指標はKPIであり、理念体系を構成する要素ではありません。

事業部制組織の事例を選ぶ問題では、担当する地域と製品の双方の責任者から同時に指示を受ける働き方を示した誤答肢がありました。業務機能や地域と製品など2つの軸を組み合わせて複数の指揮命令系統をもつ編成は、マトリックス組織に当たります。

株式公開買付けを通じた他社買収を、コーポレートガバナンスの強化策に含める誤った記述がありました。市場外で株式を買い集めて対象企業の経営権を取得する手法はM&AにおけるTOBであり、自社の経営陣を監督・牽制する仕組みではありません。

コンティンジェンシー理論の説明を選ぶ問題では、災害などの緊急事態に備えた対応方針を事前に計画へ織り込んでおく考え方とする誤答肢がありました。不測の事態が発生した際の行動手順や体制をあらかじめ定めておく計画は、コンティンジェンシープランと呼ばれます。

SDGsの説明として、温室効果ガスの排出量と吸収量を地球規模で釣り合わせる取組とする誤答肢がありました。人為的な排出分から植林などによる吸収・除去分を差し引いて実質ゼロにする取組は、カーボンニュートラルを指します。

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