宅建 不法行為 — 頻出論点と過去問

頻出論点

1. この分野は何か

故意(わざと)または過失(不注意)によって他人の権利や利益を侵害し、損害を与えることを「不法行為」といいます。契約関係にない赤の他人同士で発生したトラブル(交通事故など)を解決し、被害者に損害賠償をさせるための基本ルールです。また、従業員が仕事中に起こした事故について会社が責任を負う「使用者責任」などの特殊ルールも学びます。

2. 学習のポイント

  • 損害賠償請求権の消滅時効:不法行為による損害賠償請求権は、原則として「被害者が損害および加害者を知った時から3年」または「不法行為の時から20年」で消滅時効にかかります。ただし、「人の生命・身体の侵害(ケガなど)」による損害賠償の場合は、被害者保護のため「知った時から5年」に延長されています(2020年民法改正)。
  • 過失相殺:被害者側にも不注意(過失)があった場合、裁判所は損害賠償の額を減らすことができます。債務不履行の場合は「過失相殺しなければならない(必要的)」ですが、不法行為の場合は「過失相殺することができる(任意的)」にとどまるという違いが重要です。
  • 使用者責任:従業員(被用者)が「事業の執行について」他人に損害を与えた場合、雇い主(使用者)も連帯して損害賠償責任を負います。被害者は、従業員と会社の両方に全額請求できます。会社が被害者に賠償した場合、会社は従業員に対して求償(立て替えた分を払えと請求)できますが、全額ではなく「信義則上相当と認められる限度」に限られます。

3. 実際の出題のされ方

宅建試験では頻出の分野です。「使用者責任(会社と従業員)」と「工作物責任(建物の欠陥)」の事例問題がよく出題されます。

「建物の壁が崩れて通行人がケガをした」という工作物責任のケースでは、まず占有者(借りている人)が責任を負いますが、占有者が「自分はしっかり管理していて過失がない」と証明できた場合は、所有者(貸主・大家)が責任を負います。そして、この所有者の責任は「無過失責任(過失がなくても絶対に責任を逃れられない)」である点がひっかけとしてよく出題されます。

4. 間違えやすいところ

胎児の権利能力
民法上、人は「生まれた時」から権利を持ちます。しかし、不法行為に基づく損害賠償請求(例えば、父親が交通事故で亡くなったことに対する慰謝料請求など)に関しては、胎児は「すでに生まれたものとみなす」という例外があり、権利を行使できます。

精神的苦痛(慰謝料)の請求
不法行為の損害賠償には、財産的損害だけでなく精神的苦痛に対する慰謝料も含まれます。他人の物を壊しただけでも、状況によっては慰謝料の請求が認められます。

相殺の禁止
「悪意(積極的に危害を加えようとする意図)による不法行為」や「人の生命・身体への不法行為」を行った加害者は、その損害賠償債務を「自分から相殺(受働債権として相殺)」することはできません。被害者から相殺を主張することは可能です。

不法行為の理解度チェック

不法行為の過去問一覧

不法行為の用語

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