平成13年度 宅地建物取引主任者資格試験 問10

権利関係不法行為

この問題は2001年度(H13)に出題されたものです。出題時点の法令・制度に基づく内容のため、現行の内容と一致しない場合があります。

本ページの問題文・選択肢は、原本の体裁を Web 表示用に正規化しています(改行・記号・表組みの調整)。設問の趣旨および正解に影響する変更は加えていません。

甲建物の占有者である(所有者ではない。)Aは, 甲建物の壁が今にも剥離しそうであると分かっていたのに, 甲建物の所有者に通知せず, そのまま放置するなど, 損害発生の防止のため法律上要求される注意を行わなかった。そのために, 壁が剥離して通行人Bが死亡した。この場合, Bの相続人からの不法行為に基づく損害賠償請求に関する次の記述のうち, 民法の規定及び判例によれば, 誤っているものはどれか。

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正解: 選択肢1

本問は、土地工作物責任(民法717条)および不法行為による損害賠償請求権の相続に関する問題です。誤っているものを選ぶ問題であり、正解は 選択肢1 です。本問は判例知識と条文知識の双方が問われています。

正解の根拠

不法行為により被害者が死亡した場合の損害賠償請求権について、判例は、即死の場合であっても受傷と死亡との間に観念上の時間的間隔があるとして、被害者本人に逸失利益等の損害賠償請求権が発生し、それが相続人に承継されると解しています。また、慰謝料請求権についても、被害者が生前に請求の意思を表明しなくても当然に相続されるとするのが判例です(最大判昭和42年11月1日)。したがって、即死の場合には損害賠償請求権を観念できず相続による承継はないとする選択肢1は誤りです。

各選択肢の解説

  • 選択肢1: 誤り。上記の通り、判例は即死の場合にも被害者本人に損害賠償請求権が発生し、相続人に承継されると解しています。「承継はない」とする本肢は判例に反します。
  • 選択肢2: 正しい。民法711条により、被害者の父母・配偶者・子は、被害者の死亡による自己の精神上の苦痛について、固有の権利として慰謝料を請求することができます。
  • 選択肢3: 正しい。民法717条1項により、土地の工作物の設置・保存の瑕疵によって他人に損害が生じた場合、第一次的には占有者が責任を負い、占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときに限り、所有者が第二次的に(無過失)責任を負います。本問では占有者Aが必要な注意を怠っているため、Aが責任を負い、所有者は責任を負いません。
  • 選択肢4: 正しい。民法717条3項により、損害の原因について他にその責任を負う者(本肢では壁の施工業者)があるときは、賠償をした占有者Aはその者に対して求償権を行使することができます。

以上より、誤っているものは選択肢1であり、これが正解です。