令和2年度 宅地建物取引士資格試験(12月実施) 問1
権利関係不法行為
この問題は2020(R2)12月に出題されたものです。出題時点の法令・制度に基づく内容のため、現行の内容と一致しない場合があります。
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不法行為(令和2年4月1日以降に行われたもの)に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。
解答・解説を読む
正解: 選択肢3
本設問は、不法行為に関する民法の規定および判例の理解を問う問題です。
誤っている選択肢は 3 です。
正解の根拠
選択肢3は、責任能力がない認知症患者が鉄道事故を起こした場合の損害賠償責任について述べています。
最高裁判所の判例(最判平成28年3月1日)によれば、責任無能力者と同居する配偶者であるからといって、直ちに民法714条1項の 法定の監督義務者 に該当するわけではありません。配偶者としての協力扶助義務はあくまで夫婦間の義務であり、第三者に対する監督義務を直接根拠づけるものではないとされています。
ただし、生活状況などを総合考慮し、監督義務を引き受けたとみられる 特段の事情 がある場合には、事実上の監督者として責任を負う余地はありますが、選択肢のように「法定の監督義務者として損害賠償責任を負う」と一律に断定することは誤りです。したがって、この選択肢が正解となります。
各選択肢の解説
- 選択肢1(正しい)
建物の建築に携わる設計者や施工者は、建物としての 基本的な安全性 が欠ける建物を設計し又は建築した場合、契約関係にない当該建物の居住者に対しても、不法行為に基づく損害賠償責任を負うことがあります(最判平成19年7月6日)。 - 選択肢2(正しい)
被用者が使用者の事業の執行について第三者に損害を与え、被用者自身が第三者に対してその損害を賠償した場合、被用者は、損害の公平な分担 という見地から相当と認められる額について、使用者に対して求償(いわゆる逆求償)することができます(最判令和2年2月28日)。 - 選択肢3(誤り)
上記の正解の根拠で述べた通り、同居する配偶者というだけで直ちに 法定の監督義務者 として損害賠償責任を負うわけではないため、誤りです。 - 選択肢4(正しい)
人の生命又は身体を害する不法行為による損害賠償請求権の消滅時効は、被害者又はその法定代理人が 損害及び加害者を知った時 から 5年間 行使しない場合、時効によって消滅します(民法724条の2)。