平成27年度 宅地建物取引士資格試験 問10

遺言及び遺留分に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。

解答・解説

正解: 4. 被相続人がした贈与が遺留分減殺請求により全部失効した場合、受贈者が贈与に基づいて目的物の占有を平穏かつ公然に20年間継続したとしても、その目的物を時効取得することはできない。

正解は 4 です。

出題当時の民法の下での判例によれば、被相続人がした贈与が 遺留分減殺請求 により全部失効した場合、受贈者が贈与に基づいて目的物の占有を平穏かつ公然に20年間継続したとしても、その目的物を 時効取得することはできない とされています。これは取得時効の成立を認めてしまうと、遺留分制度の趣旨が没却されてしまうためです。

各選択肢の解説

  • 選択肢1: 誤り。自筆証書遺言の内容を一部削除などの変更をする場合、遺言者がその場所を指示し、変更した旨を付記してこれに署名し、かつ、変更の場所に印を押さなければ効力は生じません。二重線を引いて押印するだけでは無効です。

  • 選択肢2: 誤り。判例によれば、押印は必ずしも自署の直下である必要はなく、遺言書の本文と離れた箇所であっても、遺言書と一体をなすものとして押印されていれば有効となる場合があります。

  • 選択肢3: 誤り。遺言執行者がある場合、相続人は相続財産の処分など遺言の執行を妨げる行為をすることができません。旧民法下の判例では、これに違反した処分行為は絶対的に無効となり、第三者に対しても無効となると解されていました。

  • 選択肢4: 正しい。上記の通り、出題当時は、遺留分減殺請求により贈与が失効した場合、受贈者はその目的物を時効取得することはできないとされていました。

現行法での扱い(2026年4月1日時点)

2019年7月施行の相続法改正で、遺留分の権利は贈与を失効させる減殺請求から金銭を請求する侵害額請求に変わり、贈与が失効することを前提とした選択肢4は現行法では誤りとなります。また、遺言執行者がいる場合の相続人による処分は、現行法では善意の第三者に対抗できないとされたため、選択肢3は第三者が善意かどうかで結論が変わり、問題文だけでは正誤が決まりません。そのため、現行法では正解が一つに定まりません。

Spineチーム