IPA EVM・実績に基づく予測 — 頻出論点と過去問

頻出論点

1. この分野は何か

作業が途中まで進んだ時点の出来高と使った費用から、このまま進むといくら掛かり、いつ終わるかを数字で見積もる分野です。EVM(アーンドバリューマネジメント)では、完了時の総額の見通しも、予算どおりに終えるために残りの作業で要る効率も、その時点までの出来高と使った費用をもとに計算されます。

2. 実際の出題のされ方

専門用語を使わずに、計画予算・期間と途中時点での完成本数や進捗率・実績コストから指標や完成時の予算超過額を算出させる問題が出ています。問題文で示した評価式に完成見込みの本数や完成分の計画コストを当てはめる計算と、今の生産性が続いたときの人件費の超過額を求める計算は、ITパスポートの問題に含まれます。

グラフのPV・AC・EVの3本の線の位置からコストと完了時期の見通しを選ぶ問題と、EV−PVEV - PV の符号が示す状況を選ぶ問題は、応用情報技術者の午前で問われています。また、工程ごとの工数比と期間比を示した作業配分モデルと途中工程までの実績日数から完了までの残り日数を求める計算や、表の数値から完成時総コスト見積り(EAC)を算出する問題も出題されています。

プロジェクトマネージャの午前IIでは、グラフから読み取った値で残作業効率指数(TCPI)を求める計算と、CPI・SPI・TCPIの値の組や、CPIが1.0を下回ったときの評価と対策を選ぶ問いがあります。あわせて、プロジェクトの成果やパフォーマンスの予測・分析に用いる回帰分析について適切な記述を選ぶ問題や、傾向分析について適切な記述を選ぶ問題も出題されています。

3. 学習のポイント

EVMの基本となるPV(計画価値)、EV(出来高)、AC(実コスト)の3つの値と完成時総予算(BAC)は、すべて金銭価値(または工数)の単位で表され、スケジュールとコストの評価はすべてEV(出来高)を基準にします。たとえば全体の予算が1,200万円のプロジェクトで、予算価値で25%分の作業が終わっていれば、経過日数にかかわらずEVは 1,200×0.25=3001,200 \times 0.25 = 300 万円です。差異(SV・CV)はEVから引き、効率指数(SPI・CPI)はEVを分子に置きます。

  • スケジュールの評価(EVとPVを比較): スケジュール差異は SV=EV−PVSV = EV - PV、スケジュール効率指数は SPI=EV÷PVSPI = EV \div PV です。EV<PVEV < PV(SV<0SV < 0、SPI<1.0SPI < 1.0)なら計画より進捗が遅れており、EV>PVEV > PV(SV>0SV > 0、SPI>1.0SPI > 1.0)なら計画より前倒しで進んでいます。グラフ上では、現時点においてPVの線よりEVの線が下にあれば遅れ、上にあれば進んでいると読み取れます。
  • コストの評価(EVとACを比較): コスト差異は CV=EV−ACCV = EV - AC、コスト効率指数は CPI=EV÷ACCPI = EV \div AC です。EV<ACEV < AC(CV<0CV < 0、CPI<1.0CPI < 1.0)なら出来高に対して実コストが計画を上回るコスト超過であり、EV>ACEV > AC(CV>0CV > 0、CPI>1.0CPI > 1.0)なら予算に対してコストに余裕があります。

現在の効率や実績をもとに完了までの見通しを立てる計算では、問われている指標の前提条件を確認します。

  • 完成時総コスト見積り(EAC): 現在のコスト効率(CPI)が今後もそのまま続くと仮定した場合、完成までに必要な総コストは EAC=BAC÷CPIEAC = BAC \div CPI(すなわち BAC×AC÷EVBAC \times AC \div EV)で求めます。たとえば BAC=1,200BAC = 1,200 万円で、予算価値で25%分の作業が終わった(EV=300EV = 300 万円)時点の ACAC が400万円なら、CPI=300÷400=0.75CPI = 300 \div 400 = 0.75 で、このままの効率で最後まで進めると EAC=1,200÷0.75=1,600EAC = 1,200 \div 0.75 = 1,600 万円となり、予算を400万円超える見通しです。
  • 残作業効率指数(TCPI): 完成時総予算(BAC)どおりに完了させるために、残りの作業で達成しなければならないコスト効率です。残りの作業に割り当てた予算を、まだ使える予算で割るため、式は TCPI=(BAC−EV)÷(BAC−AC)TCPI = (BAC - EV) \div (BAC - AC) となります。この値が1.0を超えている場合、予算内に収めるには残作業のコスト効率を当初計画より引き上げる必要があります。

パフォーマンスを分析・予測する技法については、対象とするデータの関係を区別します。回帰分析は、結果の値をそれに影響する別の値との関係の式に表して予測に使い、傾向分析は同じ指標を時間の順に並べて、その動きの向きから先を読みます。

4. 間違えやすいところ

完成した分のコストを評価する問題では、実績コストを、経過した期間の分の計画予算で割った値とする誤答肢がありました。経過した期間から割り出した予算額は、計画上そこまでに終わっているはずだった作業の値(PV)で、実際にできた作業の値(EV)ではありません。

EV−PVEV - PV の値が負であるときの状況として、「プロジェクトの完了が,計画よりも遅くなる」とする誤答肢がありました。完了の時期は、今の効率がこの先も続くと仮定して初めて見積もれる値で、途中の時点の差の符号だけでは決まりません。

CPI・SPI・TCPIの値の組から評価と対策を選ぶ問題では、コストに余裕があってスケジュールが遅れているとする誤答肢がありました。CPIとSPIの役割を取り違えて読むと、コストと日程の評価がそれぞれ逆になります。

CPIが1.0を下回ったときの対処を選ぶ問題では、完成時にはCPIが1.0になるという前提で、コストの指標から完了の時期を見積もって日程を組み直すとする誤答肢がありました。プロジェクトが完了しても実コストが予算どおりに収まらなければCPIは1.0にはならず、また完了時期やスケジュールの予測に用いるのはコストの指標であるCPIではなくスケジュールの指標(SPIなど)です。

作業配分モデルから完了までの残り日数を求める計算で、現在進行中の工程で既に完了した分の期間を差し引かずに、その工程全体の期間比をそのまま足し合わせてしまう誤答肢がありました。その値は、進行中の工程にまだ手を付けていない時点から数えた残りの日数に当たります。

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