IPA AI の技術(機械学習・生成AI の仕組み) — 頻出論点と過去問

頻出論点

1. この分野は何か

人が規則を書き込む代わりに、たくさんの例からコンピュータに規則を見つけさせるのが機械学習で、その学ばせ方、モデルの組み立て、できたモデルの確かめ方を扱います。何層にも重ねたネットワークで学ぶディープラーニングや、生成AIのもとになる大きなモデルも、この延長にある技術です。

2. 実際の出題のされ方

用語の問題では、短い説明を読んで、それに当たる名前を選びます。ディープラーニングやニューラルネットワーク、活性化関数、誤差逆伝播法の働きを名前と結びつける問題は、ITパスポートで何度も出題されています。教師あり学習と教師なし学習の手法名の穴埋め、事例から教師あり学習を選ぶ問題、正解の情報を付ける作業の名前を選ぶ問題も出ています。大量のデータで事前に訓練したモデルや生成AIの特徴、強いAIと弱いAIの区別を選ぶ問題と、学習を重ねたときの正解率や、クロス集計表から評価指標を求める計算もあります。

モデルの良し悪しの測り方と直し方は、定義の細部まで問われます。応用情報技術者の午前では、過学習の説明と、疑われたときの解消方法、交差検証の説明、ROC曲線の2つの軸や偽陽性率の定義を選ぶ問題が出ています。このうち過学習や交差検証、偽陽性率の問題は、同じ回の高度試験の午前Iと共通です。エッジAIでエッジ側が受け持つ処理、基盤モデルを自社向けに作り変えることの名前、学習にGPUを使うと何が速くなるかを選ぶ問題もあります。

高度試験の午前IIでは、AIの技術が別の分野の題材として出ます。システムアーキテクトでは、判定者が人間とシステムの両方とチャットして見分けられるかを確かめるテストの名前が問われました。迷惑メールを見分けるベイジアンフィルターの説明を選ぶ問題も、データベーススペシャリストとシステムアーキテクトに出ています。

3. 学習のポイント

学ばせ方の違いは、学習用のデータに答えが付いているかどうかにあります。

  • 教師あり学習と教師なし学習: 教師あり学習は、答えの付いた例をたくさん見せて、入力から答えを導く対応関係を身につけさせます。教師なし学習は、答えの無いデータから、似たもの同士のまとまりのような、データに潜む構造を見つけ出します。教師あり学習の準備として、画像や文章に答えの情報を付けていく作業をアノテーションと呼びます。
  • 基盤モデルとファインチューニング: 生成AIのもとになる基盤モデルは、用途を決めずに幅広いデータで前もって訓練しておいた大きなモデルです。これに自社のデータを追加で学ばせ、パラメータを調整して特定の業務に合わせることをファインチューニングと呼びます。

ニューラルネットワークは、層、重み、学び方の順に仕組みが組み上がっています。

  • ニューラルネットワークの仕組み: 脳の神経細胞のつながりをまねて、計算の単位(ニューロン)を層に並べ、層と層を重み付きの線で結んだモデルです。この層を何層にも重ね、画像のどこに注目すればよいかといった特徴まで、データから自動で取り出せるようにしたものがディープラーニングです。
  • 誤差逆伝播法とGPU: 出力と正解のずれを出力側から入力側へ逆向きに伝え、ずれが小さくなるように各結合の重みを少しずつ直していく方法が誤差逆伝播法(バックプロパゲーション)です。重みの更新には大量の行列計算が伴うので、行列演算を並列に速く進められるGPUが学習に使われます。

モデルの評価は、まだ見ていないデータへの強さ(汎化性能)を軸にします。

  • 過学習と交差検証: 過学習は、学習に使ったデータには合いすぎるほど合うのに、新しいデータでは当たらなくなる状態です。交差検証では、手元のデータをいくつかの組に分け、1つの組を確かめ用に残して残りで学ばせることを、確かめ用の組を順に替えながら繰り返し、結果を平均して汎化性能を見積もります。
  • 混同行列の指標: 2クラスの分類では、何を分母にとるかで指標が変わります。たとえば、200件の注文のうち納期に遅れそうなもの(陽性)が40件あり、モデルが陽性と判定した50件のうち実際に陽性だったのが30件だったとします(真陽性 TP=30TP=30、偽陽性 FP=20FP=20、偽陰性 FN=10FN=10、真陰性 TN=140TN=140)。
    • 再現率(真陽性率): 実際に陽性のもののうち、陽性と当てた割合で、3040=0.75\frac{30}{40} = 0.75 です。
    • 適合率: 陽性と判定したもののうち、実際に陽性だった割合で、3050=0.60\frac{30}{50} = 0.60 です。
    • 正解率: 全体のうち、判定が当たった割合で、30+140200=0.85\frac{30 + 140}{200} = 0.85 です。
    • 偽陽性率: 実際に陰性のもののうち、誤って陽性とした割合で、20160=0.125\frac{20}{160} = 0.125 です。

4. 間違えやすいところ

活性化関数の働きを選ぶ問題では、入口と出口の層の大きさから、間の層に置くニューロンの数を決めて出すとする誤答肢がありました。ニューロンの数は、ネットワークを組み立てる人が前もって決める構造で、活性化関数が計算して出すものではありません。

過学習が疑われたときの解消方法を選ぶ問題では、学習に使ったデータをそのまま確かめにも使うとする誤答肢がありました。学ばせたデータで確かめれば成績は良く見えますが、新しいデータへの強さは測れず、過学習はかえって見えにくくなります。

ROC曲線の説明を選ぶ問題では、真陽性率と適合率の組で描くとする誤答肢がありました。真陽性率(再現率)と適合率の組を描くのは、PR曲線と呼ばれる別のグラフです。

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