令和元年度 宅地建物取引士資格試験 問9

AがBに対して金銭の支払を求めて訴えを提起した場合の時効の中断に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。

解答・解説

正解: 4. 訴えの提起後に裁判上の和解が成立した場合には、時効中断の効力は生じない。

本問は、金銭の支払いを求める訴えを提起した場合における 時効の中断(現行法における時効の完成猶予・更新) に関する理解を問う問題です。

出題当時の民法では、裁判上の請求(訴えの提起)を行うと、原則として時効は中断しましたが、一定の事由により手続きが確定判決を経ずに終了した場合や、権利の不存在が確定した場合には、中断の効力が生じなかったものと扱われていました。

正解の根拠

選択肢4が誤りであり、本問の正解となります。
裁判上の請求を行い、その手続の中で 裁判上の和解 が成立した場合、和解調書は確定判決と同一の効力を有することになります。したがって、和解の成立によって 時効中断の効力は生じます(新たな時効が進行を開始します)。「時効中断の効力は生じない」としている本選択肢の記述は誤りです。

各選択肢の解説

  • 選択肢1(正しい): 訴えが 取り下げられた場合、手続が初めから係属していなかったことになるため、出題当時の民法では、原則として裁判上の請求による時効中断の効力は生じませんでした。
  • 選択肢2(正しい): 訴訟要件を満たさず 訴えの却下 の判決が確定した場合も、本案の判断(権利の有無の確定)に至らずに手続が終了したため、出題当時の民法では、時効中断の効力は生じませんでした。
  • 選択肢3(正しい): 訴えに対する 請求棄却 の判決が確定した場合、原告の主張する権利が存在しないことが既判力をもって確定するため、出題当時の民法では、時効中断の効力は生じませんでした。

現行法での扱い(2026年4月1日時点)

出題当時は、訴えの取下げや却下、請求棄却の場合、時効中断の効力は生じませんでした。2020年4月1日施行の民法の一部を改正する法律および民法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律により、現在は手続き終了時から6か月間は時効の完成が猶予されます。そのため、効力が生じないとする記述は解釈上誤りとなり、正解が複数になります。

Spineチーム