令和元年度 宅地建物取引士資格試験 問8

Aを注文者、Bを請負人とする請負契約(以下「本件契約」という。)が締結された場合における次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。

解答・解説

正解: 2. 本件契約が、事務所の用に供するコンクリート造の建物の建築を目的とする場合、Bの瑕疵担保責任の存続期間を20年と定めることができる。

本問は民法における請負契約に関する知識を問う問題です。誤っている選択肢は2です。したがって、正解は2となります。出題当時の民法及び判例の解釈に基づいて各選択肢を検討します。特に担保責任や契約解除の要件を正確に理解しておくことが重要です。

各選択肢の解説

  • 選択肢1(正しい)判例(最判平14.9.24)によれば、請負契約の目的物である建物に重大な瑕疵があり、建て替えるしかない場合には、注文者は請負人に対して建替えに要する費用相当額の損害賠償を請求することができます。建替え費用が損害として認められる例外的なケースとして重要です。
  • 選択肢2(誤り・正解)出題当時の民法では、瑕疵担保責任の存続期間を特約で定めることは可能でしたが、その期間は通常の消滅時効の期間(10年)を超えることはできませんでした。したがって、出題当時は、コンクリート造建物の責任期間を20年と定める特約は無効であり、この記述は誤りでした。
  • 選択肢3(正しい)注文者の失火という注文者の責めに帰すべき事由によって建物が焼失し、増築(仕事の完成)が不可能になった場合、請負人の仕事完成債務は履行不能となります。したがって、請負人は未履行部分の仕事完成債務を免れます。なお、この場合請負人は報酬請求権を失いません。
  • 選択肢4(正しい)民法の規定(第641条)により、請負人が仕事を完成しない間は、注文者はいつでも請負人に生じる損害を賠償して、契約を解除することができます。注文者の都合による解除権を認めた重要な規定です。

現行法での扱い(2026年4月1日時点)

2020年4月1日施行の民法の一部を改正する法律(平成29年法律第44号、債権法改正)および民法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(平成29年法律第45号)による変更です。出題当時はコンクリート造建物の担保責任の存続期間を20年と定められず誤りでした。現行法では期間を制限する規定がなくなり合意の効力は解釈に委ねられるため、問題文だけでは選択肢 2の正誤が決まらず、正解が一つに定まりません。

Spineチーム