宅建 平成30年度 問7

債権譲渡に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。

解答・解説

正解: 2. 債権の譲受人が譲渡禁止特約の存在を知っていれば、さらにその債権を譲り受けた転得者がその特約の存在を知らなかったことにつき重大な過失がなかったとしても、債務者はその転得者に対して、その特約の存在を対抗することができる。

本問は、債権譲渡における譲渡禁止特約(譲渡制限特約)に関する判例の知識を問う問題です。本問の正解は選択肢2です。

判例(最判平成9年6月5日)によれば、債権の譲受人が譲渡禁止特約の存在を知っていた(悪意)場合であっても、さらにその債権を譲り受けた転得者が善意かつ無重過失であれば、債務者はその転得者に対して特約の存在を対抗することができません。選択肢2は「対抗することができる」としているため誤りであり、本問の正解となります。

各選択肢の解説

  • 選択肢1(正しい)
    判例(最判昭和48年7月19日)によれば、譲渡禁止特約のある債権を譲り受けた第三者が、特約の存在について善意であっても重大な過失(重過失)がある場合には悪意の譲受人と同視され、当該債権を取得することはできないとされています。

  • 選択肢2(誤り)
    上記の通り、譲受人が悪意でも転得者が善意かつ無重過失であれば、債務者は転得者に対抗できません。したがって本肢の記述は誤りです。

  • 選択肢3(正しい)
    判例(最判平成21年3月27日)によれば、譲渡禁止特約は本来債務者の利益を保護するためのものです。そのため、特約に違反して債権を譲渡した債権者側から譲渡の無効を主張することは原則として許されず、債務者に無効を主張する意思が明らかである等の特段の事情がない限り、この特約を理由とした無効主張はできません。

  • 選択肢4(正しい)
    判例によれば、譲渡禁止特約のある債権に質権を設定する場合も、債権譲渡に準じて扱われます。質権者が特約の存在について悪意(または重過失)である場合、その質権設定は無効となります。

(注:本解説は出題当時の旧民法および判例の枠組みに基づいています。)

現行法での扱い(2026年4月1日時点)

2020年4月1日施行の民法改正により、譲渡制限特約(旧・譲渡禁止特約)に反して行われた債権譲渡は、原則として有効となりました(民法466条2項)。出題当時は正しいとされた、特約違反の譲渡や質権設定を「無効」「取得できない」とする選択肢1・3・4は、現行法ではすべて誤りとなります。選択肢2も引き続き誤りであるため、現行法の規定では正解が複数になります。

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