平成28年度 宅地建物取引士資格試験 問1
権利関係債権総論
次の記述のうち、民法の条文に規定されているものはどれか。
解答・解説
正解: 4. 契約により当事者の一方が第三者に対してある給付をすることを約したときは、その第三者は、債務者に対して直接にその給付を請求する権利を有する旨
本問の正解は 選択肢4 です。
本設問は、平成29年民法改正(令和2年4月1日施行)前の旧民法を前提とした出題と考えられます。旧民法下において、選択肢の中で明文の規定が存在したのは、第三者のためにする契約(選択肢4)のみでした。
なお、選択肢1〜3の内容は、現在施行されている改正民法においてはすべて条文として明文化されています。
各選択肢の解説
- 選択肢1(誤り): 旧民法においては、法定利率は 年5%(商事法定利率は年6%)と規定されていました。したがって「年3%」とする明文の規定はありませんでした。(現在の民法404条2項では法定利率は年3%と規定され、市中の金利動向に合わせて3年ごとに変動する仕組みが導入されています。)
- 選択肢2(誤り): 敷金から未払賃料等の債務を充当できることについて、旧民法では明文の規定がなく、判例法理 によって認められていました。(現在の民法622条の2第2項では、敷金の充当について明文化されています。)
- 選択肢3(誤り): 免責的債務引受(債務者が債務を免れ、引受人が新たに債務を負担する契約)について、旧民法では明文の規定がなく、判例法理 によって認められていました。(現在の民法472条では、免責的債務引受について明文化されています。)
- 選択肢4(正しい): 第三者のためにする契約 については、旧民法時代から条文に規定がありました。契約当事者の一方が第三者に対してある給付を行うことを約した場合、その第三者が直接給付を請求できる権利を取得します(民法537条1項)。
現行法での扱い(2026年4月1日時点)
出題当時は法定利率が年5分とされ、敷金や免責的債務引受について明文の規定がなく、条文に規定されていたのは選択肢4のみでした。しかし、2020年4月1日施行の民法改正により、法定利率が年3%となり、敷金の充当や免責的債務引受に関する条文も新設されました。そのため、現行法ではすべての選択肢が条文に規定されていることになり、正解が複数になります。