平成16年度 宅地建物取引主任者資格試験 問12

自己所有の建物に妻Bと同居していたAが、遺言を残さないまま死亡した。Aには先妻との間に子C及びDがいる。この場合に関する次の記述のうち, 民法の規定及び判例によれば, 正しいものはどれか。

解答・解説

正解: 3. A死亡の時点でBがAの子Eを懐妊していた場合, Eは相続人とみなされ, 法定相続分はBが2分の1, C・D・Eは各6分の1ずつとなる。

本問は、相続人の範囲、法定相続分、および遺産分割前の遺産の使用に関する民法の規定と判例の理解を問う問題です。

正解は選択肢3です。

正解の根拠

民法では、胎児は相続については既に生まれたものとみなされます(民法886条1項)。
したがって、被相続人Aの死亡時に妻Bが懐妊していた子Eは、相続人となります。
この場合の相続人は、配偶者である妻Bと、子であるC、D、Eの合計4人です。
法定相続分は以下のようになります。

  • 配偶者B:2分の1(全体の 12\frac{1}{2})
  • 子(C・D・E):残りの2分の1を均分するため、それぞれ 6分の1(12×13=16\frac{1}{2} \times \frac{1}{3} = \frac{1}{6})

各選択肢の解説

  • 選択肢1:誤り
    共同相続人の一人が被相続人と同居していた遺産である建物について、判例は「被相続人と同居していた相続人は、遺産分割が終了するまでの間、無償で使用する旨の合意(使用貸借契約)があったものと推認される」としています。よって、遺産分割前に他の相続人(C・D)が配偶者(B)に対して建物の明渡しを請求することはできません。

  • 選択肢2:誤り
    選択肢1の解説の通り、被相続人と同居していた配偶者の建物の使用は、使用貸借契約(無償での使用)の合意があったと推認されます。したがって、遺産分割が成立するまでの間、他の相続人は配偶者に対して賃料相当額(不当利得)の支払いを請求することはできません。

  • 選択肢3:正しい
    前述の通り、胎児は相続において既に生まれたものとみなされるため、相続人となります。配偶者Bの法定相続分は 12\frac{1}{2}、子C・D・Eの法定相続分はそれぞれ 16\frac{1}{6} ずつとなります。

  • 選択肢4:誤り
    相続に関する被相続人の遺言書を偽造等した者は、相続欠格事由に該当し、相続権を失います(民法891条5号)。しかし、この欠格事由は遺言書を偽造した本人にのみ生じます。本肢において遺言書を偽造したのは「Cの子F」であり、C自身は偽造に関与していないため、Cが相続権を失うことはありません。

Spineチーム