平成9年度 宅地建物取引主任者資格試験 問7

権利関係債権総論

この問題は1997年度(H9)に出題されたものです。出題時点の法令・制度に基づく内容のため、現行の内容と一致しない場合があります。

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不当利得に関する次の記述のうち, 民法の規定及び判例によれば, 正しいものはどれか。

解答・解説を読む

正解: 選択肢3

正解の根拠

正解は 選択肢3 です。

本問は民法上の 不当利得 および 不法原因給付 に関する知識を問う問題です。賃借人の依頼で修理等を行い、賃借人から代金を回収できなくなった場合、物の所有者がその修理による利益(価値の増加)を受けているときには、修理業者は所有者に対して不当利得返還請求(いわゆる 転用物訴権)を行うことができるとするのが判例の立場です。

各選択肢の解説

  • 1. 誤り: 不動産の真の所有者(A)ではない登記名義人(B)が誤って固定資産税を納付した場合、Aは法律上の原因なく固定資産税の納税義務を免れるという利益を得ています。そのため、BはAに対して、納付した金額について 不当利得返還請求をすることができます(最判昭和45年7月16日)。したがって、「請求することはできない」とする本肢は誤りです。

  • 2. 誤り: 公序良俗に反する目的で建物を贈与し、引渡しおよび登記の移転を完了した場合、これは 不法原因給付(民法第708条)に該当し、贈与者(C)は受贈者(D)に対して返還を請求することができなくなります。この場合、判例(最大判昭和45年10月21日)は、給付した物の所有権は反射的効果として 受領者(D)に帰属する としています。したがって、「所有権自体は引き続きCに帰属する」とする本肢は誤りです。

  • 3. 正しい: 賃借人(G)の依頼により目的物(ブルドーザー)を修理した者(E)が、Gの倒産等により無資力となって修理代金を回収できなくなった場合、目的物の返還を受けた所有者(F)は、法律上の原因なく修理による価値の増加という利益を得たことになります。判例(最判昭和45年7月16日)は、このような事案において、EがFに対して修理代金相当額の 不当利得返還請求をすることを認めています

  • 4. 誤り: 税金の追及を逃れる目的で他人名義で登記をし、土地を引き渡す行為は、直ちに公序良俗違反として民法第708条の 不法原因給付に該当するわけではありません(最判昭和44年11月27日)。単なる脱税目的の仮装譲渡等であれば不法原因給付には当たらず、所有者(H)は名義人(I)に対して登記の抹消と土地の返還を求めることができます。したがって、「不法原因給付であるから〜求めることはできない」とする本肢は誤りです。