平成4年度 宅地建物取引主任者資格試験 問2
Aが未成年者Bに土地売却に関する代理権を与えたところ, Bは, Cにだまされて, 善意のDと売買契約を締結したが, Aは, Bがだまされたことを知らなかった。この場合, 民法の規定によれば, 次の記述のうち正しいものはどれか。
解答・解説
正解: 4. CがBをだましたことをDが知らなかったのであるから, Aは, 契約を取り消すことができない。
正解の根拠
本問は、代理行為における瑕疵および第三者による詐欺に関する民法の規定を問う問題です。
代理人が行った意思表示の効力が詐欺によって影響を受ける場合、その事実は代理人を基準に判断されます(民法第101条第1項)。本問では、代理人BがCからだまされている(詐欺を受けている)ため、詐欺による取消しの対象となり得ます。
しかし、出題当時の民法では、相手方に対する意思表示について第三者が詐欺を行った場合、相手方がその事実を知っていたときに限り、その意思表示を取り消すことができました(旧民法第96条第2項)。
各選択肢の解説
選択肢1(誤り)
制限行為能力者が代理人としてした行為は、行為能力の制限によっては取り消すことができません(民法第102条本文)。したがって、AはBが未成年者で法定代理人の同意を得ていないことを理由に、契約を取り消すことはできません。選択肢2(誤り)
意思表示の効力が詐欺によって影響を受けるべき場合、その事実は代理人(B)について決します(民法第101条第1項)。本人Aがだまされていなくても、代理行為を行ったBがだまされている以上、詐欺による取消しを主張する要件を満たし得ます。選択肢3(誤り)
第三者(C)の詐欺による取消しが認められるかは、相手方(D)が詐欺の事実を知っていたかによって決まります(民法第96条第2項)。本人Aがその事実を知らなかったことは、取消しの可否に影響しません。選択肢4(正解)
出題当時の民法では、第三者(C)が詐欺を行った場合、相手方(D)がその事実を知っていたときに限り、契約を取り消すことができました。本肢では「Dが知らなかった」ため、契約を取り消すことができないという結論になります。
現行法での扱い(2026年4月1日時点)
出題当時の規定では、第三者詐欺による契約の取消しは、相手方が詐欺の事実を知っていたときに限り可能でした。2020年4月1日施行の民法改正により、相手方が知ることができた場合にも取消しが認められるようになりました。選択肢 4 は相手方Dの過失の有無が問題文にないため正誤が決まらず、正解が一つに定まりません。