平成3年度宅地建物取引主任者資格試験 問10

AのBに対する土地の贈与(何らの負担もないものとする。)に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。

解答・解説

正解: 4. その贈与が書面による死因贈与であったときは、Aは、後に遺言によりその贈与を取り消すことができない。

本問は、土地の贈与に関する民法の規定および判例の理解を問う問題です。死因贈与の性質とその撤回(取消し)の可否が正誤の判断のポイントとなります。正解は 4 です。

正解の根拠

死因贈与とは、贈与者が死亡することによって効力が生じる贈与契約です。民法により、死因贈与にはその性質に反しない限り、遺贈に関する規定が準用されます(民法第554条)。遺贈の規定によれば、遺言者はいつでも、遺言の方式に従って遺言の全部または一部を撤回することができます(民法第1022条)。
したがって、書面による死因贈与であっても、贈与者は後に遺言によってその贈与を撤回(取消し)することができます。選択肢4は「取り消すことができない」としているため、誤りとなります。

各選択肢の解説

  • 選択肢1: 正しい
    書面によらない贈与は、各当事者が解除(取消し)をすることができますが、履行の終わった部分については解除することができません(民法第550条)。不動産の贈与において、所有権移転登記が完了した場合は「履行が終わった」とみなされ、もはや贈与を解除(取消し)することはできなくなります。

  • 選択肢2: 正しい
    出題当時の民法では、贈与者は、贈与の目的物の瑕疵について責任を負わず、瑕疵を知りながら受贈者に告げなかったときに限り責任を負うとされていました(旧民法第551条第1項)。そのため、贈与者が目的物に瑕疵があることを知らなかった場合には、瑕疵の責任を負いませんでした。

  • 選択肢3: 正しい
    死因贈与には遺贈の規定が準用され、いつでも撤回が可能です。また、前の遺言(死因贈与を含む)と後の遺言(遺贈)の内容が抵触する場合、抵触する部分については、後の遺言によって前の遺言を撤回したものとみなされます(民法第1023条)。したがって、Aは死因贈与をした後であっても、その土地を第三者に遺贈することができ、その場合、前の死因贈与は撤回されたことになります。

  • 選択肢4: 誤り
    「正解の根拠」で述べた通り、死因贈与には遺贈の規定が準用されるため、贈与者は後に遺言によっていつでもその死因贈与を撤回(取消し)することができます。よって、「取り消すことができない」とする本記述は誤りです。

現行法での扱い(2026年4月1日時点)

出題当時の民法では、贈与者は瑕疵を知らなかった場合は責任を負わないとされていたため、選択肢2は正しい記述でした。2020年4月1日施行の改正により、特定した時の状態で引き渡すことを約したものと推定されるように変わりました。責任の有無は贈与者の知・不知ではなく契約の内容で決まるため、合意の内容が不明な問題文だけでは正誤が決まりません。

Spineチーム