IPA 脆弱性管理・セキュリティ監視 — 頻出論点と過去問
頻出論点
1. この分野は何か
ソフトウェアの脆弱性を見つけて番号を付け、深刻さを測り、直すまでを管理する仕組みと、攻撃の兆しを見張り、インシデントが起きたあとに証拠を残す技術を扱います。略語の多い標準や仕組みを、何を識別し何を評価するものかで区別できるようになります。
2. 実際の出題のされ方
犯罪や法的紛争が生じた際に削除された電子メールなどを復元して証拠を収集・保全するデジタルフォレンジックスの定義は、ITパスポートで問われます。
脆弱性の識別・評価指標や動的検査、ポートスキャン判定、フォレンジックスの基本手順は、応用情報技術者の午前と高度試験の午前Iで問われます。個別の脆弱性を一意に識別するCVE、基本・現状・環境の3基準で深刻度を評価するCVSS、脆弱性関連情報と対策情報を提供するJVN、ソフトウェアの構成部品や依存関係を一覧化するSBOM(ソフトウェア部品表)、問題を引き起こしそうな多様なデータを大量に入力して挙動を監視するファジングが出題されています。また、ポートスキャンにおける応答パケットからの開閉判定(TCPのSYNに対するRST/ACKやUDPパケット送信時のICMP port unreachableからポートが閉じていると判定する問題)、未使用のIPアドレス空間(ダークネット)に届く探索パケット、そしてデジタルフォレンジックスの手順(収集・検査・分析・報告)が出題されています。
脆弱性管理の自動化仕様やセキュリティ評価基準、脅威インテリジェンス・監視運用、証拠保全の優先順位は、高度試験の午前IIで問われます。脆弱性の種類を識別するCWEや脆弱性管理を自動化するSCAP、CVEの事務局であり攻撃手法のナレッジベース(MITRE ATT&CK)を公開するMITREが出題されています。また、暗号モジュールのセキュリティ要求事項であるFIPS PUB 140-3、IT製品のセキュリティ機能を評価するISO/IEC 15408、IoT機器へのペネトレーションテスト、公開実証コード(PoC)悪用への未然防止策(修正プログラム適用やワークアラウンド)も出ています。さらに、SOAR・UEBA・IoC(C&Cサーバとの通信履歴など)・OSINT、揮発性の高さに基づいて証拠を保全する順序も問われています。
3. 学習のポイント
まずは脆弱性管理の標準仕様(SCAP構成要素など)の名前と役割を正確に区別しましょう。製品に含まれる個別の脆弱性の識別子=CVE、脆弱性の種類(タイプ)一覧=CWE、深刻度の評価手法=CVSS、セキュリティ設定項目の識別子=CCE、製品プラットフォーム一覧=CPEという対応関係は、応用情報技術者と高度試験で核となる知識です。あわせて、構成要素を把握して脆弱性管理に用いるSBOMや、入出力に注目した動的検査手法であるファジングの特徴を押さえておきます。
次に、監視・脅威情報・事後対応の用語を整理します。ログを集約・相関分析するSIEM、脅威インテリジェンスの活用とセキュリティ運用の自動化・インシデント対応の効率化を行うSOAR、利用者や機器の異常な振る舞いを検知するUEBA、侵害の痕跡を示すIoC、公開情報を収集・分析するOSINTの違いを比較し、デジタルフォレンジックスでは揮発性の高い(電源断や時間経過で失われやすい)情報から順に保全する原則(たとえばCPUのレジスタやメモリ上の情報、一時ファイル、ディスク、外部の記録媒体の順)を身につけておきましょう。
4. 間違えやすいところ
よく出るのは、アルファベット略語の入れ替えです。CVEの説明としてCCE(設定項目)やCWE(弱点の種類)の記述を置く選択肢、SOAR・SIEM・STIX/TAXII・ゼロトラストの説明を入れ替える選択肢、IoC(侵害の痕跡)に単なる公開脆弱性情報や証明書失効リスト・フィルタリングルールを含める選択肢があります。
また、検査・評価や証拠保全の場面でも注意したい誤答肢があります。ポートスキャンでTCPのSYNに対してRST/ACKが返った場合やUDPに対してICMP port unreachableが返った場合をポートが開いている(接続許可)と逆に判定させる選択肢、ファジングをソースコードの静的解析や負荷テスト・限界値分析と混同させる選択肢、ISO/IEC 15408やFIPS PUB 140-3を組織のISMS規格(ISO/IEC 27001)と取り違える選択肢、そして証拠保全で、電源を切ると失われるメモリ上の情報より先に、ディスクや外部に残る記録を保全しようとする順序の誤りに注意しましょう。
脆弱性管理・セキュリティ監視の理解度チェック
脆弱性管理・セキュリティ監視の過去問一覧
- 2025(R7)秋 応用情報技術者 午前 問43 脆弱性検査で,ホストに対してポートスキャンを行う。スキャンしたポートの状態を判定する方法のうち,適切なものはどれか。…
- 2025(R7)秋 応用情報技術者 午前 問44 デジタルフォレンジックスの手順は収集,検査,分析及び報告から成る。このとき,デジタルフォレンジックスの手順に含まれるもの…
- 2025(R7)秋 プロジェクトマネージャ 午前II 問25 外部から侵入されたサーバ及びそのサーバに接続されていた記憶媒体を調査対象としてデジタルフォレンジックスを行うことになった…
- 2025(R7)秋 情報処理安全確保支援士 午前II 問12 MITREの役割に該当するものはどれか。…
- 2025(R7)秋 情報処理安全確保支援士 午前II 問14 UEBAの機能はどれか。…
- 2025(R7)春 応用情報技術者 午前 問40 ソフトウェアの情報セキュリティ対策のうち,SBOM (Software Bill Of Materials) 管理ツール…
- 2025(R7)春 高度試験共通 午前I 問13 ソフトウェアの情報セキュリティ対策のうち,SBOM(Software Bill Of Materials)管理ツールを用…
- 2025(R7)春 情報処理安全確保支援士 午前II 問13 IoC (Indicator of Compromise) に該当するものはどれか。…
- 2025(R7)春 情報処理安全確保支援士 午前II 問15 マルウェア感染の調査対象のPCに対して,電源を切る前に全ての証拠保全を行いたい。ARPキャッシュを取得した後に保全すべき…
- 2025(R7)春 ITストラテジスト 午前II 問25 デジタルフォレンジックスに該当するものはどれか。…
- 2025年度(R7) ITパスポート 問74 デジタルフォレンジックスの説明として, 適切なものはどれか。…
- 2024(R6)秋 応用情報技術者 午前 問38 インターネット上の使われていないIPアドレス空間に大量に届くパケットはどれか。…
- 2024(R6)秋 応用情報技術者 午前 問41 JVNなどの脆弱性情報サイトで採用されている CVE (Common Vulnerabilities and Expos…
- 2024(R6)秋 応用情報技術者 午前 問43 ソフトウェアのセキュリティ管理に使用されるSBOMはどれか。…
- 2024(R6)秋 高度試験共通 午前I 問14 JVNなどの脆弱性情報サイトで採用されているCVE (Common Vulnerabilities and Exposu…
- 2024(R6)秋 プロジェクトマネージャ 午前II 問25 公開された実証コード(PoC : Proof of Concept)を使って,インターネットからWebサーバを狙う攻撃が…
- 2024(R6)秋 情報処理安全確保支援士 午前II 問3 様々なサイバー攻撃手法を分類したナレッジベースはどれか。…
- 2024(R6)秋 情報処理安全確保支援士 午前II 問11 SOAR (Security Orchestration, Automation and Response) の説明はど…
- 2024(R6)春 情報処理安全確保支援士 午前II 問9 JVNなどの脆弱性対策ポータルサイトで採用されている CWEはどれか。…
- 2024(R6)春 情報処理安全確保支援士 午前II 問10 FIPS PUB 140-3はどれか。…
- 2024(R6)春 情報処理安全確保支援士 午前II 問17 ソフトウェアの脆弱性管理のためのツールとしても利用される SBOM (Software Bill of Material…
- 2023(R5)秋 応用情報技術者 午前 問46 問題を引き起こす可能性があるデータを大量に入力し,そのときの応答や挙動を監視することによって,ソフトウェアの脆弱性を検出…
- 2023(R5)秋 エンベデッドシステムスペシャリスト 午前II 問16 外部から侵入されたサーバ及びそのサーバに接続されていた記憶媒体を調査対象としてデジタルフォレンジックスを行うことになった…
- 2023(R5)秋 プロジェクトマネージャ 午前II 問23 セキュリティ評価基準である ISO/IEC 15408 の説明はどれか。…
- 2023(R5)秋 プロジェクトマネージャ 午前II 問24 デジタルフォレンジックスに該当するものはどれか。…
- 2023(R5)秋 プロジェクトマネージャ 午前II 問25 脆弱性検査手法の一つであるファジングはどれか。…
- 2023(R5)秋 情報処理安全確保支援士 午前II 問12 脆弱性管理, 測定, 評価を自動化するためにNISTが策定した基準はどれか。…
- 2023(R5)春 応用情報技術者 午前 問40 ソフトウェアの既知の脆弱性を一意に識別するために用いる情報はどれか。…
- 2023(R5)春 応用情報技術者 午前 問42 デジタルフォレンジックスの手順は収集,検査,分析及び報告から成る。このとき,デジタルフォレンジックスの手順に含まれるもの…
- 2023(R5)春 高度試験共通 午前I 問13 デジタルフォレンジックスの手順は収集,検査,分析及び報告から成る。このとき,デジタルフォレンジックスの手順に含まれるもの…
- 2023(R5)春 情報処理安全確保支援士 午前II 問13 マルウェア感染の調査対象のPCに対して, 電源を切る前に全ての証拠保全を行いたい。ARPキャッシュを取得した後に保全すべ…
- 2023(R5)春 情報処理安全確保支援士 午前II 問22 IoT機器のペネトレーションテスト(Penetration Test)の説明として,適切なものはどれか。…
- 2023(R5)春 ITストラテジスト 午前II 問25 サイバー攻撃に関する脅威に対処するために,非合法な手段を使わずに入手できる公開情報について,収集,分析及び活用が進んでい…
- 2022(R4)秋 応用情報技術者 午前 問40 JPCERTコーディネーションセンターとIPAとが共同で運営するJVNの目的として,最も適切なものはどれか。…
- 2022(R4)秋 応用情報技術者 午前 問45 ファジングに該当するものはどれか。…
- 2022(R4)春 応用情報技術者 午前 問45 ファジングに該当するものはどれか。…
- 2022(R4)春 高度試験共通 午前I 問15 ファジングに該当するものはどれか。…
- 2022(R4)春 ネットワークスペシャリスト 午前II 問20 デジタルフォレンジックスに該当するものはどれか。…
- 2021(R3)秋 応用情報技術者 午前 問41 基本評価基準,現状評価基準,環境評価基準の三つの基準で情報システムの脆弱性の深刻度を評価するものはどれか。…
- 2021(R3)秋 エンベデッドシステムスペシャリスト 午前II 問17 外部から侵入されたサーバ及びそのサーバに接続されていた記憶媒体を調査対象としてディジタルフォレンジックスを行うことになっ…
- 2021(R3)秋 情報処理安全確保支援士 午前II 問7 FIPS PUB 140-3はどれか。…
- 2021(R3)秋 情報処理安全確保支援士 午前II 問12 外部から侵入されたサーバ及びそのサーバに接続されていた記憶媒体を調査対象としてディジタルフォレンジックスを行うことになっ…
- 2021(R3)春 情報処理安全確保支援士 午前II 問8 JVNなどの脆弱性対策情報ポータルサイトで採用されているCVE (Common Vulnerabilities and …
- 2018(H30)秋 システムアーキテクト 午前II 問24 情報技術セキュリティ評価のための国際標準であり,コモンクライテリア(CC)と呼ばれるものはどれか。…
脆弱性管理・セキュリティ監視の用語
セキュリティ技術のほかの論点
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