令和6年度 秋期 エンベデッドシステムスペシャリスト試験 午後II 問1 組込み製品の生産形態の意思決定(論文)

マネジメント調達・契約経営戦略

この問題は2024(R6)秋 エンベデッドシステムスペシャリスト 午後IIに出題されたものです。出題時点の法令・制度に基づく内容のため、現行の内容と一致しない場合があります。

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学習ガイド

組込みシステム製品の企画における生産形態(内製・ODM・OEM・EMS)の意思決定を論じる午後Ⅱの論述問題です。模範解答は公表されていないため、採点基準と講評から求められる論述要素を逆算します。講評では、製品の技術的特徴が書かれていない答案や、単なるソフト開発外注の話に矮小化した答案が減点対象として挙げられており、ハードウェアを含む製品企画の視点を維持することが最大のポイントです。

この記事で押さえる論点

  • ODM・OEM・EMSなど生産形態の違いとメリット・リスクを説明する
  • 製品の技術的特徴と生産形態の選択理由を結び付けて論述する
  • 採算性・将来性を含む総合的な意思決定の過程を構成する

問題本文

組込みシステム製品の企画における生産形態の多様性について

昨今の組込みシステム製品は,異業種からの市場への参入もあり,生産形態が多様化している。生産形態には,自社による内製,企画を提示し設計・製造を委託する ODM (Original Design Manufacturing),自社製品を相手先ブランドで提供する OEM (Original Equipment Manufacturing),ODM と OEM との中間形態,EMS (Electronics Manufacturing Services) メーカーに製品の製造委託を行う形態などがある。

多様な生産形態の例を次に示す。

  • 大手家具メーカーにおける全自動洗濯機の企画では,ODM の取引先として,洗濯機の生産に実績のある家電メーカーに設計・製造から出荷まで委託した。メリットは,家電製品開発のノウハウがなくても市場への参入が可能な点にあった。
  • センサー装置メーカーの既存製品である見守りセンサー装置は,業界トップの介護用機器メーカーへの各種自動介護ロボットに採用され,OEM 先として,その介護用機器メーカーのブランドで提供された。メリットは,委託元の多岐にわたる製品に採用されたので,大幅な需要が見込まれる点にあった。
  • 電子通信機器メーカーでは,企画から開発工程までは自社で実施しているが,製品を構成している一部の半製品について,EMS メーカーに部品調達,製造を委託した。メリットは,自社の製造ラインが不要で,製品を調達できる点にあった。

それぞれの生産形態に応じ,内製する立場,委託する側(以下,委託側という)の立場,委託される側(以下,受託側という)の立場がある。例えば,委託側の立場では,事業戦略として経営陣・事業責任者などと協議し,自社の特徴及び採算性,多品種少量生産などへの対応を鑑みて,生産形態に対する委託取引先の選定をすることが考えられる。一方,受託側の立場では,同じく経営陣・事業責任者と協議し,自社の製品を提供した場合の採算性,将来性などを鑑みて,受託の諾否について検討する。

さらに,生産形態によっては,事業継続危機対策,技術の流出などのリスク,品質の担保などの様々な課題もあり,その解決策も検討することが重要である。

内製・委託側・受託側のいずれの立場においても採算性,将来性,メリット,リスクなどを分析し,総合的な視点から取引先の選定も含めて,生産形態について意思決定することが重要である。

設問と解答・解説

設問

あなたの経験と考えに基づいて, 設問ア~ウに従って解答せよ。
なお, 解答欄には, 文章に加えて, 図・表を記載してもよい。

(1)

あなたが携わった組込みシステム製品の用途及び技術的特徴を踏まえた概要, その製品の生産形態において内製・委託側・受託側のいずれの立場であったかを, 2ページ(800字相当)以内で答えよ。

模範解答

模範解答は公表されていません。下の採点基準と解説から、解答に求められる要素を読み取ってください。

採点基準(配点 34点)

知識・理解度(内容)(17点)

  • 17: 組込みシステム製品の用途及び技術的特徴が極めて具体的に記述されており、内製・委託側・受託側のいずれの立場であったかが明確に示されている。
  • 12: 組込みシステム製品の用途及び技術的特徴が具体的に記述されており、自身の立場が示されている。
  • 7: 用途、技術的特徴、立場の記述があるが、技術的特徴の具体性にやや欠ける。
  • 2: 用途、技術的特徴、立場の記述が不十分であり、単なる部品調達等の抽象的な記述にとどまっている。
  • 0: 記述がないか、設問の意図と全く無関係な内容である。

論理性(構造)(17点)

  • 17: 全体の構成が論理的であり、製品概要から立場までのつながりが極めて自然で説得力がある。
  • 12: 全体の構成が概ね論理的であり、製品概要から立場までのつながりが十分に理解できる。
  • 7: 構成にやや一貫性が欠ける部分があるが、意図は伝わる。
  • 2: 構成が非論理的であり、論述の意図が伝わりにくい。
  • 0: 論理が破綻しているか、意味を成していない。

解説

設問アでは、対象の組込みシステム製品の概要と、自身の立場を明確にすることが求められます。

設問の意図と評価ポイント

製品の用途技術的特徴が具体的に述べられているかが重要です。講評でも指摘されている通り、技術的特徴が曖昧であったり、単なる部品調達にとどまる内容は評価が下がります。

高得点のポイント

  • 携わった製品の用途技術的特徴を具体的かつ明確に記述している。
  • 生産形態における自身の立場が内製委託側受託側のいずれであるか明記している。
  • 製品概要から自身の立場に至る論理展開に一貫性がある。

(2)

設問アで答えた生産形態とした理由, 生産形態のメリットの内容, 生産形態を遂行する上でのリスクなどの課題とその解決策について, 自社・取引先の特徴を踏まえて, 2ページ(800字相当)以上, かつ, 4ページ(1,600字相当)以内で具体的に答えよ。

模範解答

模範解答は公表されていません。下の採点基準と解説から、解答に求められる要素を読み取ってください。

採点基準(配点 33点)

知識・理解度(内容)(17点)

  • 17: 生産形態とした理由、メリット、リスクなどの課題とその解決策が、自社・取引先の特徴を踏まえて極めて具体的に論述されている。
  • 12: 生産形態とした理由、メリット、課題と解決策が具体的に論述されている。
  • 7: 各要素の記述はあるが、具体性や自社・取引先の特徴との関連付けにやや欠ける。
  • 2: 記述が抽象的であるか、単なるソフトウェア開発の外注といった表層的な内容にとどまっている。
  • 0: 記述がないか、設問の意図と全く無関係な内容である。

説得力(考察)(16点)

  • 16: メリットとリスク・課題の分析が深く、提案された解決策が非常に現実的かつ効果的である。
  • 11: メリットとリスク・課題の分析が適切に行われており、解決策が妥当である。
  • 6: 分析や解決策にやや説得力を欠く部分がある。
  • 2: 分析が浅く、解決策が現実的でない。
  • 0: 全く説得力がないか、考察が含まれていない。

解説

設問イでは、設問アで示した立場に基づき、生産形態の選択理由とその評価、課題解決について深く論述する必要があります。

設問の意図と評価ポイント

単なるソフトウェア開発の外注ではなく、ODM、OEM、EMSなどの事業戦略的な視点から、生産形態の理由メリットリスク・課題を自社・取引先の特性と結びつけて分析しているかが問われます。

高得点のポイント

  • 生産形態を選択した理由メリットが、自社および取引先の特徴を踏まえて具体的に述べられている。
  • 想定されるリスクなどの課題と、それに対する解決策が現実的で説得力がある。
  • エンベデッドシステムスペシャリストとしての企画力・分析力が示されている。

(3)

設問イで答えた生産形態とした理由の妥当性, 分析したメリットの評価, リスクなどの課題に対する解決策の評価, 生産形態に対する今後の展望について, 1.5ページ(600字相当)以上, かつ, 3ページ(1,200字相当)以内で具体的に答えよ。

模範解答

模範解答は公表されていません。下の採点基準と解説から、解答に求められる要素を読み取ってください。

採点基準(配点 33点)

論理性(構造)(16点)

  • 16: 設問ア・イの記述を踏まえ、妥当性、評価、今後の展望が一貫した論理で構成されている。
  • 11: 設問ア・イの記述と概ね整合しており、論理的に構成されている。
  • 6: 前段の記述とのつながりや論理の展開にやや飛躍が見られる。
  • 2: 前段の記述と矛盾しているか、論理が破綻している。
  • 0: 全く論理的でない。

説得力(考察)(17点)

  • 17: 理由の妥当性、メリットの評価、解決策の評価が客観的かつ深く考察され、今後の展望が極めて高い説得力を持っている。
  • 12: 各評価が適切に行われており、今後の展望も妥当である。
  • 7: 評価や展望の考察がやや浅いか、具体性に欠ける。
  • 2: 評価が主観的すぎるか、展望に説得力がない。
  • 0: 全く説得力がないか、考察が含まれていない。

解説

設問ウでは、ここまでの論述を総括し、施策の評価と今後の展望を論じます。

設問の意図と評価ポイント

設問ア、イの記述と矛盾なく、理由の妥当性メリット・解決策の評価を客観的に行い、さらに次期製品や将来に向けた今後の展望を説得力を持って記述することが求められます。

高得点のポイント

  • 設問ア・イの前提に基づき、理由の妥当性メリット・解決策の評価が論理的に展開されている。
  • 将来性やリスクを考慮した今後の展望が具体的に示されている。
  • プロジェクトを通じた気づきが事業的視点(採算性や将来性など)を含めて考察されている。