令和6年度 春期 ITストラテジスト試験 午後Ⅰ 問2 地方新聞社のビジネスモデル変革

ストラテジ経営戦略

この問題は2024(R6)春 ITストラテジスト 午後Iに出題されたものです。出題時点の法令・制度に基づく内容のため、現行の内容と一致しない場合があります。

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学習ガイド

部数減少に直面する地方新聞社が、デジタルメディアとプラットフォーム事業でビジネスモデルを変革する事例の問題です。取材網や地域からの信頼といった既存資産を、双方向メディアや観光事業にどう転用するかという発想の転換が全設問の底流にあります。この記事では、H社の資産の棚卸しから始め、各施策が「どの資産を、どの新しい価値に変えるのか」を明示しながら、制約字数内の解答を組み立てます。

この記事で押さえる論点

  • 新聞社の既存資産(取材網・信頼)をデジタル事業の強みへ転換する筋道を説明する
  • プラットフォーマー化と双方向コミュニケーションの狙いを述べる
  • 地域課題の解決と収益化を両立する事業設計を読み取る

問題本文

問2 地方新聞社におけるITを活用したビジネスモデル変革に関する次の記述を読んで,設問に答えよ。

 H社は,K地域を中心に活動する地方新聞社であり,全国紙に次ぐ購読者数をもっている。K地域は,古くから発展してきた歴史的な都市や,政財界人を多く輩出する都市,特色のある大学が拠点を置く都市などが散在するが,地域全体としては,1次,2次産業が中心であり,人口減少や産業の衰退などが大きな社会課題となっている。H社は,K地域に密着して得た多くの記事やコンテンツをもつ点や,K地域の政財界の各団体や企業,文化人を多く知っており,密接にコミュニケーションを行っている点など,地方紙ならではの強みをもっている。一方で,昨今の地方消滅などと言われる状況は,H社にとって収益減につながり,経営基盤そのものを揺るがす大きなリスクだと認識している。

〔H社の現状〕

 H社の収益源は,紙面販売が6割,広告収入が3割,残りは雑誌や書籍などの出版物販売などである。

(1) 紙面販売
 H社の紙面購読者は,昔から継続購読している高齢者が中心であるが,購読者数は漸減しており,若い世代の購読者数も伸びていない。デジタル版も発行しているが,デジタル版ならではのコンテンツは提供できておらず,購読者数の回復には至っていない。若い世代は,歴史や伝統工芸品,K地域の身近な課題にも興味はあるが,スマートフォンを利用して様々な情報を得ており,リアルタイムな情報とそれに対するフィードバックが返せるような双方向コミュニケーションが人気であり新聞離れが進んでいる。H社は,一般記事に加え,地域の歴史ある建造物や伝統工芸品などに関する研究内容や史実に関する記事,地域医療や介護,働きやすさなどの社会課題といった地域性の高い記事を多く報道してきている。最近,読者目線で社会課題を捉えたコンテンツを立ち上げ,一般の読者からテーマを募集し,記事の投稿を受け付ける取組を開始した。この取組では,記事投稿者を“トナリのレポーター”(以下,トナレポという)と呼び,トナレポが取り上げたテーマのうち,編集部が注目した一部のテーマは,H社が詳細な調査やインタビューを行ったり,関連する各団体などに取材を申し入れたりして,その見解もトナレポが投稿した記事に追加して掲載する。K地域の自治体は,トナレポの投稿記事をきっかけとして,当該テーマを政策検討に取り入れ,子育て世代の流入を増やすといった成果を出した先進自治体として注目を集めている。この取組による成果が評判となり,社会課題の研究者や意識の高い若い世代の購読者数が増加傾向にある。また,同様の社会課題を抱える他地域の自治体や地方新聞社からも問合せが来ている。本取組は,従来型の一方向の情報提供の形をとっているが,双方向コミュニケーションができれば,更に購読者数の増加が期待できる。

(2) 出版物販売
 H社は,記事制作を通じて蓄積した地域性の高い情報を生かして,旅行や歴史,伝統工芸品をテーマにした書籍や雑誌を出版し,全国の書店で販売しており,国内での評価は高い。しかし,紙媒体であることや多言語対応ができていないことから,海外では認知されていない。

 近年,訪日外国人観光客が増加している。K地域は,歴史ある建造物などが多く,外国人観光客の人気も高い。旅行会社には,外国人観光客から“母国語の資料があれば是非読みたい”との声も多く寄せられていることから,旅行会社からH社に対し多言語の出版物や資料の問合せが増加しているが,応えられていない。

(3) 広告収入
 紙面版の新聞に掲載する広告は,読者が紙面版の購読者に限定されるので,紙面の販売部数減少とともに広告掲載する企業も減少している。デジタル版はまだ購読者数は少なく広告収入は少ない。H社が出版する地域の歴史ある建造物や伝統工芸品を特集した雑誌への広告掲載は,全国の購読者への宣伝を狙って,伝統工芸品を扱う企業などからは広告掲載の申込みは多いが,紙面広告と比較すると雑誌の売上げは少なく,H社の収益改善には余り寄与していない。デジタルを活用した広告機会が増えれば,新たな収益源として期待できるが,実現できていない。

〔アンケート調査〕

 現状を踏まえH社は,今後のH社に期待する役割を把握するために,K地域の様々な人にアンケート調査を行った。

  • 若い世代:“自治体や他の読者との双方向のタイムリーなコミュニケーションを通じて,子育てや働き方,地域の暮らしにおけるウェルビーイング(Well-Being)などに関する若い世代の声を表明する場を提供してほしい。”
  • 伝統工芸品を扱う企業:“お客様に伝統工芸品の魅力を伝え,お客様からの感想や要望を確認するといった,情報発信や交流の場があれば参加し,双方向コミュニケーションの中から新しい顧客やイノベーションを見いだしたい。”
  • 旅行会社:“旅行会社の営業が見込み客に対し,より魅力ある K地域で活躍する人と触れ合える体験型の旅行を提案するために,旅行前にそれらの人と見込み客とが交流する場を提供してほしい。また,多言語対応を加速してほしい。”

 その他,アンケート調査の結果からは,H社に期待する役割は多様化しており,どの領域でも,これまでのような一方向の情報提供ではなく,双方向コミュニケーションによる社会価値共創を期待する人が増えていることが読み取れた。

〔ビジネスモデルの変革に向けた方針〕

 自社の現状やアンケート調査の結果を受け H社は,デジタル化へと大きくかじを切ることにした。そして,目指すべきビジョンを“地域社会を活性化するデジタルメディアになる”と定義した。具体的には,自社の強みを生かして,地域社会におけるコミュニケーションハブとなることによってビジネスモデルを変革する。その上で,次の三つの方針を定めた。

(1) 読者である住民の社会課題検討を促し,K地域の政財界の各団体や企業,文化人などとの双方向コミュニケーションを通じて K地域の活性化を実現する。
(2) K地域に興味をもつ他地域の企業や人々と,K地域の歴史ある建造物や伝統工芸品との新たな出会いを促し,K地域の活性化を実現する。
(3) これらの取組を H社や K地域だけに閉じるのではなく,全国に広めていくことによって日本の社会課題の解決に貢献する。

〔デジタルメディアの立ち上げ〕

 H社は,新聞記事の紙面販売及びデジタル版販売は継続しつつも,デジタルメディアのプラットフォームを構築することとした。そして,プラットフォームを利用した施策の第一弾として,次の二つのデジタルメディアを立ち上げることとした。これによって,アンケート調査の結果で明らかとなった H社に期待する役割に対応することができる。また,従来の一方向の情報提供だけでなく,双方向コミュニケーションにも強い地方メディアを体現し,K地域の活性化に貢献し,個々の読者のニーズに密着した情報を提供していく。今後,構築したプラットフォームは,他地域の地方新聞社にも利用を促し,プラットフォームとしての収益獲得も計画している。

(1) トナレポデジタル:デジタル版の読者が利用できるスマートフォンアプリケーションプログラムを使ったデジタルメディア。若い世代をターゲットに紙面版で好評なトナレポの投稿記事に対して,スマートフォン経由で迅速な双方向コミュニケーションを可能とする。

(2) テーマ特化メディア(以下,TMという):K地域の特色に特化したテーマを扱うデジタルメディア。第一弾では,インバウンド需要の拡大に備え,外国人観光客を主な利用者に想定し観光をテーマとしたTM(以下,観光TMという)を立ち上げる。

〔トナレポデジタル〕

 デジタル版の読者と,政財界の各団体や文化人とをつなぐメディアである。

 読者は,自身が感じる社会課題の記事をトナレポデジタルへ投稿する。H社の編集部では投稿された記事の内容を確認し,掲載可能と判断した記事をトナレポデジタルへ掲載する。H社の編集部は,必要に応じて各団体などへの取材を通じて深掘りした記事や,社会課題の研究者の協力を得て行った共同研究の成果を,投稿記事に併せてトナレポデジタルに掲載する。記事が掲載された読者(以下,投稿者という)は,トナレポデジタル内のコミュニティルームにスレッドを立てることができる。投稿者は,スレッド内で各団体などや他の読者と双方向のタイムリーなコミュニケーションができる。

 H社は,今後はトナレポデジタルの活動で蓄積したノウハウを活用し,双方向コミュニケーションによる社会価値共創の取組を全国に普及させるために他地域の自治体や地方新聞社に対し,有料コンサルティングをしていく計画である。

〔観光TM〕

 観光TMは,K地域を模したメタバース空間内のバーチャル地域(以下,V地域という)で,利用者のアバター同士の交流やショッピング,イベント開催などを行うプラットフォームである。収益モデルは,プラットフォーム利用料や広告収入,販売手数料などである。利用者は,アバターを活用しV地域を自由に歩き,遠方にいながらK地域の観光地を巡ることができる。V地域にはバーチャル展示場(以下,V展示場という)やバーチャル観光案内所(以下,V案内所という)を設置する。多言語化されたV展示場では,地域にまつわる伝統工芸品の購入に加え,歴史ある建造物や伝統工芸品に関する研究内容や史実なども照会できる。V案内所では,観光スポットの紹介のほかに,“K地域で活躍する工芸家や文化人など”(以下,地域活躍人材という)も紹介する。利用者は,アバターを介して地域活躍人材のアバターと交流を図ることも可能である。AIを活用した逐次翻訳機能によって,外国人でも言葉の壁を感じることなくV地域の散策や地域活躍人材との交流を行うことができる。旅行会社の営業は,K地域に実際に訪れたい見込み客を案内し,より充実した旅行プランを一緒に作ることができる。

設問と解答・解説

設問1

(1)

H社は施策の第一弾としてデジタルメディアを立ち上げることによって,H社に期待されているどのような役割を担うことができると考えたか。25字以内で答えよ。

模範解答

双方向コミュニケーションによる社会価値共創

採点基準(配点 7点)

知識・理解度(内容)(4点)

  • 4: ITを活用した事業改革の基本戦略に基づき、双方向コミュニケーションを用いた社会価値共創という新聞社に新たに求められる役割を正確に提示している。
  • 2: 社会価値共創への言及はあるが、双方向コミュニケーションの観点が抜けている、または「地域密着」などの従来の役割に留まっている。
  • 0: 内容が不適切であるか、無解答。

論理性(構造)(3点)

  • 3: 指定字数内で論理的かつ簡潔にまとめられている。
  • 1: 意味は通じるが、表現が冗長であるか、文脈に不自然さがある。
  • 0: 論理構成が破綻している。

解説

H社がデジタルメディアの立ち上げによって担うべき新たな役割について問われています。

問題の背景として、ITストラテジストには、事業を分析した上で、ITを活用した事業戦略を策定・推進する能力が求められます。本設問では、従来の「地域に密着している」という単なる情報発信の役割を超えた新たな価値提供の形を理解しているかが問われます。

講評にもある通り、デジタルメディアの特徴である双方向コミュニケーションを活かし、地域社会と共に新たな価値を生み出すこと(社会価値共創)が正解の鍵となります。従来型の役割である「地域密着」といった解答では不十分です。

高得点のポイント

  • 双方向コミュニケーションというIT活用の特性が含まれていること
  • 単なる情報提供ではなく、社会価値共創という新たな役割が明記されていること
  • 25字以内で簡潔にまとめられていること

(2)

H社がプラットフォームを構築し,他地域の地方新聞社にも利用を促しプラットフォーマーとなることによって目指すことは何か。25字以内で答えよ。

模範解答

日本の社会課題の解決に貢献すること

採点基準(配点 7点)

知識・理解度(内容)(4点)

  • 4: 日本の社会課題の解決に貢献するというプラットフォーマーとしての目的を正確に捉えている。
  • 2: 社会課題の解決には触れているが、対象範囲が地域に留まっており日本全体の観点が抜けている。
  • 0: 目的が的外れであるか、無解答。

論理性(構造)(3点)

  • 3: 指定字数内で論理的かつ簡潔にまとめられている。
  • 1: 意味は通じるが、表現が冗長であるか、文脈に不自然さがある。
  • 0: 論理構成が破綻している。

解説

H社がプラットフォーマーとして目指す最終的な目的について問われています。

H社は、自社で構築したプラットフォームを他地域の地方新聞社にも利用を促すことで、個別の地域に留まらない広がりを持たせようとしています。
各地域の新聞社が共通のプラットフォーム上でそれぞれの地域の社会課題解決に取り組むことで、最終的にはそれらが集まり、日本の社会課題の解決に寄与することが期待されています。

ITストラテジストとして、地域全体の活性化から一歩進み、より広範な社会的影響を考慮した基本戦略の構想能力が評価されます。

高得点のポイント

  • 個別の地域課題ではなく、日本の社会課題というより広い視野での目的が示されていること
  • 課題の解決に貢献するという目指す姿が明確であること
  • 25字以内で簡潔にまとめられていること

設問1(1)は,正答率は平均的であったが,従来からの特長である“地域に密着している点”だけの解答が散見された。デジタルメディアの双方向コミュニケーションによって,社会価値共創を実現する,H社の役割を理解してほしい。

設問2

〔トナレポデジタル〕について答えよ。

(1)

H社がトナレポデジタルで双方向コミュニケーションを可能にすることによって期待する効果は何か。二つ挙げ,それぞれ30字以内で答えよ。(1つ目)

模範解答

住民の社会課題検討を促すことによるK地域の活性化

採点基準(配点 6点)

知識・理解度(内容)(3点)

  • 3: 住民の社会課題検討の促進と、それによる地域の活性化という効果を的確に説明している。
  • 1: 社会課題検討の促進、または地域の活性化のどちらか一方のみに触れている。
  • 0: 内容が不適切であるか、無解答。

論理性(構造)(3点)

  • 3: 因果関係が正しく、指定字数内で簡潔にまとめられている。
  • 1: キーワードは含まれているが、文脈の繋がりが不明瞭である。
  • 0: 論理構成が破綻している。

解説

「トナレポデジタル」における双方向コミュニケーション機能の導入によって、H社が期待する具体的な効果(1つ目)が問われています。

双方向コミュニケーションを可能にすることで、単に情報を発信するだけでなく、住民同士や新聞社との間での意見交換や議論が活性化します。これにより、住民自身が社会課題の検討に積極的に参加するようになり、最終的にK地域の活性化につながることが期待されます。

ITを活用してビジネスモデルを変革し、社会全体の活性化に貢献するという基本戦略の意図を正確に読み取ることが求められます。

高得点のポイント

  • 住民参加による社会課題検討の促進が明記されていること
  • それによるK地域の活性化という社会的効果が関連づけられていること
  • 30字以内で端的にまとめられていること

(2)

H社がトナレポデジタルで双方向コミュニケーションを可能にすることによって期待する効果は何か。二つ挙げ,それぞれ30字以内で答えよ。(2つ目)

模範解答

社会課題に関心がある層のデジタル版購読者数の増加

採点基準(配点 6点)

知識・理解度(内容)(3点)

  • 3: 社会課題に関心がある層を取り込むことによる、デジタル版購読者数の増加という事業上の効果を正しく説明している。
  • 1: 購読者数の増加には触れているが、ターゲット層(社会課題に関心がある層)への言及が不足している。
  • 0: 内容が不適切であるか、無解答。

論理性(構造)(3点)

  • 3: 因果関係が正しく、指定字数内で簡潔にまとめられている。
  • 1: キーワードは含まれているが、文脈の繋がりが不明瞭である。
  • 0: 論理構成が破綻している。

解説

「トナレポデジタル」における双方向コミュニケーション機能の導入によって、H社が期待する具体的な効果(2つ目)が問われています。

双方向コミュニケーションの導入によるもう一つの重要な効果は、事業の収益基盤に関するものです。住民参加型の議論を促進することで、社会課題に関心がある層を新たに取り込むことができます。結果として、この層が新たな読者として定着し、ビジネスの成果であるデジタル版購読者数の増加に直結します。

ITストラテジストとして、社会貢献だけでなく、それをいかに自社の事業・収益化(ビジネスモデルの高度化)に結びつけるかを構想する能力が評価されます。

高得点のポイント

  • 新たなターゲット層である社会課題に関心がある層への言及があること
  • ビジネス上の具体的な成果であるデジタル版購読者数の増加が示されていること
  • 30字以内で端的にまとめられていること

(3)

H社が蓄積したノウハウを活用して他地域の自治体や地方新聞社に対しコンサルティングできると考えた理由は何か。35字以内で答えよ。

模範解答

K地域の自治体が先進自治体として注目を集めているから

採点基準(配点 6点)

知識・理解度(内容)(3点)

  • 3: K地域の自治体が先進自治体として注目されているという根拠を的確に捉えている。
  • 1: K地域の事例であることには触れているが、先進自治体としての注目度に言及できていない。
  • 0: 内容が不適切であるか、無解答。

論理性(構造)(3点)

  • 3: 理由として適切な文末表現(〜から)を使用し、指定字数内で簡潔にまとめられている。
  • 1: 意味は通じるが、理由の文体になっていないか表現に不自然さがある。
  • 0: 論理構成が破綻している。

解説

H社がトナレポデジタルで培ったノウハウを活用し、他地域の自治体や地方新聞社にコンサルティング展開できると考えた根拠が問われています。

H社が活動拠点とするK地域は、これまでの取り組みやトナレポデジタルの成功などを通じて、社会課題解決における先進自治体として注目を集めています。この「先進的な成功事例がある」という強力な実績とブランド力が、他地域に対してコンサルティングサービスを提供する際の最大の武器(根拠)となります。

高得点のポイント

  • H社の拠点であるK地域の自治体が主体として明記されていること
  • 先進自治体として注目を集めているという事実が、他地域展開の根拠として示されていること
  • 35字以内で論理的に説明されていること

設問3

〔観光TM〕について答えよ。

(1)

観光TMの立ち上げに利用するH社の強みは何か。V展示場の観点で,それぞれ45字以内で答えよ。

模範解答

歴史ある建造物や伝統工芸品などに関する研究内容や史実に関係する記事をもっている点

採点基準(配点 6点)

知識・理解度(内容)(3点)

  • 3: 歴史ある建造物や伝統工芸品に関する研究内容や史実に関連する記事を保有しているというH社の強みを抽出できている。
  • 1: 過去の記事を持っている点には触れているが、歴史や伝統工芸などの具体的内容が欠けている。
  • 0: 内容が不適切であるか、無解答。

論理性(構造)(3点)

  • 3: 指定字数内で論理的かつ簡潔にまとめられている。
  • 1: 意味は通じるが、表現が冗長であるか、文脈に不自然さがある。
  • 0: 論理構成が破綻している。

解説

観光TM(タウンミーティング)の「V展示場」の立ち上げにおいて、旅行会社が期待するH社の強みが問われています。

V展示場は、地域の歴史や文化の魅力を発信・展示する役割を担います。新聞社であるH社は、長年にわたり地域の歴史ある建造物や伝統工芸品などについての情報を蓄積しており、それらに関する研究内容や史実に関係する記事を豊富に保有しています。この独自のコンテンツ資産こそが、旅行会社が求めるV展示場構築における最大の強みとなります。

高得点のポイント

  • 歴史ある建造物や伝統工芸品といった対象が明記されていること
  • それらに関する研究内容や史実に関係する記事という、新聞社ならではの情報資産(強み)が示されていること
  • V展示場の目的に合致する情報発信の観点が45字以内でまとめられていること

(2)

観光TMの立ち上げに利用するH社の強みは何か。V案内所の観点で,それぞれ45字以内で答えよ。

模範解答

政財界の各団体や企業,文化人を多く知っている点

採点基準(配点 6点)

知識・理解度(内容)(3点)

  • 3: 政財界の各団体や企業、文化人を多く知っているというH社の人脈に関する強みを抽出できている。
  • 1: 人脈を持っていることには触れているが、政財界や文化人といった具体的な対象が欠けている。
  • 0: 内容が不適切であるか、無解答。

論理性(構造)(3点)

  • 3: 指定字数内で論理的かつ簡潔にまとめられている。
  • 1: 意味は通じるが、表現が冗長であるか、文脈に不自然さがある。
  • 0: 論理構成が破綻している。

解説

観光TMの「V案内所」の立ち上げにおいて、旅行会社が期待するH社の強みが問われています。

V案内所は、旅行者と地域のキーパーソンをつなぐ役割を担います。地方新聞社であるH社は、日々の取材や事業活動を通じて、地域の政財界の各団体や企業、文化人など、地域の多様な人脈やネットワークを豊富に有しています。この「人を知っている・つながりがある」という特長が、V案内所における重要な強みとなります。

高得点のポイント

  • 政財界の各団体や企業、文化人など、地域で活躍する多様な人材層が挙げられていること
  • それらの人物を多く知っている(ネットワークがある)という、H社の強みが的確に表現されていること
  • V案内所の目的に合致する人材ネットワークの観点が45字以内でまとめられていること

(3)

旅行会社は,観光TMを活用することによって,どのような旅行プランを作れるか。25字以内で答えよ。

模範解答

地域活躍人材と触れ合える体験型旅行

採点基準(配点 6点)

知識・理解度(内容)(3点)

  • 3: 地域活躍人材と触れ合えるという交流要素を持った体験型旅行であることを正確に解答している。
  • 1: 体験型旅行であることには触れているが、地域活躍人材との触れ合いという目的が抜けている、または旅行前のプロセスと混同している。
  • 0: 内容が不適切であるか、無解答。

論理性(構造)(3点)

  • 3: 指定字数内で論理的かつ簡潔にまとめられている。
  • 1: 意味は通じるが、表現が冗長であるか、文脈に不自然さがある。
  • 0: 論理構成が破綻している。

解説

旅行会社が観光TMを活用することで企画・提案できるようになる旅行プランの内容が問われています。

旅行会社は、H社が提供する観光TM(V展示場やV案内所)を通じて、旅行前に見込み客と地域の人々が交流する場を持つことができます。講評で指摘されているように、「事前に触れ合うプラン」などは観光TM内での活動(旅行前のフェーズ)であり、最終的な旅行プランそのものではありません。
観光TMでの交流を経て企画されるのは、実際に現地を訪れ、地域活躍人材と触れ合える体験型旅行です。

ITストラテジストとして、プラットフォーム(観光TM)の提供価値が、顧客(旅行会社)の最終的な商品・サービスにどう結びつくかを正確に捉えることが求められます。

高得点のポイント

  • ただの観光ではなく、地域活躍人材と触れ合えるという人的交流の要素が含まれていること
  • 体験型旅行という新しい旅行の形態が明記されていること
  • 旅行前の交流(観光TM)と実際の旅行プランを混同せず、25字以内で正確に表現されていること

設問3(2)は,正答率は平均的であったが,“事前に触れ合うプラン”など,観光TM内での旅行プランに関係する解答が散見された。ここでは,旅行会社が,体験型の旅行を提案するために旅行前に見込み客と交流する場の提供をH社に期待している点を理解してほしい。