令和6年度 秋期 エンベデッドシステムスペシャリスト試験 午後II 問2 組込み設計の事前検証・試作(論文)

テクノロジ組込み・IoTシステム開発技術

この問題は2024(R6)秋 エンベデッドシステムスペシャリスト 午後IIに出題されたものです。出題時点の法令・制度に基づく内容のため、現行の内容と一致しない場合があります。

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学習ガイド

組込みシステム製品の設計段階で行う実現性検証や試作といった事前検証をテーマにした論述問題です。解答例は公表されていないので、設問ア〜ウの要求と講評を手がかりに論述の設計図を組み立てます。講評は、検証手順の詳細説明に終始して目的と効果への言及が乏しい答案を課題として挙げており、なぜその検証を行うのか、その結果何が判断できたのかという因果を明確に書くことが評価の軸になります。

この記事で押さえる論点

  • 事前検証の対象と目的を製品の技術的特徴から導いて述べる
  • 検証手法の選択理由と適用方法、他部門との連携を具体化する
  • 手法・検証方法の妥当性評価と製品化への課題を論じる

問題本文

組込みシステム製品の設計における実現性の検証・試作などの事前検証について

組込みシステム製品の機能の高度化,構成の複雑化に伴い,新技術などを導入する際に製品開発に先立ち,実現性の検証又は試作などの事前検証を行うことがある。

例えば,既存の組込みシステム製品に新規のハードウェア・ソフトウェアを導入する場合,どのような要素をどのように組み合わせるか,各要素にどのような機能を割り当てるか,アーキテクチャを吟味することで,そのアーキテクチャで機能要件・非機能要件を満たせるか,製品開発に先立って実現性を検証することができる。さらに,試作によってユーザビリティなどを検討することで,その構成と機能の割り当ての妥当性,製品としての市場性・有用性を検証することもできる。

これらの事前検証では,上記の効果が確認できるまで検証を繰り返すことがあり,結果によっては製品化を断念することもある。

事前検証において,実現性の検証及び試作のいずれも,検証を効率良く柔軟に実施するための多様な手法がある。検証手法の例を次に示す。

  • 机上で,ハードウェア・ソフトウェアの仕様を基に静的な検証を実施
  • PC上でのモデルやAIを用いたシミュレーションの実行などによって,仮想的に動的な検証を実施
  • FPGA又は評価ボードといった汎用のハードウェアを利用し,動的な検証を実施
  • 従来製品の一部変更によって動的な検証を実施
  • 製品に近いプロトタイプを作成し,動的な検証を実施

事前検証においては,検証の対象及び検証の目的に基づき,適切なアーキテクチャの選定,及び適切なハードウェア・ソフトウェアの検証手法の選択が求められる。また,製品としての有用性の判断に企画部門・営業部門などの他部門との連携が必要となることも考えられる。

組込みシステム製品の設計における実現性の検証・試作などの事前検証においては,検証の対象及び検証の目的を明確に定義し,各担当部門の協力を得て検証手法の構築・評価基準の設定を行い,効率良く事前検証を実施できる手法を選択する必要がある。

設問と解答・解説

設問

あなたの経験と考えに基づいて, 設問ア〜ウに従って解答せよ。
なお, 解答欄には, 文章に加えて, 図・表を記載してもよい。

(1)

あなたが携わった組込みシステム製品の用途及び技術的特徴を踏まえた概要, 事前検証の対象及びその目的を, 2ページ(800字相当)以内で答えよ。

模範解答

模範解答は公表されていません。下の採点基準と解説から、解答に求められる要素を読み取ってください。

採点基準(配点 34点)

知識・理解度(内容)(18点)

  • 18: 組込みシステムの用途・技術的特徴、事前検証の対象・目的が、要件の明確化の観点から極めて具体的かつ詳細に記述されている。
  • 14: 組込みシステムの用途・技術的特徴、事前検証の対象・目的が具体的に記述されている。
  • 9: 組込みシステムの用途・技術的特徴、事前検証の対象・目的が記述されているが、具体性にやや欠ける部分がある。
  • 4: 組込みシステムの概要や検証目的に不足があり、内容が不十分である。
  • 0: 白紙、または設問の要求を全く満たしていない。

論理性(構造)(16点)

  • 16: システムの特徴・背景から事前検証の対象及び目的への論理展開が、製品開発を見据えた形で一貫して明確に示されている。
  • 12: システムの特徴・背景から事前検証の対象・目的への論理展開が示されている。
  • 8: 論理展開に飛躍があり、特徴・背景と検証目的のつながりが一部不明確である。
  • 4: 特徴・背景と検証目的のつながりが不明確であり、論理性が著しく乏しい。
  • 0: 白紙、または設問の要求を全く満たしていない。

解説

本設問は、エンベデッドシステムスペシャリストとして、製品の設計において採用しようとしているアーキテクチャが要件を満たすかどうかの事前検証を計画・実施するにあたり、対象システムの概要と事前検証の目的を明確にする能力を問うものです。

解答の構成案

  1. 組込みシステム製品の概要
    • システムの用途(どこで、何のために使われるか)
    • 技術的特徴(ハードウェア/ソフトウェアの構成、制約事項、新規採用技術など)
  2. 事前検証の対象
    • 検証のターゲットとなる特定の機能やアーキテクチャ、非機能要件など
  3. 事前検証の目的
    • その検証によって何を明らかにしたいのか(実現性の確認、性能の評価、リスクの早期発見など)

高得点のポイント

  • 知識・理解度(内容)
    • 対象となる組込みシステムの用途と技術的特徴が具体的に記述され、どのような背景で事前検証が必要になったのかが明確であること。
    • 製品化に向けた要件の明確化の観点から、事前検証の対象と目的が具体的に絞り込まれていること。
  • 論理性(構造)
    • 「システムの技術的特徴・背景」→「事前検証の対象の選定」→「検証の目的」という一連の流れに飛躍がなく、論理的かつ説得力のある展開となっていること。

(2)

設問アで答えた事前検証において, 選択した手法及びその手法の適用方法, その手法を選択した理由, 加えて, どのように他部門と連携したかを, 2ページ(800字相当)以上, かつ, 4ページ(1,600字相当)以内で具体的に答えよ。

模範解答

模範解答は公表されていません。下の採点基準と解説から、解答に求められる要素を読み取ってください。

採点基準(配点 33点)

知識・理解度(内容)(17点)

  • 17: 手法とその適用方法、選択理由が具体的に述べられ、事前検証に必要な他部門との連携内容や効果が明確に記述されている。
  • 13: 手法・適用方法・選択理由、他部門連携について概ね具体的に記述されている。
  • 8: 手法・適用方法・選択理由、他部門連携のいずれかの記述が不足しているか、具体性に欠ける。
  • 4: 単なる検証手順や開発工程の説明に終始し、事前検証の目的と効果に言及されていない、または他部門との連携の記述がない。
  • 0: 白紙、または設問の要求を全く満たしていない。

論理性(構造)(16点)

  • 16: 選択した手法の妥当性と他部門連携の必然性が、検証目的の達成に向けて論理的かつ説得力をもって説明されている。
  • 12: 手法の選択と他部門連携の理由が論理的に説明されている。
  • 8: 手法と他部門連携に関する論理的な説明が不十分であり、全体の構成として一貫性にやや欠ける。
  • 4: 論理的関連性がほとんど見られず、事実や手順の羅列にとどまっている。
  • 0: 白紙、または設問の要求を全く満たしていない。

解説

本設問では、設問アで定義した目的を達成するための検証手法の選択とその適用方法、ならびに他部門との連携について具体的に論述することが求められます。単なる検証手順や開発工程の説明に終始せず、事前検証の目的と効果を意識した内容にすることが重要です。

解答の構成案

  1. 選択した手法とその適用方法
    • シミュレーション、プロトタイピング、既存資産の活用などの具体的手法と、それをどう適用したか
  2. その手法を選択した理由
    • コスト、期間、検証の確実性などの観点からの妥当性
  3. 他部門との連携
    • ハードウェア部門、品質保証部門、企画部門などと、どのような情報を共有し、どう協力したか

高得点のポイント

  • 知識・理解度(内容)
    • アーキテクチャの効率的な検証能力を示すため、手法とその適用方法、選択理由が具体的に述べられていること。
    • 事前検証に必要な内容を明確にするため、他部門との連携方法が具体的に記述されていること。
  • 論理性(構造)
    • 単なる手順の説明に終始せず、選択した手法と他部門連携が検証目的の達成に対して必然性を持つことが、論理的に説明されていること。

(3)

設問イで答えた内容において, 選択した手法の妥当性及び検証方法の妥当性の評価, 検証で得られた結果及び製品化に向けての課題について, 1.5ページ(600字相当)以上, かつ, 3ページ(1,200字相当)以内で具体的に答えよ。

模範解答

模範解答は公表されていません。下の採点基準と解説から、解答に求められる要素を読み取ってください。

採点基準(配点 33点)

説得力(考察)(17点)

  • 17: 手法・検証方法の評価と検証結果に基づき、製品化に向けた課題が深く考察され、他部署にも分かりやすく効果が伝わる説得力のある内容となっている。
  • 13: 手法・検証方法の評価、検証結果、製品化への課題が適切に考察されている。
  • 8: 評価、結果、課題のいずれかの考察が浅いか、具体性にやや欠ける。
  • 4: 製品化への課題の考察が不十分であり、単なる結果の報告にとどまっている。
  • 0: 白紙、または設問の要求を全く満たしていない。

論理性(構造)(16点)

  • 16: 検証結果の評価から製品化への課題の導出に至るまで、製品化に向けた考察プロセスとして極めて論理的かつ一貫した展開となっている。
  • 12: 検証結果から課題を導出する展開が論理的に記述されている。
  • 8: 結果から課題への論理展開に飛躍があるか、一部つながりが不明確である。
  • 4: 論理的関連性が欠如しており、評価・結果・課題がそれぞれ独立して記述されている。
  • 0: 白紙、または設問の要求を全く満たしていない。

解説

本設問は、実施した事前検証に対する評価、得られた結果、そしてそこから導き出される製品化に向けての課題について論述し、エンジニアとしての高度な考察力を示すことが求められます。他部署との協議等において、目的と効果を明確に伝達できるような分かりやすい説明力が評価されます。

解答の構成案

  1. 手法および検証方法の妥当性の評価
    • 選択した手法で目的に対して十分な精度の結果が得られたか
  2. 検証で得られた結果
    • 実現性の確認結果、性能データ、判明したリスクなどの客観的事実
  3. 製品化に向けての課題
    • 検証結果から明らかになった、設計や実装工程で解決すべき技術的・体制的な課題

高得点のポイント

  • 説得力(考察)
    • 検証結果の単なる報告にとどまらず、手法の妥当性評価から製品化への課題までが深く考察されていること。
    • 他部署の人間が見ても事前検証の効果が明確に伝わるような、説得力のある考察となっていること。
  • 論理性(構造)
    • 「検証結果の客観的評価」から「課題の抽出」に至る展開が論理的であり、製品化に向けた道筋が一貫して示されていること。