令和6年度 秋期 エンベデッドシステムスペシャリスト試験 午後II 問3 保守業務を支援する機能・構造の開発(論文)
この問題は2024(R6)秋 エンベデッドシステムスペシャリスト 午後IIに出題されたものです。出題時点の法令・制度に基づく内容のため、現行の内容と一致しない場合があります。
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学習ガイド
組込みシステム製品に出荷前から実装しておく保守支援の機能・構造を論じる午後Ⅱの問題です。模範解答は非公表のため、この記事では採点基準の要求要素を分解して論文の骨格を作ります。講評では、保守の方式・形態が具体的に書かれていない答案や、ハードウェアとソフトウェアの技術者間で何を検討したかが不明な答案が指摘されており、保守方式の明示と部門横断の検討過程が論述の必須要素だと分かります。
この記事で押さえる論点
- 採用した保守方式・形態とその背景を製品特性から説明する
- ハードとソフトの技術者が協力して検討した保守支援機能を具体化する
- 保守要員の評価・課題を今後の製品開発へ還元する視点で論じる
出題情報
- 出題
- 2024(R6)秋 エンベデッドシステムスペシャリスト 午後II 問3
- 配点
- 100点満点
- 模範解答
- 未公表(採点基準と解説から解答の方向性を読み取る)
出題趣旨・採点講評(IPA 公表)
組込みシステム製品の開発において,出荷後の保守業務(予防保守,事後保守)を想定した保守を支援する機能が求められることが多い。また,組込みシステム製品の保守は,ハードウェアとソフトウェアに関連し多岐にわたるので,ハードウェアとソフトウェアの開発技術者が協力して検討することが不可欠である。本問は,組込みシステムの開発において,保守業務を迅速かつ効率的に行うために,あらかじめ組込みシステム製品に実装した保守業務を支援する機能・構造,及び保守の評価・課題に対して今後の製品開発に生かすべきと考えた内容について具体的に論述することを求めている。論述を通じて,エンベデッドシステムスペシャリストに必要な開発能力を評価する。
問3では,対象の組込み製品にあらかじめ実装した保守業務を支援する機能・構造について,具体的に論述されていた。一方,その組込み製品に採用した保守の方式・形態について具体的に述べられていない論述や,保守業務を支援する機能・構造を開発する上でハードウェアとソフトウェアの開発技術者間で検討した内容について具体的に述べられていない論述が散見された。エンベデッドシステムスペシャリストにおいては,対象の組込み製品を開発するに当たり,保守方式・形態に合わせた保守業務を支援する機能・構造を,関係する開発技術者,保守要員との協力のもと検討して,開発を行えるように心掛けてほしい。
問題本文
組込みシステム製品における,保守業務を支援する機能・構造の開発について
組込みシステム製品の出荷後には,製品の状態確認と有寿命部品の交換などを行う予防保守,故障・障害といった不具合が発生した場合の原因調査及び対策などを行う事後保守などの保守業務がある。保守業務は,製品出荷数,不具合発生時の緊急対応要否など,製品と市場及び顧客の特徴などによって,様々な方式・形態で行われる。
従来,予防保守は,定期的に状態を確認して有寿命部品と劣化傾向のある部品の交換などを行う TBM(定期保守)方式が多く行われてきた。近年は製品各部の状態を監視し部品の劣化傾向を分析することで,保守対象箇所と時期を決める CBM(状態基準保守・予知保守)方式を行う製品も増えつつある。
一方,事後保守には,現地に出向いて保守を行う形態や,製品を送付してもらい保守を行う形態などがある。
こうした,様々な方式・形態で行われる組込みシステム製品の保守業務を迅速かつ効率的に行うために,次に示すような保守業務を支援する機能・構造を開発して,あらかじめ製品に実装しておくことが求められる。
- ロギング機能:製品に発生した事象,発生日時,発生回数などを記録する機能
- 自己診断機能:様々な状態情報を基に,不具合の有無などを診断する機能
- エラー表示機能:不具合が発生した部位・種類などを表示する機能
- リモート保守機能:遠隔地から,状態確認,ソフトウェア更新などを行う機能
- 保守容易化構造:交換部品のモジュール化,実装配置など,保守性の高い構造
ただし,組込みシステム製品はメモリ,インタフェースなど,資源に制限があり,実装空間,運用など,制約事項も多いので,次のような考慮,工夫も必要となる。
- 表示灯などの点滅パターンでエラー内容が分かるようにする。
- 重要なログは,不揮発性メモリに記録して,電源断などによる消失を防止する。
- モジュールの交換は,システムが稼働中でも可能な構造とする。
なお,保守業務を支援する機能・構造の開発は,ハードウェアとソフトウェアに関連し多岐にわたるので,両開発技術者が協力して検討することが不可欠である。
さらに,保守業務実施後には,保守要員から保守内容の詳細及び用いた保守業務を支援する機能・構造の評価を収集し,課題を抽出して,その内容を今後の製品開発及び保守業務に生かすことが重要である。
あなたの経験と考えに基づいて,設問ア~ウに従って解答せよ。
なお,解答欄には,文章に加えて,図・表を記載してもよい。
設問と解答・解説
設問ア
あなたが携わった組込みシステム製品の用途及び技術的特徴を踏まえた概要,採用した保守の方式・形態,及びその保守の方式・形態の採用に至った背景を,2ページ(800字相当)以内で答えよ。
模範解答
模範解答は公表されていません。下の採点基準と解説から、解答に求められる要素を読み取ってください。
採点基準(配点 34点)
知識・理解度(内容)(17点)
- 17点: 製品の用途、技術的特徴、採用した保守の方式・形態とその背景が、具体的に漏れなく記述されている。
- 13点: 要求された要素は概ね記述されているが、一部の記述がやや抽象的である。
- 9点: 記述要素の一部が不足しているか、保守の方式・形態の記述が明確でない。
- 4点: 内容が不十分であり、対象システムの概要や保守を採用した背景が伝わらない。
- 0点: 設問の要求事項に答えていない。
論理性(構造)(17点)
- 17点: 各要素が論理的に関連づけられ、システムの特徴や背景から保守の方式・形態に至る経緯が極めて説得力を持って構成されている。
- 13点: 全体として論理的な構成となっているが、一部要素間の関連や因果関係がやや弱い。
- 9点: 構成に一定のまとまりはあるが、論理の飛躍や説明不足が見られる。
- 4点: 構成が整理されておらず、背景と採用した保守方式との因果関係が不明瞭である。
- 0点: 論理的な構成が全くなされていない。
解説
組込みシステム製品における保守の方式・形態と、その採用に至った背景を問う設問です。製品の用途や技術的特徴を踏まえ、なぜその保守方式が必要であったかを論理的に説明する必要があります。
高得点のポイント
- 製品の用途及び技術的特徴が具体的に示されていること。
- 採用した保守の方式・形態(例:遠隔保守、定期予防保守、モジュール交換など)が明記されていること。
- 製品の特徴や運用環境と関連付けた、採用に至った背景が説得力を持って記述されていること。
設問イ
設問アで答えた製品の保守業務を迅速かつ効率的に行うために,あらかじめ製品に実装した保守業務を支援する機能・構造,保守業務を支援する機能・構造の開発で行った考慮・工夫,及びハードウェアとソフトウェアの開発技術者間で検討した内容について,2ページ(800字相当)以上,かつ,4ページ(1,600字相当)以内で具体的に答えよ。
模範解答
模範解答は公表されていません。下の採点基準と解説から、解答に求められる要素を読み取ってください。
採点基準(配点 33点)
知識・理解度(内容)(17点)
- 17点: 保守業務を支援する機能・構造、開発での考慮・工夫、HW/SW開発者間での検討内容が、いずれも極めて具体的に記述されている。
- 13点: 上記要素は記述されているが、いずれかの具体性がやや不足している。
- 9点: 一部の要素(特にHW/SW間の検討内容など)が欠落しているか、全体的に抽象的な記述に留まっている。
- 4点: 全体的に内容が薄く、具体的な機能・構造や開発上の工夫が読み取れない。
- 0点: 設問の要求事項に全く答えていない。
論理性(構造)(16点)
- 16点: 設問アで記述した保守方式に基づき、機能の実装理由からHW/SW間の役割分担・連携の検討内容まで、一貫して論理的に説明されている。
- 12点: 論理的・一貫性はあるが、設問アの保守方式との関連付けやHW/SW間の連携の説明がやや弱い。
- 8点: 論理構成は保たれているが、実装の工夫や検討内容の因果関係が不明瞭な部分がある。
- 4点: 記述内容が散漫であり、全体としての一貫性や論理性に欠ける。
- 0点: 全く論理的な説明となっていない。
解説
設問アで挙げた保守方式を実現するために実装した支援機能・構造や、その工夫、さらにはハードウェア(HW)とソフトウェア(SW)の開発者間での協調について問われています。
高得点のポイント
- 実装した保守支援機能・構造(例:自己診断機能、ログ収集機能、テストピンの配置、フェールセーフ機構など)が具体的に記述されていること。
- 開発時に行った考慮・工夫が、保守業務の迅速性・効率性の観点から説明されていること。
- HWとSWの開発技術者間で検討した内容(例:エラー検出時のHW/SWの役割分担、インタフェース仕様の調整など)が具体的に論述されていること。出題趣旨にある通り、この検討内容が欠落していると大きく減点されます。
設問ウ
設問イで答えた保守業務を支援する機能・構造に対する評価,及び保守要員から収集した評価・課題に対して,今後の製品開発及び保守業務に生かそうと考えている内容について,1.5ページ(600字相当)以上,かつ,3ページ(1,200字相当)以内で具体的に答えよ。
模範解答
模範解答は公表されていません。下の採点基準と解説から、解答に求められる要素を読み取ってください。
採点基準(配点 33点)
知識・理解度(内容)(17点)
- 17点: 実装した機能・構造に対する評価、保守要員から収集した評価・課題、及び今後の製品開発・保守業務への展開が、漏れなく具体的に示されている。
- 13点: 各要素は記載されているが、評価や課題の内容がやや表面的である。
- 9点: 一部の要素(保守要員からの課題や今後の展開など)が欠落しているか、全体的に抽象的である。
- 4点: 現状の評価や感想のみに留まり、課題や今後の展望についてほとんど記述がない。
- 0点: 設問の要求事項に答えていない。
説得力(考察)(16点)
- 16点: 抽出された課題に対する分析が深く、今後の製品開発や保守業務に生かす内容が非常に現実的かつ効果的であり、エンベデッドシステムスペシャリストとしての高い見識が示されている。
- 12点: 課題に対する分析と今後の展開について、一定の妥当性と説得力がある。
- 8点: 考察はされているが、今後の改善や展開内容が一般的または抽象的なレベルに留まっている。
- 4点: 考察が浅く、単なる思い付きや感想のレベルに留まっている。
- 0点: 考察や今後の展開に関する記述が全くない。
解説
実装した保守支援機能の評価と、保守要員からのフィードバックに基づく課題、そしてそれらを今後の製品開発及び保守業務にどのように生かすかを論述する設問です。
高得点のポイント
- 設問イで記述した機能に対する客観的な評価が明確に記述されていること。
- 保守要員という現場の視点からの評価・課題が具体的に収集・記載されていること。
- 抽出された課題に対して、単なる修正にとどまらず、今後の製品開発プロセスの改善や次期製品へのフィードバックとして、エンベデッドシステムスペシャリストの視点から説得力のある考察がなされていること。