平成29年度 宅地建物取引士資格試験 問 8

A、B、Cの3人がDに対して900万円の連帯債務を負っている場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。なお、A、B、Cの負担部分は等しいものとする。

解答・解説

正解: 2. Aが、Dに対する債務と、Dに対して有する200万円の債権を対当額で相殺する旨の意思表示をDにした場合、B及びCのDに対する連帯債務も200万円が消滅する。

本問は、連帯債務に関する民法の規定についての理解を問う問題です。令和2年(2020年)4月施行の改正民法により、連帯債務における絶対的効力事由(他の連帯債務者にも効力が及ぶ事由)が限定されたことがポイントです。

各選択肢の解説

  • 選択肢1:誤り
    出題当時の民法では、連帯債務者の一人に対する履行の請求は、他の連帯債務者に対してもその効力を生じるとされていました(絶対的効力)。したがって、出題当時は、DがAに対して履行の請求をすれば、B及びCがそのことを知っているかどうかにかかわらず、B及びCにも効力が生じました。

  • 選択肢2:正しい
    連帯債務者の一人が債権者に対して債権を有する場合、その連帯債務者が相殺を援用したときは、その効力はすべての連帯債務者に及びます(絶対的効力、民法439条1項)。したがって、Aが200万円分の相殺を援用した場合、B及びCのDに対する連帯債務も200万円分消滅します。

  • 選択肢3:誤り
    連帯債務者の一人について消滅時効が完成した場合、その効力は他の連帯債務者には及びません(相対的効力の原則、民法441条)。したがって、Bのために時効が完成しても、A及びCのDに対する連帯債務は消滅しません。

  • 選択肢4:誤り
    連帯債務者の一人が弁済をして共同の免責を得た場合、その弁済額が自己の負担部分以下であっても、他の連帯債務者に対し、各自の負担部分の割合に応じて求償することができます(民法442条1項)。したがって、Cは100万円の弁済により、A及びBに対して各自の負担割合(3分の1ずつ)に応じた額を求償することができます。

現行法での扱い(2026年4月1日時点)

出題当時の規定では、連帯債務者の一人に対する履行の請求は他の者にも効力を生じる絶対効とされていました。しかし、2020年4月1日施行の民法改正により、履行の請求は相対効に変更されました。このため、選択肢 1は現行法では正しい記述となります。選択肢 2の相殺の絶対効は維持されており、現行法での正解は複数になります。

Spineチーム