昭和63年度 宅地建物取引主任者資格試験 問16
権利関係不動産登記法
不動産登記に関する次の記述のうち, 誤っているものはどれか。
解答・解説
正解: 4. 土地の所有者は, いったん所有権移転の仮登記をした後は, 他の者に対する所有権移転の登記をすることはできない。
本問の正解は 4 です。仮登記には順位保全の効力はありますが、処分の制限をする効力はないため、仮登記後も他の者に所有権移転の登記をすることが可能です。
各選択肢の解説
- 選択肢1: 正しい
出題当時の不動産登記法は、登記の申請は原則として当事者や代理人が登記所に出頭して行うもの(出頭主義)としていましたが、不動産の表示に関する登記については例外として、申請人が登記所に出頭する必要はないと定めていました(旧不動産登記法26条2項)。 - 選択肢2: 正しい
登記原因について第三者の許可や同意等を要する場合(例:農地の売買における農業委員会の許可など)、登記の真正を担保するため、原則としてその許可等を証する情報(書面)を添付して提供する必要があります。 - 選択肢3: 正しい
建物を新築した場合など、不動産の物理的現況を示す表示に関する登記(表題登記)は、原則として所有権の取得日から1カ月以内に申請する義務があります。一方で、出題当時は、物権変動に基づく権利に関する登記については、申請期間の特段の定めや申請義務はありませんでした。 - 選択肢4: 誤り(正解)
仮登記は、将来行われる本登記の順位を保全するためのものであり、不動産の処分権限を制限する効力はありません。したがって、いったん所有権移転の仮登記がなされた後であっても、土地の所有者は他の者に対する所有権移転登記(本登記など)をすることが可能です。
現行法での扱い(2026年4月1日時点)
出題当時は、物権変動が生じたときの登記の申請期間に特段の定めはなく、選択肢3は正しい記述でした。しかし、2024年4月1日施行の不動産登記法の改正(相続登記の申請義務化・相続人申告登記)により、相続による所有権取得については3年以内の登記申請が義務化されました。そのため、現行法では選択肢3も誤りとなり、正解が複数になります。