令和2年度 管理業務主任者試験 問31
マンションの共用部分の工事における総会の決議要件に関する次の記述のうち、標準管理規約の定めによれば、最も不適切なものはどれか。
解答・解説
正解: 3. 下水道が完備されたため、不要となった浄化槽を撤去する工事には、組合員全員の合意が必要である。
正解は 3 です。
敷地及び共用部分等の変更は、原則として総会の特別決議(組合員総数の4分の3以上及び議決権総数の4分の3以上の賛成)で決しますが、その変更が「共用部分の形状又は効用の著しい変更を伴わないもの」である場合は、普通決議(出席組合員の議決権の過半数の賛成)で行うことができます(標準管理規約第47条第2項、第3項第2号)。
標準管理規約第47条関係コメント⑤カ)は、既に不要となったダストボックスや高置水槽等の撤去工事は普通決議により実施可能と考えられるとしています。下水道の完備により不要となった浄化槽を撤去する工事にも、組合員全員の合意は必要ありません。したがって、選択肢3が最も不適切です。
各選択肢の解説
- 1:適切
各住戸の玄関扉の一斉交換工事は、計画修繕工事や形状・効用の著しい変更を伴わない共用部分の変更に該当するため、普通決議(出席組合員の議決権の過半数の賛成)で行うことができます(同コメント⑤カ))。 - 2:適切
1階の全ての柱下部を切断して免震部材を挿入するような大規模な耐震改修工事は、基本的構造部分への加工を伴い、「共用部分の形状又は効用の著しい変更」に該当するため、特別決議(組合員総数の4分の3以上及び議決権総数の4分の3以上の賛成)が必要です。同コメント⑤イ)が普通決議で実施可能とするのは、柱やはりに炭素繊維シートや鉄板を巻き付けて補修する工事など、基本的構造部分への加工が小さい耐震改修工事です(なお、耐震改修促進法第25条第2項の認定を受けた建物の耐震改修は、第47条第3項第2号の特別決議の対象から除かれています)。 - 3:不適切
不要となった浄化槽の撤去工事は、既に不要となった設備の撤去工事として普通決議で実施可能と考えられ(同コメント⑤カ))、組合員全員の合意までは必要ありません。 - 4:適切
エントランスホールの一部を集会室に変更する工事は、共用部分の用途や形状・効用の著しい変更を伴うため、特別決議(組合員総数の4分の3以上及び議決権総数の4分の3以上の賛成)が必要です。
現行法での扱い(2026年11月1日時点)
出題当時は、選択肢 3 のみが不適切で正解でした。2025年10月の標準管理規約の改正により、特別決議は組合員総数の過半数かつ議決権総数の過半数を有する組合員が出席し、出席組合員及びその議決権の各4分の3以上で決することとされ(第47条第3項)、現行の耐震基準を満たさないことに対処する基礎部分等の切断による免震構造化のような瑕疵の除去に必要な変更は、各過半数の出席のもと出席組合員及びその議決権の各3分の2以上で決することとされました(第47条第4項第1号イ、コメント第47条関係8イ)。このため、組合員総数及び議決権総数の各4分の3以上の賛成が必要とする選択肢 2 と選択肢 4 も不適切となります。したがって、現行では不適切な選択肢が複数あり、一つに定まりません。