IPA UI 設計・ユーザビリティ — 頻出論点と過去問

頻出論点

1. この分野は何か

同じ機能のシステムでも、画面の部品の選び方や説明書の書き方、操作の誤りへの備え方しだいで、使う人の手間や迷いは大きく変わります。使いやすさを表す言葉は規格で定義されていて、似た言葉どうしでも、対象にしている範囲がそれぞれ違います。

2. 実際の出題のされ方

画面の部品やデザインの用語、使いやすさに関わる言葉の定義は、説明と名前を対応させる形の問題として、年度をまたいで出題が続いています。対話形式で複雑な操作を案内する機能や、人の適切な行動を誘う知覚できる手掛かりの名前、サムネイルとレスポンシブWebデザインの説明を選ぶ問題が、ITパスポートの試験で問われました。デザインの四つの原則の空欄補充、構造化シナリオ法の三つのシナリオの組合せ、多様な人が等しく使える度合いを指す用語を選ぶ問題もあります。ATMの入金操作で使用性を考えるべき箇所、スキャナーで読んだ画像から文字をデータにする技術、スマートスピーカーの処理のうち音声認識に当たる段階を選ぶ問題も同じ区分です。

Webページの部品と評価の手法は、応用情報技術者の午前で具体的に問われます。三本線のアイコンで隠れたメニューを開く仕組み、固定の枠の中で複数の画像を横に順に見せる部品、サイトの中での現在位置までの道筋の名前を選ぶ問題があります。単一のHTML文書で画面の大きさに合わせた表示を実現する機能、評価の手法を参加する人で二つに分けた組合せ、JIS規格に定められたアイコンの性質の説明を選ぶ問題も出ています。システムの要件を考えるときのUXデザインの説明を選ぶ問題は、プロジェクトマネージャの午前IIにも出ています。

JIS規格の定義や入出力の装置を問うのは、主にエンベデッドシステムスペシャリストの午前IIです。ハプティックデバイスの説明、利用者にシステムを実際に操作してもらって意見を聞く評価手法の名前、JIS Z 8521でのユーザエクスペリエンスの定義を選ぶ問題があります。

作業や文書の決まりについては、ほかの高度試験の午前IIでも問われています。使用性を高める施策はデータベーススペシャリスト、エラープルーフ化の五つの原理のうち未然防止に当たる組合せはITサービスマネージャで問われました。

システム監査技術者の午前IIでは、利用者用文書の参照モードへの要求事項と、IVRの説明を選ぶ問題が出ています。

3. 学習のポイント

画面の部品は、常に見せておく情報と、操作したときだけ広げる情報の線引きで使い道が決まります。

  • ナビゲーションの部品: パンくずリストは、いま見ているページがサイトのどの階層にあるかを上からたどって示します。ハンバーガーメニューは、狭い画面で項目を普段は畳んでおき、記号を押したときだけ広げます。カルーセルは、限られた枠の中で複数の画像を入れ替えながら見せます。
  • 画面の大きさと操作の手掛かり: レスポンシブWebデザインは、1つのHTML文書のまま、CSSのメディアクエリで画面の幅などの条件ごとにスタイルを切り替え、端末に合った配置で見せる作り方です。シグニファイアは、押す場所に付いたへこみのように、どう操作すればよいかを見ただけで伝える手掛かりです。JIS X 9303-1は、アイコンの評価の観点の一つとして、一度覚えた機能を後でどれだけ楽に思い出せるかを挙げています。

使いやすさを表す言葉は、何を対象にした度合いかで違いが表れます。

  • 使用性・アクセシビリティ・UX: 使用性(ユーザビリティ)は、決まった人が決まった場面で目的を果たすときの、達成の確かさ、手間の少なさ、満足の度合いをまとめた言葉です。アクセシビリティは、体の特性や年齢などが違う人でも同じように使えるかという、使える人の広がりの度合いです。UX(ユーザエクスペリエンス)は、使う前の期待から使った後の印象まで、利用者の側に生じる受け止め方の全体を指し、UXデザインは、機能だけでなく心地よさや楽しさまで含めた体験を設計の目標にします。
  • 評価の手法: 評価の方法は、実際の利用者に加わってもらうものと、専門家だけで済ませるものに分かれます。認知的ウォークスルー法は、専門家が利用者の立場を想像して操作の手順を一つずつたどる方法で、実際の利用者は加わりません。

人とシステムの間の入出力と誤りへの備えは、どの段階の処理か、エラーの前に効くか後に効くかで整理できます。

  • 入出力の技術: 音声認識は、話し声を文字のデータに置き換える処理を指します。ハプティックデバイスは、押し返す力や振動を指先などに返して、触った感覚で操作の結果を伝える装置です。IVRは、かかってきた電話に機械が応答し、かけた人のボタン操作に応じて録音や合成音声で情報を返す仕組みです。
  • エラープルーフ化: 作業のしかたを人に合わせて変え、ヒューマンエラーによる障害を防ぐ考え方です。五つの原理は、エラーそのものを起こさせない側と、起きたエラーの害を抑える側に分かれるので、原理ごとに、効くのがエラーの前か後かを考えると区別できます。

4. 間違えやすいところ

構造化シナリオ法における三つのシナリオを選ぶ問題では、ペルソナを三つのシナリオの一つに数えた組合せが誤答肢にありました。ペルソナはシナリオの主人公として設定する仮想的な利用者像であり、段階的に具体化する三つのシナリオの階層そのものではありません。

ソフトウェアの使用性を高める施策を選ぶ問題では、ほかのシステムとつなげる相手を増やすとする誤答肢がありました。ほかのシステムとのつなぎやすさは互換性(相互運用性)の話で、人が使うときの分かりやすさを高める施策ではありません。

ATMの入金操作で使用性を考えるべき接点を選ぶ問題では、ソフトウェアどうしの接点を挙げた誤答肢がありました。ソフトウェアどうしのつなぎ方は、操作する人の分かりやすさとは関わりません。

利用者用文書の参照モードへの要求事項を選ぶ問題では、簡単な作業から難しい作業へ、最初の作業から後の作業へと順に並べる章立てを挙げた誤答肢がありました。作業の順に並べて使い方を教える構成は、使った経験の無い人向けの教習モードに求められるものです。

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