IPA 監査の実施(計画・手続・証拠・報告) — 頻出論点と過去問

頻出論点

1. この分野は何か

監査人が結論を出すまでに積み上げる証拠と記録、そして報告の後に改善の行方を見届ける段取りを扱う分野です。作業の名前が似ていても、監査人が受け持つ作業と監査を受ける側が受け持つ作業のあいだには、工程ごとに線が引かれています。

2. 実際の出題のされ方

監査の一連の工程の順序や、具体的な作業がどの工程に当たるかを問う問題が出ています。収集した結果から監査意見を検討する段階を選ぶ問題や、システム監査人が担う役割を全て選ぶ問題、予備調査と本調査で使う調査の手段を全て選ぶ問題は、ITパスポートの問題として出ています。

工程・文書・技法の定義を、システム監査基準の記述に照らして選ぶ問題もあります。予備調査で行う作業、監査手続とフォローアップの説明、監査調書の役割について、応用情報技術者の午前では基準に合う記述を選ばせています。同じ区分には、監査技法の説明を選ぶ問題、説明に当たる技法の名前を選ぶ問題、監査証拠の入手と評価について適切でない記述を選ぶ問題もあります。

午前IIでは、リスク・アプローチに基づく計画策定や、結論の形成・報告における基準の規定が問われます。情報処理安全確保支援士では、リスク評価に基づいて監査計画を立てるときに考慮する事項が問われました。システム監査技術者では、試査やITF法の説明、十分かつ適切な監査証拠の説明を選ぶ問題のほか、調査不足で監査人の意見が割れた場面の対応や、監査で運用中のシステムに及ぶ影響を抑える管理策を選ぶ問題もあります。

3. 学習のポイント

予備調査と本調査は、手に入れるものが違います。予備調査は監査の対象がどう動いているかをつかむ下調べで、結論の裏付けに使う証拠は本調査で集めます。

監査調書は、監査人がどの手続で何を確かめ、何を見つけてどう判断したかを残す記録です。報告書の結論はこの記録の上に立つので、記録には事実だけでなく監査人の所見も書きます。

報告の後の改善は、監査を受けた部門が自分の責任で計画し、実行します。監査人がその計画づくりや実行に加わると、改善の結果を確かめる立場の独立性が損なわれるため、監査人は改善の進み具合を確かめる側に回ります。

4. 間違えやすいところ

リスク・アプローチで監査計画を立てる問題で、見落としで結論を誤るおそれを計画によって完全になくすとする誤答肢がありました。監査リスクはどの監査にも残るもので、基準は計画の段階でそれを合理的に低い水準に抑えることを求めています。

試査に当たるものを選ぶ問題で、すべての取引データに手続を試しに当てて正当性を判断するという誤答肢がありました。全件を対象に手続を当てる方法は精査と呼ばれ、試査とは調べる範囲の取り方が違います。

監査技法について適切な記述を選ぶ問題で、コンピュータ支援監査技法は専用のソフトウェアでなければ使えないとする誤答肢がありました。平成30年の基準の説明では、この技法には表計算ソフトウェアなどの汎用の道具も含まれます。

監査報告書の作成と報告について適切な記述を選ぶ問題で、報告書の提出先を監査を受けた会社の代表取締役に限るとする誤答肢がありました。令和5年の基準は、報告の相手を、監査の依頼者や監査を受けた部門を含む適切な関係者としています。

監査の実施(計画・手続・証拠・報告)の理解度チェック

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