IPA 財務諸表・経営分析 — 頻出論点と過去問
頻出論点
1. この分野は何か
企業の成績は、損益計算書・貸借対照表・キャッシュフロー計算書の三つの決算書類にまとめられ、その数字どうしを割り算した経営指標で、稼ぐ力や支払いの余裕が測られます。三つの書類は同じ決算を別々の切り口で写したもので、売上を計上しても代金が入るまでは、利益だけが先に増えて手元の現金は増えません。
2. 実際の出題のされ方
損益計算書については、粗利益や営業利益を求める計算式そのものを選ぶ形から、決算資料の表で営業利益や経常利益を計算する形、当期純利益から販売費及び一般管理費を逆にたどる形まであり、どれも段階利益の足し引きの順番を使います。式を選ぶ形と逆にたどる形はITパスポートで出た問題で、同じ試験には、当期の損益計算書だけで求められる収益性の指標の組合せや、資本活用の効率性を示す指標を選ぶ問いもあります。
貸借対照表や財務指標の計算では、ITパスポートで貸借対照表から自己資本比率や流動比率を求める問題が出題されています。応用情報技術者の午前では、資本金・資本剰余金・利益剰余金に分かれた構成図から自己資本比率を求める問題や、卸売業と小売業の2社の売上高・営業利益・総資産の表から卸売業の側に当てはまる記述を選ぶ問題が出ています。XBRLが主に扱う情報の種類を選ぶ問題もあります。
取引の計上や資産の会計処理については、ITパスポートで複数の取引の日付・内訳・金額の表から期末時点の売掛金残高や取引先の与信の余力を求める問題、仕入単価が上昇し続ける状況で期末棚卸高の計算に用いる単価を変えたときの期末棚卸高と売上原価の変化を問う問題が出ています。応用情報技術者の午前では、PCを廃棄処分した際の固定資産の除却損を廃棄費用も含めて計算する問題が出題されました。
ITストラテジストの午前IIでは、キャッシュフロー計算書の区分や間接法による計算、連結決算、会計手続まで問われます。具体的には、投資活動によるキャッシュフローに該当するものを選ぶ問題(応用情報技術者の午前では営業活動に該当するものを選ぶ問題)、税金等調整前当期純利益から営業活動によるキャッシュフローを計算する問題が出ています。このほか、債務超過の状態を表す記述を選ぶ問題、親会社と100%子会社の損益計算書から連結売上高総利益率を求める問題、固定資産の帳簿価額を回収可能価額まで減額する会計手続を選ぶ問題も出題されました。
3. 学習のポイント
損益計算書の利益は、本業の売り買いの差を出発点に、本業の経費、本業の外で毎期生じる損益、その期だけの臨時の損益、税金の順に一段ずつ足し引きを重ねたものです。段ごとの利益の名前は、どこまでの項目を足し引きし終えたかを表しています。
経営指標の分子と分母は、一会計期間の流れを写す損益計算書と、決算日の残高を写す貸借対照表のどちらかから取ります。利益を残高で割る指標は、損益計算書だけでは計算できません。
間接法は、利益と現金の増減のずれを一つずつ戻して営業キャッシュフローを求める方法で、費用に入れたのに現金が出ていない分は足し、収益に入れたのに現金が入っていない分は引きます。
4. 間違えやすいところ
売掛金残高を取引一覧表から求める問題では、すでに売上計上されて未回収の取引だけでなく、まだ売上計上されていない受注段階の金額まで加算した値が誤答肢にありました。受注額まで足した値は、これから売上になる注文の分まで含めた、受け取る予定の代金の総額です。
帳簿価額から廃棄費用を差し引いた金額が、固定資産を廃棄した際の除却損を求める問題の誤答肢にありました。帳簿価額から廃棄費用を引いた値は、払った廃棄費用を売却代金のような受け取りとして扱った額です。
債務超過の状態を選ぶ問題では、「負債合計が自己資本よりも大きい」とする誤答肢がありました。総資本が負債と自己資本だけでできているとすると、負債合計が自己資本を上回るのは、総資本に占める負債の割合が50%を超えていることを示すにすぎません。
財務諸表・経営分析の理解度チェック
財務諸表・経営分析の過去問一覧
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