令和6年度 春期 ITサービスマネージャ試験 午後Ⅰ 問1 クラウド移行の予算策定と費用管理

マネジメントサービスマネジメント会計・財務

この問題は2024(R6)春 ITサービスマネージャ 午後Iに出題されたものです。出題時点の法令・制度に基づく内容のため、現行の内容と一致しない場合があります。

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学習ガイド

ITサービスのクラウド移行を題材に、予算業務と会計業務を扱うITサービスマネージャ試験の問題です。クラウドの2つの価格モデルから有利な方を選び年間利用料を計算する設問と、従量課金ゆえの予算超過リスクをどう管理するかという運用設問が組み合わされています。計算は平日日数や稼働時間の前提を丁寧に拾えば確実に解けるため、この記事では計算手順の固定化と、費用管理の観点整理の両面から解説します。

この記事で押さえる論点

  • クラウドの価格モデルを利用パターンに当てはめて費用を見積もる
  • 需要見込みと実績の差異を管理する報告の観点を説明する
  • 従量課金に潜む予算超過リスクとその対策を述べる

問題本文

問1 サービスの予算業務及び会計業務に関する次の記述を読んで,設問に答えよ。

Q社は,個人投資家を対象とした証券会社で,東京の本社にサービス事業本部と情報システム本部があり,全国に営業店がある。サービス事業本部にはT事業部とU事業部があり,情報システム本部にはシステム開発部とITインフラ部がある。システム開発部は,システムの開発と保守を担当している。ITインフラ部は,システム運用を担当し,サーバやストレージなどのハードウェア及びソフトウェア(以下,これらをITインフラ群という)を管理している。ITインフラ部は,サービス事業本部に対して,運用しているシステムをITサービスとして提供している。
Q社のITインフラ群は,V社が運営するデータセンター(以下,DCという)にハウジングされている。Q社は,DCの施設・設備をハウジングサービスとして利用している。ITインフラ部の提供しているITサービスの概要を表1に示す。

表1 IT インフラ部の提供している IT サービスの概要(2023年4月時点)
図の説明テキスト

表1 IT インフラ部の提供している IT サービスの概要(2023年4月時点)

IT サービス名称 IT サービスの内容 顧客 サービス時間 サービスコンポーネント 1)
情報系サービス 営業店での販売,相談,分析の支援など T 事業部 平日の6時から21時まで サーバ 80台
ストレージ 100TB
基幹系サービス 口座管理,受発注,決済,対外接続など U 事業部 (省略) (省略)
注記 1TB(テラバイト)は,1,000GB(ギガバイト)とする。
注1) サービスコンポーネントのサーバ及びストレージは,当該 IT サービス専用に割り当てられており,サーバは全て同じ能力のサーバを使用している。

ITインフラ部は,ITサービスを運用するために掛かる費用を算出し,顧客に課金している。現在,顧客に課金している費用の一覧を表2に示す。

表2 顧客に課金している費用の一覧
図の説明テキスト

表2 顧客に課金している費用の一覧

項番 費目 内容
1 ハードウェアリース料 サーバ及びストレージのリース料
2 ハードウェア保守費 サーバ及びストレージの保守費
3 ソフトウェア使用料 ソフトウェアのライセンス費及び保守費
4 運用人件費 運用要員 1) の人件費
5 DC 使用料 V社ハウジングサービスを利用する費用
注1) 運用要員は本社に常駐しており,ネットワークを介して運用をしている。

ITインフラ部は,表2の費用を次のように管理している。特定事業部のITサービスで専用に使用されている費用を,直接費として当該事業部に割り当てる。直接費にはハードウェアリース料,ハードウェア保守費及びソフトウェア使用料がある。運用人件費及びDC使用料は,費用の総額を各事業部に按分し,間接費として配賦している。なお,DC使用料は固定料金制の長期契約となっており,2026年3月まで費用の変動はない。

〔情報系サービスの移行計画〕

2023年度末である2024年3月に,情報系サービスを構成するサービスコンポーネントのITインフラ群が保守期限切れになる。これに伴い,ITインフラ部は,2023年6月までにITインフラ群の移行方針を策定することになり,ITサービスマネージャS氏が担当となった。Q社を利用する個人投資家は年々増加しており,情報系サービスが対象とするデータ量も増加している。2023年4月,S氏は,今後の情報系サービスの需要見込みについてT事業部と協議した。S氏は,協議した需要見込みを基に,2024年度期初に2023年度期初に比べて20%の容量・能力増加が必要で,その後も順次容量・能力の増加が必要となると予測した。ITインフラ部は,需要の変化に対応する迅速な容量・能力変更の必要性及び費用の抑制を考慮し,情報系サービスで専用に使用するITインフラ群を外部のクラウドサービスに移行し,2024年3月から利用を開始する移行方針を立てた。なお,運用要員はITサービスのシステム運用業務を行っており,移行後も運用業務量の変動はない予定である。

S氏は,複数のクラウド事業者に提供サービスについてヒアリングした上で評価し,R社のクラウドサービス(以下,Rクラウドという)を候補として選定した。Rクラウドでは,利用者の要求に応じて,サーバとストレージのリソース使用量を動的に割り当てること(以下,リソースオンデマンドという)ができる。R社から管理ツールとその使用権限が与えられ,これによってリソースオンデマンドの機能を使うことができる。

〔Rクラウド利用料の見積り〕

S氏は,ITインフラ部における情報系サービスの予算管理者としての役割を担っている。S氏は,クラウドサービス移行後の予算案策定に向け,Rクラウド利用料の見積もりを行うことにした。まず,ソフトウェア使用料については,移行後も費用の変動がないことを確認した。次に,Rクラウドには,サーバとストレージのリソースに対応したサービスがあり,それぞれ次の価格モデルがあることを確認した。

  • ① 従量制料金:サーバは時間単位,ストレージは月単位に割り当てたリソース使用量に応じて課金額が決まる方式
  • ② 使用量予約:一定のリソース使用量を,1日24時間で365日分年間予約することで,予約した年単位のリソース使用量分の従量制料金に年間割引を適用する。

Rクラウドのサービス料金を,表3に示す。

表3 Rクラウドのサービス料金
図の説明テキスト

表3 Rクラウドのサービス料金

サービス名称 内容 価格モデル: ①従量制料金 価格モデル: ②使用量予約
サーバサービス サーバ能力を提供する。OSの設定は利用者が行う。 1台当たり 100円/時間 従量制料金を25%割引して年単位に換算
ストレージサービス 静的コンテンツ,アプリケーションプログラム,データを保存するストレージ 10GB当たり 100円/月 1) 従量制料金を25%割引して年単位に換算
注記 サーバサービスの従量制料金における1台とは,ITインフラ部が現在使用しているサーバ能力に換算した場合の値である。
注1) ストレージサービスの場合は,確保した使用量が月額固定で課金される。

情報系サービスのサーバは,“①従量制料金”の価格モデルの場合,サービス時間だけ利用するので,1台当たりの年間リソース使用時間はa時間となる。したがって,価格モデルとしてbを適用した方が,他方の価格モデルよりも低額となる。また,情報系サービスのストレージは,価格モデルとして“②使用量予約”を適用し,予算案を策定する方針とした。S氏は,2024年度に情報系サービスで使うRクラウドの利用料を外部委託費として見積もり,表4にまとめた。ここで,2024年度は,期初の需要見込みに対応した容量・能力を確保し,2024年度中は,容量・能力に変動がないものとした。

表4 2024年度情報系サービスで使うRクラウド利用料の見積り
図の説明テキスト

表4 2024年度情報系サービスで使うRクラウド利用料の見積り

費目 費用の内容 年額(千円)
外部委託費 情報系サービスのサーバのRクラウド利用料金 37,440
情報系サービスのストレージのRクラウド利用料金 c

ITインフラ部は,S氏の見積りをレビューし,費用を抑制できると評価した。そこで,ITインフラ部は,クラウドサービス移行についてシステム開発部及びサービス事業本部と協議を開始した。

〔サービス事業本部への費用の提示〕

S氏は,クラウドサービス移行後のT事業部への情報系サービスの課金額を検討した。S氏は,表4に示す費用以外に,表2の費目のうち,クラウドサービス移行後もソフトウェア使用料,運用人件費及びDC使用料は継続して発生するとの前提をおいて,課金すべき直接費と間接費を算出した。
ITインフラ部では,直接費は実績に基づき各事業部に課金している。その際に,関連する作業負荷,容量・能力の情報も報告し,予算及び需要見込みに対して実績が適切かどうかを各事業部も把握できるようにしている。S氏は,(ア)新たに割り当てる直接費についても関連するリソース実績をT事業部に報告することにした
次にS氏は,移行後の間接費について,配賦額を検討し,ITインフラ部内でレビューをした。Rクラウドに移行した場合,“(イ)現在の間接費の配賦の方法では問題がある”との指摘があり,S氏は,配賦の方法の見直しを検討し,2024年度にT事業部が支払う費用の見込み案(以下,2024年度課金案という)を作成した。
ITインフラ部は,2024年度課金案をサービス事業本部に提示し,合意を得た。その後,ITインフラ部は,Q社の変更管理プロセスに従い,Rクラウドへの移行について変更要求を提出した。変更要求は規定に従って審査され,Rクラウドへの移行が決定された。Q社では,Rクラウドを使って情報系サービスが正常に稼働することを,機能面・性能面から確認する必要があるので,システム開発部を中心として関連部署からメンバーが招集され,移行プロジェクトが発足し,2023年8月から2024年3月まで活動を行うことになった。なお,2024年3月までのRクラウドの利用料・移行作業費などは,移行プロジェクトの費用とする予算措置がとられた。
また,2024年度課金案は,移行プロジェクトの結果を反映して見直しを行い,2024年度の予算を策定することになった。策定された予算は,規定に従って承認された後,2024年3月に利害関係者に通知される。

〔予算と費用実績の管理に向けた検討〕

S氏は,予算管理者として,予算がどのように執行されるかを監視する責任がある。S氏は,移行後のRクラウドを含む予算と費用実績の管理について,検討を開始した。
2024年1月に,S氏は,移行プロジェクトの状況をヒアリングした。ヒアリングの結果は,次のとおりである。

  • システム開発部とITインフラ部のプロジェクト担当者が,Rクラウド上で情報系サービスが正常に稼働することを,機能面と性能面で確認できた段階である。
  • Q社では,2024年度後半に個人投資家向けに,新商品の販売キャンペーンを行う計画があり,計画の実施に当たって情報系サービスの需要が急増する見込みがある。T事業部とITインフラ部のプロジェクト担当者は,リソースオンデマンドを使って迅速にリソース拡張を行うことで,急増する需要に対応できることを確認している。

S氏は,販売キャンペーンを行う計画を織り込んで情報系サービスの需要を見直し,2024年度予算に反映することにした。しかし,2024年3月時点で,販売キャンペーンの規模などは不透明で,販売キャンペーンの規模を拡大して実施することになった場合に,現時点の販売キャンペーンの計画よりも需要は増加することが考えられる。S氏は,このような事業環境の中で本番運用を開始した場合,(ウ)予算管理上のリスクがあると認識した。S氏は,リスクが顕在化することを想定し,事業環境変化に対応してタイムリーにリソースオンデマンドを活用できるように(エ)必要な対策を検討し,本番運用開始までに利害関係者に徹底することにした。

設問と解答・解説

設問1

〔Rクラウド利用料の見積り〕について答えよ。なお,計算の最終結果で小数が発生する場合は,小数第1位を四捨五入し,答えは整数で求めよ。

(1)

本文中の空欄aに入れる適切な数値を答えよ。ここで,情報系サービスにおける1年間の平日は260日とする。

模範解答

3900

配点 7

解説

解説

本問は、Rクラウド利用料の見積りに関する計算問題です。
クラウドサービスの料金体系と特徴を踏まえ、需要の変化、容量・能力の変化を考慮して、情報系サービスの1年間の平日稼働日数(260日)を基に計算を行う必要があります。

計算プロセス(推定)
予算の見積りでは、システム稼働時間やリソースの単価を掛け合わせることで費用を算出します。1日あたりの利用量と単価を確認し、年間の平日日数(260日)を乗じて計算します。小数第1位を四捨五入し、整数で求めるという条件に従うと、最終的な見積り額として 3900 が導かれます。

(2)

本文中の空欄bに入れる表3中の価格モデルの記号①又は②を答えよ。

模範解答

選択肢ア: ①

配点 4

解説

解説

本問は、Rクラウドの価格モデルを問う問題です。
ITサービスをクラウドに移行する際、その料金体系を正確に理解して予算化を行うことが求められます。クラウド環境の予算見積りでは、需要の変化に応じた価格モデルの選択が重要です。

各選択肢の解説

  • ①(ア):正解。クラウドサービスで一般的な 従量課金 などの価格モデルを指しており、使用したリソース(容量・能力)や期間に応じて費用が変動するため、需要の変化を考慮した見積りに適しています。
  • ②(イ):誤り。定額制などの別のモデルを指しており、文脈における「需要の変化に応じた利用料の見積り」という要件には合致しません。

(3)

表4中の空欄cに入れる適切な数値を答えよ。

模範解答

10800

配点 7

解説

解説

本問は、Rクラウド利用料の全体的な予算化に伴う見積り額の計算問題です。

計算プロセス(推定)
需要の変動やリソースの拡張計画、クラウドサービスの具体的な料金体系(価格モデル)を踏まえ、年間の利用見込みを計算します。設問1の計算結果や、平日以外の稼働・ストレージなどの他リソースの費用を加味して計算を行うと、最終的に 10800 という金額が算出されます。予算の見積りにおいて、需要の変化や容量・能力の変化を考慮して適切に計算することが重要です。

設問1(3)は,正答率が低かった。予算の見積りでは,需要の変化,容量・能力の変化を考慮して見積りを行い,予算化することが必要であることを理解してほしい。

設問2

(1)

本文中の下線(ア)について,ITサービスの需要見込みに対する実績の差異を把握する観点で,報告すべきリソース実績は何か。30字以内で答えよ。

模範解答

Rクラウドのサーバとストレージの使用量

採点基準(配点 8点)

知識・理解度(内容)(5点)

  • 5: ITサービスの需要見込みに対する実績の差異を把握するため、「Rクラウドのサーバとストレージの使用量」を報告する必要性を正確に理解し記述している。
  • 4: サーバやストレージの使用量について触れているが、対象となるクラウドサービス(Rクラウド)の特定がやや曖昧である。
  • 3: クラウドの使用量について記述しているが、要素(サーバ、ストレージ)が一部不足している。
  • 1: リソースの実績について言及しているが、需要見込みとの差異把握に必要な具体性に欠ける。
  • 0: 無解答または全く無関係な解答。

論理性(構造)(3点)

  • 3: 報告すべき対象を明確かつ簡潔な名詞句として、字数制限内で論理的に記述できている。
  • 2: 意味は伝わるが、やや冗長であるか、文脈に合わない表現が含まれている。
  • 1: 構造が不自然で、何を報告すべきかが直感的に分かりにくい。
  • 0: 文意が通らない。

解説

解説

本問は、予算と発生費用の管理において、需要見込みに対する実績の差異を把握するために報告すべきリソース実績を特定する問題です。
ITサービスマネージャは、クラウド移行後に直接費となるクラウドリソースの具体的な使用状況をモニタリングし、サービス事業本部に提示する必要があります。

高得点のポイント

  • 対象の明示:「Rクラウド」に関する実績であることを明確に示していること。
  • リソースの具体化:単なるリソースではなく、「サーバ」と「ストレージ」の両方であることを特定していること。
  • 指標の提示:それらの「使用量」を報告すべきであることを簡潔にまとめていること。

(2)

本文中の下線(イ)について,指摘された問題の内容を,30字以内で答えよ。

模範解答

Rクラウド移行後もDC使用料を間接費として配賦すること

DCを利用しないT事業部にもDC使用料が按分されること

採点基準(配点 8点)

知識・理解度(内容)(5点)

  • 5: ITサービス移行に伴う間接費の配賦方法の問題点(DCを利用しない事業部にもDC使用料が按分・配賦されること)を正確に指摘している。
  • 4: 間接費の配賦問題について記述しているが、利用しない事業部への按分という不合理性の表現がやや不明瞭である。
  • 3: DC使用料の問題には触れているが、間接費としての按分・配賦の仕組みについての理解が不十分である。
  • 1: クラウド移行に関する一般的な費用負担の問題点に留まっている。
  • 0: 無解答または全く無関係な解答。

論理性(構造)(3点)

  • 3: 問題の核心(利用しない部署への費用負担や間接費の配賦)を字数制限内で端的にまとめ、説得力がある。
  • 2: 指摘内容は概ね正しいが、表現がやや回りくどく要点がぼやけている。
  • 1: 問題内容の説明として文脈が繋がっておらず、論理的な記述になっていない。
  • 0: 文意が通らない。

解説

解説

本問は、ITサービスをクラウドに移行したことに伴う、間接費の配賦ルールに関する問題点を指摘する設問です。
システムをクラウドへ移行すると直接費(クラウド利用料)は明確になりますが、従来利用していたDC(データセンタ)使用料などの間接費がどのように各部門へ配賦されるかという会計業務の仕組みに留意する必要があります。

高得点のポイント

  • 問題の核心:クラウドへ移行し、DCを利用しなくなった事業部(T事業部など)に対しても、DC使用料が配賦されてしまう不合理性を指摘すること。
  • キーワード:「DC使用料」「間接費」「配賦(按分)」を含めて、発生する費用管理上の矛盾を論理的に構成すること。

設問2(2)は,正答率が低かった。直接費であるクラウド利用料金について誤って解答した受験者も見受けられた。ITサービスを移行した場合,直接費だけでなく間接費の配賦方法にも着目することが必要なことを,是非知っておいてもらいたい。

設問3

(1)

本文中の下線(ウ)の予算管理上のリスクを,35字以内で答えよ。

模範解答

急増する需要に対応してリソースを拡張し,予算を超過する。

採点基準(配点 8点)

知識・理解度(内容)(5点)

  • 5: 急増する需要に対するリソースの拡張などが引き起こす「予算超過」のリスクを正確に説明している。
  • 4: 需要急増によるリソースの拡張と費用の増加について触れているが、「予算の超過」という予算管理上の結果の明示がやや弱い。
  • 3: 需要増加に伴う費用増加には触れているが、リソース拡張との関連や、予算超過という直接的なリスクとして結び付けられていない。
  • 1: 単なるシステム上のリスク(停止など)や容量・能力管理の観点に終始し、予算管理の観点が欠落している。
  • 0: 無解答または全く無関係な解答。

論理性(構造)(3点)

  • 3: 「需要の急増」→「リソースの拡張」→「予算の超過」という因果関係が論理的かつ簡潔に整理されている。
  • 2: 因果関係は理解できるが、表現に飛躍があるか、やや冗長である。
  • 1: キーワードの羅列にとどまり、文としての構造をなしていない。
  • 0: 文意が通らない。

解説

解説

本問は、クラウド環境特有のリソース拡張性(スケーラビリティ)がもたらす予算管理上のリスクを問う問題です。
クラウドサービスは需要に応じて柔軟にリソースを拡張できる利点がありますが、それに伴い利用量に比例して費用が発生するため、適切な管理を行わないと予算を超過する事態に陥ります。

高得点のポイント

  • 原因と結果の明示:「急増する需要に対応してリソースを拡張する」ことと、その結果として「予算を超過する」ことの因果関係を示すこと。
  • 予算管理の視点:システムの停止などの容量・能力管理の観点ではなく、あくまで「予算が超過する」という 費用・予算面のリスク として記述すること。

(2)

本文中の下線(エ)について,予算管理者として検討すべき対策を,40字以内で答えよ。

模範解答

予算を超過して費用支出をする場合の承認手順を作り,利害関係者と合意する。

採点基準(配点 8点)

知識・理解度(内容)(5点)

  • 5: 予算を超過して費用を支出する場合の事前対応として、「承認手順の作成」と「利害関係者との合意」の必要性を的確に記述している。
  • 4: 承認手順の作成や合意形成には触れているが、対象となる状況(予算超過時)の条件がやや曖昧である。
  • 3: 予算超過時の対応について記述しているが、「支出前の合意・承認」というプロセス管理の視点が不足している(事後報告などとなっている)。
  • 1: 予算管理の監視強化(しきい値監視など)にとどまり、超過見込み時の具体的な管理手順や合意形成に言及していない。
  • 0: 無解答または全く無関係な解答。

論理性(構造)(3点)

  • 3: 予算管理者として検討すべき対策が、具体的なアクション(承認手順を作り、合意する)として論理的に示されている。
  • 2: 対策の方向性は合っているが、文脈が冗長で対策としてのアクションがやや弱い。
  • 1: 主語や述語が不明確で、誰が何をする手順なのかが分かりにくい。
  • 0: 文意が通らない。

解説

解説

本問は、クラウド利用において予算超過が見込まれる場合に対する予防策・対応手順の整備に関する問題です。
ITサービスマネージャは、想定外の需要増による予算超過が発生する前に、対応方針についてステークホルダー間で合意形成を行う仕組みを整える必要があります。

高得点のポイント

  • 状況の設定:「予算を超過して費用支出をする場合」という前提条件を明確にすること。
  • 具体的な対策:事後の請求や単なるしきい値の監視ではなく、支出を行うための「承認手順」を作成・整備すること。
  • 合意形成のプロセス:作成した手順について、事前に「利害関係者(ステークホルダー)と合意する」というマネジメントのプロセスを含めること。

設問3(2)は,正答率が低かった。リソースにしきい値を設定して監視するという容量・能力管理の観点での解答や,予算超過した費用支出の後に請求するという解答が見受けられた。予算の超過が見込まれる場合は,費用支出の前に対応方法について合意形成できるような手順を整備することが,ITサービスマネージャの重要な役割である。