令和7年度 春期 応用情報技術者試験 午後 問11 勤務管理システムの運用・保守監査
マネジメントシステム監査
この問題は2025(R7)春 応用情報技術者 午後に出題されたものです。出題時点の法令・制度に基づく内容のため、現行の内容と一致しない場合があります。
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学習ガイド
人事管理や給与計算と連携する勤務管理システムの運用・保守段階の監査を扱った問題です。内部監査部長の指示に沿って監査手続の空欄を埋める形式で、システム間連携のデータ整合性、変更対応の妥当性、障害管理の記録といった運用段階特有の監査着眼点が問われます。この記事では、各指示が想定しているリスクを先に言語化し、そのリスクを確かめる手続として空欄の解答を導く順序で解説します。
この記事で押さえる論点
- システム間連携をもつ勤務管理の運用・保守段階のリスクを識別する
- 障害管理データベースの記録から監査の着眼点を導く
- 監査手続の空欄を「何を確かめるための手続か」から埋める
出題情報
- 出題
- 2025(R7)春 応用情報技術者 午後 問11
- 配点
- 20点満点
- 模範解答
- 公表(設問ごとに掲載)
出題趣旨・採点講評(IPA 公表)
企業などの勤務管理システムは,人事管理システム,給与計算システムなどと連携する場合があり,また,勤務形態の多様化,連携するシステムの変更などへの対応が求められる場合もある。勤務管理の実効性を確保するためには,勤務管理に関連するシステムを適切に運用,保守することが重要である。本問では,勤務管理に関連するシステムの運用,保守段階における監査を題材として,システム監査の着眼点,手続などについて,基本的な理解を問う。
問11では,勤務管理に関連するシステムの運用,保守段階における監査を題材に,システム監査の着眼点,手続などについて出題した。全体として正答率は平均的であった。
問題本文
問11 勤務管理に関連するシステムの監査について,次の記述を読んで,設問に答えよ。
小売業を営むW社では,本社及び支社の部署,店舗など(以下,部店という)で,合計約3,000人の従業員が勤務している。従業員の勤務日,勤務時間帯などは,所属する部店,職種などによって異なっており,勤務管理システムで管理している。勤務管理システムは,人事管理システム,給与計算システムなどと連携しており,勤務形態の多様化,連携するシステムの改変などに伴って,随時保守が必要である。勤務管理に関連するシステムの概念図を図1に示す。

図の説明テキスト
「人事部」「部店」「人事管理システム」「TR管理システム」「PC管理システム(点線枠)」の各ノードから下向きの矢印が大きな枠「勤務管理システム」に向かっている。「勤務管理システム」の内部には「標準勤務時間」「勤務開始時刻, 勤務終了時刻」「所属部店, 職種」「TR開始時刻, TR終了時刻」「PC開始時刻, PC終了時刻(点線枠)」の要素がある。「勤務管理システム」から下向きの矢印が「給与計算システム」に向かっている。凡例として「点線内:テレワーク対応で実装」「TR:部店設置のタイムレコーダ」「PC:従業員貸与のパソコン」と記載されている。
内部監査部長は,システム監査チームに対して,勤務管理に関連するシステムを監査するよう指示した。システム監査チームは,X年5月に予備調査を行い,次の事項を把握した。
〔勤務管理の概要〕
(1) 人事部は,勤務管理規程に基づき,従業員一人当たりの毎月の標準勤務時間を部店別及び職種別に定め,全社勤務時間管理表に記載している。標準勤務時間は,例えば,営業企画部の企画職では,1月180時間,2月165時間,店舗の販売職では,1月140時間,2月130時間,店舗の事務職では,1月160時間,2月150時間などである。
(2) 標準勤務時間を超過した勤務時間(以下,超過勤務時間という)に対しては,給与規程に定めた超過勤務手当が支払われる。
(3) 従業員の毎月の勤務日数,勤務時間などの記録(以下,勤務記録という)は,翌月7日を確定日としている。
(4) TRに従業員用ICカードを読み取らせることによって,従業員が部店に入室した時刻(以下,TR開始時刻という)及び部店から退室した時刻(以下,TR終了時刻という)がTR管理システムに登録される。
(5) 従業員は,TR開始時刻及びTR終了時刻を参考にして,勤務記録の確定日までに,勤務開始時刻及び勤務終了時刻を勤務管理システムに登録する。
(6) 人事部は,一部の従業員について,X年10月からテレワークでの勤務を認める予定である。テレワークでの勤務の場合,従業員は,PCの稼働開始時刻(以下,PC開始時刻という)及び稼働終了時刻(以下,PC終了時刻という)を参考にして,勤務開始時刻及び勤務終了時刻を勤務管理システムに登録する。
(7) X年10月からは,勤務形態について,例えば,次のような一定の組合せが認められる。
① 8時~12時:部店勤務,13時~17時:テレワーク
② 9時~11時:テレワーク,12時~15時:部店勤務,16時~18時:テレワーク
〔勤務管理に関連するシステムの概要〕
(1) 人事部は,全社勤務時間管理表に基づき,勤務管理システムに標準勤務時間を手作業で登録する。
(2) 勤務管理システムは,TR管理システムからTR開始時刻及びTR終了時刻を日次バッチ処理で取り込み,従業員別の勤務実績画面に表示する。TR開始時刻と勤務開始時刻の差,又はTR終了時刻と勤務終了時刻の差が一定時間以上の場合,勤務実績画面に警告メッセージ(以下,時差確認メッセージという)を表示する。
(3) 勤務管理システムのテレワーク対応では,PC管理システムからPC開始時刻及びPC終了時刻を日次バッチ処理で取り込み,勤務実績画面に表示する予定である。また,時差確認メッセージの表示条件は,①①PC開始時刻と勤務開始時刻の差,又はPC終了時刻と勤務終了時刻の差が一定時間以上の場合などを想定している。
(4) 従業員の超過勤務時間は,人事管理システムから月次バッチ処理で連携された従業員の所属部店及び職種,人事部が登録した標準勤務時間に基づき,算出される。
(5) 給与計算システムは,勤務記録の確定日の夜間バッチ処理で,勤務記録を勤務管理システムから取り込み,給与支給額を算出する。
〔勤務管理に関連するシステム障害〕
(1) W社では,発生したシステム障害について,発生日,事象,重要度,直接原因,根本原因,暫定対応,恒久対応などを障害管理データベースに登録し,随時更新している。
(2) 障害管理データベースを閲覧した結果,X年1月に,勤務管理に関連するシステム障害が発生していたことが分かった。X年2月末日時点における障害管理データベースの登録内容(抜粋)を表1に示す。

図の説明テキスト
| 項目 | 登録内容 |
|---|---|
| 発生日 | X年1月25日 |
| 事象 | 給与計算システムで算出した一部の給与支給額が誤っていた。 |
| 重要度 | 高 |
| 直接原因 | 勤務管理システムから給与計算システムに連携された超過勤務時間が誤っていた。 |
| 根本原因 | 人事部が,人事管理システムに一部の従業員の職種を誤登録したことから,超過勤務時間が誤って算出された。 |
| 暫定対応 | 人事部が,従業員の正しい職種に基づき,適正な給与支給額を算出した。 |
| 恒久対応 | 人事管理システムについて,従業員の職種に関する入力コントロールを,X年3月末日までに改修する予定である。 |
(3) さらに障害管理データベースを閲覧した結果,表1に示すシステム障害と同様の根本原因であるシステム障害がX年4月に再発していた。
内部監査部長は,システム監査チームから予備調査の結果報告を受けて,X年7月に実施予定の本調査での監査手続について,次のとおり指示した。
〔内部監査部長の指示〕
(1) 勤務管理システムにおいて, 標準勤務時間の登録が a であることから, ITに係る b が適切に組み込まれているか, 確認すること。
(2) 〔勤務管理に関連するシステムの概要〕(3)において, 時差確認メッセージの表示条件について, 下線①のほかに, c の d を想定しているか, 確認すること。
(3) 〔勤務管理に関連するシステム障害〕(3)を考慮したとき, e システムが, f を防止するために適切な内容で, g までに改修されていたか, 確認すること。
設問と解答・解説
設問1
〔内部監査部長の指示〕(1)について, 答えよ。
(1)
本文中の a に入れる適切な字句を, 5字以内で答えよ。
模範解答
手作業
採点基準(配点 3点)
正確性(内容)(3点)
- 3点: 「手作業」と正確に抜き出している。
- 1点: 正答のキーワードを含んでいるが、余分な文字が含まれている、または誤字がある。
- 0点: 誤答、または無解答。
解説
解説
本問は、勤務管理に関連するシステムの運用・保守段階における監査を題材として、システム監査の着眼点や手続についての基本的な理解を問うものです。
文脈から、システム化されていない手順や、人が介入するプロセスを指す言葉が入ります。
高得点のポイント
- 手作業というキーワードを正確に記述できていること。
(2)
本文中の b に入れる適切な字句を, 10字以内で答えよ。
模範解答
入力コントロール
採点基準(配点 3点)
正確性(内容)(3点)
- 3点: 「入力コントロール」と正確に抜き出している。
- 1点: 正答のキーワードを含んでいるが、余分な文字が含まれている、または誤字がある。
- 0点: 誤答、または無解答。
解説
解説
標準勤務時間を誤登録するリスクに対する仕組みが問われています。
監査において、勤務管理システムに入力コントロールが組み込まれているかを確認することが重要であるという点を理解しておく必要があります。
高得点のポイント
- 入力コントロールというキーワードを正確に記述できていること。
設問1(2)は,正答率がやや低かった。標準勤務時間を誤登録するリスクに対する入力コントロールが,勤務管理システムに組み込まれているか,監査において確認する必要があることを理解してほしい。
設問2
〔内部監査部長の指示〕(2)について, 答えよ。
(1)
本文中の c に入れる適切な字句を, 5字以内で答えよ。
模範解答
勤務形態
採点基準(配点 3点)
正確性(内容)(3点)
- 3点: 「勤務形態」と正確に抜き出している。
- 1点: 正答のキーワードを含んでいるが、余分な文字が含まれている、または誤字がある。
- 0点: 誤答、または無解答。
解説
解説
勤務管理システムのテレワーク対応における、時差確認メッセージの表示条件に関する設問です。
通常勤務やテレワークなど、働き方の種類を示す言葉が入ります。
高得点のポイント
- 勤務形態というキーワードを正確に記述できていること。
(2)
本文中の d に入れる適切な字句を, 10字以内で答えよ。
模範解答
一定の組合せ
採点基準(配点 3点)
正確性(内容)(3点)
- 3点: 「一定の組合せ」と正確に抜き出している。
- 1点: 正答のキーワードを含んでいるが、余分な文字が含まれている、または誤字がある。
- 0点: 誤答、または無解答。
解説
解説
勤務管理システムのテレワーク対応において、時差確認メッセージがどのような条件で表示されるかが問われています。
監査においては、勤務形態の一定の組合せを想定してテストが行われているかを確認することが求められます。
高得点のポイント
- 一定の組合せというキーワードを正確に記述できていること。
設問2は,正答率がやや低かった。勤務管理システムのテレワーク対応において,時差確認メッセージの表示条件について,勤務形態の一定の組合せを想定しているか,監査において確認する必要があることを理解してほしい。
設問3
〔内部監査部長の指示〕(3)について, 答えよ。
(1)
本文中の e に入れる適切な字句を, 5字以内で答えよ。
模範解答
人事管理
採点基準(配点 3点)
正確性(内容)(3点)
- 3点: 「人事管理」と正確に抜き出している。
- 1点: 正答のキーワードを含んでいるが、余分な文字が含まれている、または誤字がある。
- 0点: 誤答、または無解答。
解説
解説
勤務管理システムと連携する他のシステムについて問われています。
従業員の職種などの情報を持つシステムは人事管理システムです。
高得点のポイント
- 人事管理というキーワードを正確に記述できていること。
(2)
本文中の f に入れる適切な字句を, 15字以内で答えよ。
模範解答
従業員の職種の誤登録
採点基準(配点 3点)
正確性(内容)(3点)
- 3点: 「従業員の職種の誤登録」と正確に抜き出している。
- 1点: 正答のキーワードを含んでいるが、余分な文字が含まれている、または誤字がある。
- 0点: 誤答、または無解答。
解説
解説
人事管理システムと勤務管理システムの連携において、発生しうるエラーやリスクの内容が問われています。
システム間の連携により、従業員の職種の誤登録といったリスクに対処できるかを検討する必要があります。
高得点のポイント
- 従業員の職種の誤登録という事象を正確に記述できていること。
(3)
本文中の g に入れる適切な字句を, 10字以内で答えよ。
模範解答
X年3月末日
採点基準(配点 2点)
正確性(内容)(2点)
- 2点: 「X年3月末日」と正確に抜き出している。
- 1点: 正答のキーワードを含んでいるが、余分な文字が含まれている、または誤字がある。
- 0点: 誤答、または無解答。
解説
解説
監査対象となる具体的な期限や日付を答える設問です。
文脈に従い、対象期間や適用日を示すX年3月末日を正確に抜き出す必要があります。
高得点のポイント
- X年3月末日という具体的な日付を正確に記述できていること。