IPA 補助記憶・入出力装置 — 頻出論点と過去問

頻出論点

1. この分野は何か

データをしまっておく装置や、画面・プリンタなどの周辺機器を、どんな仕組みの違いで選び分けるかを扱う分野です。物理的な駆動部品の有無による媒体の性質、サーバがストレージを専用で持つか共有するかの違い、そしてディスクの回転とヘッド移動から読み出し時間を積み上げる手順が問われます。

2. 実際の出題のされ方

記憶媒体の分類や入出力装置の仕組み、性能単位の基本を問う問題が、ITパスポートで出ています。半導体メモリを使う媒体を選ぶ問題や、読出し専用のDVDを選ぶ問題、駆動部品を持たないことによる消費電力や耐衝撃性の特徴から媒体を特定する問題、ネットワークに直接つなぐ記憶装置の説明を選ぶ問題があります。入出力装置では、スキャナーの細かさを表す単位や文字認識技術の役割、スマートフォンのタッチパネルの検出方式、プリンタの印字方式、1次元と2次元のコードが表せる最大データ量の比較が出題されています。

応用情報技術者の午前では、サーバとストレージの接続形態やアクセス方式、表示デバイスの原理、データ転送を受け持つ回路、磁気ディスクの時間計算へと踏み込みます。SANの接続方式やファイバチャネル(FC)の特徴を選ぶ問題、オブジェクトストレージのデータ管理方式、DMAコントローラーの説明を選ぶ問題、コネクタの断面図から規格を判別する問題が出題されています。表示装置では、有機ELディスプレイや電気泳動型電子ペーパーの表示原理が問われます。

SANとDAS・NASの違いを問う問題が、システムアーキテクトとITサービスマネージャの午前IIで出ています。

フラッシュメモリ向けのストレージ規格や、MPUのウェイト機能・レディ機能の使い方、磁気ディスクの平均待ち時間の計算は、エンベデッドシステムスペシャリストの午前IIで問われます。また、PCI Expressの世代間の仕様比較がネットワークスペシャリストの午前IIで出ています。

3. 学習のポイント

サーバから見たストレージの接続形態とデータアクセス方式は、それぞれの違いの軸で対比して押さえます。

  • 接続形態の違い: サーバから見て、ストレージを自分専用の装置としてつなぐのがDAS、LAN上のファイルサーバとして共有するのがNAS、ストレージ専用のネットワークを作ってブロック単位で使うのがSANです。
  • データアクセス方式の違い: ファイルストレージは階層のあるファイル名で、ブロックストレージは決まった大きさの区画の番号で、オブジェクトストレージはデータごとに付けた識別子でデータを探します。オブジェクトストレージはメタデータをデータと一緒に持ち、フォルダのような階層を持ちません。

次に、フラッシュメモリを用いたストレージ規格と高速シリアルバス規格の関係を整理します。

  • NVMeとeMMC: NVMeは、PCI Expressにつないだフラッシュメモリのストレージとやり取りするための通信の約束事で、SATAで使われてきたAHCIに代わるものです。一方、eMMCはフラッシュメモリと制御回路を1つの部品にまとめ、基板に直接はんだ付けして使う組込み向けのストレージです。
  • PCI Expressの世代仕様: PCI Expressは3.0・4.0・5.0と世代が進むごとに、1レーンの片方向の転送速度が8・16・32 GT/sと2倍ずつになっています。符号化方式は3.0〜5.0で128b/130bを使います。

入出力制御と表示・読取装置の原理も重要です。

  • MPUとI/Oの連携: DMAコントローラーは、CPUの代わりにデータの転送を受け持ち、その間CPUは別の処理を進められるようにする回路です。また、ウェイト機能とレディ機能は、遅い装置の準備ができるまで、装置側の合図を見てMPUがアクセスを引き延ばす仕組みです。
  • ディスプレイの表示原理: 有機ELは画素そのものが光り、液晶はバックライトの光を通すか止めるかで明暗を作り、電気泳動型の電子ペーパーは色の付いた粒子を画面側へ引き寄せて表示します。

最後に、磁気ディスク装置のアクセス時間計算の手順を確実に身につけます。データの読み書きに要する平均アクセス時間は、磁気ヘッドを目的のトラックへ移動させる平均位置決め時間(平均シーク時間)、目的のセクタがヘッドの下に回ってくるまでの「平均回転待ち時間」、および「データ転送時間」の合計です。平均回転待ち時間は1回転の時間の半分、データ転送時間はデータ量を転送速度で割った値です。例えば、回転数が 3,0003,000 回転/分、平均シーク時間が 88 ミリ秒、転送速度が 20 M20\text{ M} バイト/秒の装置で 4,0004,000 バイトを読み取る場合、1回転の時間は 60,000 ミリ秒÷3,000=20 ミリ秒60,000\text{ ミリ秒} \div 3,000 = 20\text{ ミリ秒}、平均回転待ち時間はその半分の 10 ミリ秒10\text{ ミリ秒}、データ転送時間は 4,000÷(20×106)=0.0002 秒=0.2 ミリ秒4,000 \div (20 \times 10^6) = 0.0002\text{ 秒} = 0.2\text{ ミリ秒} となり、合計は 8+10+0.2=18.2 ミリ秒8 + 10 + 0.2 = 18.2\text{ ミリ秒} と求められます。

4. 間違えやすいところ

磁気ディスクの時間計算では、平均回転待ち時間を求める際に1回転にかかる時間を2で割り忘れるミスに注意が必要です。実際の選択肢でも、1回転の時間をそのまま平均シーク時間に加算した値や、平均シーク時間を足し忘れて平均回転待ち時間だけを計算した値、データ転送時間の単位換算(秒からミリ秒への変換)で桁を1つ誤った値が誤答肢として並んでいます。

ストレージとネットワークの論点では、類似する仕組みとの混同に気をつけます。オブジェクトストレージについて、データとメタデータを組にして階層構造でデータにアクセスするとした誤答肢がありますが、オブジェクトストレージは階層構造を持たず固有の識別子で管理します。また、ファイバチャネル(FC)について「TCP/IPの上位層として作られた規格である」としたり「接続形態は,スイッチを用いたn対n接続に限られる」としたりする誤答肢もありますが、FCは独自のプロトコルスタックを持ち、1対1接続やループ接続も規定されています。

入出力制御やインタフェース規格でも、他の要素技術の説明が誤答肢として置かれます。MPUのウェイト機能・レディ機能の使い方として、割込み機能の役割である「入出力装置の処理完了を MPUに知らせる」や、バス調停機能の役割である「MPUと DMAコントローラーとのバス調停を行う」を選ばないようにします。同様に、DMAコントローラーの役割を積和演算を行うDSPやメモリ管理を行うMMUの説明と取り違えないこと、またeMMCやNVMeのインタフェースをSATAやAHCIと混同しないことが大切です。

補助記憶・入出力装置の理解度チェック

補助記憶・入出力装置の過去問一覧

補助記憶・入出力装置の用語

ハードウェアのほかの論点

プロセッサ・性能計算48問 メモリ・キャッシュ43問 論理回路24問 電子部品・電子回路14問