令和7年度 春期 ITストラテジスト試験 午後II 問題 問2 DXの企画策定と変革阻害要因(論文)

ストラテジシステム戦略・企画経営戦略

この問題は2025(R7)春 ITストラテジスト 午後IIに出題されたものです。出題時点の法令・制度に基づく内容のため、現行の内容と一致しない場合があります。

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学習ガイド

経営課題の解決に向けた変革をDXの推進で実現する企画の策定を論じる問題です。解答例は公表されないので、講評の分析から要求水準を組み立てます。デジタル技術の導入やデータ活用の話に終始し変革が曖昧な答案、AIを万能として中身に具体性がない答案、阻害要因への対応を自分の考えだけで書き協議の過程がない答案がいずれも減点対象とされました。変革の中身と関係者との合意形成が論述の2本柱になります。

この記事で押さえる論点

  • 経営課題の解決に必要な「変革」を明確に定義する
  • DXの企画を変革の実現手段として具体的に論述する
  • 変革を阻害する要因と、経営層・事業部門との協議を経た対応策を描く

問題本文

昨今,企業は,経営課題の解決において,製品・サービス,業務プロセス,組織,企業文化・風土などの変革が必要である場合,変革の実現に当たり,デジタルトランスフォーメーション(DX)を推進することがある。例えば,熟練者不足の解消が経営課題で,その解決においてDXを推進する場合,既存データを活用した業務の最適化,業務の標準化・自動化,潜在化している熟練者のノウハウのナレッジ化などの変革を進めることで,経験の浅い人でも熟練者に近い業務が遂行できたり,ナレッジを組み合わせた新製品・新サービスの開発が実現できたりする。また,熟練者にナレッジを更に高度化する指導者の役割を担わせたり,未経験人材の採用が可能になったりして,企業文化や働く人の意識を変えていくこともできる。

このようなDXの推進に当たり,ITストラテジストは,例えば次のようなことを明確にし,DXの企画を策定することが重要である。

  • デジタル技術とデータ活用が変革の実現にどのように貢献できるか。
  • 事業部門や管理部門などとどのように役割を分担し,DXを推進するか。
  • デジタル技術の導入とデータ活用に関わる投資金額は幾らか。

また,DXの推進に当たり,変革を阻害する様々な要因が想定される。例えば,改修や新技術の導入が困難なレガシーシステム,外部組織との複雑な連携プロセス,変革を積極的に受け入れない組織や人などが挙げられる。ITストラテジストは,このような変革を阻害する要因を想定して経営層や事業部門と協議し,経営層や事業部門の意思を取り入れた対応策をDXの企画に反映させることが重要である。

あなたの経験と考えに基づいて,設問ア~ウに従って論述せよ。

設問と解答・解説

設問ア

あなたが携わったDXの企画策定において,解決すべき経営課題,必要となった変革は何か,事業背景,事業特性とともに400字以上800字以内で述べよ。

模範解答

模範解答は公表されていません。下の採点基準と解説から、解答に求められる要素を読み取ってください。

採点基準(配点 33点)

知識・理解度(内容)(18点)

  • 18: 事業背景と事業特性が明確で、それらに基づく経営課題と必要となった変革が極めて具体的に論述されている。
  • 14: 事業背景、事業特性、経営課題と変革について概ね具体的に論述されている。
  • 9: 求められる項目は記述されているが、一部具体性に欠ける。
  • 5: 経営課題の記述はあるが、デジタル技術の導入等に終始し、変革の記述が曖昧である。
  • 0: 設問で求められている事項が記述されていない、または無関係な記述となっている。

論理性(構造)(15点)

  • 15: 経営課題から「なぜその変革が必要となったのか」への論理展開が極めて自然で一貫している。
  • 12: 経営課題と必要となった変革とのつながりが概ね一貫して論述されている。
  • 8: 経営課題と変革のつながりが記載されているが、やや論理の飛躍が見られる。
  • 4: 経営課題と変革のつながりが乏しく、論旨に一貫性がない。
  • 0: 論述が破綻しており、論理性が全く認められない。

解説

設問の趣旨

ITストラテジストとして、経営課題の解決に向けた DX(デジタルトランスフォーメーション)の企画策定 において、その背景となる事実関係と課題認識について論述することが求められています。

求められる論述内容

以下の4点を漏れなく具体的に述べる必要があります。

  1. 企業の 事業背景
  2. 企業の 事業特性
  3. 解決すべき 経営課題
  4. 課題解決のために必要となった 変革

採点のポイント・陥りやすい罠

出題者の講評において、「経営課題は明確に論述されているものの、デジタル技術の導入、データ活用について終始し、変革については曖昧な論述が見受けられた」と指摘されています。単なるツールの導入やデータ活用の仕組みづくりにとどまらず、それによって 業務プロセス、ビジネスモデル、組織文化がどのように変わるのか(変革) を明確に論じる必要があります。

高得点のポイント

  • 企業の 事業背景事業特性 が、その後の経営課題の根拠として説得力を持っていること。
  • 経営課題 と、その解決のための 変革 の間に論理的なつながりがあること。
  • 「IT化」にとどまらない、DXと呼ぶにふさわしい「変革」の具体的な内容が示されていること。

設問イ

設問アで述べた変革の実現に当たり,あなたはどのようなDXの企画を策定したか。あなたが特に重要と考え,工夫したことを明確にして,800字以上1,600字以内で具体的に述べよ。

模範解答

模範解答は公表されていません。下の採点基準と解説から、解答に求められる要素を読み取ってください。

採点基準(配点 33点)

説得力(考察)(18点)

  • 18: 策定したDX企画と工夫した点が極めて具体的に論じられ、変革実現への寄与が説得力をもって説明されている。
  • 14: DX企画と工夫した点が具体的に論述されており、変革実現への寄与が理解できる。
  • 9: DX企画と工夫した点は記述されているが、技術導入の記述に終始するなど具体性にやや欠ける。
  • 5: DX企画の記述はあるが工夫した点が不明確であり、技術の羅列等にとどまっている。
  • 0: DX企画や工夫した点が記述されていない。

論理性(構造)(15点)

  • 15: 設問アで述べた「変革」を実現するための企画として、論旨が極めて一貫している。
  • 12: 設問アで述べた「変革」を実現するための企画として、概ね一貫して論述されている。
  • 8: 設問アの「変革」との関係は読み取れるが、やや論理の飛躍が見られる。
  • 4: 設問アの「変革」との結びつきが不明確であり、論理性に欠ける。
  • 0: 設問アの内容と全く無関係であり、論旨が破綻している。

解説

設問の趣旨

設問アで設定した経営課題と必要となった変革に基づき、具体的な DXの企画内容 と、ITストラテジストとしての 工夫点 を論述することが求められています。

求められる論述内容

以下の2点を中心に記述します。

  1. 設問アの変革を実現するための具体的な DXの企画内容
  2. 企画策定において、ITストラテジストとして特に重要と考え 工夫したこと

採点のポイント・陥りやすい罠

出題者の講評において、「AIは万能という論調で論述して、AIの中身に具体性のない論述などが散見された」と指摘されています。バズワードを羅列するだけでなく、どのようなデジタル技術やデータをどう活用し、それがどのように変革に結びつくのか を地に足の着いた形で具体的に説明する必要があります。

高得点のポイント

  • DXの企画内容が、設問アで述べた「変革」の実現に直結する論理的な構成となっていること。
  • 採用するデジタル技術やデータ活用の方法論が具体的に説明されていること(漠然とした技術名の羅列を避ける)。
  • ITストラテジストの視点から、企画を推進・実現する上で 特に重要と考えた工夫点 が説得力をもって論じられていること。

設問ウ

設問イで述べたDXの企画策定において,あなたは変革を阻害する要因としてどのようなことを想定し,どのような対応策をDXの企画に反映させたか。対応策に取り入れた経営層や事業部門の意思を明確にして,600字以上1,200字以内で具体的に述べよ。

模範解答

模範解答は公表されていません。下の採点基準と解説から、解答に求められる要素を読み取ってください。

採点基準(配点 34点)

知識・理解度(内容)(17点)

  • 17: 変革を阻害する要因が妥当であり、経営層や事業部門との協議に基づく対応策が明確かつ具体的に論述されている。
  • 13: 阻害要因と対応策について概ね具体的に論述されており、関係者の意思の反映が読み取れる。
  • 9: 阻害要因と対応策は記述されているが、関係者との協議や意思の反映の記述が不十分である。
  • 4: 阻害要因や対応策がITストラテジスト個人の考えにとどまり、関係者の意思が反映されていない。
  • 0: 阻害要因や対応策、関係者の意思のいずれも記述されていない。

説得力(考察)(17点)

  • 17: 対応策がDX企画にどのように反映されたかが極めて具体的に論じられ、実現可能性の高さが説得力をもって説明されている。
  • 13: 対応策のDX企画への反映について概ね具体的に論述されており、実現可能性が理解できる。
  • 9: 対応策のDX企画への反映について記述されているが、実現に向けた具体性にやや欠ける。
  • 4: 対応策の記述が表層的であり、企画への反映が不明確で説得力に欠ける。
  • 0: 対応策のDX企画への反映が全く記述されていない。

解説

設問の趣旨

DX企画の実行・推進において不可避となる 阻害要因 に対するリスクマネジメントと、ステークホルダー(経営層や事業部門)との コミュニケーション能力・合意形成能力 を評価します。

求められる論述内容

以下の3点を具体的に記述します。

  1. 変革を阻害する要因の想定
  2. 阻害要因に対する対応策(DXの企画への反映)
  3. 対応策に取り入れた 経営層や事業部門の意思

採点のポイント・陥りやすい罠

出題者の講評において、「変革を阻害する要因への対応策については、ITストラテジストの考えだけを論述し、経営層や事業部門との協議内容が論述されていないものが見受けられた」と指摘されています。自身の考えだけで対応策を完結させるのではなく、経営層や事業部門とどのように協議し、彼らの意思をどのように企画に取り込んだか を明確に記述することが不可欠です。

高得点のポイント

  • 想定した 阻害要因 が、設問イのDX企画に照らして妥当かつ現実的であること。
  • 対応策 が具体的にDXの企画内容に反映されており、実現可能性が高いこと。
  • 対応策の策定過程において、経営層や事業部門との協議 が行われ、彼らの意思や要望が適切に反映されていることが明確に示されていること。