令和4年度 春期 ITストラテジスト試験 午後Ⅰ 問2 製造業におけるサプライチェーン寸断とESG情報開示に対応するシステム戦略
学習ガイド
工作機械メーカーがサプライチェーン寸断やESG開示への要請に対応するため、情報システム戦略を再構築する事例です。調達遅延や風評被害などの事業リスクの特定、ブロックチェーンを活用したSC基盤の役割、調達の代替手段確保や社内データ集計精度の安定化が問われます。本文の「仕入れの問題点」「サステナビリティの取組における問題点」から企業の困りごとを正確に抽出し、3つのシステム施策の目的へと直結させて解き進めます。
この記事で押さえる論点
- 長く複雑なサプライチェーンに潜む資材調達や社会的信用の事業リスクを特定できる
- ブロックチェーン技術を用いてサプライチェーン情報の真正性と透明性を確保する意義を説明できる
- 複数仕入先のデータを構造化し、供給停止時に代替調達先へ組み替える仕組みを説明できる
- 部門間の手作業集計をシステム連携で自動化し、ESG報告の精度を高める効果を述べられる
出題情報
- 出題
- 2022(R4)春 ITストラテジスト 午後I 問2
- 配点
- 50点満点
- 模範解答
- 公表(設問ごとに掲載)
出題趣旨・採点講評(IPA 公表)
ITストラテジストには,業種ごとの事業特性を踏まえて,事業戦略実現に向けた情報システム戦略や全体システム化計画を策定する能力が求められる。本問では,製造業の情報システム戦略を題材として,外部や内部の変化や制約に対応したシステム戦略を策定する能力を評価する。具体的には,情報システム戦略の策定の狙い,整備される各システムの機能が実現できる理由や目的などを問う。
問2では,製造業の情報システム戦略の策定について出題した。全体として正答率は平均的で,状況設定はおおむね理解されているようであった。ITストラテジストは,社内外の環境変化に応じて,ITを活用した情報戦略を策定する能力を高めてほしい。
問題本文
問2 製造業の情報システム戦略の策定に関する次の記述を読んで,設問1〜4に答えよ。
M社は,工作機械の組立製造を事業とする中堅の上場会社であり,本社とそれに隣接する工場から成る。
〔M社の状況〕
M社は自動車製造会社など,長年取引のある複数の顧客をもち,業績は安定している。また,資材の仕入先とは強いつながりを保ったグループを形成して,これまで資材の仕入れが滞るようなことはなかった。
しかし,近年では,気候変動が原因とみられる風水害などでサプライチェーンが寸断され,資材が不足して製品製造が遅滞するなど業績の不確実性が高まっている。さらに,仕入れた資材に含まれる部品を製造した工場などで強制労働や人権侵害などの問題があれば,1次仕入先でなくとも,顧客からの取引停止や風評被害による業績への影響も懸念されるようになってきている。また,株主や顧客などのステークホルダーからは,気候変動や経済格差などの環境や社会に起因する事業リスクを考慮した事業の継続性について関心をもたれている。
M社では,これまでも金利や為替の変動,輸入原料の市況変動,製品イノベーションの進展による市場変化などの事業リスクとその対応に関して,国のガイドラインに準じてサステナビリティレポートを毎年公表してきたが,新たな事業リスクも含め自社の実情に応じてより踏み込んだ報告が必要になっていると考えている。
〔仕入れの問題点〕
M社の製品は多くの部品から構成されており,組立てや塗装では石油系溶剤を利用しているので,資材の仕入先は多岐にわたる。また,1次仕入先から納品される資材はさらに2次仕入先の資材から構成されているなど,サプライチェーンは長く複雑になっている。M社と仕入先各社では,サプライチェーンの寸断を防ぐために,一つの資材を複数の事業者から仕入れてきた。しかし,近年,パンデミックなどによる海外の工場の操業停止に伴い半導体関連の資材全般が品薄状態になり,M社でも半導体とは直接は関係しない資材の仕入れも不安定になった経緯がある。M社としては,どのような状況でも製造が停止しないよう,サプライチェーンに関わる事業者でグループを組成し直し,サプライチェーン全体を通して安定的に資材を仕入れられる代替方法の確保をする必要があると考えている。
〔サステナビリティの取組における問題点〕
M社では,これまで,環境対策として,製造工程の見直しや,工場電力の再生可能エネルギー化によって,炭素排出量の削減を図ってきた。製品全体での炭素排出量を算定する最近の動向から,仕入先と共同して炭素排出量削減に取り組むために,M社でも資材の炭素排出量を含めて削減目標を設定しており,社外からも一定の評価を得ている。
仕入先である事業者は,それぞれ独自に温暖化シナリオの前提条件と計測指標を設定し,炭素排出量・削減目標を算定してステークホルダに報告している。M社では,1次仕入先からの報告内容を基にして,M社指標に合わせて算定し直してサステナビリティレポートを作成している。1次仕入先でも,2次仕入先からの報告内容を基に算定し直している。2次仕入先以降についても同様である。M社としては,現状では,サプライチェーン全体での炭素排出量・削減目標を正しく算定できていない可能性があると考え,全ての事業者の取組状況を把握することで,サステナビリティレポートの信頼性を確保したいと考えている。
M社が開示しているサステナビリティレポートの報告内容には,社内システムで登録されている一部のデータの出力・集計ができないことから,人事,財務,生産・在庫管理の各部門が手作業で集計している結果が含まれる。集計時期は期末の業務繁忙期に当たるので,集計に時間が掛かるとともに,各部門の担当者の異動によって集計されるデータの対象や範囲が都度変動してしまい,報告結果の精度が一定に保たれていないおそれがある。
〔ESG経営の取組〕
M社では,サステナビリティへの取組をさらに推進するために,ESG(環境・社会・企業統治)を重視した経営を実践することにした。これによって,中長期的な事業リスクとその対応を進め,経済的及び社会的な企業価値の向上を目指す。これに合わせて,サステナビリティレポートについてはESGの観点に沿って見直し,炭素排出量・削減目標,M社と仕入先の人権・労働衛生安全の情報,内部統制インシデント情報などの項目を追加し,より踏み込んだ報告を行う。
〔M社システムと情報システム戦略の策定〕
M社の主なシステムには,生産管理・在庫管理を行う工場システムのほか,財務システム,購買システム,人事システムがある。
M社のシステムは,子会社のS社が開発・保守・運用を担当している。S社は,M社で得たノウハウを活用して生産管理システムなどを外販している。また,ブロックチェーンを使い,データの真正性を維持しセキュアに共有できるようにした信用状や取引契約関連の電子化システム(以下,BCシステムという)も開発し外販している。
M社は,現状の事業リスクに対応し,業績の確実性を高めるために,S社の支援を受けて,次の内容を含む全社の情報システム戦略を策定することにした。
① サプライチェーン管理システム基盤(以下,SC基盤という)の新規開発
② 購買システムの改修
③ サステナビリティレポート作成システム(以下,レポートシステムという)の新規開発
システム整備後のイメージを図1に示す。

図の説明テキスト
「図1 システム整備後のイメージ」のシステム構成図。
点線で囲まれた「M社システム」の中には、「工場システム」、「財務システム」、「人事システム」、「購買システム」、および太線で囲まれた「レポートシステム」がある。
M社システムの外には、「1次仕入先」、「2次仕入先」、...、「n次仕入先」がある。
「SC基盤」はM社システムの内外にまたがって配置されている。
矢印による関係性は以下の通り:
- 「工場システム」、「財務システム」、「人事システム」のそれぞれから「レポートシステム」へ向かう矢印。
- 「購買システム」から「レポートシステム」へ向かう矢印。
- 「1次仕入先」、「2次仕入先」、...、「n次仕入先」のそれぞれから「SC基盤」へ向かう矢印。
- 「SC基盤」から「レポートシステム」へ向かう矢印。
- 「SC基盤」から「購買システム」へ向かう矢印。
〔SC基盤の新規開発〕
サプライチェーン全体での資材の受発注取引を管理するプラットフォームとして,SC基盤を新たに開発する。SC基盤の参加事業者は,受発注取引の都度,資材品目と受発注額を記録するほか,各仕入先で製造に使用する原材料品目と数量,製造地,及び納品物在庫量を登録する。また,各仕入先は,年次で,自社の炭素排出量・削減目標,その算定の前提条件と計測指標をSC基盤に登録し,M社と協議してESGへの取組推進を図る。零細企業などでSC基盤への参加に難色を示す仕入先に対してはM社が作業支援を行い,サプライチェーン全ての仕入先が何らかの形でESGの取組に参加できるよう計画する。
SC基盤の開発では,BCシステムを活用し,その機能をクラウドコンピューティングサービス基盤に移設して実現する。SC基盤に登録されたデータへの参照値をブロックチェーンに登録し,そのハッシュ値をQRコードにして資材に貼付することによって資材のトレーサビリティ確保や偽装防止などを実現する。
〔購買システムの改修〕
購買システムでは,SC基盤のデータから,製品に必要な全ての資材の所要量を関連付けた表(以下,サプライチェーンマトリクスという)を作成できるよう改修する。サプライチェーンマトリクスからは,製品に必要な資材や,その資材の製造に必要な資材が分かる。受発注の状況などから,特定の事業者からの供給が停滞するリスクが検出された場合,サプライチェーンマトリクスを活用して,サプライチェーンの組替えを提案する機能を開発する。
〔レポートシステムの新規開発〕
レポートシステムはサステナビリティレポートの作成を支援する。レポートシステムは,SC基盤のデータを参照するほか,工場システム,財務システム,人事システムとAPIで連携してデータ収集する仕組みにして,各部門での手作業での集計業務を不要にする。
併せて,工場システム,財務システム,人事システムにレポートシステムと連携する機能を追加開発する。
設問と解答・解説
設問1
〔M社システムと情報システム戦略の策定〕について,業績の確実性を高めるために策定する情報システム戦略の対象となる事業リスクのうち,サプライチェーンに起因する事業リスクと,仕入先と顧客に起因する事業リスクについて,それぞれ20字以内で具体的に述べよ。
サプライチェーンに起因する事業リスクについて,20字以内で具体的に述べよ。
模範解答
資材が不足し製品製造が遅滞するリスク
採点基準
- 4点: 事業特性や外部環境の変化を踏まえ、サプライチェーン寸断による資材不足と、製品製造の遅滞という事象を的確に把握している。
- 2点: 事象を部分的に把握しているが、資材不足または製造遅滞のいずれか一方の言及に留まっている。
- 0点: 内容が不適切である。
- 2点: 指定された文字数内で、文意が明確で論理的に構成されている。
- 0点: 論理構成が不明確である。
解説
正解の根拠
〔M社の状況〕の第2段落に、「気候変動が原因とみられる風水害などでサプライチェーンが寸断され,資材が不足して製品製造が遅滞するなど業績の不確実性が高まっている。」と記述されています。
情報システム戦略の対象として、このサプライチェーン寸断による資材不足と製造の遅滞のリスクを考慮する必要があります。
高得点のポイント
サプライチェーン寸断に伴う「資材が不足」するという事象が含まれているか
それによる「製品製造が遅滞」するという事業への影響が明記されているか
仕入先と顧客に起因する事業リスクについて,20字以内で具体的に述べよ。
模範解答
取引停止や風評被害のリスク
採点基準
- 4点: 仕入先のインシデントに起因する、取引停止と風評被害による業績影響を的確に把握している。
- 2点: 取引停止または風評被害のいずれか一方のみを把握している。
- 0点: 内容が不適切である。
- 2点: 指定された文字数内で、文意が明確で論理的に構成されている。
- 0点: 論理構成が不明確である。
解説
正解の根拠
〔M社の状況〕の第2段落に、「仕入れた資材に含まれる部品を製造した工場などで強制労働や人権侵害などの問題があれば,1次仕入先でなくとも,顧客からの取引停止や風評被害による業績への影響も懸念される」と記述されています。
仕入先での人権侵害等の問題が、顧客からの取引停止や社会的な風評被害につながるリスクを捉える必要があります。
高得点のポイント
顧客からの「取引停止」に関する言及があるか
「風評被害」による業績への影響に関する言及があるか
設問2
〔SC基盤の新規開発〕について,(1),(2)に答えよ。
SC基盤を新たに構築する目的には,資材のトレーサビリティの確保や偽装防止に加えて何があるか,30字以内で述べよ。
模範解答
サステナビリティレポートの信頼性を確保するため
採点基準
- 4点: サステナビリティレポートの信頼性確保という目的を正確に把握している。
- 2点: サステナビリティに関する目的に触れているが、社内の問題解決と混同が見られる表現となっている。
- 0点: 目的を誤認している(社内の集計作業の効率化のみを解答している等)。
- 2点: 指定された文字数内で、文意が明確で論理的に構成されている。
- 0点: 論理構成が不明確である。
解説
正解の根拠
〔サステナビリティの取組における問題点〕の第2段落に、「M社としては,現状では,サプライチェーン全体での炭素排出量・削減目標を正しく算定できていない可能性があると考え,全ての事業者の取組状況を把握することで,サステナビリティレポートの信頼性を確保したいと考えている。」と記載されています。
SC基盤の構築により全ての事業者の取組状況を正確に把握することで、この目的を達成できます。
高得点のポイント
サステナビリティレポートの「信頼性を確保する」という目的に直接触れているか
M社内の集計作業の効率化(手作業で時間が掛かるなどの解消)ではなく、サプライチェーン全体の排出量算定によるレポート信頼性向上に焦点を当てているか
SC基盤の開発でBCシステムを活用し資材のトレーサビリティ確保や偽装防止をする理由は何か,35字以内で述べよ。
模範解答
データの真正性を維持しセキュアに共有できるようにしたいから
採点基準
- 4点: データの真正性維持と、セキュアな共有というBCシステム本来の技術的特長と目的を正確に捉えている。
- 2点: 真正性維持またはセキュアな共有のいずれか一方のみを捉えている。
- 0点: BCシステムの目的を誤認している(購買システムの機能である「安定的な資材の確保」等を解答している等)。
- 2点: 指定された文字数内で、文意が明確で論理的に構成されている。
- 0点: 論理構成が不明確である。
解説
正解の根拠
〔M社システムと情報システム戦略の策定〕の第2段落に、S社が「ブロックチェーンを使い,データの真正性を維持しセキュアに共有できるようにした信用状や取引契約関連の電子化システム(以下,BCシステムという)も開発し外販している。」とあります。
BCシステムの本質的な特徴である、データの真正性維持とセキュアな共有を活用することが、トレーサビリティ確保や偽装防止を実現する理由です。
高得点のポイント
ブロックチェーンの技術的特徴である「データの真正性を維持」することが記述されているか
「セキュアに共有」できるという情報の安全な取扱いについて言及しているか
「安定的な資材の確保」など購買システム側の目的と混同していないか
設問2(1)は,正答率が低かった。M社内の問題である“手作業で時間が掛かる”や“集計精度が良くない”など,の解決を目的とした解答が見受けられた。SC基盤の目的には,資材のトレーサビリティ確保のほかに,サプライチェーン全体での炭素排出量・削減目標の正しい算定が背景にあることに気付いてほしい。設問2(2)は,正答率が低かった。“安定的な資材の確保のため”という解答が見受けられた。これは購買システムの改修で実現できる機能であり,BCシステムを活用する理由ではないことを理解してほしい。
設問3
〔購買システムの改修〕でのサプライチェーンの組替えの提案機能について,(1),(2)に答えよ。
提案機能を開発する狙いは何か,25字以内で述べよ。
模範解答
安定的に資材を仕入れられる方法を確保するため
採点基準
- 4点: いかなる状況でも安定的に資材を仕入れられる代替方法の確保という狙いを的確に把握している。
- 2点: 資材の仕入れについて言及しているが、安定的確保または代替手段の視点が欠けている。
- 0点: 内容が不適切である。
- 2点: 指定された文字数内で、文意が明確で論理的に構成されている。
- 0点: 論理構成が不明確である。
解説
正解の根拠
〔仕入れの問題点〕の第2段落において、「M社としては,どのような状況でも製造が停止しないよう,サプライチェーンに関わる事業者でグループを組成し直し,サプライチェーン全体を通して安定的に資材を仕入れられる代替方法の確保をする必要がある」と記述されています。
特定の事業者からの供給が停滞するリスクが検出された場合に組替えを提案する機能は、この安定的な資材仕入れ方法の確保を狙いとしています。
高得点のポイント
どのような状況でも「安定的に資材を仕入れられる」ことに言及しているか
仕入れの「代替方法の確保」という目的に触れているか
サプライチェーンマトリクスの作成は,もともとのM社グループの仕入れにおけるどのような特徴を考慮したものか,その特徴を30字以内で述べよ。
模範解答
一つの資材を複数の事業者から仕入れていること
採点基準
- 4点: 一つの資材を複数の事業者から仕入れているという、仕入れ構造の根本的な特徴を的確に捉えている。
- 2点: 複数事業者との取引には言及しているが、「一つの資材に対して」という視点が欠けている。
- 0点: 内容が不適切である。
- 2点: 指定された文字数内で、文意が明確で論理的に構成されている。
- 0点: 論理構成が不明確である。
解説
正解の根拠
〔仕入れの問題点〕の第1段落に、「M社と仕入先各社では,サプライチェーンの寸断を防ぐために,一つの資材を複数の事業者から仕入れてきた。」と記述されています。
サプライチェーンマトリクスは、製品に必要な全ての資材の所要量を関連付けるものであり、この複数事業者からの仕入れという特徴を踏まえて作成されます。
高得点のポイント
「一つの資材」に対して複数の調達ルートを持っていること(複数事業者からの仕入れ)に言及しているか
単なる仕入先の多さではなく、同一資材に対する複数事業者からの仕入れというリスク分散の特徴を適切に捉えているか
設問4
〔レポートシステムの新規開発〕について,(1),(2)に答えよ。
工場システム,財務システム,人事システムに追加開発する連携機能で取り扱うデータはどのようなものか,25字以内で述べよ。
模範解答
各部門が手作業で集計しているデータ
採点基準
- 4点: 各部門が手作業で集計しているデータであるという業務上の課題を正確に把握している。
- 2点: 手作業のデータであることには触れているが、表現が不十分である。
- 0点: 具体的な情報項目(炭素排出量など)を列挙しており、現状の問題点を読み取れていない。
- 3点: 指定された文字数内で、文意が明確で論理的に構成されている。
- 1点: 論理構成にやや不自然さがある。
- 0点: 論理構成が不明確である。
解説
正解の根拠
〔サステナビリティの取組における問題点〕の第3段落に、「社内システムで登録されている一部のデータの出力・集計ができないことから,人事,財務,生産・在庫管理の各部門が手作業で集計している結果が含まれる。」と記述されています。
また、〔レポートシステムの新規開発〕の第1段落で「工場システム,財務システム,人事システムとAPIで連携してデータ収集する仕組みにして,各部門での手作業での集計業務を不要にする」とあることから、連携機能で取り扱うのはこの手作業で集計していたデータです。
図1のシステム構成図においても、工場システム、財務システム、人事システムから直接レポートシステムへ向かう矢印が示されており、これまで手作業で行われていた各部門のデータ収集がシステム間連携に置き換わることがわかります。
高得点のポイント
「各部門が手作業で集計している」という業務上の課題に言及しているか
「炭素排出量」や「内部統制インシデント情報」といった具体的な情報項目を列挙するのではなく、M社の現状の問題点(手作業での集計)を適切に読み取れているか
レポートシステムの機能と,他の各システムに追加開発する連携機能によって,解決できる問題点は何か,25字以内で述べよ。
模範解答
報告結果の精度が一定に保たれていないこと
採点基準
- 4点: 担当者の異動などに伴い報告結果の精度が一定に保たれていないという問題点を的確に指摘している。
- 2点: 精度の問題に言及しているが、具体的な背景(変動要因など)の理解が不十分である。
- 0点: 内容が不適切である。
- 3点: 指定された文字数内で、文意が明確で論理的に構成されている。
- 1点: 論理構成にやや不自然さがある。
- 0点: 論理構成が不明確である。
解説
正解の根拠
〔サステナビリティの取組における問題点〕の第3段落において、手作業による集計作業に関連し、「各部門の担当者の異動によって集計されるデータの対象や範囲が都度変動してしまい,報告結果の精度が一定に保たれていないおそれがある。」と述べられています。
システム間のAPI連携とレポートシステムの機能によって手作業を不要にすることで、この精度のばらつきという問題点が解決されます。
高得点のポイント
手作業の排除により「報告結果の精度」が向上または安定することに言及しているか
精度が「一定に保たれていない」という現状の問題点を的確に指摘しているか
設問4(1)は,“炭素排出量,内部統制インシデント情報”などの解答が散見された。具体的な情報項目ではなく,M社の取組における実際の問題点を読み取って解答してほしい。