令和3年度 秋期 プロジェクトマネージャ試験 午後Ⅱ 問1 プロジェクトチーム内の対立の解消と行動の基本原則の改善(論述)

学習ガイド

システム開発の現場で避けては通れない、メンバ間の意見の相違や対立の解消をテーマにした午後II問題です。本問では、単に対立を収めた経験を書くのではなく、事前に定めた行動の基本原則と、それに従っても生じてしまった対立をセットで論じます。設問アでプロジェクトの特徴と原則、対立の兆候を示し、設問イで対立へと発展した原因の分析、具体的な解消策と原則の改善策を展開します。最後の設問ウでその実施状況と効果を評価し、将来に向けた改善点としてまとめる一連のストーリーの作り方を解説します。

この記事で押さえる論点

  • プロジェクトの特徴に合った行動の基本原則と、チームの状況から察知した対立の兆候を説明できる
  • 意見や認識の相違から対立へと発展した経緯を因果関係で述べられる
  • 原因分析に基づく対立の解消策と、再発を防ぐための行動の基本原則の改善策を説明できる
  • 施策の実施状況からその効果を評価し、今後のプロジェクトに生かす改善点を述べられる

問題本文

システム開発プロジェクトにおけるプロジェクトチーム内の対立の解消について

プロジェクトマネージャ(PM)は,プロジェクトの目標の達成に向け継続的にプロジェクトチームをマネジメントし,プロジェクトを円滑に推進しなければならない。

プロジェクトの実行中には,作業の進め方をめぐって様々な意見や認識の相違がプロジェクトチーム内に生じることがある。チームで作業するからにはこれらの相違が発生することは避けられないが,これらの相違がなくならない状態が続くと,プロジェクトの円滑な推進にマイナスの影響を与えるような事態(以下,対立という)に発展することがある。

PMは,プロジェクトチームの意識を統一するための行動の基本原則を定め,メンバに周知し,遵守させる。プロジェクトの実行中に,プロジェクトチームの状況から対立の兆候を察知した場合,対立に発展しないように行動の基本原則に従うように促し,プロジェクトチーム内の関係を改善する。

しかし,行動の基本原則に従っていても意見や認識の相違が対立に発展してしまうことがある。その場合は,原因を分析して対立を解消するとともに,行動の基本原則を改善し,遵守を徹底させることによって,継続的にプロジェクトチームをマネジメントする必要がある。

あなたの経験と考えに基づいて,設問ア〜ウに従って論述せよ。

設問と解答・解説

設問ア

配点 34点

あなたが携わったシステム開発プロジェクトにおけるプロジェクトの特徴,あなたが定めた行動の基本原則とプロジェクトチームの状況から察知した対立の兆候について,800字以内で述べよ。

模範解答

模範解答は公表されていません。下の採点基準と解説から、解答に求められる要素を読み取ってください。

採点基準

知識・理解度(内容)20点
  • 20点: プロジェクトの特徴、行動の基本原則、対立の兆候が全て具体的かつ詳細に記述されている。
  • 10点: プロジェクトの特徴、行動の基本原則、対立の兆候のうち一つが欠けている、または一部が具体性に欠ける。
  • 0点: 白紙、題意外(システム開発プロジェクトのチームマネジメントを題材としていない、主題から外れた論述)、またはこれらの要素の大半が欠けている。
論理性(構造)14点
  • 14点: 行動の基本原則がプロジェクトの特徴に即しており、対立の兆候との論理的な繋がりが明確である。
  • 7点: 論理的な繋がりは概ね理解できるが、一部プロジェクトの特徴との関連が薄い箇所がある。
  • 0点: 行動の基本原則がプロジェクトの特徴に即していないなど、論理性が欠如している。

解説

設問の意図と求められる内容

本問は、プロジェクトマネージャ(PM)の視点から、プロジェクトチーム内の意見や認識の相違が対立に発展することを防ぐための初期のマネジメント活動について問うています。
具体的には、プロジェクトの特徴、それに基づいて定めた行動の基本原則、および現場の状況から察知した対立の兆候を800字以内で論述することが求められます。

高得点のポイント

  • プロジェクトの特徴の具体性: 対象となるシステム開発プロジェクトの規模、体制、ステークホルダー、開発手法など、背景となる特徴が明確に示されていること。
  • 特徴に即した行動の基本原則: 採点講評でも指摘されている通り、「行動の基本原則がプロジェクトの特徴に即していない論述」は低評価となります。プロジェクト特有の課題やリスクに対応した、納得感のある基本原則を提示することが重要です。
  • 対立の兆候の論理的な描写: 単なる意見の相違ではなく、放置すればプロジェクトの進行にマイナスの影響を与える「対立の兆候」として、現場のどのような状況・事象からそれを察知したのかを具体的に記述できているかどうかが評価の分かれ目となります。

設問イ

配点 33点

設問アで述べたプロジェクトの実行中に作業の進め方をめぐって発生した対立と,あなたが実施した対立の解消策及び行動の基本原則の改善策について,800字以上1,600字以内で具体的に述べよ。

模範解答

模範解答は公表されていません。下の採点基準と解説から、解答に求められる要素を読み取ってください。

採点基準

知識・理解度(内容)18点
  • 18点: 発生した対立、対立の解消策、行動の基本原則の改善策が全て具体的に記述されている。
  • 9点: 発生した対立、対立の解消策、行動の基本原則の改善策のうち一つが欠けている、または一部が具体性に欠ける。
  • 0点: 白紙、題意外(作業の進め方をめぐる対立を述べていない、主題から外れた論述)、またはこれらの要素の大半が欠けている。
説得力(考察)15点
  • 15点: 解消策が対立の内容や原因に的確に対応しており、改善策も非常に説得力がある。
  • 7点: 解消策や改善策の意図は伝わるが、対立の原因に対する対応としてやや説得力に欠ける部分がある。
  • 0点: 解消策が対立の原因に対応していない、または改善策の説得力が乏しい。

解説

設問の意図と求められる内容

設問アの状況から進行し、基本原則に従うように促したにもかかわらず実際に発生してしまった対立の内容と、それに対するPMとしての具体的な対応(対立の解消策と行動の基本原則の改善策)を800字以上1,600字以内で論述することが求められます。

高得点のポイント

  • 対立の内容と原因の明確化: 作業の進め方をめぐるどのような意見・認識の相違が、なぜ対立にまで発展してしまったのか、その原因分析が論理的に記述されていること。
  • 原因に対応した解消策: 採点講評において、「対立の解消策が対立の内容や原因に対応していない論述も見受けられた」と指摘されています。単なる妥協案の提示ではなく、根本的な原因を取り除くためのPMとしての働きかけやプロセスが具体的に示されていることが高得点の条件です。
  • 行動の基本原則の改善と徹底: 対立を解消するだけでなく、再発を防ぐために当初の「行動の基本原則」をどのように改善し、それをチーム全体にどのように遵守させたのか(マネジメントの改善サイクル)が説得力をもって記述されている必要があります。

設問ウ

配点 33点

設問イで述べた対立の解消策と行動の基本原則の改善策の実施状況及び評価と,今後の改善点について,600字以上1,200字以内で具体的に述べよ。

模範解答

模範解答は公表されていません。下の採点基準と解説から、解答に求められる要素を読み取ってください。

採点基準

論理性(構造)18点
  • 18点: 実施状況と評価が具体的かつ論理的に記述されており、設問イの内容と一貫している。
  • 9点: 実施状況と評価は記述されているが、設問イとの繋がりや論理性にやや欠ける部分がある。
  • 0点: 記述が不十分である、または論理性が著しく欠如している。
説得力(考察)15点
  • 15点: 評価結果を的確に分析し、今後の改善点がPMの視点から非常に説得力をもって記述されている。
  • 7点: 今後の改善点は挙げられているが、PMとしての深い考察や説得力にやや欠ける。
  • 0点: 今後の改善点が妥当でない、または言及されていない。

解説

設問の意図と求められる内容

設問イで実施した対立の解消策および行動の基本原則の改善策について、その後の実施状況及び評価と、そこから得られた教訓に基づく今後の改善点を600字以上1,200字以内で論述することが求められます。

高得点のポイント

  • 実施状況と客観的な評価: 対策を実施した結果、プロジェクトチームの状態やプロジェクトの推進にどのようなポジティブな変化(または課題の残存)があったのかを、具体的な事実に基づいて客観的に評価していること。
  • PMとしての経験に基づく今後の改善点: プロジェクトを無事に完了させるための局所的な振り返りに留まらず、今後の類似プロジェクトや組織全体に適用できるような、PMとしての視座の高い改善点が提示されていること。
  • 全体の一貫性: 設問アからウまでの一連のストーリー(プロジェクトの特徴 → 兆候 → 対立発生 → 解消と改善 → 評価と今後の課題)の論理的整合性が保たれていることが極めて重要です。

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